アメリカでは新型コロナ渦は長引くことが予想されるので、都市から地方への移動(引っ越し)も始まっている。ニューヨークのマンハッタンの不動産価格は下がり、アパートの場合では、人に又貸しするサブリースの家賃が下がっている。ニューヨークから流出した人が貸している物件が多いのだ。
アメリカ全体の調査では新型コロナによって22%の人が引っ越しをしているという数字があるが、ニューヨークのような都市はもっと多いだろう。基本的にはオンライン授業に移行している学生や、スーツ姿のホワイトカラーの人たちの都市から地方への流出が多くなるからだ。今後は中規模クラスの地方都市に人が増えるのだろう。仕事も買い物もすべてインターネットで済ませられる人が多くなるからだ*2。
アメリカでは無印良品の米国法人が破産法申請した。新型コロナにより一等地に大きな店舗を構え、日本メーカーにありがちな「それなりに安くて高品質」は実店舗では生き残れなくなった時代ともいえる。以前からニューヨークで家電など日本製品を見る機会がなくなっていたが、新型コロナはビジネスにおいてさらにふるいをかけている。
先日、自粛解除後にオールバーズという「世界で最も快適なシューズ」がコンセプトの靴を買った。このメーカーの靴は、ソールを含めほぼ自然由来で、動物や自然など環境にも負荷をなるべくかけないサステナビリティ(持続可能性)を実現していることで有名だが、その他の特徴的なところは、どんな記念日や祝日であってもいっさい値引きをせず、他の小売店でも販売しないところだ。もちろんアマゾンでも売らない。インフルエンサーを使って人為的な人気も作らない。そういったことをすると商品価格が上がってしまい、商品の価値自体も下がるからだ。現在、東京にも1店舗あるが、iPhoneのように世界同額に近い価格で売られている。
ソーホーの店頭に入り、いくつかの靴を試し履きしてから店員にオンラインで買うことを告げた。店員もそれを勧めてくる。おそらく今後の実店舗は、環境にも配慮するようなコンセプトがしっかりとあり、価格も下げず、実店舗があってもインターネットでの購入を勧めてくるビジネスが残ることになる。新型コロナによりニューヨークの街も変異していくだろう。
*2 ソース:About a fifth of U.S. adults moved due to COVID-19 or know someone who did(Pew Research Center)