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転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~ 作者:夜州

第二章 少年期編

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第二十一話 ドリントル領主

 謁見も説明も終わり屋敷に戻ってきた。


「カイン様、子爵就任おめでとうございます」

「「「おめでとうございます」」」


 扉の中のホールでコランとシルビアを筆頭に、メイドたちが整列していた。


「どうもありがとう。この屋敷と行き来をするようになるから、これからもよろしく頼むね」


 メイド達は「ハイッ!」と元気よく返事をしてくれた。メイドとしても子爵の屋敷に勤められることは名誉なことらしい。


「コランちょっといいかな。執務室で話したいことがあるんだ」

「はい、かしこまりました」


 カインは、メイド達に礼を言い、コランと共に執務室に向かった。




「まさか、ドリントルとは。大丈夫なのですか」


 やはりコランもドリントルの街の話を知っていた。


「陛下や宰相から好きにして良いって言われてるしね、色々とやらせてもらうよ。冒険者の街っていうくらいだから、冒険者として一度見てくるのもいいし、今度の週末行ってくるね」


「お気を付けください。と言ってもカイン様はAランクでございましたね。あまり派手にやり、また陛下のお手を煩わせないようにお願いいたします」


「うん。陛下からもこの前「自重できないのかっ!」って言われたばかりだからね」


「陛下からもですか……。いったい何をしたら……」


 さすがにステータスについては言えないので黙っておいた。



 次の日の学園。


「カイン様、陞爵おめでとうございます」

「カインくんおめでとう!」


 テレスとシルクからお祝いの言葉をもらった。


「カイン子爵、陞爵おめでとうございます。まさかあのドリントルの領主とは、まぁ頑張ってください」


 裏がありそうな笑顔を向けてくるのは、コルジーノ侯爵の息子のハビットだ。ドリントルの現在の様子を聞いてるらしく、領地経営を失敗するのが目に見えてると、親から聞いているみたいだ。

 わざわざBクラスから子分を引き連れて、Sクラスまで挨拶にきた。 


「ハビットくん、どうもありがとう。領地経営は初めてだし、代官がいてくれるから頑張ってみるよ」


 その後、何事もなく学園の授業が終わった。


 カインは制服のまま、南門を出て冒険者ギルドに向かう。

 扉を開けて中に入ると、制服姿で来たことで一瞬中にいた冒険者からの視線は感じたが、すぐに目を逸らされた。

 以前に、冒険者ギルド内で殺気を放ったことがあり、その時の事を知っている人たちだった。

 依頼掲示板を素通りし、顔見知りの受付嬢がいたのでそこに並んだ。


「レティアさんこんにちは」


 冒険者登録の時に対応してくれた受付嬢だった。


「あ、カイン様、こんにちは。今日は依頼ですか」


「実は、エディンさんに相談があってきたのですが、大丈夫でしょうか」


「ギルドマスターでしたら、執務室にいると思いますので聞いてきます。それまでそちらでお待ちください」


 レティアさんは席を立ち、隣の受付嬢に一言伝言し、奥へと入っていった。

 ロビーに座って数分待っていると、レティアさんが戻ってきた。


「カイン様、ギルドマスターがお会いになるそうです。ご案内いたしますのでこちらへどうぞ」


 レティアさんの案内で執務室まで案内された。


「レティアです。カイン様をご案内しました」


 扉をノックした後にそう告げた。


「どうぞー」


 扉の反対から声が聞こえたので扉を開け中に入っていく。


「そこに座って待っててね。あとちょっとでキリがいいとこまで終わるから。レティアは紅茶を頼むよ」


「わかりました。ではカイン様こちらでお待ちください」


 レティアはカインを案内したあとに、紅茶を用意するため部屋を出て行った。

 すぐに紅茶を出してくれたので、のんびりと待っていると、エディンの仕事が終わったようだった。


「ごめんね、カインくん、おまたせしちゃって」


「いえいえ、こちらこそ約束もないのにすいません」


 エディンはカインの対面のソファーに座りレティアのいれてくれた紅茶に口をつける。


「それで今日はどうしたんだい? あ、そういえば子爵陞爵おめでとう。ティファーナから聞いたよ」


「ありがとうございます。そのことで相談があったんです。実はドリントルの領主をすることになったんです。冒険者の街と有名ということで……」



 ドリントルの名前を聞いたことでエディンは顔をしかめた。


「あそこの街か……。またひどいとこ受けさせられたもんだね。あそこのギルドマスターはリキセツといってね、もともとはS級冒険者だったんだ。怪我の後遺症の関係で冒険者を引退しギルマスになったんだけど、元々権力に対して好意を持ってないからね、いつも領主と揉めて衛兵ごと追い出されてる。それで今は王の直轄地となっているはずだよ」


 やはりエディンは冒険者ギルドエスフォート王国本部長なだけあり、情報には詳しかった。


「今度の週末に一度、ドリントルに行ってみようと思ってるんです。まずは領主としてではなく冒険者として」


「うん。そうだね、一度様子を見てくるといい。僕からもリキセツ宛の手紙を書いておくよ」


「そうしてくれると助かります。できれば穏便に済ませたかったので」


「さすがにそれは無理かな~。あいつは自分より強い相手でないと、言うこと聞かないからな、あ、カインくんなら平気か。何かあればぶっ飛ばしちゃえばいいから」


「そんなに簡単でいいんですか」


「あそこの街は力が全てって感じだからね。リキセツぶっ飛ばしておけば、他が言うこと聞いてくれるでしょ」


 エディンの適当な返事で、カインはため息をつく。


「わかりました。頑張ってみます」


「明日には手紙を用意しておくから、ドリントル行く前に顔だしてね!」


「はい、お願いします」


 カインはエディンにお礼を言い執務室から退出する。ギルドの用事も済んで帰り際に受付でレティアを見つけ、先ほどのお礼に手を振ると、向こうも気づいて手を振り返してくれたので、快くしてギルドを出た。


「なんとなくイメージは出来たけど、いったいどんな街なんだろう」


 カインは空を見上げながらそうつぶやいた。








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