新型コロナウイルスの感染拡大が京都府内で加速している。一時は新規感染者ゼロが続いていたが、緊急事態宣言の解除(5月25日)で経済活動が活発になったこともあり、6月下旬以降は増加傾向が顕著になった。キャバクラなど接待を伴う飲食店が絡むクラスター(感染者集団)も発生しており、繁華街を抱える京都市は緊急に対策チームを立ち上げ、「夜の街」の感染防止にも乗り出した。
「再び感染拡大期に入った。特に、接待を伴う飲食店でのクラスターが目立ち、一歩も二歩も踏み込んだ対策が急務だ」。今月21日、京都市が発足させた「店舗等クラスター拡大防止対策指導チーム」への訓示で門川大作市長が危機感をあらわにした。
府内では3、4月に感染者が多く見つかったものの、5月15日以降は22日間にわたって新規感染者がなくいったんは沈静化。だが、6月25日以降は連日報告され、7月20日には1日当たりで過去最多の27人に上った。
京都市内では6月下旬以降で計140人の感染が判明している。クラスターは4件発生しており、うち3件は飲食を伴う会合が契機になっている。この3件で感染者が計65人に達しており、全体の4割強を占めている。
中でも、6月30日夜に市内の繁華街で開かれた飲み会を契機とするクラスターは、感染者が計41人(20日現在)に上っている。市によると、男女8人が飲み会を開いた後、男性たちがキャバクラなど接待を伴う飲食店を複数はしごした。飲み会に参加した8人のうち男性6人と、接待した女性ら10人の陽性が確認されたほか、別の日に出勤した同僚や家族、知人などへ雪だるま式に拡大した。
これだけ感染が広がった要因について、市関係者は「グラスで回し飲みをしたり、大皿の料理を一緒に食べたりして感染リスクの極めて高い行動があった」とみる。また京都市では6月27日の飲み会から広がったクラスターでも15人(同)の感染者が出ている。
こうした事態を受け、市が立ち上げた対策指導チームはベテラン職員6人で構成。クラスターが起きた店を訪れ、保健師が指導した感染予防策が徹底されているか確認する役目を担う。
法律上の権限がなく、あくまで店側への要請となる課題を抱えるが、チームリーダーの長谷耕治・行財政局総務部長は「これ以上のクラスターを発生させないため、店側の理解を得ながら粘り強く指導していきたい」と話す。