WHOの調査は武漢市などで実施される可能性がある(5月、武漢市の鉄道駅)=ロイター
【パリ=白石透冴】世界保健機関(WHO)は17日、新型コロナウイルスの発生源調査などのため中国に派遣を進めるチームについて、7月中の本格的な調査開始は難しいとの見通しを示した。中国が入国者に課す検疫措置や、派遣する専門家との調整で時間がかかるためという。
WHOの緊急事態対応の責任者マイク・ライアン氏が記者会見で「7月中に現地で本格的な調査をするのは非現実的だ。純粋に計画や感染リスクの管理に時間がかかることが理由だ」と語った。
WHOは既に2人を中国に派遣している。動物から人に感染した経緯などを調べるためで、次の大規模な感染症を防ぐなどの目的がある。さらに専門家を集め、多数の感染者が確認された中国・武漢市などで調査を進める可能性がある。
一方、ライアン氏は感染者200万人以上、死者7万6千人以上が出ているブラジルについて「以前のように感染者が2倍になっていく状態ではない。爆発的な伸びにはなっていない」と語った。ただ「勝手に収束していくという保証はどこにもない」とも付け加えた。
世界の新型コロナ感染者は増え続けており、米国、インド、ブラジルなどで深刻だ。欧州ではいったん感染が落ちついた国でも再び増える兆しがあり、「第2波」への懸念が高まっている。