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コロナワクチン、2回投与が必要なら課題山積-ロジスティクス複雑化

  • アストラ・オックスフォード大とモデルナは2回投与を試験へ
  • 有効性が低下し、何度も投与が必要なら課題はさらに膨らむ

新型コロナウイルスから世界を守るという点では、ワクチンの投与回数は1回よりも2回の方がいいかもしれない。ただ、1人に必要な回数が倍になると、数十億人の予防対策が複雑化する恐れがある。

  ワクチン開発競争で先行するオックスフォード大学と英アストラゼネカの連合やモデルナなどの最新データで、そうした見通しが浮き彫りになっている。双方とも2回投与で最終段階の試験に臨む方向だ。

  パンデミック(世界大流行)のさなかにワクチンを開発し世界の人々に供給できれば、1回の投与になったとしても素晴らしい功績だろう。2回投与が必要になれば、製造やロジスティクス(流通管理)がさらに複雑になる。また、一部の専門家が指摘するように、ワクチンの有効性が時間とともに低下し、毎年のように投与が繰り返し必要になれば、こうした課題は一段と厳しいものになる。

  ワクチン専門家でセントルイス・ワシントン大学幹部のマイケル・キンチ氏は「1回投与が理想的だろうが、最初のワクチンはこの非常に高い基準を達成できない公算が大きい」とした上で、「ワクチンの有無からそれをどう活用するかに焦点が移っていくにつれ、ロジスティクスがまさに最重要の課題になるだろう」と指摘した。

  アストラゼネカの株価は初期段階の臨床試験における有望な結果への期待を背景に20日の取引前半に上昇したが、今後の試験で2回投与が優先されるとオックスフォード大の研究者が指摘すると、上げ幅を縮めた。21日終値は2.9%安だった。

  ワクチン専門家は、新型コロナ向けで最初に使用が認められるワクチンは有効性や効率で最も優れたものにならない可能性があると警告している。事実、これまでの経緯を見ても2回投与がより可能性の高いシナリオだ。デューク・ヒューマン・ワクチン研究所の免疫学者トニー・ムーディー氏によると、標準的なワクチンはほぼ全てで複数回の投与計画になっている。

  同氏は「われわれは向上を望み、より良いワクチンの実現に向けて皆、取り組んでいるが、近いうちに有効なものを手に入れることが最優先課題だ」と語った。

原題:
Double-Shot Covid Vaccines Multiply Immunization Challenges(抜粋)

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