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転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~ 作者:夜州

第一章 幼少期編

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第五話 神々との対面

 目の前が真っ白になった。



 目が慣れてきて、カインはあたりを見渡した。そこは先ほどまでいた教会の洗礼の部屋とは、まったく違っていた。


 あたり一面真っ白で、何もない世界。



「なんだこれっ!」


「フォッフォッフォッ。ここは神の世界じゃよ。やっと五歳になったか。待ちわびたぞカイン・フォン・シルフォード。いや、椎名和也君と呼んだほうがいいのかな?」


 急に声を掛けられ、驚いて振り向くと、そこには十人くらいが座れるテーブルと椅子があり、声を掛けたじいさんを筆頭に、数名が座っていた。


「和也の名前を知ってるってことは、俺が転生したのも知ってるってことですよね?」


 カインは真ん中に座っている、じいさんに問いかけた。


「まぁそのことも含めて、ゆっくり話そうか。まずはそこに立っていても仕方ない。こちらに座るとよい」


 真ん中に座っているじいさんに薦められて、空いている椅子にカインは座った。

 ちょうど正面にじいさん、左右に男女が三人ずつ座っている。


「あらためて自己紹介としようか。わしはゼノムという。この世界をつくった創造神といったほうがよいかな」



 変なじいさんだと思っていたら、創造神だったことにカインは驚いた。


「ちなみに神なだけに、お主の心の声もだだ漏れだからな」


 ゼノムがヒゲを撫でながら笑っている。


 カインは思いっきり、冷や汗を背中に感じた。


「私は転生して、今世の父と母にカインと名づけられました。この世界ではカイン・フォン・シルフォートです。あらためてよろしくお願いします」


 椅子から立ち上がり、丁寧に頭を下げて挨拶をする。


 さすがに主神とも言われている創造神様には、タメ口をきけるほど、カインは度胸はなかった。


「うむ。まずはお主の転生のことではあるがな、ライム! 話してやれ」


 左側に座っている、長い白髪の女性がビクっとした。


「私はライムです。生命の輪廻や死を司っている神になります。まず、あなたについてですが、地球の神より依頼を受けて、この世界に転生させました。実はあなたの死は予定外なので、地球の輪廻に乗せられないのです」


「えっ。あの時女の子をかばったけど、いけなかったのですか?」


「地球神から話を聞いたのですが、あなたに向けて走ってきたところで躓いて、転んだところを周りの人で抑えつけるのが本当の予定だったとのことです」


「――もしかして、無駄死にといことですか」


 あれだけ勇気を振りしぼって立ち向かったのに、無駄だったと言われ、カインは肩を落とす。


「はい。犯人もまだ誰も傷つけていない状態でしたので、そこまで罪が重くなかった予定でしたが、あなたが亡くなったことにより、殺人罪になってしまいました」


「自分が死んだだけでなく、犯人も罪を重くしたと……」


「地球の神も、面倒なことをしてくれたって言ってました」


「ライム。もうちょっとオブラートに包んであげたほうが……」


 創造神が苦笑いしながらフォローしていた。

 真相を聞き、カインとしては後悔というより、悲しかった。まさか他人まで不幸にしながら死んだと聞いたら、誰でもそう思うだろう。


「地球で転生することはできないので、私があなたの魂を、お預かりしたということです。その時に、一応、善行によってお亡くなりになりましたので、地球の神と相談して、記憶を残したままにしたら、そっちの世界も発展するかもよと言われて、記憶を残したまま転生させたのです。ただ、産まれてすぐに、記憶を目覚めさせてしまうと、授乳やオシメの交換など精神的に辛いこともあると思い、五歳の洗礼の時に記憶が蘇るように封印しておきましたが、三歳でなぜか、記憶が戻ってしまったのです」


 頭を下げながら謝ってくる神様を眺めながら、カインは神様に伝えた。


「ライム様、私はこの世界に生を受けて五年、記憶を取り戻してから二年経ちましたが、今は楽しくて仕方ありません。あちらの世界にでは、死んでしまいましたし、ちょっとショックなこともありますが、今更戻ることもできません。それに、前世では小さい頃に家族をなくし、最後の家族である祖父も、亡くなりました。今は家族や姉がおり幸せです。それに、この世界には魔法があり、とても充実した生活を送ってるので、謝らないで下さい。逆に記憶を残してくれて、ありがとうございます。三歳で記憶が戻ったことについても、文字や魔法など、色々と勉強できたので問題ありません」


 逆に神たちに頭を下げて感謝した。だって本当に今の生活が楽しいし。魔法もあるし。一番は家族がいるということだ。



「うん。君、いいね。あたしは気に入ったよ」


 長い黒髪で黒いローブを着た女性が、話に入ってきた。


「あたしは魔法神のレノよ。カインくん、三歳からずっと魔法の練習してたでしょう。たまに見ていたよ。私からは君に加護を与えるから、これからも修行がんばりなさい」


「うむ。わしたちからも加護を与えよう。これからまた会うことになると思うしな。フォッフォッフォッ」


 創造神の「また会う」って意味はわからないけれど、レイネ姉様も魔法神様の加護をもっていたしありがたい。


「まずはここにいる神たちも紹介しないとな。ライムとレノはいいな。その隣に座っているのは大地神のベラだ。反対側のごついのは、武神のサーノス。その隣が技能神グリム。そして太ったのが商業神のパナムじゃ」


 武神のサーノスが最初に声を掛けてきた。


「カインよぉ。魔法ばっかりしてないで剣技とか体術も鍛えておけよっ。俺の加護もやるからスキルが覚えやすくなると思うぞ」

「技能神のグリムじゃ。わしも加護をやろう。この世界にはないものが多い。娯楽もあまりない世界だからな。やりすぎなければ前世の世界にあった知識を持ち込んでも構わん」


続いて隣に座っている商業神が、声をかけてくる。


「私も加護を渡そう。私の加護があれば、鑑定とアイテムボックスが使えるようになるぞ。鑑定は意識すれば詳細もわかるようになる。自分のステータスも、詳細がわかるようになるぞ。アイテムボックスに入れられる物の数は、加護の度合いで変わるけどな」


 神様たちがみんな加護をくれるそうだ。

 そんなにもらっていいのかと、恐縮しながら神様たちの話を聞いた。



 最後は創造神だ。


「ワシの加護は、元の世界に戻ってから確認すると良いぞ。そろそろ時間じゃな。カインよ、また会おうぞ。達者でな」


 創造神がそう言うと、意識が次第に遠くなっていく。


 ふと気づくと、目の前にはレイネ姉様の顔があった。


「カイン! 平気?」


 あれ。レイネ姉様だ。

 戻ってきたのか。

 司祭がなぜか驚いている。


「おぉ。神々の像がこんなに光るなんて」


 司祭が神の像に祈り始めた。

 周りの家族を見ても、唖然としている状態だ。

 少し待っていると、やっと司祭の祈りが終わった。


「これにて洗礼を終わります。先程の光は神々が加護を与えたものだと思われます。今後も、神々に感謝を行いながら、成長していくように祈っております」


「ありがとうございました」


 司祭と神々の像に、頭を下げてから退出する。


 皆、無言で馬車に乗る。

 最初に言葉を発したのは、父のガルムだ。



「あの光はなんだったのだ。レイネの時は光りはしなかったよな。カインよ。何かわかるか?」


「父様、私にもわかりません」


 さすがに神たちと会っていたなんて言えないよな。


「そうか……。もしかしたら神の加護を頂いたのかもしれないな」


「家に帰ったら、自分のステータスを確認すると良い。最初は一人で見て、何か相談があれば、私に言えば良い」


「父様、ありがとうございます。家に帰ったら確認してみます」


 レイネが口を挟んでくる。


「カイン君! 私のも見せたんだから、あとで私にも見せてね!」


「うん! わかったよ。レイネ姉様。加護をもらえてるといいなっ」


 神様たちにも会えたし、加護もくれるってことだったし、ステータスを確認するの楽しみだな。

 馬車に揺られながら、来た道を戻り、自宅についた。

 自分の部屋に戻ってきて一息つく。


「たしかステータスだったな」


 『ステータス』


 半透明な板が目の前に表示された。


 【名前】カイン・フォン・シルフォード

 【種族】人間族 【性別】男性 【年齢】五歳

 【称号】辺境伯家三男 転生者 神の使徒

 【レベル】1

 【体力】180/180

 【魔力】34,560/34,560

 【能力】S+


 【魔法】

  創造魔法Lv.10

  火魔法Lv.10

  風魔法Lv.10

  水魔法Lv.10

  土魔法Lv.10

  光魔法Lv.10

  闇魔法Lv.10

  時空魔法Lv.10

  生活魔法


 【スキル】

  鑑定Lv.10

  アイテムボックスLv.10

  武術Lv.10

  体術Lv.10

  物理耐性Lv.10

  魔法耐性Lv.10


 【加護】

  創造神の加護Lv.10

  生命神の加護Lv.10

  魔法神の加護Lv.10

  大地神の加護Lv.10

  武神の加護Lv.10

  技能神の加護Lv.10

  商業神の加護Lv.10




「……」



 放心だった。

 崩れ落ち床に手を付き、立ち上がれない。


 つっこみどころ満載すぎだろ!



「神様たち、加護はありがたいけど、やりすぎだよ……。神の加護ってLv.1から5までの五段階じゃないのかよ。なんだよLv.10って!! そんなの父様だって言ってなかったよ!!」


 三歳から今になるまで、魔法の修行に対して、自重を忘れていたけれど、神様たちも自重を忘れていたとしか思えない。



「このまま家族にステータスを見せたら、どうなるかわからねぇ。しかもなんだよ! 神の使徒って。教会とかに知られたら家に帰してもらえねぇよ! なんとかこのステータスを見せなくていい方法ないのかな……」



 カインは頭を抱えるしかなかった。



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