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転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~ 作者:夜州

第七章 マリンフォード教国編

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第二十三話 新教皇誕生

いつもありがとうございます。

いよいよ本日は発売日になります。地方都市など一部週明けに納入になる可能性もございます。



 神の使徒の役目を終えカインが消えた大神殿では混乱が続いていた。

 今起きていたことが夢なのか現実なのか理解できない者も多くおり、喧噪にあふれていた。


「聞いてください」


 ヒナタの凛とした声が大神殿内に響くと、会話がピタリと止まる。

 全員の視線がヒナタ一人に向けられる。


「神の使徒様は神々の言葉を届けていただきました。聖女として神々の言葉通りデンター枢機卿を次の教皇になっていただきたいと思います」


 ヒナタの意見に文句を言う者はいない。バングラ枢機卿の配下だった者も、派閥の長が目の前で捕らえられているのだ。

 派閥に属していても神への信仰は忘れていない者も多々いる。

 聖女の言葉に反するということは、神々の言葉に反すると同義であると認識させられていた。


「反対意見もありませんね。それではデンター新教皇に言葉をいただきましょう」


 デンター教皇は受け取ったローブを羽織った。それは前教皇が着ていたローブよりも豪華で品があるローブであった。

 着心地を確認しつつ深呼吸をしてから前に出る。


「新しく教皇を務めることになったデンターだ。私は今まで所属していた派閥の(わだかま)りなど気にせぬ。それを理由で理不尽な人事を行うことはないとまず断言しよう。マリンフォード教はこの世界の唯一といわれている。それは実際に神が存在しているからだ。先ほども見たであろう。神の使徒様が現れたのもこのマリンフォード教国がまとまらなければならないということを示しておられるのだ」


 デンター教皇はゆっくりと参列している者たちを見渡し言葉を続ける。


「しかし、この教皇選挙にあたって教会関係者か盗賊を装い、他国に派遣された司教や司祭の殺害に関与した者もおる。さらに流通の要である商人まで手をかけた。その者たちは厳罰にする必要がある」


 デンター教皇の言葉に驚きを露わにするものが多数であったが、表情が青ざめる者も数人いた。関与が発覚すれば捕縛されるのではと恐怖に怯えることになる。

 言いたいことは済んだと、デンター教皇は司会に視線を送り頷いた。

 端で隠れていた司会は、深呼吸をしながら前へと出てくる。


「えーえーえー、それでは新教皇も決定いたしました。信じられませんが神の使徒様が現れ、そして神々を拝見することができるという言葉に表せないことが多くありました。これから手続きが終わり次第、各国へ通達となります。それではこれで閉会します」


 司会の言葉で今回の教皇選挙が終わりとなった。


 ◇◇◇


「カイン様とヒナタ様には言葉にできないほど感謝しております。ありがとうございました」


 カインとヒナタが隣同士に座り、ハーナム司教の新教皇であるデンター教皇が座っている。

 デンター教皇はカインに向かって深々と頭を下げた。


「気にしないでください。私たちも神の意思を通すために無茶したと思っていますから。それにしても新しい衣装見事ですね」

「本当です。こんなに素晴らしい服をいただけるなど思ってもおりませんでした。さっそく七柱に感謝の言葉を祈らせていただきました」


 教皇選挙が終わり、新しい教皇となったデンター教皇は七柱の前で感謝の言葉を述べた。

 絶対的不利な状況であったが、ヒナタとカインの助力によって新しい教皇になることができた。感謝してもしたりないほど繰り返し神々の感謝の気持ちを捧げたのだった。


「それよりもこれからですね。枢機卿の補充もしないといけませんし、襲撃に関係する者の洗い出しもしなければなりません。大変だと思いますが頑張ってください」

「新しい枢機卿には人格と派閥を考慮して決めたいと思っております。うちの派閥からはできればハーナムにやってもらいたいのだが……」

「やらんぞ? わしはエスフォート王国に骨を埋めるつもりだからな。カイン様の活躍を聞くのが今は一番の楽しみなのだよ」

「ずるいですっ。私もカイン様の活躍をお近くで拝見したいです。私もエスフォート王国に行きますっ」


 ハーナムの言葉にヒナタまでエスフォート王国に行きたいと言い始めると、カインは苦笑する。


「今一番大事な時期だからヒナタはデンター教皇の手伝いをしてくれるかな? もうこの場所にこれたから次は魔法ですぐにこれるし」

「本当ですかっ!? 毎日会いにきてくれますかっ!?」

「……さすがにそれは無理なんだけど……」


 カインはこの距離を行き来する方法があればいいと考えた。


「あ、もしたしたら出来るかも……。ちょっと待って」


 カインは立ち上がると創造制作(クリエイトメイク)を唱える。一気に魔力を持っていかれるが、歯を食いしばり魔力を流し続ける。

 魔力が形を彩り出来上がったのは、二枚の姿見であった。


「これで大丈夫だと思うけど……」

「これはいったい……?」


 二枚の姿見に三人は首を傾げる。


「まぁ説明するより見てもらったほうがいいかな」


 カインは一枚の姿見に手のひらをあて、魔力を流す。

 魔力が流れた姿見はカインが映し出されていたはずなのに、一瞬にして真っ黒に変わる。


「見ててね」


 カインはそのまま姿見に手を押し当てると、なぜか飲み込まれていく。何の抵抗もなくカインの体は姿見に飲み込まれていった。

 そしてもう一つの姿見からカインの姿が現れる。


「どう? 姿見をつかった転移なんだけど。一枚をエスフォート王国においておけばヒナタは何かあればすぐにこれるでしょう」


 カインは姿見を撫でながら笑みを浮かべるが、三人とも絶句である。誰も道具を使った転移魔法など考えている者はいなかった。

 前世のアニメなどによる知識があるおかげでカインは思いついた物であったが、この世界では確実に異質な物であった。


「……これは……。こんな物が簡単に創れるなんて。やはり神の使徒様だからなのか……」

「これがあれば毎日カイン様に会いにいけるのですね」


 感動するデンター教皇と比べ、ヒナタは喜びを露わにする。

 カインは『毎日』というヒナタの言葉に苦笑する。

 しかしハーナム司教の考えは違った。


「国に戻ったら、陛下に報告しなくては……」


 ハーナム司教の言葉にカインは目を大きく見開き失敗したと大きなため息をついたのだった。 



いよいよ発売ですね。

店舗などの写真は随時私のツイッターなどで公開しておりますので探してみてくださいね。

Twitter:@grdyasu


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