6月17日、早朝から夕方にかけて宮城県上空に突如、出現した“謎の白い物体”。

白色の気球状の物体に十字型の部品、さらに2基のプロペラも付いていた。当初は「気象観測のためのバルーンでは?」という憶測も流れたが、仙台管区気象台は「気象観測のためのバルーンは飛ばしていない」と回答。さらに国土交通省仙台空港事務所も「航空法に基づく届け出はどこからも出ていない」としていて、その正体は「謎」のままだった。

こうした中、情報収集にあたった宮城県の危機対策課が「未詳の浮遊物体に関する情報への対応」とする文書を取りまとめた。一連の対応を文書でまとめたものだ。下記はその一部。文書からは、県が各所への情報収集に尽力するも「白い物体」の正体がつかめず、時間が刻一刻と過ぎていく様子が分かる。

【宮城県対応状況】

08:20 仙台市危機管理室から「南西上空の飛行物体」照会で各地

08:30 仙台気象台及び宮城県警察本部に照会。

詳細不明・情報収集中との回答

09:08 消防庁国民保護運用室に対して概況を口頭報告(第一報)

09:10 第二管区海上保安本部に照会。詳細不明・情報収集中との回答

09:17 村田町から蔵王町役場方面上空を浮遊しているとの報告

09:30 東北大学から回答「東北大学所属のものではない」

09:37 国土地理院から回答「当院の機器ではない」

09:40 東京航空局仙台空港事務所から回答

「該当飛行物体の許可申請・届け出はない」

09:50 陸上自衛隊霞目駐屯地から情報なしとの連絡

10:09 村田町から同町役場上空を浮遊しているとの報告

10:10 陸上自衛隊東北方面総監部より情報なしとの連絡

10:35 村田町役場職員が岩沼市境で追跡を断念

10:40 県石巻合同庁舎より南方に視認可能との報告

11:15 名取市役所より東方に確認との報告。

現地の危機対策課職員も同様の報告

11:25 消防庁国民保護運用室に対して概況を口頭報告(第二報)

13:20 県石巻合同庁舎より南方海上を東に移動中との報告

14:00 県内市町村及び消防本部に対して落下物の有無等について照会

14:06 消防庁国民保護運用室に対して概況を口頭報告(第三報)

15:40 曇天のため、石巻合同庁舎からの視認が不可能になったとの報告

16:30 県内市町村及び消防本部からの報告とりまとめ「落下物・被害なし」

      消防庁国民保護運用室に対して概況を口頭報告(最終報)

17:00 市町村及び消防本部に対して報告とりまとめ結果をフィードバック

      宮城県の領域を退去し、かつ落下物等も確認されなかったことから

対応終了

さらに文書では、「白い物体」は高度3000メートル以上を浮遊していて、「県警ヘリコプター等での至近での接触は不可能であった模様」と記されている。その上で各所に問い合わせたが、有力な情報は得られなかったとして「所有者・目的などは不明である」と結論付けた。

一方で宮城県の村井嘉浩知事は定例の会見で「非常に気味が悪かった。あれだけの距離で視認できるということはかなり大きいものだ。危機管理という意識からは看過できない問題だ」としている。その上で「今後、また同じようなことが起きれば国に対して(対応を)強く要望する」としている。

宮城県が「所有者・目的不明」と結論付けた「白い物体」…釈然としないまま、事態に幕が下ろされることになりそうだ。