みなさんは寄せ木張り(よせぎばり)フローリングをご存知だろうか。寄せ木張りフローリングとは、小さなピースを一定のパターンに基づいて組み合わせたフローリングのことだ。上の画像に用いられているのは、その中でもヘリンボーン張りと呼ばれるもので、「ニシンの骨(英:Herring Bone)」にみえることからそう呼ばれている。ちなみに、日本では杉の葉に見立てて「杉綾(すぎあや)」と呼ばれている。今回はその歴史と製作の様子を紹介したい。
寄せ木張りフローリングの歴史は古く、16世紀にルイ14世が建造したベルサイユ宮殿がその起源といわれている。当時、床材として広く用いられていたのは大理石であり、木材ではなかった。しかし、大理石を床材として用いることにはちょっとした問題があった。床を清掃した際に水が基礎まで入り込んでしまう上に乾きづらく、基礎部分の腐敗が進みやすかったのだ。それと比較して木材は乾燥が早かったため、大理石に取って代わって寄せ木張りのフローリングが主流になったといわれている。
続いてその製作の様子だが、動画では職人が一つ一つ手作りしている様子を見ることが出来る。工作機械によって溝や突起を作り、それらをパズルのように組み合わせて作るのだ。釘や接着剤を使用しないのも大きな特徴の1つで、そのかわりに木で出来た釘を用いて固定する。
ゴシック建築全盛の時代に始まった寄せ木張り。その美しい幾何学模様は豪華絢爛なゴシック建築のなかでは目立たないものかもしれないが、もし、先程述べたようなベルサイユ宮殿などを訪れることがあれば、ぜひ床にも注目していただきたい。