日本は「人力」韓国は「IT」日韓のコロナ対策、なぜ差がついたのか

プライバシーと安心・安全のジレンマ
藤原 崇 プロフィール

個人情報を守りながら追跡する難しさ

日本においても、6月19日にスマートフォンにインストールする接触確認アプリ「COCOA」がリリースされた。

接触確認アプリは、全世界的にも導入が進展しつつあるシステムだ。仕組みも様々あり得るが、基本的には携帯端末のBluetooth技術などを用いて、アプリ利用者同士の一定水準以上の接触(日本の場合1m以内、15分以上)があった場合の履歴を作成・保存し、アプリ利用者の中に感染者が出た場合に、当該利用者の接触者に通知を出すというものである。通知を受け取った利用者が、自ら早期に保健所のサポートを受けたり自宅待機を行うなど適切な対応を行うことで、感染拡大の防止に寄与することが期待される。

一方、このようなアプリは制度設計の内容によっては、誰と会ったか(正確にはどの携帯電話と一定水準以上の接触をしたか)等について記録を行うことになり、プライバシーの観点からの問題も生じうる。

 

この点については、個人情報保護委員会も、「新型コロナウイルス感染症対策としてコンタクトトレーシングアプリを活用するための個人情報保護委員会の考え方」という声明を発表しており、個人情報にかかる個人の権利利益の確保の要請と感染症対策という公益について、どのようにバランスを取るのか見解をまとめている。

実際に完成した「COCOA」では、接触の記録はそれぞれの端末で保管され、陽性者との接触情報も、当該端末で照合を行うという仕組みであり、個人情報に対する配慮がなされている。

この接触確認アプリは、その仕組み上、利用者が増えるほど効果が高くなる。個人情報に対する配慮などの取り組みをしっかり示した上で、安心して多くの人に利用してもらうことが期待される。