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経済回すには「検査と隔離のシステム」の徹底不可欠 小林慶一郎・コロナ分科会メンバーが語る

小田健司AERA#新型コロナウイルス
東京財団政策研究所研究主幹 小林慶一郎(こばやし・けいいちろう、53)/通商産業省(現・経済産業省)、経済産業研究所研究員などを経て現職。政府が新設した新型コロナウイルス感染症対策分科会メンバーを務める (c)朝日新聞社

東京財団政策研究所研究主幹 小林慶一郎(こばやし・けいいちろう、53)/通商産業省(現・経済産業省)、経済産業研究所研究員などを経て現職。政府が新設した新型コロナウイルス感染症対策分科会メンバーを務める (c)朝日新聞社

「検査と隔離のシステムが十分に発達しないという前提であるならば、経済と感染制御は二項対立となります。つまり、感染を抑えようと思えば経済を止める、経済を活発にさせようとしたら、感染が広がるという『トレードオフ』の関係です」

 感染が広がる現状は、「残念ながらまだ検査が足りていなかったのだと思います」と小林さんは認識するが、分科会のメンバーに入って公衆衛生の専門家と議論をする中で、その原因の一端を感じたという。

「感染症の専門家のみなさんの感覚としては、検査をして人を隔離するという行為を『悪』と感じているようです。人の権利を奪うわけですから、間違って隔離したら大変な人権侵害になるため、躊躇(ちゅうちょ)があるようです。それはある種の正義感や倫理観から来るものなのでしょうが、経済の専門家とはかなり感覚が異なっています」

 ただ、このまま検査体制が十分に整えられなければ、再び緊急事態宣言を出さざるを得ないという方向に追い込まれていく可能性があると小林さんは考える。宣言を出すことによる経済的な損失は数十兆円に上るとの試算もあり、2度目ともなればその影響は甚大だ。小林さんは、それを避けるための検査の必要性を訴える。

 また、政府の経済対策についてもこう述べた。

「コロナ後の社会には、生き残れる企業と生き残れない企業が出てくるはずです。生き残れない企業には、当面のビジネスをするための資金繰りを支えるのではなく、早く転業や廃業を促すような補助金を出すべきだと考えています。感染が完全には収束しない状態が今後何年も続くと想定すると、いつか元通りのビジネスができるというふうに考えるのは厳しいでしょう」

(編集部・小田健司)

AERA 2020年7月27日号


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