前回の記事で私は、朝鮮(北朝鮮)とアメリカの対決の行方は「朝鮮が勝利する」との持論を展開し、その根拠として、統一学研究所・韓 浩錫(ハンホソク)所長の論文にある、朝鮮人民軍兵士と米軍兵士の「戦闘力」を分析した資料をひも解いた。
引き続き今回も韓先生の論文に触れながら、両軍が保有する「兵器」の対比に視点を置き、朝・米対決戦の行方を分析する。
まず始めに断るが、私は軍事には全くの素人なので、この記事の私の主張には多少の知ったかぶりも含まれるかもしれぬが、寛大にご理解願う。
さて、「兵器」と言っても様々だが、その種類を大きく分類すれば、「特殊兵器」と「通常兵器」に分ける事が出来る。
「特殊兵器」の代表は、核爆弾や弾道ミサイルなどの「戦略・戦術核兵器」であり、「通常兵器」の代表は、戦車や高射砲などの「従来型兵器」。
そして朝鮮人民軍と米軍は、「特殊兵器」と「通常兵器」の両方を備えた軍隊。
なので、両軍が全面衝突した場合、我々は最悪の状況として、「核戦争」の危険性を必然的に認識しなければならない。
アメリカがピョンヤンに向けて核弾頭を搭載した弾頭ミサイルを発射すれば、朝鮮もワシントンに向けて核弾頭を搭載した弾道ミサイルを発射する。
朝鮮とワシントンを結ぶ、弾道ミサイルの飛行時間は、凡そ30分である。
誰もが知るように、壮絶なる破壊力を持つ核兵器が一発でも命中して炸裂すれば、それは戦争の勝敗を左右する決定的な一撃となる。
そういう意味で朝鮮とアメリカは、全面戦争に突入した時、如何に「敵」が放つ弾道ミサイルを事前に撃破・抑止出来るのかが最重要の防衛的課題となる。
アメリカはその方法として、ミサイル迎撃システムを考えた。
私は前々回の記事で、アメリカのミサイル迎撃システムについて少し説明を書いたが、結局のところアメリカは、ワシントンを目指す朝鮮の弾道ミサイルを、その炸裂を許すことなく事前に迎撃する事が出来るのだろうか?
結論から先に書けば、アメリカは朝鮮の弾道ミサイルを防ぐことは出来ない。
これは即ち、朝鮮とアメリカが全面戦争に突入した場合、朝鮮の核でワシントンは消滅する事を意味する。
アメリカが朝鮮の弾道ミサイルの前に無力である事を、韓 浩錫先生は次の資料を示して分析を進めた。
2013年1月26日と28日、アメリカの通信社「ブルームバーグ・ニュース」は、アメリカのミサイル迎撃システムに関する比較的詳細な分析を報道に載せた。
「ブルームバーグ・ニュース」は報道の中で、アメリカ国防省傘下ミサイル防衛局(MDA)が1月26日、改良型の「大気圏外迎撃体(EKV)」の発射試験を成功的に実施した、と伝えた。
「大気圏外迎撃体(EKV)」とは、宇宙空間を飛行する「敵国」の弾道ミサイルを、大気圏への再突入を許すことなく、大気圏外で撃ち落とす能力を備える、「迎撃ミサイル」。
ちなみにだが、「大気圏外迎撃体(EKV)」はレイセオン社が担当し開発を進める。
アメリカが「大気圏外迎撃体(EKV)」を軸に据えて進める「ミサイル迎撃システム」の全体は、ボーイング社が350億ドルの開発費でアメリカ政府より請け負う、地上配置中高度防衛プログラム。
つまり、ボーイング社・レイセオン社などの軍需産業は、アメリカ政府からのミサイル迎撃システムの受注により、350億ドルを「儲けた」と言う事。
「戦争屋」の景気は、まあまあである。
アメリカ国防省傘下ミサイル防衛局(MDA)は、「大気圏外迎撃体(EKV)」の試験発射に成功したと発表するが、その「成功」とは、アメリカ本土を目掛けマッハ20の超高速で飛来する「模擬弾」を撃破した「成功」ではなかった。
アメリカが言う「成功」の正体を視れば、「大気圏外迎撃体(EKV)」を大気圏外に発射し、事前に登録しておいた「方向」と「高度」に沿って、「軌道航行」を正常に飛行しただけの事。
今のところ、「大気圏外迎撃体(EKV)」が大気圏外を正常に飛行出来る発射実験の成功率は53%。
これは、10発撃った内の5発だけが、事前に登録してあるルートを正常に飛ぶという話。
大気圏外を正常に航行したからと言って、「敵」の弾道ミサイルに命中出来るという話ではまったく無く、その証拠に現在までアメリカミサイル防衛局(MDA)が、「模擬弾」に「大気圏外迎撃体(EKV)」を命中させた事は一度も無い。
実際の弾道ミサイルは自らで軌道を任意に修正し、尚且つ迎撃ミサイルを撹乱する目的の複数のダミーを放出する。
正常飛行率53%の「大気圏外迎撃体(EKV)」が、実弾を捕らえられる確立は0%だ。
アメリカは未完成品の「大気圏外迎撃体(EKV)」10基を、アラスカ州のフォートグリーリ基地に配備した事を、自慢げに報道に流した。
アメリカの「自慢」は、意図して流されたもの。
そうでもしなければ、アメリカ政府が「戦争屋」らに支払った350億ドルに、国民からは批判の集中砲火を喰らってしまう。
結局のところアメリカの「戦争屋」らは、アメリカ政府に役立たずの未完成ミサイル迎撃システムを騙し売り、アメリカ政府はアメリカ国民に、「安心」という「虚実」を騙し売っている。
結論とすればアメリカは、任意の時間に朝鮮全土の地下坑道から移動式車両で姿を現す朝鮮の弾道ミサイル「ファソン13号(KN-08)」が、超高速でアメリカ本土の主要軍事施設にぐんぐん近づいても、それを一発も撃ち落すことは出来ない。
なのでワシントンは、朝鮮の弾道ミサイルの波状攻撃の前に消滅する。
韓 浩錫先生の分析によると、朝鮮が実戦配備した「ファソン13号(KN-08)」は50基である。
一方の朝鮮も、アメリカ本土から超高速で飛来する弾道ミサイルを防ぐ手立てはない。
朝鮮とアメリカの「弾道ミサイル」に対する防衛能力の無力は、両軍司令部が作戦計画を定める重要な要素となる。
朝鮮とアメリカは、「核ミサイル」を撃ち合えば共倒れになり、そもそもの戦う意義を失うので、「核戦争」は出来ない。
人類の未来のためにも、「核戦争」など絶対にあってはならぬのだ。
だがしかし、本当に万が一の話ではあるが、朝鮮とアメリカの双方が全面的に衝突し、核を搭載した弾道ミサイルを撃ち合う最悪の状況になったとしたならば、互いのミサイルが飛来する「運命の30分」までの間、両国の国民はどのような対応を取るのだろうか。
朝鮮は半世紀以上にも渡り、アメリカからの核攻撃の危険を常に念頭に置き防衛体制を築いて来た。
朝鮮全土には、全国民が非難できる地下核シェルターが設置され、一年間を地下で暮らせるインフラも整備されていると聞く。
朝鮮全土に「ミサイル警報」が鳴り響く時、朝鮮人民は30分で安全な地下道に全員が避難する。
日頃の訓練も抜かりない。
一方のアメリカはどうか。
インチキなミサイル迎撃システムが、己を運命を救ってくれるとの希望的観測を盲目的に信じているアメリカ国民は、運命を決する30分の間、ただただ手を合わせて神に祈りを捧げる以外に方法は無い。
ニューヨークなどの繁華街などでは、遊び耽る国民らが己の運命に何が起きたかも知れぬ内に、煌びやかな街が跡形も無く消滅の運命を辿る。
両国の「弾道ミサイル」に対する「現実的な備え」を視ても、「核戦争」の勝者は朝鮮に他ならない。
アメリカの首脳部はその事実を良く知っているので、絶対に朝鮮との全面戦争は出来ない。
朝鮮半島に戦争が起きない要因は朝鮮の軍事力にあると、私はこれまでの記事で度々書いて来た。
日本で暮らす殆どの者は、この事実をいつまでたっても理解することが出来ない。
日本には米軍基地が沢山あると言うのに、朝鮮の軍事力を正確に認識しようとしない。
朝鮮とアメリカが全面衝突する時、真っ先に狙われるのは日本の米軍基地であろう。
朝鮮の軍事力を過小評価する日本のマスメディアの罪は、実に重いのだ。
アメリカは朝鮮との「弾道ミサイルの撃ち合い」では勝算が得られぬので、奇襲攻撃で朝鮮の「攻撃力」を叩き、戦局を有利に運ぶための方法を考えた。
戦争は往々に、奇襲によって開戦されるのが常。
「弾道ミサイル」などの強力な「特殊兵器」が備わる現代戦においては、いかに相手よりも先制を取り、致命的一撃を喰らわせるのかが、勝利を定めるキーポイントと成る。
アメリカは奇襲に基く先制攻撃の一環として、「B-52爆撃機」を朝鮮半島に派遣した。
アメリカは米・韓軍事演習期間中、グァムの米軍基地より「B-52爆撃機」を発進させ、朝鮮半島に「模擬爆弾」を投下する訓練をした。
それを観た朝鮮は、今後再び「B-52爆撃機」が韓国(南朝鮮)に飛来したら、躊躇無くそれを撃ち落とすと宣言した。
「訓練」くらいに朝鮮が過敏に反応したと思われるかも知れぬが、朝鮮がそこまで注意深く「B-52爆撃機」を牽制するのには訳がある。
アメリカの核の三大兵器(弾道ミサイル、B-52爆撃機、原子力潜水艦)の一角である「B-52爆撃機」は、水爆を搭載したミサイルを20機も抱えて飛ぶことが出来る。
「B-52爆撃機」が空中で放つ巡航ミサイルは時速980kmで2,500kmの距離を飛ぶ。
「B-52爆撃機」が抱えたミサイルをすべて発射すれば、一国に限らず、その地域の国々までもが生存不可能な深刻な状態に陥るほどの壊滅的状況が齎される。
訓練と称して、「B-52爆撃機」がグァムから韓国目指して飛行して来るとき、「B-52爆撃機」が「抱えるもの」が、訓練用の模擬弾なのか、実戦用の水爆なのかの判断は朝鮮には出来ない。
つまり朝鮮には、それが「訓練」なのか「実戦」なのか、見極める術がないのだ。
「訓練ですから」などと朝鮮を油断させておいて、アメリカが奇襲的に水爆ミサイルを発射すれば、朝鮮とアメリカにおける対決戦はアメリカの勝利に大きく傾く。
朝鮮人民軍防空ミサイル部隊は、「B-52爆撃機」の奇襲攻撃を封じる事が最大の任務であるので、「B-52爆撃機」がミサイルを発射できる正常な高度で飛行し、水爆ミサイル発射の射程距離まで到達した時、躊躇無くそれを撃ち落とすことが命令で義務付けられている。
朝鮮が、「B-52爆撃機」が再び飛来したら撃ち落とすと宣言したのは、「威嚇」ではなく「本気」だ。
アメリカは、虎の子の「B-52爆撃機」が、朝鮮の防空ミサイルで撃破されることを避けるため、自分には「戦意」が無いことを朝鮮に向けてあからさまに示す必要があった。
その方法が、「B-52爆撃機」の超低空低速飛行。
水爆ミサイルの発射態勢が取れない超低空低速飛行をすることで、「自分は低く飛んでいますよ」「水爆ミサイルは発射しませんよ」などのメッセージを、朝鮮のレーダー部隊に伝えながら、「B-52爆撃機」は恐る恐る米・韓軍事演習に参加した。
韓国のマスメディアが訓練中の「B-52爆撃機」を捕らえた報道写真で、機体全体をやけに鮮明に写すことが出来たのは、アメリカが超低空低速飛行の命令を出したから。
所謂、ビビッたのだ。
アメリカは、朝鮮が本気で「B-52爆撃機」を撃ち落すことに恐れをなした。
アメリカは、朝鮮がどの様な「兵器」で、「B-52爆撃機」とそこから発射される巡航ミサイルを撃ち落すのかも良く知っている。
現在、ロシア軍が実戦配備した最新型迎撃ミサイルS-400が、世界最強の迎撃能力を持つらしい。
S-400は、その射程距離が400km、高度は185kmまで上昇し、マッハ12の超高速で敵の巡航ミサイル目掛けて飛んでいく。
朝鮮はこれよりも若干性能が落ちるS-300を2010年10月10日の閲兵式で公開し、2012年4月14日に開館された朝鮮人民軍武力装備館にその模型を陳列した。
その後の2012年5月3日、朝鮮人民軍最高司令官は、防空ミサイル部隊を視察したその席で、最新型迎撃ミサイルに関する指導をされたと報道には流れたが、その報道写真にはミサイルを運ぶ発射車両の一部だけが公開され、ミサイルの全体写真は非公開にされた。
最高司令官が指導した最新型迎撃ミサイルが、2010年10月10日に世界に公開され、2012年4月14日に武力装備館に陳列されたS-300であるのなら、報道写真があれほどまでに「気を使う」必要はない。
世界の国々においても、記念館などに陳列される「兵器」は、一世代・二世代も前のもの。
最新型は非公開であるのが、軍事の常識であろう。
そういう意味で朝鮮は、ロシアが自慢するS-400型最新迎撃ミサイルの性能に順ずる、朝鮮式の最新型迎撃ミサイルを実戦配備したと見るべきが正解だ。
軍事大国の中国でさえ、S-400級の迎撃ミサイルは独自開発できていない。
朝鮮は現在、攻撃面に限らず防衛面においても、軍事大国と肩を並べている。
なのでアメリカは、「B-52爆撃機」を超低空低速飛行で訓練せざるを得なかった。
とどのつまりアメリカは、「特殊兵器」を使用した戦争では朝鮮に勝てない。
勝てないので戦争は出来ない。
何度も言うが、朝鮮半島の平和は、朝鮮の軍事力で保たれているのだ。
韓 浩錫先生は、「特殊兵器」と並べて「通常兵器」における朝・米対決戦でも、朝鮮はアメリカに勝つとの分析を示した。
韓先生は、朝・米開戦後3日で決着がつくとしたシナリオを作成し、それを朝鮮メディアが動画で公開した。
「3日で終わる短期即決戦」
・短期即決戦1日目
朝鮮人民軍4個前方軍団・砲兵部隊は、発射命令を受けた瞬間から30分間、240mm放射砲・長距離砲250,000発、地対地短距離ミサイル1,000発を米・韓連合軍基地に「夕立」のように浴びせる。
朝鮮人民軍砲兵部隊の一斉射撃は、米・韓連合軍への先制打撃となる。
時を合わせて、朝鮮人民軍4個前方軍団の特殊部隊・軽歩兵部隊50,000人は、米・韓連合軍後方の空軍基地、海軍基地、レーダー基地、ミサイル基地、発電所、空港、港湾などを奇襲攻撃する。
朝鮮人民軍最精鋭部隊の「暴風軍団」は、韓国のソウルをはじめとする主要都市に進入し、占領しては、滞在するアメリカ人150,000人を捕虜とする。
狭い領土の朝鮮半島の戦争では、後方地域に対する朝鮮人民軍特殊兵力の浸透・奇襲作戦は、米・韓連合軍に決定的な打撃を与えることになる。
朝鮮人民軍の一斉射撃を受ける米・韓連合軍歩兵部隊は、退避する坑道に辿り着くことも出来ず、壊滅状態に陥る。
米・韓連合軍の攻撃ヘリは離陸もできず、駐機場に停めたままの状態で破壊される。
人民軍航空軍は、混乱する米・韓連合軍の機甲部隊を、空対地ミサイルと誘導爆弾で破壊する。
・短期速決戦2日目
朝鮮人民軍が南進総攻勢を開始する日だ。
朝鮮人民軍航空陸戦旅団・兵力10,500人が、南側大都市80m上空から低空降下を開始し、韓国軍後方部隊との市街戦を繰り広げる。
韓国軍後方部隊は、特殊訓練を受けた朝鮮人民軍人特殊部隊との交戦で勝てる見込みはないと思われる。
同時に、朝鮮人民軍4個機械化軍団は、戦車4,600台・装甲車3,000台で波状攻撃を仕掛ける。
軍用輸送車に搭乗した人民軍歩兵部隊は、南側の各都市に進入し、韓国軍後方部隊を散発的に一掃する。
朝鮮人民軍は短期速決戦を立体的に開始し、米軍太平洋司令部の主要戦力を、強力な大量破壊兵器で先制攻撃し瞬く間に制圧する。
・短期速決戦3日目
退避する場所もないソウル市・地方都市は大混乱に陥る。
電気供給、飲料水供給、食料供給、都市ガス供給、車両の燃料供給、交通網、通信網、放送網などのインフラのすべてが遮断される。
この日、実際に戦闘はなく、朝鮮人民軍が占領地域で治安を維持しては、供給システムを修復する「安定化作戦」が開始される。
このように、朝鮮人民軍の統一大戦シナリオは3日以内に終わる戦争シナリオだ。
米軍司令部が、何度も戦争のシナリオをシミュレーションしても、その結果をマスコミに公開しない理由を知ることができる。
………
韓 浩錫先生のシナリオを信じるか否かは読者の判断に任せるが、ひとつだけ確かな事は、アメリカは朝鮮には「勝てない」と言う事だ。
アメリカのヘーゲル国防長官は3月28日、「朝鮮指導部の意図が読めない」とアメリカの正直な心境を赤裸々に明かした。
強敵との対峙において、相手の腹も読めぬようでは、戦争をする前から既に敗北宣言したも同じだ。
相手の次の出方を読めてこそ初めて、相手の更なる上を行く対応策を練れるというものだろう。
私には、朝・米対決はすでに決したように思えてならない。
ヘーゲル氏の発言は、それを占う絶好の資料である。
朝鮮は必ず勝利する。
それは科学である。
引き続き今回も韓先生の論文に触れながら、両軍が保有する「兵器」の対比に視点を置き、朝・米対決戦の行方を分析する。
まず始めに断るが、私は軍事には全くの素人なので、この記事の私の主張には多少の知ったかぶりも含まれるかもしれぬが、寛大にご理解願う。
さて、「兵器」と言っても様々だが、その種類を大きく分類すれば、「特殊兵器」と「通常兵器」に分ける事が出来る。
「特殊兵器」の代表は、核爆弾や弾道ミサイルなどの「戦略・戦術核兵器」であり、「通常兵器」の代表は、戦車や高射砲などの「従来型兵器」。
そして朝鮮人民軍と米軍は、「特殊兵器」と「通常兵器」の両方を備えた軍隊。
なので、両軍が全面衝突した場合、我々は最悪の状況として、「核戦争」の危険性を必然的に認識しなければならない。
アメリカがピョンヤンに向けて核弾頭を搭載した弾頭ミサイルを発射すれば、朝鮮もワシントンに向けて核弾頭を搭載した弾道ミサイルを発射する。
朝鮮とワシントンを結ぶ、弾道ミサイルの飛行時間は、凡そ30分である。
誰もが知るように、壮絶なる破壊力を持つ核兵器が一発でも命中して炸裂すれば、それは戦争の勝敗を左右する決定的な一撃となる。
そういう意味で朝鮮とアメリカは、全面戦争に突入した時、如何に「敵」が放つ弾道ミサイルを事前に撃破・抑止出来るのかが最重要の防衛的課題となる。
アメリカはその方法として、ミサイル迎撃システムを考えた。
私は前々回の記事で、アメリカのミサイル迎撃システムについて少し説明を書いたが、結局のところアメリカは、ワシントンを目指す朝鮮の弾道ミサイルを、その炸裂を許すことなく事前に迎撃する事が出来るのだろうか?
結論から先に書けば、アメリカは朝鮮の弾道ミサイルを防ぐことは出来ない。
これは即ち、朝鮮とアメリカが全面戦争に突入した場合、朝鮮の核でワシントンは消滅する事を意味する。
アメリカが朝鮮の弾道ミサイルの前に無力である事を、韓 浩錫先生は次の資料を示して分析を進めた。
2013年1月26日と28日、アメリカの通信社「ブルームバーグ・ニュース」は、アメリカのミサイル迎撃システムに関する比較的詳細な分析を報道に載せた。
「ブルームバーグ・ニュース」は報道の中で、アメリカ国防省傘下ミサイル防衛局(MDA)が1月26日、改良型の「大気圏外迎撃体(EKV)」の発射試験を成功的に実施した、と伝えた。
「大気圏外迎撃体(EKV)」とは、宇宙空間を飛行する「敵国」の弾道ミサイルを、大気圏への再突入を許すことなく、大気圏外で撃ち落とす能力を備える、「迎撃ミサイル」。
ちなみにだが、「大気圏外迎撃体(EKV)」はレイセオン社が担当し開発を進める。
アメリカが「大気圏外迎撃体(EKV)」を軸に据えて進める「ミサイル迎撃システム」の全体は、ボーイング社が350億ドルの開発費でアメリカ政府より請け負う、地上配置中高度防衛プログラム。
つまり、ボーイング社・レイセオン社などの軍需産業は、アメリカ政府からのミサイル迎撃システムの受注により、350億ドルを「儲けた」と言う事。
「戦争屋」の景気は、まあまあである。
アメリカ国防省傘下ミサイル防衛局(MDA)は、「大気圏外迎撃体(EKV)」の試験発射に成功したと発表するが、その「成功」とは、アメリカ本土を目掛けマッハ20の超高速で飛来する「模擬弾」を撃破した「成功」ではなかった。
アメリカが言う「成功」の正体を視れば、「大気圏外迎撃体(EKV)」を大気圏外に発射し、事前に登録しておいた「方向」と「高度」に沿って、「軌道航行」を正常に飛行しただけの事。
今のところ、「大気圏外迎撃体(EKV)」が大気圏外を正常に飛行出来る発射実験の成功率は53%。
これは、10発撃った内の5発だけが、事前に登録してあるルートを正常に飛ぶという話。
大気圏外を正常に航行したからと言って、「敵」の弾道ミサイルに命中出来るという話ではまったく無く、その証拠に現在までアメリカミサイル防衛局(MDA)が、「模擬弾」に「大気圏外迎撃体(EKV)」を命中させた事は一度も無い。
実際の弾道ミサイルは自らで軌道を任意に修正し、尚且つ迎撃ミサイルを撹乱する目的の複数のダミーを放出する。
正常飛行率53%の「大気圏外迎撃体(EKV)」が、実弾を捕らえられる確立は0%だ。
アメリカは未完成品の「大気圏外迎撃体(EKV)」10基を、アラスカ州のフォートグリーリ基地に配備した事を、自慢げに報道に流した。
アメリカの「自慢」は、意図して流されたもの。
そうでもしなければ、アメリカ政府が「戦争屋」らに支払った350億ドルに、国民からは批判の集中砲火を喰らってしまう。
結局のところアメリカの「戦争屋」らは、アメリカ政府に役立たずの未完成ミサイル迎撃システムを騙し売り、アメリカ政府はアメリカ国民に、「安心」という「虚実」を騙し売っている。
結論とすればアメリカは、任意の時間に朝鮮全土の地下坑道から移動式車両で姿を現す朝鮮の弾道ミサイル「ファソン13号(KN-08)」が、超高速でアメリカ本土の主要軍事施設にぐんぐん近づいても、それを一発も撃ち落すことは出来ない。
なのでワシントンは、朝鮮の弾道ミサイルの波状攻撃の前に消滅する。
韓 浩錫先生の分析によると、朝鮮が実戦配備した「ファソン13号(KN-08)」は50基である。
一方の朝鮮も、アメリカ本土から超高速で飛来する弾道ミサイルを防ぐ手立てはない。
朝鮮とアメリカの「弾道ミサイル」に対する防衛能力の無力は、両軍司令部が作戦計画を定める重要な要素となる。
朝鮮とアメリカは、「核ミサイル」を撃ち合えば共倒れになり、そもそもの戦う意義を失うので、「核戦争」は出来ない。
人類の未来のためにも、「核戦争」など絶対にあってはならぬのだ。
だがしかし、本当に万が一の話ではあるが、朝鮮とアメリカの双方が全面的に衝突し、核を搭載した弾道ミサイルを撃ち合う最悪の状況になったとしたならば、互いのミサイルが飛来する「運命の30分」までの間、両国の国民はどのような対応を取るのだろうか。
朝鮮は半世紀以上にも渡り、アメリカからの核攻撃の危険を常に念頭に置き防衛体制を築いて来た。
朝鮮全土には、全国民が非難できる地下核シェルターが設置され、一年間を地下で暮らせるインフラも整備されていると聞く。
朝鮮全土に「ミサイル警報」が鳴り響く時、朝鮮人民は30分で安全な地下道に全員が避難する。
日頃の訓練も抜かりない。
一方のアメリカはどうか。
インチキなミサイル迎撃システムが、己を運命を救ってくれるとの希望的観測を盲目的に信じているアメリカ国民は、運命を決する30分の間、ただただ手を合わせて神に祈りを捧げる以外に方法は無い。
ニューヨークなどの繁華街などでは、遊び耽る国民らが己の運命に何が起きたかも知れぬ内に、煌びやかな街が跡形も無く消滅の運命を辿る。
両国の「弾道ミサイル」に対する「現実的な備え」を視ても、「核戦争」の勝者は朝鮮に他ならない。
アメリカの首脳部はその事実を良く知っているので、絶対に朝鮮との全面戦争は出来ない。
朝鮮半島に戦争が起きない要因は朝鮮の軍事力にあると、私はこれまでの記事で度々書いて来た。
日本で暮らす殆どの者は、この事実をいつまでたっても理解することが出来ない。
日本には米軍基地が沢山あると言うのに、朝鮮の軍事力を正確に認識しようとしない。
朝鮮とアメリカが全面衝突する時、真っ先に狙われるのは日本の米軍基地であろう。
朝鮮の軍事力を過小評価する日本のマスメディアの罪は、実に重いのだ。
アメリカは朝鮮との「弾道ミサイルの撃ち合い」では勝算が得られぬので、奇襲攻撃で朝鮮の「攻撃力」を叩き、戦局を有利に運ぶための方法を考えた。
戦争は往々に、奇襲によって開戦されるのが常。
「弾道ミサイル」などの強力な「特殊兵器」が備わる現代戦においては、いかに相手よりも先制を取り、致命的一撃を喰らわせるのかが、勝利を定めるキーポイントと成る。
アメリカは奇襲に基く先制攻撃の一環として、「B-52爆撃機」を朝鮮半島に派遣した。
アメリカは米・韓軍事演習期間中、グァムの米軍基地より「B-52爆撃機」を発進させ、朝鮮半島に「模擬爆弾」を投下する訓練をした。
それを観た朝鮮は、今後再び「B-52爆撃機」が韓国(南朝鮮)に飛来したら、躊躇無くそれを撃ち落とすと宣言した。
「訓練」くらいに朝鮮が過敏に反応したと思われるかも知れぬが、朝鮮がそこまで注意深く「B-52爆撃機」を牽制するのには訳がある。
アメリカの核の三大兵器(弾道ミサイル、B-52爆撃機、原子力潜水艦)の一角である「B-52爆撃機」は、水爆を搭載したミサイルを20機も抱えて飛ぶことが出来る。
「B-52爆撃機」が空中で放つ巡航ミサイルは時速980kmで2,500kmの距離を飛ぶ。
「B-52爆撃機」が抱えたミサイルをすべて発射すれば、一国に限らず、その地域の国々までもが生存不可能な深刻な状態に陥るほどの壊滅的状況が齎される。
訓練と称して、「B-52爆撃機」がグァムから韓国目指して飛行して来るとき、「B-52爆撃機」が「抱えるもの」が、訓練用の模擬弾なのか、実戦用の水爆なのかの判断は朝鮮には出来ない。
つまり朝鮮には、それが「訓練」なのか「実戦」なのか、見極める術がないのだ。
「訓練ですから」などと朝鮮を油断させておいて、アメリカが奇襲的に水爆ミサイルを発射すれば、朝鮮とアメリカにおける対決戦はアメリカの勝利に大きく傾く。
朝鮮人民軍防空ミサイル部隊は、「B-52爆撃機」の奇襲攻撃を封じる事が最大の任務であるので、「B-52爆撃機」がミサイルを発射できる正常な高度で飛行し、水爆ミサイル発射の射程距離まで到達した時、躊躇無くそれを撃ち落とすことが命令で義務付けられている。
朝鮮が、「B-52爆撃機」が再び飛来したら撃ち落とすと宣言したのは、「威嚇」ではなく「本気」だ。
アメリカは、虎の子の「B-52爆撃機」が、朝鮮の防空ミサイルで撃破されることを避けるため、自分には「戦意」が無いことを朝鮮に向けてあからさまに示す必要があった。
その方法が、「B-52爆撃機」の超低空低速飛行。
水爆ミサイルの発射態勢が取れない超低空低速飛行をすることで、「自分は低く飛んでいますよ」「水爆ミサイルは発射しませんよ」などのメッセージを、朝鮮のレーダー部隊に伝えながら、「B-52爆撃機」は恐る恐る米・韓軍事演習に参加した。
韓国のマスメディアが訓練中の「B-52爆撃機」を捕らえた報道写真で、機体全体をやけに鮮明に写すことが出来たのは、アメリカが超低空低速飛行の命令を出したから。
所謂、ビビッたのだ。
アメリカは、朝鮮が本気で「B-52爆撃機」を撃ち落すことに恐れをなした。
アメリカは、朝鮮がどの様な「兵器」で、「B-52爆撃機」とそこから発射される巡航ミサイルを撃ち落すのかも良く知っている。
現在、ロシア軍が実戦配備した最新型迎撃ミサイルS-400が、世界最強の迎撃能力を持つらしい。
S-400は、その射程距離が400km、高度は185kmまで上昇し、マッハ12の超高速で敵の巡航ミサイル目掛けて飛んでいく。
朝鮮はこれよりも若干性能が落ちるS-300を2010年10月10日の閲兵式で公開し、2012年4月14日に開館された朝鮮人民軍武力装備館にその模型を陳列した。
その後の2012年5月3日、朝鮮人民軍最高司令官は、防空ミサイル部隊を視察したその席で、最新型迎撃ミサイルに関する指導をされたと報道には流れたが、その報道写真にはミサイルを運ぶ発射車両の一部だけが公開され、ミサイルの全体写真は非公開にされた。
最高司令官が指導した最新型迎撃ミサイルが、2010年10月10日に世界に公開され、2012年4月14日に武力装備館に陳列されたS-300であるのなら、報道写真があれほどまでに「気を使う」必要はない。
世界の国々においても、記念館などに陳列される「兵器」は、一世代・二世代も前のもの。
最新型は非公開であるのが、軍事の常識であろう。
そういう意味で朝鮮は、ロシアが自慢するS-400型最新迎撃ミサイルの性能に順ずる、朝鮮式の最新型迎撃ミサイルを実戦配備したと見るべきが正解だ。
軍事大国の中国でさえ、S-400級の迎撃ミサイルは独自開発できていない。
朝鮮は現在、攻撃面に限らず防衛面においても、軍事大国と肩を並べている。
なのでアメリカは、「B-52爆撃機」を超低空低速飛行で訓練せざるを得なかった。
とどのつまりアメリカは、「特殊兵器」を使用した戦争では朝鮮に勝てない。
勝てないので戦争は出来ない。
何度も言うが、朝鮮半島の平和は、朝鮮の軍事力で保たれているのだ。
韓 浩錫先生は、「特殊兵器」と並べて「通常兵器」における朝・米対決戦でも、朝鮮はアメリカに勝つとの分析を示した。
韓先生は、朝・米開戦後3日で決着がつくとしたシナリオを作成し、それを朝鮮メディアが動画で公開した。
「3日で終わる短期即決戦」
・短期即決戦1日目
朝鮮人民軍4個前方軍団・砲兵部隊は、発射命令を受けた瞬間から30分間、240mm放射砲・長距離砲250,000発、地対地短距離ミサイル1,000発を米・韓連合軍基地に「夕立」のように浴びせる。
朝鮮人民軍砲兵部隊の一斉射撃は、米・韓連合軍への先制打撃となる。
時を合わせて、朝鮮人民軍4個前方軍団の特殊部隊・軽歩兵部隊50,000人は、米・韓連合軍後方の空軍基地、海軍基地、レーダー基地、ミサイル基地、発電所、空港、港湾などを奇襲攻撃する。
朝鮮人民軍最精鋭部隊の「暴風軍団」は、韓国のソウルをはじめとする主要都市に進入し、占領しては、滞在するアメリカ人150,000人を捕虜とする。
狭い領土の朝鮮半島の戦争では、後方地域に対する朝鮮人民軍特殊兵力の浸透・奇襲作戦は、米・韓連合軍に決定的な打撃を与えることになる。
朝鮮人民軍の一斉射撃を受ける米・韓連合軍歩兵部隊は、退避する坑道に辿り着くことも出来ず、壊滅状態に陥る。
米・韓連合軍の攻撃ヘリは離陸もできず、駐機場に停めたままの状態で破壊される。
人民軍航空軍は、混乱する米・韓連合軍の機甲部隊を、空対地ミサイルと誘導爆弾で破壊する。
・短期速決戦2日目
朝鮮人民軍が南進総攻勢を開始する日だ。
朝鮮人民軍航空陸戦旅団・兵力10,500人が、南側大都市80m上空から低空降下を開始し、韓国軍後方部隊との市街戦を繰り広げる。
韓国軍後方部隊は、特殊訓練を受けた朝鮮人民軍人特殊部隊との交戦で勝てる見込みはないと思われる。
同時に、朝鮮人民軍4個機械化軍団は、戦車4,600台・装甲車3,000台で波状攻撃を仕掛ける。
軍用輸送車に搭乗した人民軍歩兵部隊は、南側の各都市に進入し、韓国軍後方部隊を散発的に一掃する。
朝鮮人民軍は短期速決戦を立体的に開始し、米軍太平洋司令部の主要戦力を、強力な大量破壊兵器で先制攻撃し瞬く間に制圧する。
・短期速決戦3日目
退避する場所もないソウル市・地方都市は大混乱に陥る。
電気供給、飲料水供給、食料供給、都市ガス供給、車両の燃料供給、交通網、通信網、放送網などのインフラのすべてが遮断される。
この日、実際に戦闘はなく、朝鮮人民軍が占領地域で治安を維持しては、供給システムを修復する「安定化作戦」が開始される。
このように、朝鮮人民軍の統一大戦シナリオは3日以内に終わる戦争シナリオだ。
米軍司令部が、何度も戦争のシナリオをシミュレーションしても、その結果をマスコミに公開しない理由を知ることができる。
………
韓 浩錫先生のシナリオを信じるか否かは読者の判断に任せるが、ひとつだけ確かな事は、アメリカは朝鮮には「勝てない」と言う事だ。
アメリカのヘーゲル国防長官は3月28日、「朝鮮指導部の意図が読めない」とアメリカの正直な心境を赤裸々に明かした。
強敵との対峙において、相手の腹も読めぬようでは、戦争をする前から既に敗北宣言したも同じだ。
相手の次の出方を読めてこそ初めて、相手の更なる上を行く対応策を練れるというものだろう。
私には、朝・米対決はすでに決したように思えてならない。
ヘーゲル氏の発言は、それを占う絶好の資料である。
朝鮮は必ず勝利する。
それは科学である。