第六話 ステータス隠蔽
まずい。まずすぎる。夕方から身内でパーティだ。
その時にステータスを、家族に見せる必要がある。
「こんなステータス、家族に見せられる訳ないよっ」
ベッドに寝転がりゴロゴロと、頭を抱えながら転がる、そして、もう一回ステータスを見てみる。
『ステータス』
【名前】カイン・フォン・シルフォード
【種族】人間族 【性別】男性 【年齢】五歳
【称号】辺境伯家三男 転生者 神の使徒
【レベル】1
【体力】180/180
【魔力】34,560/34,560
【能力】S+
【魔法】
創造魔法Lv.10
火魔法Lv.10
風魔法Lv.10
水魔法Lv.10
土魔法Lv.10
光魔法Lv.10
闇魔法Lv.10
時空魔法Lv.10
生活魔法
【スキル】
鑑定Lv.10
アイテムボックスLv.10
武術Lv.10
体術Lv.10
物理耐性Lv.10
魔法耐性Lv.10
【加護】
創造神の加護Lv.10
生命神の加護Lv.10
魔法神の加護Lv.10
大地神の加護Lv.10
武神の加護Lv.10
技能神の加護Lv.10
商業神の加護Lv.10
見れば見るほど、家族に見せられないと実感してくる。
「なんとかしてステータスをごまかさないと」
半透明で表示されている文字を、指先でクリックしてみる。最初に出ている創造魔法だ。
イメージにて魔法を創造できる。実現するイメージにより、魔力消費量が異なる。
▽魔法を創れるようにしておいたぞ。ステータスの隠蔽もこれでつくるがよい byゼノム
「これだっ!! 創造神様ありがとう!」
天に向かって言ってみた。見ていてくれるかもしれないし。
さっそく魔法を試してみる。
半透明なガラス画面を、ステータス改ざんをイメージして触れる。
『
おぉ。いじくれる。
「これで見せても問題ない程度に、修正しておくか」
夕方のパーティが始まるまで、部屋に篭もってひらすらステータスの改ざんを行った。
「カイン様、そろそろパーティのお時間です」
ノックのあと、メイドのシルビアが部屋に入ってきた。
「カイン様、緊張しているようですが、本日は身内だけですし、どんなステータスでも問題ありませんよ。カイン様はカイン様ですしね」
笑顔でシルビアが言ってくれるが、そんなに簡単に見せられるステータスではなかった。
「うん。そろそろ行こうか」
部屋を出て、シルビアの先導で、カインはダイニングに向かった。
「おまたせしました」
すでに、ガルム以外は席についており、カインも自分の席に座った。
そして最後にガルムがダイニングに現れ、中央の席に座る。
「それでは、カインの五歳の誕生日を祝うこととする。カインおめでとう」
「「カインおめでとう」」
和やかに食事が始まった。
「それにしても、今日の洗礼の光はなんだったんでしょうね。私の子供の時はなかったし、レイネ時も」
サラは不思議に思ったことを口にしながら、食事をしている。
さすがに、「神々と会ってました」なんて言えないし。
食事が終わりに近づくにつれ、緊張する。
「カイン。ステータスは確認できたか」
ガルムが訪ねてきた。
「部屋で確認させてもらいました」
「そうか、それでは見せてみるといい」
額から汗が流れてくる。
隠蔽したけれど、ある程度は出てしまっている。
セーフなラインがわからないからだ。
「わかりました」
『ステータスオープン』
半透明なガラス画面が浮き上がってくる。
【名前】カイン・フォン・シルフォード
【種族】人間族 【性別】男性 【年齢】五歳
【称号】辺境伯家三男 (転生者 神の使徒)
【レベル】1
【体力】180/180
【魔力】34,560/34,560
【能力】C+(S+)
【魔法】
(創造魔法Lv.10)
火魔法Lv.2(10)
風魔法Lv.2(10)
水魔法Lv.2(10)
土魔法Lv.2(10)
光魔法Lv.1(10)
(闇魔法Lv.10)
(時空魔法Lv.10)
生活魔法
【スキル】
鑑定Lv.1(10)
アイテムボックスLv.2(10)
武術Lv.1(10)
体術Lv.1(10)
(物理耐性Lv.10)
(魔法耐性Lv.10)
【加護】
創造神の加護Lv.2(10)
生命神の加護Lv.2(10)
魔法神の加護Lv.3(10)
大地神の加護Lv.2(10)
武神の加護Lv.2(10)
技能神の加護Lv.2(10)
商業神の加護Lv.2(10)
※( )は非表示
「これが僕のステータスです。神様たちから、たくさん加護をいただきました」
五歳らしく、知らない振りで通すことにした。
「「「……」」」
ステータスを見た全員の動きが止まった。
両親も姉もその顔は絶句している。
Lv.5以上のものはないから、問題ないだろうとカインは思っていたが常識とは違うものだった。
「父上。どうかしましたか。もしかして僕のステータスは、何かおかしいのでしょうか」
固まっていた父親が動き始めた。
「創造神様のご加護ももらっているぞ……。他六神の加護まで。魔法神にいたってはLv.3になっている。しかもなんだその魔力量は!」
あ、加護を気にしていて魔力量を直していなかった!!!
「宮廷魔術師クラスで、レベル50程度で、魔力は一万程だぞ。カインのはすでに三万以上だ。しかもレベル1でまだ五歳だ。これからまだ伸びるはずだ。今でさえ筆頭宮廷魔術師になれるステータスだぞ。しかもアイテムボックスに鑑定もだ。商人になっても、成功が約束されてる」
バタンッ
サラがめまいを起こして倒れた。
レイネにいたっては、じっくりと見て喜んでいる。
「カイン君すごーい! 魔法も加護もいっぱいもってるね!」
ガルムも頭を抱えている。
かなり抑えたステータスだけれど、これでもまずかったのか。
「とりあえずわかった。そのステータスは絶対に家族以外には見せるな。わかったなカイン」
かなり念押ししてくる。
「わかりました」
「セバスもこのことは他言無用だ」
後ろで立っている執事にも伝えた。
「かしこまりましたご主人様。このステータスは、さすがに他言できません」
「周りにステータスが知られたら、私は王に説明しないといけない。そうしたらカインは王都で、国の管理下におかれるかもしれないぞ」
それは本当に困る。せっかく自由な冒険者になるつもりなのに。
「父上、気を付けます」
意識が戻ったサラも同じく頷いている。
「私とガルムの子だから、優秀かなって思ってたけど、想像以上すぎてびっくりしたわよ」
(いや、俺が一番びっくりしたんだよね。神様たちとも会ったし)
「来週はカインの誕生日を、グラシア領の有力者たちが祝いにくる。ステータスのことは、口外禁止だぞ」
前に説明されてたけれど、やはりお披露目会やるのかとカインはため息をついた。
そして、家族へのお披露目は乗り切ったカインであった。