Interview
壁打ち役 : 木内一朗
2018.2.16 Post
Dayzでは経営者の“壁打ち役”として活躍している木内さん。現在は6社のクライアントを抱えつつ、独自の働き方を実践されています。また、過去の経歴もとても特殊です。
そんな木内さんは、仕事を自らの「作品」であると語ります。その真意はどこにあるのでしょうか。週1ワークのようなスタイルの働き方についても含めて、お話をうかがいました。
─ 木内さんはどのようにして週1ワークをはじめられたのですか?
木内:もともと私と代表の玉城さんとは知り合いでした。別件でいろいろと相談を受けていくなかで、「仕事として一緒にやっていただけませんか?」と打診されまして。それからは、いわゆる週1ワークとして携わるようになりました。
Dayzでの業務は、玉城さんの壁打ち役、つまり話を聞き、その話を整理し、最終的には経営の方向性についてアドバイスしています。“経営上のナビ役”とでも表現すればいいのでしょうか。
たとえば、玉城さんが経営上の判断で悩んだとき、僕が話を聞く。代表の玉城さんが航海長だとすれば、私は地図を見ながら進む道筋を助言する係です。俗に言うコンサルタントです。便利屋とも言えるかもしれません。
─ 勤務体系についてはどのようなスタイルなのですか?
木内:私の場合は、月に1回の勤務が基本です。月に1回だけ出勤し、経営の数値や状況をヒアリングし、玉城さんと一緒に方向性を考えていきます。場合によってはブレイン・ストーミングや議論を促すこともあります。
ブレイン・ストーミングでは、私がファシリテーターとして参加することで、議論の方向性に道筋がつきやすくなるよう心がけています。このような場面は定期的ではなく、必要に応じてその都度呼ばれ、臨時出勤の形になります。
─ 週1で換算した場合、勤務時間はどのくらいになりますか?
木内:そうですね……。月単位で計算すると、おおむね4~5時間ほどでしょうか。他の週1ワークをされている方よりは少ないと思います。その中において、可能な限りのパフォーマンスを発揮できるようにしています。
他の方の行っている週1ワークが、短期間でバリューを出せるようになると月1ワークになります。いわゆるコンサルタントの方々の働き方と一緒ですね。そういったキャリアを積みたい方のトレーニングにもなると思います。
─ 特殊な働き方をされている木内さんですが、もともとは何を専門に仕事をされているのですか?
木内:決まったキャリアがあるわけではありません。過去、さまざまな仕事に携わってきました。それこそ、魚の卸業者から家具屋、建材メーカー、飲食店、あるいは中国企業など。ともに仕事をしてきた企業は多種多様です。
経歴を遡ると、もともとはシステム設計屋としてスタートし、そこから経営まわりに携わるようになったイメージでしょうか。これまでの経験を活かしつつ、頼まれた仕事はなんでも引き受けてきましたね。
─ だからこそ、経営の壁打ちやアドバイスができるのですね。木内さんによって月1ワークはどのような位置付けとなりますか?
木内:ひとつひとつの仕事が、僕から見るとある種の“作品”です。フィールドと言ってもいいかもしれません。いつも気にしているのは、事業そのものの成功に加えて、「中にいる方が自分らしく生きていけるか」ということです。
幸せとまでは言いませんが、好循環を生み出すことをかなり意識しています。世の中に価値を提供し、働いている人は楽しんでいて、そしてきちんと儲けていること。それが作品の理想像となります。
私が携わっている段階は、まさにその理想像を構築する準備段階です。準備段階からともに作品を育てていく。月1ワークのような形態でともに仕事をしていることについては、他のクライアントも含めて、そのように考えています。
─ 準備段階から会社をともに育てていく。
木内:イメージとしては“子育て”に近いかもしれません。ひとつひとつの会社はどれも違いがありますから。子どもと同じです。もちろん、できるだけ早く成長していただけることが理想ではありますけどね。
─ Dayzでの月1ワークも含めて、現在のような働き方をされている理由を教えてください。
木内:逆説的かも知れませんが、僕が玉城さんの代わりになって事業を切り盛りするのは適切ではないと考えています。年齢もありますし、体力のこともあります。だからこそ、事業化に真剣に取り組み、頑張っている人を応援しているのです。
頑張れる人を支援するスタイルであれば、1つの企業だけでなく、いくつもの企業に携わることが可能です。これから先、働き方が多様化していく中において、私のような発想をもつ人は増えていくのではないでしょうか。
インターネットの黎明期。将来、インターネットが爆発的に普及することは、業界の人からすれば必然だと思われたことでしょう。ただし、いつ、何をきっかけに弾みがつくのかは誰にも分かりませんでしたが。働き方の多様化も、それと同じです。いつ、何をきっかけに広がるから分かりませんが、いずれ必ず訪れます。
─ まさに、時代の流れに沿っているのですね。そのような働き方をはじめるコツなどはありますか?
木内:はじめるコツとしては、リスクのない状態で着手してみることです。たとえば会社員として雇用されつつ、別の仕事にも携わってみる。大切なのは一気にシフトしないことです。向いているかどうかも分からないのですから。
そのようにしてリスクを回避しながら、自分の向き不向きを探ってみることからはじめるといいのではないでしょうか。そういった活動を経ることで、自分が本当にやりたい仕事も見えてくると思います。
─ 一方で、続けていくコツについてはいかがでしょうか?
木内:どこで何時間、自分が働いているのかをきちんと記録しておくことですね。働いている時間に対して、案件ごとに時給換算で報酬を把握しておく。それをしておかないと、もしものときに対処できません。
たとえば、東日本大震災が発生したとき。僕は自分の仕事を計測できるようにしていたので、取引先とも交渉することができました。自分の仕事が数字で分かれば交渉もできますが、そうでなければ難しい。
もっとも、頻繁に確認する必要はありません。3ヶ月に1回ほどのペースで、自分の仕事と報酬を把握しておけばいいのです。そのためには、過去のスケジュールとメモを残しておくこと。そうすれば、いつでも振り返れます。
─ いわゆる週1ワーク、月1ワークのようなスタンスで仕事をスタートされたのはいつからになりますか?
木内:今のようなスタンスで働きはじめたのは、2011年頃からです。現在では、同時に6社と仕事をしています。これまでの経験から、僕の場合は6社が限界ですね。それ以上だと多いし、それ以下だと少ない。
もちろん、仕事の量は人によって違うと思います。週1ワークというスタイルで考えると、平日は週に5日なので、5つぐらいがちょうどいいのかもしれません。5つであれば、曜日ごとに切り替えることもできるでしょうし。
─ 曜日ごとに切り替えるのはいいかもしれませんね。その他、複数の企業と仕事をする場合の考え方などはありますか?
木内:クライアントによって、仕事をする場所を変えるというのはアリだと思います。人間は空間と記憶が関係しているとも言われていますし。僕の場合であれば、A社の仕事は市民交流プラザで、B社は図書館でのように分けています。
切り替えることについては、良い面も悪い面もあります。きちんと切り替えていないと、仕事に集中することはできません。ただ、無理に切り替えないことによって、複合的な知見を活かすことが可能となります。良し悪しですね。
応募される方へのメッセージ
【リスクを減らしてはじめてみる】
木内:まずは、現在の仕事について考えてみることです。それに満足しているのであればそのまま継続すればいいのですが、そうでないのなら、なるべくリスクを減らして週1ワークをはじめてみるといいかと思います。
現在の収入は安定収入としてきちんと確保しておく。そのうえで、やりたい仕事にも週1ワークのようなスタイルで挑戦してみる。そうすれば、自分に向いているかどうかが分かるはずです。ぜひ、いろいろな仕事にチャレンジしてみてください。
向き不向きというのは大事です。
とくに現在では、多くの企業が人手不足で困っています。働き手が足りない状況はまだまだ続くでしょう。だからこそ、自分がやってみたいと思う仕事に取り組めるチャンスであるとも言えそうです。