【ロンドン=中島裕介】英国のジョンソン首相は17日、新型コロナウイルスに関して10月末までに1日50万件の検査体制を目指すと表明した。18日から地方自治体に、特定の施設の閉鎖やイベントの中止を命じる権限も与える。経済活動の再開と秋以降の第2波への対応を両立させる狙いだ。
ジョンソン氏は首都ロンドンがあるイングランドに適用される今後の経済再開策と、感染再拡大への対応策の両面を説明した。
ジョンソン氏は直近の検査能力について、抗原検査やPCR検査など「いまウイルスに感染しているか」を調べるもので1日20万件まで高まっていると指摘した。英政府はこれを10月末までに50万件へ引き上げて、季節性のインフルエンザと新型コロナの流行が混在しても、患者の識別や対応を迅速にできるようにする方針だ。毎週全人口の5~6%ほど検査できる計算になる。
地域限定の封じ込め策に重点を移して、経済に打撃を与える英全土での再度の都市封鎖の回避も図る。地方自治体に施設の閉鎖などを判断する権限を与え、局所ごとの集団感染の発生を防ぐ。自治体全体への外出制限や経済活動の停止の発令は国が判断する。英政府が6月末に実施した英中部の地方都市レスターの封鎖では、感染拡大阻止の効果が出ているという。
経済活動の再開策では8月からボウリング場やカジノなどのレジャー施設の営業を認めるほか、10月から競技場でのスポーツ観戦を可能にすると発表した。一方でナイトクラブなどの「夜の街」の業種では営業停止を続ける。
労働者に対しては、これまで在宅勤務を奨励していたが、8月から雇用主と相談のうえで職場に戻るかを検討するよう求めた。ジョンソン氏は「クリスマスに間に合うよう、早ければ11月から正常な暮らしに戻したい」と語った。
欧州最悪の約4万5千人の死者を出した英国では、ピーク時には1日あたり約6千人の新規感染者が出ていた。7月に入ってからの日々の新規感染者は500人前後に落ち着いている。