コロナ危機でわかった、日本の学校に教職員が「23万人以上足りない」現実

「令和の学校教育」に向けて必要なこと
広田 照幸 プロフィール

手一杯で何とかやってきていた教職員

「教室での授業で勝負」という日本の教育の特徴は、もともと、クラスの児童・生徒の人数が多いために、必然的に生まれたものだったと言えます。

欧米ではずいぶん以前からクラスサイズが小さくなり、個別指導やグループ作業が多用されてきたのに対して、日本では今でも小2~中3は40人学級のままなのです(小1は35人)。

だから、少人数の指導ができないからこそ、教員は長い間、一斉授業の「チョーク&トーク」の技術を磨くしかなかったわけです。

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実際には、教育の原理的な考え方は、1980年代以降、大きく変わりました。臨時教育審議会(1984〜87年)が「個性重視の原則」を打ちだして以降、一人ひとりの子どもに目を配る教育や個々の子どもに考えさせ表現させるような教育が推奨されるようになりました。「教育の質を高めよ」という教育改革です。 

しかしながら、教職員定数の抜本的な改善はなされてきませんでした。ここに大きな問題がありました。

教育改革のたびに教職員の仕事は増えていきました。多くの教職員が過労死ラインを超える超過勤務を強いられる学校が、結果として生まれてしまったのです。

コロナ禍が発生する前の時点で、すでに日本の学校の教職員は、残業手当も支払われない長時間労働で、何とか学校の日常業務を支えるという構図になっていたのです。