中国の公船による尖閣諸島周辺海域への侵入が、7月22日で連続100日になった。中国は日本漁船の操業についても「中国の領海への侵入だ」と日本に抗議している。ふざけた話だが、軽視できない。次は「日本漁船の拿捕」を狙う可能性が高いからだ。
先週のコラムで、私は前自衛隊統合幕僚長である河野克俊さんの見方を紹介した(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/74151)。河野さんは7月14日、YouTube番組「長谷川幸洋と高橋洋一の『NEWSチャンネル』」に出演し「『尖閣諸島を支配しているのは自分たち』と米国に見せつけるために、中国は周辺海域への侵入を繰り返している」と指摘した(https://www.youtube.com/watch?v=FdOgU28jGfc&list=PL6vmlngLTe5BJ1p8szg8TDi48pBP-PRxu&index=2)。
「尖閣諸島の施政権を行使しているのは誰か」という問題は、単なる言葉の論争ではない。軍事行動に直結する問題だ。日米安全保障条約の第5条は「日本の施政下にある領域における武力攻撃に対して、日米が共同して行動する」と定めているからだ。
第5条に従えば、もしも「尖閣は日本の施政下にない」と米国が判断すれば「中国が尖閣奪取に動いても、米軍は動かない」という話になる。だからこそ、中国は公船を派遣して「尖閣の施政権を握っているのは、オレたちだ」という既成事実を作ろうとしている。
日本に対する領海侵入の抗議も、そういう戦略に基づいている。「我々は日本に抗議したぞ」と米国に対してアピールしているのだ。日本はもちろん、抗議を蹴飛ばせばいい話だが、これで一件落着とはいかない。必ず「次の動き」があるからだ。
これから何が起きるのか。