©2017「武曲 MUKOKU」製作委員会
Q.それは熱い出会いでしたね(笑)。実際に真正面からぶつかり合う役どころとしてご一緒してみて、いかがでしたか?
もちろん内面もですが、研吾のビジュアルを作り上げていらした時点ですごいなと思いました。ビジュアルの作り方がものすごく美しかった。僕は若い頃の長髪の綾野さんがもともと好きなので、「おお、久々の長髪だ。アツい!」というのもあって(笑)。研吾のビジュアルの作り方を見て、綾野さんの気合いを感じました。研吾は清潔感もないし、汚い。野獣ですね。融は制服を着ていますので、制服というのは清潔感の塊。研吾と融は、そういった対比になっていると思います。
Q.台風の中で交わす10分にも及ぶ二人の死闘シーンは、思わず息をのむほどの迫力でした。記憶に残る強烈なシーンも多いです。
僕も決闘シーンはすごく好きなシーンです。ネタばれになってしまうので言えないですが、融としては光邑のお寺で研吾と向かい合うシーンも印象に残っています。そのシーンを演じる上で「この感覚はわからない」と思ったんです。それは、僕がまだそこまでたどり着けていないから。そこが「よし、ここまで行ってやろう」というポイントでした。僕としてもあそこで一つ答えを出さないといけないと思ったし、融を通して見つけられたなと思いました。僕が演じていて自分で言うのもなんですが、あの時の融の顔はすごくよかったと思います。いつだってできる顔じゃない。僕はすごく好きです。
Q.融は刺激を求めて生きている青年です。熊切監督との仕事は、村上さんにとってどのような刺激になりましたか?
熊切監督は、すべてにおいて綺麗事ではすまない監督です。演出はもちろん、映画作り、芝居も、綺麗事ではやらせてくれない。もちろん芝居をする上ではどこでも、人生や答え、いろいろなものを突きつけられますが、そこに“都合”がまったくない。都合を気にせずに、自分が信じたことをやっているところが、熊切監督だと思います。役者との間には何も都合を入れてこない。それだけですごくうれしいです。