分数には「分割分数」と「量分数」があります。この2つの分数を使い分けないととんでもない誤解に繋がります。
もくじ
分割分数
小学1年生では「はんぶん」という言葉ついて学び、これが分数の入り口となります。
小学2年生では、「1個のケーキを同じ大きさに2つに分けたうちの一つ分は1/2と表す」という学習を行います。
3/4は、4つに分けたうちの3つ分 や
2/5は、5こあるうちの2つ分 など、
いくつに分けたうちのいくつ分
というのは「分割分数」の考え方です。
この分割分数から分数が始められるのは、日本では、「分数を分母から読む」ということに関係があります。
日本では、「分割したうちのいくつ分」という考えが根強く、これは分割分数の考えでもあります。
英語圏では、
と、「分子→分母」の順で読みます。分母はtwoではなくsecond、threeではなくthirdと順序数になります。
また、分子が2以上の場合には分母の最後にsをつけます。
さらに、分母が2の場合には「half」、4の場合には「quarter」になります。
量分数
小学3年生では、「1mを3等分したうちの一つ分の長さを1/3mといいます。」という「量分数」の学習が始まります。
量分数には、単位が付きます。しかし、分割分数と量分数の違いは単位の有無だけではありません。
分割分数と量分数の違い
あなたはお腹を空かせているとします。ピザ1/6枚分とピザ1/2枚分、大きい方をもらいたいと思っています。どっちをもらいますか?
具は?重さは?などと野暮なことは聞かないでくださいね…。
1/2枚分のほうが大きいのでしょうか?
そうとは言い切れませんね。下の絵のような可能性もあります。
それぞれのピザの大きさがわからないうちは判断ができないのです。
1枚のピザをいくつ分したうちのいくつ分という分割分数では、基準となる値が異なる場合、大きさを比べることはできません。
つまり、分割分数は大小比較ができません。
これは、分割分数は数ではないことを意味しています。
分割分数のたし算をオセロで考えてみましょう。すると、
と、「分母+分母」が正しくなってしまいます。
一方、量分数では、1/2m は 1/3m よりも常に大きく(長く)なります。つまり、量分数は大小比較が可能であり、量分数によって、分数を「大小関係を持った数」として扱えるようになるのです。