「コロナとの長期戦」を選んだニューヨーク…日本との決定的「違い」

経済活動再開最終段階「フェーズ4」へ
笹野 大輔 プロフィール

「社会のルールが変わった」

もはや、「社会のルールが変わった」と受け止めたほうが生きやすくなるだろう。少なくともニューヨークでは、新型コロナ以前の社会に戻ると考えている人はいない。現在、ニューヨークでは自粛が解除されても会社に出勤している人は少なく、ラッシュアワーであっても電車の座席に座ることができる。スーツ姿の人はニューヨークにほとんどいなくなった。ビルの一室で働くようなオフィスワーカーはテレワークで問題ないからだ。

新型コロナでショックが大きかったニューヨークでは、行政が自粛を解除しても、会社が自主的に自粛の判断をしている。なにもアメリカ企業だけではなく、ニューヨークにある日系の商社や銀行で働く日本人も自宅でのテレワークを今もしている。ざっくりと書くと、基本的にスーツで出勤するような人は、会社に出勤しなくても自宅で仕事はできるのだ。なにか荷物を受け取る必要がある会社にしても、最小限の人員が会社にいるだけで済む場合がほとんどだろう。

車道にはみ出た形のテラス席
 

ニューヨークは州と市ともに行政としての評価が高いまま移行している。例えば、7月6日にはレストランでの店内飲食の自粛の解除が始まる予定だった。しかし、直前になってクオモ州知事の要請によって自粛解除は延長された。だからいまだにレストランでの店内飲食は禁止。理由はフロリダなどいくつかの州で新型コロナ感染者が増えていたからだ。だが、こうした「予定日ありき」の要請でないことに市民は好感を持っている。

しかしながら、レストラン関係者にとっては悲報であることは間違いない。その代わり行政は、レストランが歩道にはみ出した形のテラス席を設ける許可の緩和をしたり(ニューヨークの飲食店の約1万軒が申請)、ストリートによっては車道ごとクルマの通行を禁止にしたりしてテラス席を車道に作っている。どうしてもレストランの室内だと密室になり、エアコンの吹き出し口から風下の人たちが感染してしまう例がある。日本でも車道を通行止めできる場所は、レストラン関係者のためにテラス席の通りにすればいいのではないだろうか。この時期であれば飲食店の苦境を知る理解者も多いだろう。