EUのコロナ復興基金、なぜもめた?

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2020/7/22 7:00
2020年7月22日の日本経済新聞朝刊1面に「EU、財政統合へ一歩」という記事がありました。欧州連合(EU)はコロナで打撃を受けた経済を立て直すため、7500億ユーロ(約92兆円)の基金を創設します。何度も先送りした末の合意。なぜ議論は難航したのでしょうか。

EU首脳会談は2日間の予定でしたが、会期を大幅に延長して5日に及ぶ協議の末、合意しました。コロナの影響は特に感染が拡大したイタリアやスペインなど南欧で深刻です。92兆円の基金をつくり、経済を立て直すためにEU加盟国に配分します。英国が離脱し、緩みかけていたEUの結束を示した形です。

議論が難航したのは、コロナ基金の原資をどう調達するかで対立したためです。財政規律を重視するオーストリアやオランダは、自国の負担が増えるのを嫌って反対。返済が不要な補助金の割合を減らすなど、議長国ドイツは拠出を渋る倹約派に配慮しました。EUで共通の債券を発行し、市場からお金を調達するのが合意の柱です。

EUで一元的にコロナ基金の原資を調達することで、EU各国でバラバラだった財政の統合が進むのでは、と期待されています。欧州統合は長年の悲願でした。2度の世界大戦を教訓に、人やモノの移動を自由にしたり(市場統合)、単一通貨ユーロを導入したり(通貨統合)と統合を進めてきた歴史があります。初めて本格的に債務を共有化した今回のコロナ復興基金ですが、EUが今後も結束を保てるかがカギとなりそうです。

20代編集者が同世代にむけて新聞の読みどころを発信する「朝刊1面を読もう/Morning Briefing」は平日朝に公開します。もっと詳しく知りたい人は7月22日の朝刊1面を読んでみてください。

この記事をまとめた人:渡部加奈子
2015年入社。保育・女性活躍の取材を経て、コンテンツマーケティングを担当。セシルマクビーには縁が無い青春時代だった。

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