NTT docomo(ドコモ)に対する発信者情報開示
携帯電話キャリアであるNTT docomo(ドコモ)に対する発信者情報開示について、情報を掲載しています。
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携帯電話キャリアの位置づけ
携帯電話キャリアは、インターネットサービスプロバイダとして携帯電話、スマートフォンからのインターネットアクセスを供給します。この時、IPアドレスなどの通信元を識別するための論理値を発行するため、IPアドレスとタイムスタンプから発信者を特定できる場合があります。
NTT docomo(ドコモ)に対する発信者情報開示の特徴
ポート番号
NTT docomo(ドコモ)に対する発信者情報開示の特徴は、ユーザーが多く同じIPアドレスを同時に複数のユーザーに割り振っているため、基本的にポート番号がわからないと発信者を特定できない点です。
送信時URL
平成20年 9月 9日東京地裁判決(平成20年(ワ)278号発信者情報開示請求事件)は、NTTdocomo(ドコモ)に対する発信者情報開示について、 IPアドレスとタイムスタンプだけではなく送信時URLが必要とされた事案です。
すなわち、「原告は,本件書込は原告の名誉や信用を毀損するものであるとして,本件ブログを運営する訴外サイバーエージェントを債務者として,本件書込をした発信者(以下「本件発信者」)に関する情報の開示を求める仮処分命令を申し立てた」ところ、「この第一次仮処分において,訴外サイバーエージェントは,平成19年9月20日,原告に対し,本件発信者の情報として,インターネットに接続された個々の電気通信設備(本件書込を発信したパソコンや携帯電話等,以下「携帯電話等」)を識別するために割り当てられた番号であるIPアドレス(以下「本件IPアドレス」)と,このIPアドレスを割り当てられた携帯電話等から訴外サイバーエージェントの電気通信設備(本件ブログを記録し管理しているウェブサーバ等,以下「サーバ等」)に送信された年月日及び時刻(以下「本件タイムスタンプ」)の情報が別紙「アクセスログ目録」1,2に記載のとおりであることを開示し」ました。
さらに、「インターネット上でIPアドレス等の所有者を検索する専用ソフト(WHOIS)を用いて訴外サイバーエージェントから開示された本件IPアドレスを検索したところ,本件IPアドレス…は,被告が所有しているIPアドレスであり(甲4),本件発信者が訴外サイバーエージェントの管理する本件ブログに本件書込をした際にインターネット接続サービスを提供したプロバイダ(以下「経由プロバイダ」)は被告であることが判明し」ました。
これを受けて,平成19年9月21日,NTT docomo(ドコモ)たる、「被告を債務者として発信者情報消去禁止の仮処分命令を申し立てたが(東京地方裁判所平成19年(ヨ)第3654号,以下「第二次仮処分」),被告は,本件IPアドレスと本件タイムスタンプだけでは必ずしも発信者を特定することはできず,本件書込が訴外サイバーエージェントの管理する本件ブログに送信された際のURLも必要であると主張し」ました。
「再び訴外サイバーエージェントを債務者として本件書込がなされた際のURLの開示を求める仮処分…を申し立てたところ,同年12月4日,訴外サイバーエージェントから原告に対して,本件発信者に関するURLとして開示されたものが,別紙「アクセスログ目録」3に記載のとおりのURL(以下「本件URL」)で」した。
そこで、NTTdocomo(ドコモ)たる「被告に対して本件IPアドレスと本件タイムスタンプに加えて本件URLを示したところ,被告は,同月5日になってようやく,本件タイムスタンプの日時に,本件IPアドレスを割り当てられた携帯電話等から,被告の通信回線を利用して訴外サイバーエージェントから本件URLを付されて本件ブログに通信を行った者(被告の通信回線を利用した契約者)の住所,氏名等に関する情報を保有していることを明らかにした」という事案です。
このように、NTTdocomoは動的に割り当てるIPアドレスを同時に複数人に割り当ており、ポート番号か、送信元のURLがなければ発信者を特定できないと言われています。
開示方針
開示には協力的で、訴訟を提起しなくとも殆どの場合発信者情報の開示に応じます。もっとも、下記裁判例のように発信者情報開示請求訴訟の例がないわけではありません。
NTT docomo(ドコモ)に対する発信者情報開示訴訟の例
平成22年 4月26日東京地裁判決(平21(ワ)29641号 発信者情報開示請求事件)は、NTT docomo(ドコモ)に対して、1FOMAカード個体識別子に係るFOMAサービスの契約者の氏名若しくは名称並びに住所、2FOMAカード個体識別子に係るFOMAサービスの契約者の電子メールアドレスの開示が請求された事案です。
FOMAサービス契約者の情報
裁判所は、この事案において、「FOMAカード個体識別子に係るFOMAサービスの契約者の氏名又は名称及び住所(別紙発信者情報目録1)は,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第一項の発信者情報を定める省令(平成14年総務省令第57号)1号又は2号に該当するから,本法4条1項の「発信者情報」に該当すると解するのが相当である」として、氏名及び住所について発信者情報開示を認める判断をしています。
これに対し,「FOMAカード個体識別子に係るFOMAサービスの契約者の電子メールアドレス(同目録2)は,上記総務省令3号の「発信者の電子メールアドレス」には該当しなから,本法4条1項の「発信者情報」には該当しないと解するのが相当である」として、電子メールアドレスの開示は認めませんでした。
NTTdocomo(ドコモ)に対する発信者情報開示の方針
以上から、任意で発信者情報開示を行うか、あるいは弁護士会照会などを通して、発信者を特定する方針が考えられます。訴訟により発信者情報開示を実現しないといけない例は多くないでしょう。
I2練馬斉藤法律事務所の発信者情報開示及び削除請求業務
I2練馬斉藤法律事務所では、NTTdocomo(ドコモ)を含めた携帯電話キャリアに対する情報開示の取り扱い実績がありますので、お気軽にご相談ください。