マスク着用義務化、米の過半州に 反対派も方針転換

新型コロナ
北米
2020/7/18 5:12 (2020/7/18 11:24更新)

マスク義務化の広がりを受け様々なデザインの商品が出回るようになった=ロイター

マスク義務化の広がりを受け様々なデザインの商品が出回るようになった=ロイター

【ニューヨーク=中山修志】米国でマスクの着用を義務付ける動きが強まっている。今週に入ってアーカンソー州やコロラド州がマスクを義務化し、17日までに過半の28州に広がった。新型コロナウイルスの再拡大を受け、これまで義務化に反対していた州知事らが方針を転換している。

15日にアラバマ州、16日にアーカンソー州とコロラド州が公共の場でのマスク着用の義務化を発表した。米国ではニューヨーク州やカリフォルニア州などが早くからマスクを義務化した一方、個人の自由を尊重する意見も多く、フロリダ州やミネソタ州など20以上の州では義務がない。

マスクを外してトランプ大統領を出迎えるジョージア州のケンプ知事(15日、米アトランタ)=ロイター

マスクを外してトランプ大統領を出迎えるジョージア州のケンプ知事(15日、米アトランタ)=ロイター

米メディアによると、トランプ大統領はテレビの事前収録で、全米でマスク着用を義務付けるつもりはないと語った。同氏や支持者の一部がマスク着用に消極的なこともあり、共和党系の知事が義務化に反対するケースが目立つ。

オクラホマ州のスティット知事(共和党)は15日に新型コロナウイルス検査で陽性反応が出たが、地元メディアによるとマスク義務化には引き続き反対している。

米国ではマスク着用を拒む人も少なくない(フロリダ州のバー)=ロイター

米国ではマスク着用を拒む人も少なくない(フロリダ州のバー)=ロイター

マスク論争の象徴的な事例がジョージア州だ。同州のケンプ知事は州都のアトランタ市などが決定したマスク義務化を無効とする知事命令に署名し、州の方針に反したとして16日にアトランタ市長を提訴した。

これに対し市民や有識者らから批判が噴出。ケンプ氏は17日になって、少なくとも4週間はマスクを着用するよう一転して住民に呼びかけた。一方、マスク義務化の無効は撤回せず、「マスクが有効なことは明らかで、義務化は必要ない」と主張した。

全米の新型コロナの新規感染者数は16日に約7万7000人と過去最多を更新した。米疾病対策センター(CDC)は14日の声明で「マスクの有効性は裏付けられている」と国民に改めて着用を求めた。

カリフォルニア州の海岸では来訪者にマスク着用を呼びかける=ロイター

カリフォルニア州の海岸では来訪者にマスク着用を呼びかける=ロイター

米ワシントン大学は全米でマスク着用を義務付けた場合、着用義務を緩和した場合と比べて11月までの死者数を約5万8000人抑えられると試算する。米紙ワシントン・ポストとABCテレビの7月半ばの世論調査では、79%の米国民が家の外でほとんどの場合にマスクを着用していると回答した。

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