1日20万件のPCR検査能力が日本に必要な理由

政府コロナ分科会の小林慶一郎教授の提言

ときに誤解も拡散されるオンラインニュースの時代。解説部コラムニスト7人がそれぞれの専門性を武器に事実やデータを掘り下げてわかりやすく解説する、東洋経済のブリーフィングサイト。画像をクリックするとサイトにジャンプします

――MMT(現代貨幣理論)の論者など一部は、「財政赤字は怖くない」と強調する向きがありますが、どう考えますか。

確かに、「国債を大量に発行しても、誰かが買ってくれて保有するのなら大丈夫」というMMTの主張はそのとおりだと思う。ただMMTに抜けているのは、物価水準がどう決まるかということだ。過去の経験から言うと、財政への不信感が高まれば、物価は上がる傾向にある。MMTはそこについて何も言っていない。物価が上がれば、そのときは増税すればいいと言っているだけだ。

――金融政策では現在、グローバル金融危機防止のため、各国中央銀行が異例の資金供給拡大を断行しています。それにより、クレジットリスクなどが潰されているため、投資家が過大なリスクテイクを行うことへの懸念も高まっています。

ここまでマネーがジャブジャブだと、株価はすでにバブルに近いだろう。経済のファンダメンタルズから見れば、もっと下がっていてもおかしくない。このままいけば、アフターコロナで異例の金融政策が手じまいとなる段階になると、株バブルの崩壊が起きかねない。

コロナ危機の間に株価をソフトランディングさせることが望ましいが、しかし、大幅な株価下落となれば元も子もない。実体経済のパフォーマンスが悪いため、資金の逃げ道として国債や株式に向かっている面がある。中央銀行にとって非常に難しい舵取りになっている。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
  • 日本野球の今そこにある危機
  • コロナ後を生き抜く
  • コロナショック、企業の針路
トレンドライブラリーAD
トレンドウォッチAD
香港問題めぐり米中激突<br>加速するデカップリング

6月30日、「香港国家安全法」が施行されました。「一国二制度」の下での高度な自治が失われたとして、西側世界と中国の対立は一気に深まっています。米中経済の分離は、サプライチェーンの見直しなど、グローバル企業にも大きな変化を迫りそうです。