大学での様々な出会いが
世界を広げてくれた

中高一貫校の国立大学進学コースで学んでいた高校1年生のとき、国民的アイドルグループ「乃木坂46」の一員として活動を始めた山崎怜奈さん。受験と仕事の両立という想像以上にハードな時期を乗り切り、現在は慶應義塾大学の4年生として多忙な日々を送っている。自分にしかできないものを見つけたい――。進学の動機ともなったその思いに、答えは見つかったのか。大学生活で得たものは計り知れないと語る山崎さんに、大学での学びや魅力を聞いた。

INTERVIEW
山崎 怜奈さん
乃木坂46・慶應義塾大学4年生
やまざき・れな/1997年生まれ。慶應義塾大学に在籍しながらアイドルグループ「乃木坂46」の2期生として活躍。ひかりTVチャンネル+「乃木坂46山崎怜奈歴史のじかん」、bayfm「金つぶ」など、テレビやラジオのレギュラー番組に出演中。

人間関係も考え方も
ケタ違いに広がった

 大学では、乃木坂46の山崎怜奈ではなく、一人の学生としてありのままの自分を出しています。仕事をしながらの学生生活なので、授業以外の時間を大学で過ごすことがなかなかできないのですが、仲間と協力しながら調べ物をしたり、下級生のサポートをしたり、毎日とても充実しています。どうやらキャンパスでは誰も私のことをアイドルと思っていないみたい(笑)。
 高校1年生のときから乃木坂46で活動し、早くから社会との接点を持ってきたつもりでした。でも、大学にはケタ違いの出会いがありましたね。いままでになかった価値観、思いつかなかったような発想法、その道の第一人者である先生方、新しい世界にどんどん飛び出していく友人たち。そのどれもが新しく、これまでよりはるかに視野が広がりました。
 高校までの学びは、大人が守ってくれる分、ある程度決められたスケジュールで勉強をしていた気がします。でも、大学では好きな講義を選べるし、自由な時間も確保できるので、やりたいことをとことん突き詰められます。「幅広い教養を身につけたい」でもいいし、「もう少しこの分野を深めようかな」でもいい。そんなふうに勉強のスタイルを自分なりに決められるのも大学ならではだと思います。
 実際、私もレギュラー番組の収録がある曜日を避けて授業を選択しているのですが、慶應義塾大学では所属している学部以外の講義も履修できるので、条件に合う中から好きな授業を選べるのはありがたいですね。その分、すべてを自分でコントロールしなければならないのですが、社会人としての生活と学生としての生活をリンクさせやすいので、とても自由度が高くなりました。
 もちろん、大変なこともあります。仕事との兼ね合いで時間が取れないときは、徹夜で課題を仕上げたり、移動中にレポートの構想を練ったり。それでも続けてこられたのは、つらさより得るものの方が大きかったからだと思います。

活動を休み受験勉強
重圧との闘いだった

 もともと新しいことを知るのが好きで、小さな頃から「なんでだろう?」と思ったらすぐに調べたり大人に聞いたりしていました。虹はなぜ七色なのか、そもそも本当に七色なのか。私にとって勉強は、机に向かうものというより、不思議なこと、疑問に感じたことを解決するためのものだったんです。そうやって楽しみながら学ぶ習慣が身についていたせいか、勉強へのアレルギーは少なかったですね。
 だから自然と大学進学を考えるようになったのですが、仕事がどんどん忙しくなって、一時は進学を諦めかけたこともありました。そんなとき事務所の人が「勉強が好きなら、いままで培ってきたことを無駄にするな」と後押ししてくれたんです。それで夏の3カ月間は受験勉強に専念するためアイドル活動を休止し、朝から晩まで学校と塾に通いつめました。
 仕事を休んでまで受験勉強をしていたので、受からなかったらどうしようというプレッシャーはすごかったですね。しかも受験シーズンはすでに仕事に復帰していたので、落ちたらみんなに顔向けできないという思いもありました。結果的に、いくつか受けた中で一番魅力を感じていた慶應に入ることができたのですが、集中して受験勉強をした期間が短かったのに合格できたのは、高校1年生から大学の過去問を解くなど、多少なりとも蓄積があったからかもしれません。

受験を乗り越えて
見えてきたもの

 大学に入ってからの方が、明らかに知識を柔軟に吸収できるようになりました。その中で新たに興味を持つようになったのが、国際関係論やジャーナリズム論です。入学前は衣装の素材について研究したいと思っていたのですが、友人の勧めで受けた国際関係論の授業がおもしろく、気づけば全然違う方向に進んでいました。
 学んだことが実社会で生かせるという手応えも感じています。レギュラー出演しているラジオでは、ゲストによってラフな話題のときもあれば、国際情勢にまで話が及ぶときがあるのですが、「知らないからゲストに教わればいい」ではなく、ある程度自分で調べてから本番に臨みたいと思うようになりました。
 言葉の選び方も、発言するときの立ち位置も、大学の授業で身につけたものです。例えば、あるテーマについて賛成か、反対かをリスナーから募集した場合、私はパーソナリティーなのであくまでも中立の立場で話さなければなりません。賛成意見と反対意見がどういうバックグラウンドで生まれているのか、それぞれが主張したいポイントは何なのか。仮に自分とは違う意見であっても、理解した上でリスナーにわかりやすく伝えるのが私の役割です。そのための情報処理能力も、大学のディスカッションで鍛えられました。
 それに、どんなにつらくても私よりずっとハードな生活をしている友人がたくさんいるので「頑張らなきゃ」と思えます。形は違えども、それぞれが自分にできることを一生懸命やっている。私も甘えてはいられない、ここでくたばってる場合じゃないと、前向きな力をもらっています。
 受験勉強は思い出すだけでもつらいです。でも、振り返ればそこで得たものは大きかったと思います。4年生になり卒業論文に追われる毎日ですが、これからはいまあるものをしっかり守りつつ、報道や執筆など新しいジャンルに、私なりのエッセンスを生かして挑戦できたらと思っています。(談)

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