コロナ危機でわかった、日本の学校に教職員が「23万人以上足りない」現実

「令和の学校教育」に向けて必要なこと
広田 照幸 プロフィール

コロナ禍による業務の増大

休校明けの学校は、今までにない膨大な仕事を抱えることになってしまいました。教室での授業を中心に、限られた教職員数で目一杯の仕事をしてきたので、再開後の学校の仕事の増加に対応できない事態が生まれてしまいました。

まず第一に、例年の学校がやってきた学習指導をやらないといけません。休校していた期間の遅れを取り戻すため、内容を精選したり教材を作り直したり、教え方を変更したり、スピードを上げたりなどの見直しがなされ、混乱を伴いながら授業が再開されてきています。しかし、今の学校が直面しているのは、それだけではありません。

第二に、再開後の学校に固有のさまざまな雑用や、第二波・第三波の感染拡大に備えた準備が教職員の負担になっています。消毒や清掃、児童・生徒の健康チェックや誘導・見守りなどの膨大な作業が生まれています。来ない・来られない子どもへの対応、ICTの活用に向けた試行錯誤や、分散登校/家庭学習の指導などによる指導業務の増加も生じています。今の学校は、圧倒的に人手が足りません。

〔PHOTO〕iStock
 

第三に、2020年度から新しい学習指導要領への対応が始まっています。「主体的・対話的で深い学び」への転換が求められていて、内容や教え方の工夫を考えなければならないはずですが、それには本来、日々の充分な時間的余裕が必要なはずでした。

第四に、時間をかけて子どもたちの学習の遅れを取り戻し、学力の格差を埋めていくための見直し作業も学校で進めていかねばなりません。文科省は、2020年5月15日に通知を出して、年度を超えたカリキュラムの組み換えや、行事計画等の見直しを認め、特に遅れた子どもへの個別指導を求めています。ここでもまた、膨大な課題を学校が抱えることになっています。また、コロナの流行が収まっても、学力補充教室や個別指導などでの子どもたちの学びの遅れや学力格差の問題への取り組みは、何年も先まで続けていくことが必要なはずです。