コロナ危機でわかった、日本の学校に教職員が「23万人以上足りない」現実

「令和の学校教育」に向けて必要なこと
広田 照幸 プロフィール

コロナ前の段階で既に手一杯だった学校は、こうした新しい課題に対応できるノウハウがないだけでなく、今の限られた数の教職員では対応しきれないのが、残念ながら当たり前なのです。

今の学校が保護者からの期待に十分に応えられていない大きな理由は、いろいろ工夫をしたり、個別に配慮したりするだけの余裕が教職員の側にないということが大きいと思います。本当に残念な状況です。

限られた人数の教職員でたくさんの子どもを受け持ち、目の前に起きている新たな事態に対処し、同時に、学校再開後の準備をし、さらに長期的な教育課程の組み換えなどが求められてきているわけで、教職員はいま、大変な苦労をしているといえます。

世間の人たちから見ると、「学校は何をやっているんだ」と不満に思う部分があるかもしれませんが、事態を改善するためには、私たちは、どうやって大変な状況にある教職員を支えていけるのかということを、考えないといけません。

 

ポスト・コロナ時代を見据えて

日本の学校は、今、分かれ道に来ています。私たちは、「昭和の学校教育」のイメージを払拭して、「令和の学校教育」に向けて学校を作り変えていく必要があります。それは次のようなイメージです。

第一に、クラスの集団に「チョーク&トーク」で教えてきた授業から、一人ひとりの児童・生徒に丁寧に手をかける教育へ。少人数でのグループ学習やICTを活用した調べ学習なども増えてほしい。クラスサイズは小さくしつつ、一斉授業―グループ学習―個別学習を有機的に組み合わせた学習が展開されているような学校のイメージです。

第二に、教職員の善意による超過勤務でかろうじて支えられてきた学校から、教員に創意工夫や個別指導に時間を割く余裕がある学校へ。そして、コロナ禍で出てきた膨大な課題に慌てふためく学校から、諸課題に手厚く対処できる学校へ。

専任教員を増やして持ちコマ数を減らし、勤務時間中に教材研究や個別対応がもっとできるようにする。学習指導員のような特別なスタッフが、学びの遅れた子を対象に、放課後や土曜日に学力補充プログラムやオンライン指導をする。日々進化しつつあるICTを活用し続けるための専門のスタッフが教員の仕事や児童・生徒の学習をサポートする――そんな学校のイメージです。

こうしたイメージの学校に向けて変化していけるのか、それともコロナの流行が収まったら、元の学校に戻るのかが問われています。