コロナ危機でわかった、日本の学校に教職員が「23万人以上足りない」現実

「令和の学校教育」に向けて必要なこと
広田 照幸 プロフィール

日本の教育の強みとは?

日本の学校・教員は、長い間、学習指導要領や教科書に準拠しながら、学校に来る子どもたちを相手に、教室の場でどう教えたらいいのかについての技術を磨いてきました。

明治期に導入された「五段階教授法」、大正期に登場してきた「学級王国」という考え方、戦後の「学級づくり」「学級集団づくり」の実践、さらには最近の「板書学」なるものに至るまで、教師はクラスの子どもたちを集団としてとらえ、その集団にいかに効果的に学習をさせるかについての技術を磨いてきました。

それは、確かに世界に誇ることができる水準です。たとえば、教員がお互いに授業を見せ合って批評を受けながら教授技術を磨く「授業研究」という研さん方法は、「レッスンスタディ」(lesson study)という英語になって、世界の多くの国に導入されて行っています。

 

コロナ禍で露呈した「弱点」

ところが、「教室での授業で勝負」という日本の教育のこの強みが、新型コロナウイルスによる長期休校によって、逆にさまざまな弱点を露呈することになったのです。

長期休校とか、分散登校とかといった事態では、教員はこれまでのノウハウやスキルがそのままでは使えないからです。

たとえば、「チョーク&トークで十分学力を保障できる」とICT技術の活用を毛嫌いしてきていた教員は、長期休業であわててICT機器の活用やオンライン学習のノウハウを学ぶしかなくなりました。

また、「宿題」はあくまでも補完的なものだったので、家庭での「自学自習」を児童・生徒に上手にやらせる技術も磨いてきていませんでした。

個別の学習指導を丁寧にやるといった側面も、日本では軽視されてきていたため、長期休業による個別対応の必要性に直面して、多くの教員は戸惑うことになりました。