「コロナとの長期戦」を選んだニューヨーク…日本との決定的「違い」

経済活動再開最終段階「フェーズ4」へ
笹野 大輔 プロフィール

島国としての利点をどう生かすか

一時期は1日に1万人以上の感染者を出していたニューヨークだが、クオモ州知事はニューヨークでの新型コロナ拡大を山にたとえ「私たちは42日間登り続け、69日間かけて下山しました。そして『最悪の事態』から『最高の状態』へと180度転換しました」と会見で話した。感染ピークの頂点から慎重に下山して現在の状態にしたので、また山を登りたくはないのだ。

だからこそ、7月21日現在、新型コロナ感染拡大中の他の州(31州)からニューヨークに来る人に対してニューヨーク到着後14日間の自主隔離の要請を出している。対象州となる基準は、直近7日間の平均で、新型コロナ陽性の人が10万人当たり10人以上または陽性率10%の州。アメリカが地続きの国だから苦労している点だ。

人の移動だけではなく不安要因もある。失業保険とは別に連邦政府から支給されている毎週600ドル(約6万4千円)が7月末で打ち切られるからだ。これはこれまでアメリカ人が失業保険とは別に毎月約25万円をもらっていた支給金が終わることを意味する。8月からどうなるか連邦政府からまだ発表がないが、もしなくなるなら治安の悪化や新型コロナ感染拡大に繋がるだろう。

 

日本ではGo Toトラベルキャンペーンで東京を除外した。新型コロナ終息後の施策を前倒しにすることは、それだけ経済が逼迫していることを意味するのだろう。だが、感染を拡大してはいけない時期に、拡散させるような施策が良いわけがない。そして東京なら東京だけを見るのではなく、新型コロナの場合、道州制が実現したような視点で日本を俯瞰すると新型コロナを抑制しやすいのだが、いまだに「全国的に晴れ」みたいな全国一律の施策をしている。

つまり、日本は島国としての利点を生かし切れていないともいえる。本来であれば台湾のような島国は新型コロナの押さえ込みがしやすい。ちなみに台湾の面積は九州とほぼ同じ、四国はその半分だ。

筆者は3月から言っているが、四国や九州を県別には見ずに1つの島と見立て、物流を除いて人的交流を止め、感染拡大を抑えることはまだ間に合うと考えている。「島に」引っ越す場合は、検査と隔離を徹底すればいい。北海道や沖縄も当然「島」なので、四国、九州、北海道、沖縄は長い目で見て安全な場所として残しておくことをお薦めする。そして本州は、関東、東北、中部、近畿、中国、といった具合に、道州制が実現したように地域分けをして、移動はその「州内に限る」とすれば県をまたぐ通勤・通学にも対応できる。

なにも緊急事態宣言のように「全国的に雨」という風に全国一律にしなくてもいいのだ。新型コロナを封じ込めやすい「島から守る」施策が法律によってできない、というのであれば政治家の怠惰だ。次回の選挙では「現職」より「新人」を選んだほうがいい。