韓東賢
日本映画大学准教授(社会学)はん・とんひょん 1968年東京生まれ。専門はナショナリズムとエスニシティ、マイノリティ・マジョリティの関係やアイデンティティ、差別の問題など。主なフィールドは在日コリアンを中心とした在日外国人問題。最近は韓国エンタメにも関心あり。著書に『チマ・チョゴリ制服の民族誌(エスノグラフィ)』(双風舎,2006.電子版はPitch Communications,2015)、『平成史【完全版】』(共著,河出書房新社,2019)、『ジェンダーとセクシュアリティで見る東アジア』(共著,勁草書房,2017)、『社会の芸術/芸術という社会』(共著,フィルムアート社,2016)など。
韓東賢の最近の記事
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家族を疑わない『パラサイト――半地下の家族』が、逆説的に示唆する格差社会の厳しさと家族という宿痾写真
1月15日(水) 18時30分
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朝鮮幼稚園外しか?理念は「すべての子ども」なのに、各種学校認可の外国人幼保施設が除外された幼保無償化写真
11月4日(月) 10時00分
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「早さと遅さ、両方の行動をアーティストが取れるようになっていけば」田中功起インタビュー写真
9月30日(月) 7時00分
韓東賢の最近のコメント
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韓東賢
|文化庁は内容を批判せず、手続き上の問題だとして補助金の不交付を決めた。だが、脅迫された側の責任を問う...続きを読むなどありえないし、脅迫した側に正当性を与えることになりかねない。だとしたら、そもそもこうした理由は後付けにすぎず、つまり脅迫した側同様、内容についての弾圧だと受け止められても仕方ないのではないか。
内容が理由ではないようにいわば偽装した理屈による後出しじゃんけんのような判断は、高校無償化・就学支援金制度における朝鮮高校の除外の際にも行われており、しかもそれを司法も追認してしまっている。そこにもはや合理的な理由は存在せず、「国民感情」、つまり世論の支持を背景に、それは粛々と行われている。
このように現在、政府が支援制度を恣意的に使って意に沿わないものを思うままに排除できるようになっているのだとしたら、ここは法治国家なのだろうか。しかもそれが支持されているのだとしたら、きわめて深刻な事態だ。 -
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韓東賢
|指原さんのツイートを「冗談を交えてネタに変えていた」と受け取っていることに驚きました。字義どおりに取...続きを読むると「批判」にしか見えないのですが、私がおかしいのでしょうか。
彼女の意図やその是非はさておき、これが「冗談」「ネタ」として成立するのだとしたら、その文脈が恐ろしいと感じます。「ワイドナショー」といったようなテレビ番組が象徴的ですが、場の空気を読み合うその空気がどんどんハイコンテクスト化し、意図や効果を狙ったり、共有することすら困難になっているのではないでしょうか。
それが、ハラスメントや差別を無効化する方向に進んでいるならまだしも、実態としては逆で、ハラスメントや差別を免罪し、そこへの批判や抵抗を無力化する効果を生んでいることを危惧します。
また大げさかもしれませんが、社会全体として相互理解のハードルがあがっているのだとすれば、外国人も増え多様化する社会の動きに逆行しているように思います。
韓東賢
日本映画大学准教授(社会学) 報告 オーサーそもそもは文科省が2003年の大学入学資格の弾力化に際し、各種学校カテゴリーのインターナショナルスクール、外国人学校のなかで、朝鮮学校だけを学校認定ではなく大学ごとの個別審査による認定としていることによって生じた問題であるとも言える。個別認定の審査は各大学にゆだねられているため、朝鮮学校の卒業(予定)が大学受験の資格になるわけではなく、認めなくても法的に許容されてしまう。とはいえ多くの大学ではこうした経緯から朝鮮学校を念頭に置いた個別認定の仕組みを作っており、それは関西医大にも存在したという。今回、朝鮮学校が各種学校であることを理由に認めなかったのだとしたら、大きな矛盾だ。
なお、国際評価機関または本国による認定を基準とすることで朝鮮学校だけを排除するこのロジックは、2013年、朝鮮学校を念頭に設けられていた基準が削除されたことで、現行の高校無償化・就学支援金制度にも引き継がれている。