新型コロナウイルスが世界で初めて流行した中国の武漢市が封鎖されて、２３日で半年です。武漢の街は日常を取り戻しつつありますが、経済への打撃は今も続いています。現地から森岡記者の報告です。

　中国・武漢市の中心部にいます。高層ビルや住宅が建ち並んでいて、画面向かって右手に鉄道の駅があります。鉄道駅から５００メートルほど離れた場所にあるのが、新型コロナの感染が最初に広がったとされる華南海鮮市場です。ここからでも周囲が青いフェンスで覆われているのが分かります。

　今年１月に封鎖された市場は、都市封鎖が解除されて３か月以上がたった今も営業は再開されず、看板も取り外されたままになっています。武漢市では５月１９日以降、新たな感染者は２か月以上確認されておらず、今月１７日には団体旅行客の移動が許可されるなど制限も緩和され始めています。

　一方で、経済は元どおりとはいきません。海鮮市場から移転して営業する店主は、「感染拡大が終わっても商売は回復しない」と不安をあらわにします。

　「今は商売がうまくいっていません。ホテルの多くがまだオープンしていないので、どうしようもありません」（移転した市場の店主）

　都市封鎖後も続いた移動制限の影響で、市内の多くのホテルが倒産するなど経済はかつての状態には戻っていません。新型コロナが最初に広がった武漢の姿は、経済を元どおりに戻すのが容易でないことを世界に示しています。