敬二 #35<終>
「呼ばれてまいりました。失礼します。」
偽りの潜入捜査から1ヶ月ちかく経ったある日、敬二は公安部から呼び出しを受けた。
そこはひと月前、副所長だった剣持から秘密の任務を頼まれた場所だった。
夏真っ盛りの夕暮れ時、人気のない旧棟の地下階は空調も弱く、じっとりと空気が淀んでいた。
思いつく理由はたった一つ、あの潜入捜査しかない。
いまだに薄れない生々しい記憶が頭をよぎり、敬二の股間がじっとりと熱をおびた。
自らを落ち着かせるよう深呼吸した敬二は、部屋の中から入るように指示する声いしたがい、
呼び出された会議室のドアを押しひらいた。
恐る恐るドアを開けて部屋に入ると、半地下の会議室は照明を点けていても薄暗く、
あの日と変わらず壁際にはダンボール箱が積み上げられたままだった。
ふと部屋の奥に目を向けると、入り口に背を向け、西日の差し込む天窓を仰ぐ男が目に入った。
一瞬、剣持が帰ってきたのかと見紛い、敬二はハッと息を飲んだ。
「…急に呼び出してすまない。」
先ほどスイッチを入れたばかりなのか、効きのわるい空調が唸り声をあげる中、
眩しい西日でシルエットになっていた男がゆっくりと振り向いた。
「はっ!!」
男と向きなおった敬二は、思わず声を上げて目を見開いた。
軍人のように精悍に刈り上げた短髪、がっしりとした顎に手入れの行き届いた顎髭、
敬二より目線ひとつ背が高く、スーツがひとまわり小さく見える筋骨隆々の身体、
そして肉体派俳優のように彫りの深い顔立ちをした男を前に、敬二は我が目を疑った。
「どうした。顔が赤いぞ。」
低く太い男の声が、唖然としてたちすくむ敬二を現実に連れもどした。
聞き間違いようのない男の声が、敬二の驚きを確信に変えた。
「いい体だな。制服がひとまわり小さく見える。」
絡みつくような男の視線が、敬二のカラダを頭から爪先まで舐めまわし、
意味ありげに股間でピタリと止まった。
男の視線を感じた敬二の股間が、熱をおびてジリジリと疼きはじめた。
驚きに声も出せないまま、敬二はその場に立ち尽くした。
ブリーフの中でイチモツが重量を増し、制服を押し上げて男にその存在を訴えた。
「…あっ、あの、失礼ですが…。あなたは…。」
100パーセントの確信を持ちつつも、敬二は聞かずにはいられなかった。
瞬をわすれた敬二の目をまっすぐ見ながら、
男は初対面のように自らを公安部の黒部だと名乗った。
それ以上の質問は許さないとばかりに、黒部はコツコツと革靴を鳴らして敬二との間を詰めた。
敬二は思わず体をこわばらせ、思わず後ずさろうとする足をふんばった。
「実は、私は新たに重要な仕事を任された…。」
敬二は緊張に声も出せないままコクリと頷き、間を置いた黒部に話の続きを促した。
「組織の上層部のごく一部をのぞいて、誰にも公にはできない仕事だ。」
黒部がさらに一歩近づいた。
決して広くない会議室とはいえ、それは不自然なほど近い距離だった。
「並大抵の技量では務まらない任務を遂行できる、特別な人材を集めている。」
黒部はそう話しながら、上着を脱いでテーブルの上に放り投げ、
ネクタイを緩めて胸元をゆるめ、袖を肘まで捲り上げて腕を組んだ。
あらわになった褐色に灼けた胸板と腕が、敬二をあの夜にフラッシュバックさせた。
『いいかよく聞け、明け方に強制捜査が入る。
お前も警察のはしくれなら、何としてもそれまで堪えろ。』
敬二はあの日の夜、絶望の淵にあった敬二に耳打ちしたレオンの言葉を思い出した。
と同時に、耳に吹きかかかるレオンの熱い息、耳を舐め上げる舌先をまざまざと思い出した。
敬二の体がカーッと熱く燃え上がり、ブリーフの中でイチモツが膨れ始めた。
「君には優れた素質がある。これ以上ふさわしい人材は居ないだろう。」
窓から差し込む西日が仁王立ちする黒部の肉体を後光のように照らしていた。
エアコンが唸りをあげ、ドクドクと高鳴る鼓動が耳の中でこだました。
「この逞しい胸板…。」
黒部は組んでいた腕を解き、その手を敬二の胸に伸ばした。
はち切れんばかりに白いシャツを押し上げる巨大な大胸筋の膨らみを、
黒部の手が、大胸筋の重さを測るように下から持ち上げた。
その二つの小山の頂点は、生地の裏から指でついたようにプックリと盛り上がっていた。
両手で岩のような肉の塊を支えたまま、黒部の親指がその頂点を突いた。
「はあっ!!」
シャツとタンクトップの生地ごしに突かれた乳首が、ほとばしる快感に声を上げた。
「この乳首…。」
黒部の指先が爪を立てて小刻みに動き、生地越しに敬二の乳首をカリカリと掻いた。
「あっ! んぅぅっ…、あぁっ!!」
敬二の敏感な反応など目に入らないかのように、黒部は無言で乳首を掻きつづけた。
敬二のイチモツが一足飛びに膨れあがり、
その先端でブリーフの腰ゴムをグイグイと押し上げて頭を出した。
「はあっ!!」
喘ぎ声とともにわななく腹筋、へこんだ腹とのわずかな隙間をぬって、
イチモツが制服のズボンの上端をから頭を出した。
警棒を服の下に忍ばせたような、不自然な股間から腹にかけての膨らみは、もはや隠しようがなかった。
「このイチモツ…。」
片方の乳首を生地越しに撫でながら、黒部はもう一方の手を敬二の股間にのばした。
「あぁぁ…!」
力強い黒部の手が、スラックスの薄い生地越しにガチガチにいきり勃った敬二のイチモツを握りしめた。
黒部の手が、その長さと硬さを確認するようにイチモツをゆっくりと上下にしごいた。
「このデカさにして、この勃起力。」
布越しとはいえ、朝からヌいていない敬二にとって、その刺激は生でしごかれるに等しかった。
乳首への刺激と相まって、その強すぎる快感に、敬二の膝がガクガクと震えた。
「そして…、」
黒部の手がイチモツの根元から股のつけ根へと滑り下り、ずっしりと思いタマを包み込んだ。
「ひと晩でグラスを満たす、とてつもない精力。」
タマを包む手が、やわやわとその表面を撫でたかと思うと、雄汁を絞り出すように揉みしだいた。
「おぁっ…、あぁぁぁっ…。」
タマを襲う快感に追い立てられるように、長い尿道を熱い先走りが登っていくのを感じた。
「これだけの能力を兼ね備えた人材は他に居ない。」
強すぎる快感に膝からガクンと力が抜け、敬二は崩れ落ちそうな体をささえようと手で太もも掴んだ。
前屈みに姿勢を変えたため、自然と黒部の手が敬二の股間から遠のいた。
「この身体に服は不要だ。脱いでこそ、その能力が発揮できる。」
黒部の手が敬二の首元へと伸び、シャツのボタンを外しはじめた。
「さあ、見せてみろ。その自慢の体を。」
黒部の言葉が催眠術のように敬二の自由を奪い、あの夜に記憶を引き戻した。
ふたたび囚われの身に戻ったかのように、敬二は自らシャツのボタンを下まで外した。
シャツを脱ぎ去ると、ズボンから突き出たイチモツの頭が、タンクトップの生地を押し上げていた。
イチモツは亀頭の裏筋をくっきりと白い綿の生地に浮かび上がらせ、
鈴口の当たるあたりを吐き出した先走りでじっとりと濡らしていた。
敬二はずるずるとタンクトップの裾を引き揚げ、
膨れ上がった筋肉にまとわりつくタンクトップを、めくるように引っ張り上げて脱ぎ捨てた。
ドスンとバウンドして揺れる岩のように大きな大胸筋、そしてその下には、
パックリと割れた腹筋を枕のようにして、
ズボンから頭を出したイチモツがぴったりと腹に張り付いていた。
かり首がヘソを超えるほど長大なイチモツは、
まるで小動物がズボンから這い出そうとしているようだった。
「もはや履いている意味がないな。」
黒部の手が敬二のズボンに手をかけ、ベルトを外し、ファスナーを下ろした。
敬二は黒部の手を煩わせまいと、自らズボンとブリーフを足の付け根まで引きおろした。
天窓から差し込む西日が反射して、敬二の肉体を、筋肉の隆起を、
股間にそそり立つ長大なイチモツを照らし上げた。
上半身も股間もさらけ出して立ちすくむ敬二の股間に、黒部の手が伸びた。
「はっ!」
下ろし立てのゴルフクラブを試すように、黒部は両手で敬二のイチモツを握りしめた。
「まったくもって、見事なイチモツだ。」
敬二のイチモツは黒部の大きな手でも余るほど長かった。
黒部は縦に並んだ拳を、ゆっくりと動かしてイチモツをしごいた。
「あぁぁぁっ…!」
黒部の手が一往復しただけで、イチモツはその先端から先走りをドップリと吐き出した。
イチモツは痛いほど硬く膨れ上がり、しごく黒部の手を鋼のように跳ねつけた。
「この体を、正義のために捧げてくれ。」
溢れ出す先走りを亀頭全体に塗り広げるように、
黒部の手がイチモツの先端をシフトレバーのように握って撫で回した。
「あああうっ!」
黒部は片手で亀頭を撫でつつ、もう一方の手で敬二の乳首を摘んだ。
イチモツと乳首を同時に襲う快感に、敬二の膝からガクンと力が抜けた。
「ふんっ!! んぅっっっ!! あぁぁ…。」
敬二はガクガクとわななく太ももを握りしめ、今にも崩れ落ちそうなからだを支えた。
黒部が指先に力を込めて乳首をねじると、敬二はさらに大きな声を上げてガクンとのけぞり、
岩のように大きな大胸筋がブルンと跳ね上がった。
「これでは話に集中できないな。頭をすっきりさせてやる。こっちへ来い。」
黒部は敬二のイチモツを手放すと、背を向けて部屋の奥の椅子に腰をおろし、敬二を手招きした。
敬二のイチモツがもう後戻りはできないほど興奮していることは明らかだった。
鋼のように硬くいきり勃ったイチモツがメトロノームのように揺れるのを手で押さえながら、
敬二は言われるがまま黒部の前に歩み寄った。
「ここへ座れ。」
目の前に立つ敬二に向かって、黒部が膝を閉じてその上を手で叩いた。
黒部の意図するところを、敬二の体は分かっていた。
敬二は黒部の目を見て様子を伺いながら、黒部の膝を跨いで腰を下ろした。
躊躇いがちに浅く下ろした敬二の腰を、黒部がグイと抱き寄せた。
勢い余った敬二の手が、黒部の両肩に手をついた。
黒部と初めて会ったあの夜と、また同じ体勢で向き合っているかと思うと、
あの夜の光景が生々しく脳裏に蘇り、敬二の頭にカーッと血が上って轟音を立てた。
「さあ、どうした? 来い。」
鼻から吹子のように熱い息を漏らしながら、敬二は胸を突き出し、
大豆のように大きな乳首を黒部の口元に差し出した。
黒部が口を開き、差し出した舌先が乳首に触れるのを、敬二は最後まで見ていられなかった。
「はあっっっ!!!」
舌先が敬二の乳首を弾いた。
一瞬にして敬二の乳首は膨れ上がり、弾けんばかりに身を硬くした。
敬二に息をつく暇も与えず、黒部の口が乳首を口に含んで吸い上げた。
「あああうっ!!!」
会議室の外まで聞こえるほど、敬二は大きな声をあげてガクンとのけぞった。
ひと月ぶりに自分以外の手によって生まれる快感は凄まじかった。
敬二の乳首はあの夜にも増して敏感に反応し、電撃のようが快感が何度も脳天を突き上げた。
それでも敬二は強い磁石に引き寄せられるように、
身を引くこともできずぴったりと黒部に体を預けていた。
黒部は乳首を口に含んで貪りつつ、もう一方の乳首を指先で嬲った。
「ああっ! あっ! んうううああっ!!」
敬二の理性は消え失せ、署の中であることも忘れて声を張り上げた。
敬二の腰を抱いていた黒部の手が、前に廻って敬二のイチモツを握りしめた。
イチモツはおびただしい量の先走りを吐き出し、
いまにも燃え上がりそうなほど熱をおびた肉棒をびっしょりと濡らしていた。
黒部の太く逞しい腕が、腕のように長大な敬二のイチモツを、先走りを潤滑油にして扱き始めた。
敬二のイチモツが昇りつめるには時間はかからなかった。
「はあっ! ああああっ! イっ、イキそうです!!」
敬二が悲痛な声を漏らすと、黒部の手がピタリととまった。
汗と唾液に濡れた敬二の胸から口をはなし、黒部が敬二の真っ赤に染まった顔を見上げた。
「待て。お前の量だとブランド物の服がずぶ濡れになる。」
黒部は尻のポケットからコンドームの包みをとりだすと、封のはしを噛みちぎり、
取り出した中身を目の前にそそり立つ腕のように長大な肉棒に被せた。
「これでいい。遠慮せず思いっきり噴き上げろ。」
黒部はそういうと、敬二のイチモツを扱き始め、
同時に乳首をつまんでねじ上げ、口に含んで吸い上げた。
「だああっ! いっ、イクッ!! ぐあああっ!!!」
敬二のイチモツはあっというまに絶頂に達し、ゴムの薄皮を突き破る勢いで雄汁を吹き上げた。
みるみる膨れる精液溜まりを揺らしながら、黒部の力強い手が絶頂にわななくイチモツを扱き続けた。
敬二はガクガクとエンスト寸前の車のように体を震わせ、
頭を振り乱し、意識が遠のくほど壮絶な絶頂感に戦慄いた。
引き抜かんばかりに乳首を吸い上げる黒部の頭にすがり付きながら、
無意識に腰を動かし、力強く締め付ける黒部の手の中へイチモツを突き上げた。
やがて絶頂がおさまり、射精の嗚咽がとまっても、黒部の責めはとまらなかった。
「はあっ! あああっ! また…、イクっ! イグぅぅっ!!」
敬二は黒部の膝にまたがったまま、立て続けに二回、濃厚な雄汁をコンドームの中に吐き出した。
「これで少しはスッキリしたか?」
気を失うかとおもうほど強い絶頂の荒波に、立て続けに揉みくちゃにされ、
敬二は黒部に抱きつくようにもたれかかり、荒い息に肩を大きく上下させた。
コンドームの精液溜まりはゴルフボール並に膨れ上がり、重そうに傾いてしなだれていた。
滝のようにながら落ちた汗が、中途半端に引き下ろしたままの下着やズボンはもちろん、
黒部のスラックスまでびっしょり濡らしていた。
「もう一度聞く。 敬二、俺の部下になれ。」
黒部の問いに敬二は汗に目を瞬かせながら背筋を伸ばし、乾いた喉から声を絞りだした。
「…、はっ、はいっ!」
すぐにでも答えい思いが先走り、無理やり出した敬二の声はうわずっていた。
みるみる顔を赤く染める敬二に黒部は笑みを浮かべ、
興奮をなだめるように握りしめていたイチモツをゆっくりと摩った。
「よし、敬二、お前を抜擢する。」
敬二のイチモツがひときわ大きくドクンと脈打ち、
握りしめる黒部の手が力強く握り返した。
それが、敬二と黒部が交わした契約の握手だった。
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