32bitのLinux Mintを64bitに変更|ざっくりLinux!- 15

Linux Mint Image
【Krator Omen [GPLv2], from Wikimedia Commons
Linuxへ移行しようとする人は、サポートが終了したWindows7ユーザーが大半だろう。そして、そのまた半分はいまだ32bitのPCを使用しているかもしれない。かくいう筆者も、約5年前に発売された32bitのThinkpad X240で、Windows7からLinux Mintへ移行して使用している。
しかし、今後各Linuxのディストリビューションは、32bit版を順次廃止するという。このままではアップグレードもできなくなる可能性が高いので調べてみたら、32bitのPCは意外と簡単に64bitへ変更することができるというので、さっそくやってみた。

64bitへの変更可能条件

そもそも「bit」とは、PCにおけるデータを一度に扱うことができる大きさの単位で、当然ながら64bitの方が圧倒的に大きい。そして、PC内のCPUが32bit対応なのか、それとも64bitに対応可能なのかで、利用できるOSも変わってくる。

今まで、筆者はハードとしてのPCが32bit版だとばっかり思っていた。しかし、CPUが64bitに対応できるものであれば、普段32bitで使用しているPCを64bitのPCに変更することは可能ということだった。

そこで、現在Linux Mint 19.3をインストールしているThinkpad X240のCPUが64bitにも対応可能なものかどうか調べてみた。

Menu→システムモニタを開き、システムタブをクリックするとPCの情報が表示される。このPCは、

プロセッサ:Intel Core i7-4600U CPU@2.10GHz x 4
メモリー:7.5GiB
利用可能なディスク容量:411.8GiB

と表示された。そしてインテルのサイトで、「Intel Core i7-4600U」について調べてみると、
インテル64アーキテクチャ:Yes
命令セット:64bit
と書かれている。
つまり、筆者の使用しているThinkpad X240は、現状は32bit版で動いているものの、いつでも64bitへ変更可能なPCということだった。

尚、上述のような2段階で調べなくとも、端末で「lscpu」と打ち込めば、PCの情報がすぐに出てくる。


「アーキテクチャ:i686」は、現在32bitで動いていることを示し、「CPU操作モード:32-bit, 64-bit」は、32bit・64bitのいずれにも対応可能なCPUということだ。

64bitへの変更作業

PCは、ハードウェアを32bit版、64bit版として製造されるのではなく、搭載されているCPUによって決まるのだということはわかった。そして、CPUが64bit対応であれば、OSも64bit版のインストールが可能ということだ。
この理屈はLinuxだけに限ったことではない。WindowsでもMacでも、CPUが64bit対応であればOSを変更することは、作業方法はともかく、理論上は可能という事になる。

とにかく、筆者の使用しているThinkpad X240が64bitへ変更することができるとわかったので、作業としては、端末で以下を叩いてLinuxカーネルを64bit対応に変更すれば、OSを再インストールすることなく64bitへ変更することが可能ということだった。

$ sudo dpkg --add-architecture amd64
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install linux-image-amd64:amd64

この作業については、以下ページを参考にするとよい。

OSパッケージ自体は32bitのままでも、カーネルを64bitに変更すれば、今まで32bitでインストールすることができなかったアプリをインストールすることができるようになるという。

しかし、筆者のThinkpad X240は実験用PCなので、いつでもOSをまっさらにして新しいものをインストールすることができる。なので、上記作業をすることなく、今回もLinux Mint公式サイトから最新の19.3 Mate 64-bitエディションをダウンロードし、isoファイルをDVDに焼き付けたのちインストールし直した。

64bitへ変更してできるようになったこと

Linux Mint 19.3 Mate 64-bitエディションを新規インストールしたことによってPC及びOSは64bit版となった。

使用感はほぼ変わらないように感じる。速度も特別速くなったとは思わない。しかし、32bit版で利用することができなかったことが、64bit版で可能になったことは大きい。

最も大きなことは、LibreOfficeとVisual Studio Codeだ。
LibreOfficeについては、32bit版ではバージョン6.2.8までで、それ以降の更新はできなかった。しかし、64bitに変更したことによってFlatpak経由でバージョン6.4.2をインストールすることができた。
また、Visual Studio Codeについても、32bit版ではバージョン1.35までだったが、こちらもFlatpak経由でバージョン1.43のインストールが可能となった。

【Flatpakに関する記事】

Flatpakで最新アプリのインストールが超簡単!|ざっくりLinux! - 9

WindowsからLinuxへ引っ越してきて、最も面食らうことはアプリのインストールだろう。各ディストリビューションとも「ソフトウェアマネージャ(Linux Mint)」や「ソフトウェアセンター(Ubuntu)」というパッケージ管理システムがあって、そこから必要なアプリがダウンロードできる。しかし、問題が一点。「ソフトウェアマネージャ」でインストールするアプリは、最新バージョンではないことが多いこと。これを解消するための機能がFlatpakだ。

どのアプリも最新のバージョンがインストールできるだけではなく、以降のバージョンアップにも対応可能になったわけだ。

Linux Mintは、バージョン20から64bit版のみのリリースと発表されている。 ということは、32bit版はバージョン19.3で終了となり、OSのサポートも2023年4月までということだ。一方Ubuntuは、20.04まで32bitをサポートすると発表した。サポートが期限つきとなってしまっては、Windowsと状況が変わらなくなってしまう。

しかし、これでLinuxのバージョンアップにも対応可能になった。

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