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 家庭から出る多種多様な使用済みプラスチックの回収を徹底し、リサイクルにまわす。そのために実効性のある仕組みを整えつつ、脱プラスチックへの取り組みを着実に進めたい。

 使い終えたプラ製の文具や玩具、浴室・洗面用具なども、ペットボトルや生鮮食品のトレーなどとともに「プラスチック資源」として一括回収を――。政府は市町村に、そう要請する方針を決めた。2022年度以降の開始をめざすという。

 ペットボトルなどは、1995年に制定された容器包装リサイクル法に基づき、市町村が分別回収してリサイクルにまわす仕組みが定着している。一方、文具などはごみ扱いで、回収や処分の方法は自治体ごとにまちまちだ。可燃物として焼却するか、不燃物として埋め立てるかに大別される。

 プラ製品を燃やせば二酸化炭素が出るため、地球温暖化防止の観点から好ましくない。埋め立ても場所の確保や環境への悪影響という問題がある。再生利用を増やすことが不可欠だ。

 その出発点となる回収率を上げるため、使用済みプラに広く網をかける。それが今回の方針の趣旨である。

 環境省が横浜、名古屋、大阪など全国7都市で実施した一括回収の実証事業では、使用済みプラの回収量が35%も増えた。市民へのアンケートでは「分別しやすい」(74%)、「一括回収を採用すべきだ」(80%)との声が多かった。

 肝心なのは、回収分を再生プラとして利用するための具体的な取り組みだ。

 家庭などから出る使用済みプラは、焼却して熱を利用したり発電したりするサーマルリサイクルが半分以上を占め、単純焼却も含めて全体の3分の2が燃やされている。再生プラの材料になるのは2割に満たない。

 現状を変えるには、使用済みプラの選別にかかるコストを下げる必要がある。国は自治体任せにせず、効率のよいリサイクル施設の新増設を後押しするべきだ。メーカーがリサイクルしやすい商品を開発し、販売業者が店頭での回収体制を強化するなど、民間の事業者も工夫を重ねてもらいたい。

 消費者の役割も大きい。

 今月から始まったレジ袋の有料化では、マイバッグを持参するなど新たな生活慣行が求められている。一括回収への変更を機に、分別の徹底だけでなく、プラ製品の使用を減らせないか、暮らしを見直そう。

 行政と事業者、消費者が歩調を合わせ、リサイクルの徹底とともにプラ製品に依存した現状を根本から改めていく。新たな方針を、その契機としたい。

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