医療機関の35%が夏賞与減らす 新型コロナで経営悪化

2020年7月15日 13時50分
 日本医労連が傘下の労働組合を通じた調査で、医療機関354のうち約35%が看護師らの今年夏の賞与(ボーナス)を昨夏より引き下げると組合側に示していることが分かった。東京都内の2医療機関が賞与支給はないと回答していたことも判明。新型コロナウイルスの感染者対応で生じたコスト増や、一般患者の受診控えなどによる経営悪化の影響とみられ、医労連の担当者は「医療提供体制を維持するため国の財政支援が必要」と話している。
 東京女子医大(東京)の教職員でつくる労組によると、大学側は経営悪化を理由に、労組に対し賞与ゼロと通知した。数百人の看護師が退職を希望しているという。大学は共同通信の取材に「回答を控える」とコメントした。
 医労連によると、13日時点で賞与の回答があった医療機関は約400。そのうち、支給月数ベースで昨年と比較可能な354機関をみると、約35%の122機関で引き下げると回答した。
 回答書には「法人始まって以来の損失金」(福島県の病院)、「4~5月で30億円近いマイナス」(都内の病院)、「現状のままだと、かつて経験したことのない経営危機に直面する」(沖縄の病院)といった記述もあり、医療機関の深刻な財政状況もうかがえる。
 一方、昨夏を上回る回答をしたのは約12%、42機関にとどまった。昨年と同水準の回答が約54%の190機関だった。
 日本病院会などの調査では、前年と比較ができる1203病院のうち、四月は66・7%(前年同月45・4%)が赤字だった。

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