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■ ウナギは絶滅しない種 ■ - 2014年7月 -
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●はじめに
ニホンウナギ(以下、ウナギ)は絶滅危惧ⅠB類(2013年2月に環境省版レッドリスト、2013年6月にIUCN版レッドリスト)として分類されました。
それにより絶滅危惧種の魚を、釣ったり食べたりすることは問題だ。
このままウナギを食べ続けると、近い将来に絶滅するのではないか、などの悲観的な意見が急増しました。
私は現在(2014年7月)の状況から判断して、絶滅どころか危機性も低いと考えています。
当ページは裏付け不足の内容、科学的な検証のない推測などを含みます。
それでも時節柄こうしたコラムを、早く世に出す必要性を感じました。以下、私の仮説を知って頂ければ幸いです。
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稚魚(シラスウナギ)

※ナショナルジオグラフィックより引用
ウナギ絶滅危惧の根拠として、あちこちで見かける採捕量グラフ。
これを見ると近い将来に、ゼロになるように思えます。本当にそうでしょうか?
日本だけの採捕量
北海道の幌別川(太平洋)と石狩川(日本海)以南の日本各地、朝鮮半島の西海岸から朝鮮海峡、中国東北地方から北ベトナム、台湾、フィリピンのルソン島に広く分布する。
※高知県より引用
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ウナギは日本以外に、北朝鮮、韓国、中国、台湾、ベトナム、フィリピンの6カ国に分布します。グラフは日本だけの採捕量です。
2014年だけで91トン(4.5億匹)も捕れている
2014各国シラスうなぎ池入れ量
<各国池入れ量・()は前年同期>
日本:25.0t(12.9t)
台湾:8.0t(0.4t)
中国:45.0t(4.0t)
韓国:13.0t(2.5t)
total:91.0t(※13年トータル:19.8トン)
※日本養殖新聞・blogより引用
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全長約6cmで約0.2gの小さなシラスウナギが、日本で25トン、国外で66トンです。
単純計算で1年に455,000,000(約4.5億)匹も捕れています。
空前の不漁と言われた2013年でも、99,000,000(約1億弱)匹も捕れています。
但し、中国などはヨーロッパウナギが含まれている可能性もある。
採捕量グラフは河口域で捕獲したシラスウナギを、漁協が重さを計ったものではなく、
養鰻場への池入れ量から、輸入量を引いた推定量です。
ダム湖などへシラスウナギは放流されていますが、
これは池入れ量に含まれず、採捕量に加算されていません。
実際は91トンよりも多く捕れていると想像します。
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需要と供給のバランス
1979年 |
成鰻価格1,100円/kgまで暴落する
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1999年 |
日本、中国、台湾の三カ国で、136トンと大量のシラスウナギが池入れされる
生産過剰により秋以降、活鰻相場が1,000円/kgを下回る大暴落となる
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2000年 |
中国、台湾から13万トン以上のウナギが輸入され、日本の生産量も合わせ16万トンと過去最高の供給量となる
養鰻振興議員懇談会が国に対してセーフガード発動を国に申し入れる
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※日本養鰻漁業協同組合連合会より引用
136トンもシラスウナギは捕らなくても良いのです。たくさん捕れる年でも要らないのです。
捕れるのに捕らない
2014年4月19日にシラスウナギ漁されていた方の話「今年は去年と違って、安くて金にならんから、誰も捕らんわ」
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昨年(2013年)は本気で捕っても少ないが、今年(2014年)は潜在的に捕られていない分までもある。単純な漁獲量の数字だけでは資源量を計れません。
私は春に何度もシラスウナギ漁を見たり、お話を伺ったりしていますが、
昨年や一昨年は夜の漁に、夕方から場所取りされる方もいるほどでしたが、今年は少ないという印象です。
H16~H18を見るとわかる

※水産庁より引用
H16(2004)年は22.5トン(91%)と順調で、2.2トン(9%)の輸入に留まる。
H17(2005)年は10.1トン(54%)と不漁で、8.7トン(46%)も輸入している。
H18(2006)年は27.5トン(94%)と豊漁で、1.7トン(6%)の輸入に留まる。
生産量を増やすのであれば、H18年もH17年と同様に、46%(25.3トン)を輸入すれば良いのですが、
たった1.7トン(6%)なのは、必要がないからと考えられます。
日本では養鰻池のキャパシティと、生産過剰にならない量は、25トン前後あれば良いということです。
H22(2010)~H24(2012)年は3年連続の不漁で価格高騰。
H25(2013)年の大不漁によって、ウナギが絶滅するという極論も唱えられました。
今年(2014年1~5月)のH26年は、採捕量(約20.7トン)+輸入量(約4.3トン)=池入れ量約25トンです。
絶滅どころか4倍に増えています。来年は不漁かもしれませんが、漁獲量には波があることを、冷静に受け止める必要があります。
必要量は25トン前後

※ナショナルジオグラフィックを改変
最初のグラフを読み解くと、1957~1980年を見ると、振れ幅が大きく、約100トン違う年もあり、極端な増減をしています。
それ以降(1981~2014年)の33年間は、振れ幅が小さいのが分かります。
これは1979年の暴落を経験し、生産過剰を起こさない、シラスウナギの需要と供給のバランスが、1980年代に確立されたものと想像できます。
その後に国内だけで25トン前後を賄わなくても、輸入量が増えることで、国内産の需要(漁獲量)も減ったものと推定できます。
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成魚(ウナギ)

※水産総合研究センターより引用
内水面におけるウナギ(成魚)の漁獲量は右肩下がりだが、これは漁業従事者が減っていることも原因とされる。
単純に言えば、川漁師さんが減ったので、捕れるウナギも減った。
2011年で230トン(1尾200g推定で115万尾)とされるが、そんなに多くまだ捕れている。
ただ、ウナギ全体の消費量は5万6000トンなため、天然は00.4%で養殖は99.6%です。天然ウナギと銘打つもの以外は、ほぼ全て養殖ウナギだと思われる。
琵琶湖でウナギは外来魚

築地市場に国産の天然ウナギが入荷している。
仲卸に出回っているのは滋賀県の琵琶湖産や、岡山県の児島湖産など。サイズは㎏当たり1~2尾もので、概ね500g~800g。需要先である料亭やレストランなどで天然ウナギをメニューに取り入れ始めており、「これから夏場の本番に向けて人気が上がっていくことを期待したい」と仲卸筋はいう。
ただ、問題の流通価格は12,000円/kgと高値で、一部の仲卸筋も「養殖ものも高いが、天然もののこの価格はね…」と言葉を濁していた。ただ、世間では資源保護で天然ものへの風当たりが強いことも気になるようだが…。
仲卸筋では「国で明確な規制をしているのならわかるが、シラスを採捕しているのに天然ウナギの捕獲を禁止するのは矛盾しているのではないか。業界が漁師に対して捕獲しないよう呼びかけるにしても問題が山積している」と、複雑な表情を浮かべている。
※日本養殖新聞・blogより引用
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築地市場は割合的に琵琶湖産が多く、これを天然ウナギとして扱っているようだが、これは真の天然とは言えない。
琵琶湖は瀬田川→宇治川→淀川→大阪湾→太平洋と繋がる。
宇治川に天ヶ瀬ダムが1964年に出来たことで、シラスウナギが琵琶湖へ遡上することが出来なくなり、
現在の琵琶湖に生息するウナギは、全て放流に由来する。
そのため現在の琵琶湖にとって、ウナギは外来魚(国内移入生物)となる。
そのウナギが在来生物を食べ、他生物の生態的地位を奪って性成熟しても、産卵場である太平洋へ行くことは出来ない。
水は琵琶湖疏水(2本)、宇治発電所導水路、天ヶ瀬ダムから、太平洋へ移動することは可能だが、
全てに発電施設があるため、取水口を通れたとしても、タービンに切り刻まれて死ぬことになる。
琵琶湖へ放流されたウナギは、外来魚として一生を終えるため、
寿命を迎えて死ぬのであれば、外来魚駆除の意味も込めて、捕って食べた方が、琵琶湖の在来生物のためになる(放流を止める方が先だが、漁業があるため現状は難しい)。
産卵へ向かう親ウナギの捕獲に、批判的な意見もあるようだが、
産地由来を確認せず、天然ウナギというだけで、その対象にするのは早計です。
天然ウナギ
蒲焼になる養殖ウナギの多くは、全長約40~50cmで約150~200gです。
品質に多少の違いはあれど、極端な違いがあるとは思えません。
天然ウナギを捕って食べたことがあるでしょうか。私はウナギ釣歴18年(天然ウナギ食歴21年)です。
天然ウナギは全長30~100cmと大きさがバラバラです。
養殖ウナギと同じ全長40~50cmでも、太いものから細いものまで様々で、脂の乗り具合もパサパサからギトギトまであります。
更に時期によって味が異なり、汚染の著しい場所は、化学物質による臭いがすることもあります。
それに加えてダイオキシン類、重金属、放射性物質の過剰摂取の恐れもあります。価格面でも天気などに左右されるため安定しません。
こうした規格が定まらない不安定な天然ウナギを、鰻屋さんが積極的に使うでしょうか。
もしも、パサパサで科学臭がするものに当たって、お客さんの信用を失ったら、閉店に追い込まれることでしょう。
ようするに、品質がまちまちな天然ウナギは、規格的な養殖ウナギよりも需要がありません。
川漁師さんの減少に加えて、需要の無さから積極的に捕られず、漁獲量が減っているとも考えられます。
蒲焼文化
数年前から鰻屋さん以外の外食産業で、蒲焼を扱う店が増えました。
安くて早いが味は程々が多く、絶滅危惧種のウナギを、手軽に食べるのは如何なものか。
昔ながらの伝統的な鰻屋さんで、晴れの日に数千円を出し、貴重さを噛み締めながら食べ、日本の蒲焼文化を守るべきのような意見があります。
昔ながらの伝統的な鰻屋さんは、身近にどれだけ残存しているでしょうか。
私が子供の頃に食べた鰻屋(関西風)さんは、注文を受けて、生きたウナギを割き、串打ち、素焼き、たれ焼き、飯をよそい運ばれます。
お店が空いているときでも、注文から早くて30分は掛かります。40~50分は当たり前です。
混んでいる時では最長1時間30分も待ったことがあります。それに怒って帰る客もいました。
何でそんなに時間が掛かるのか。ウナギは他の魚と違って、素焼きに時間が掛るためです。早く焼けば臭くて不味いウナギになります。
関東風は素焼きの後に、蒸し(30~60分)て、たれ焼き(関西風よりもたれに付ける回数が多い)に入るため、より時間が掛かります。
昔から「鰻屋でせかすのは野暮」と言われています。
さて、現在はどうでしょうか。
多くの鰻屋さんが、素焼きや蒸しまでを予め済ませ、注文が入るとたれ焼きしているため、15分くらいで出てきます。
たれ焼きも済ませて、焼き直し(温め直し)するところは、10分くらいで出てきます。それも昔とは違う養殖ウナギです。
昨年に捕った天然ウナギは全長77cmと大きく、フィッシュロースターで焼くのに1時間38分も掛りました。
本当に蒲焼文化を守るのであれば、注文から長時間待って、品質がまちまちな天然ウナギを、パサパサで高額でも文句を言ってはいけません。
現代人にはそれが無理だから、伝統的な方法を変えて、時短で画一的な味の蒲焼でも良しとし、需要がそちらへ流れています。
それを止めることは難しいですし、伝統的な方法を頑なに守り続ける鰻屋さんは、何れは淘汰されます。
一業種である鰻屋さんを、国の補助金でも出して、守る必要は無いでしょう。
本物の昔ながらの伝統的な鰻屋さんは、ウナギよりも絶滅危惧種に近い状態で、もう身近な存在ではないのです。
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環境省レッドリスト(汽水・淡水魚類)
絶滅(EX) 3種 |
チョウザメ | スワモロコ | ミナミトミヨ | | |
野生絶滅(EW) 1種 |
クニマス | | | | |
絶滅危惧ⅠA類(CR) 69種 |
コゲウツボ | ナミダカワウツボ | フナ属の1種(琉球列島) | ミヤコタナゴ | イチモンジタナゴ |
イタセンパラ | ミナミアカヒレタビラ | セボシタビラ | ゼニタナゴ | ニッポンバラタナゴ |
スイゲンゼニタナゴ | ワタカ | ヒナモロコ | シナイモツゴ | ウシモツゴ |
アブラヒガイ | ホンモロコ | サンヨウコガタスジシマドジョウ | ハカタスジシマドジョウ | タンゴスジシマドジョウ |
アユモドキ | リュウキュウアユ | アリアケシラウオ | アリアケヒメシラウオ | ベニザケ(ヒメマス) |
タウナギ属の1種(琉球列島) | ハリヨ | ムサシトミヨ | トミヨ属雄物型 | ホシイッセンヨウジ |
タニヨウジ | ヒメテングヨウジ | カワボラ | アゴヒゲオコゼ | ヒゲソリオコゼ |
カガミテンジクダイ | ウラウチフエダイ | アオギス | テッポウウオ | ヨコシマイサキ |
ニセシマイサキ | シミズシマイサキ | ウラウチヘビギンポ | ヒルギギンポ | カワギンポ |
ツバサハゼ | ヤエヤマノコギリハゼ | トカゲハゼ | ヨロイボウズハゼ | カエルハゼ |
アカボウズハゼ | ハヤセボウズハゼ | コンテリボウズハゼ | ドウクツミミズハゼ | ミスジハゼ |
ウラウチイソハゼ | シマサルハゼ | ヒメトサカハゼ | クロトサカハゼ | イサザ |
ジュズカケハゼ鳥海山周辺固有種 | ジュズカケハゼ富山固有種 | アゴヒゲハゼ | コンジキハゼ | カワクモハゼ |
アオバラヨシノボリ | コマチハゼ | ヒメサツキハゼ | タイワンキンギョ | |
絶滅危惧ⅠB類(EN) 54種 |
ニホンウナギ | ドロクイ | エツ | ゲンゴロウブナ | ニゴロブナ |
タナゴ | シロヒレタビラ | アカヒレタビラ | キタノアカヒレタビラ | カゼトゲタナゴ |
カワバタモロコ | ウケクチウグイ | ヨドゼゼラ | ツチフキ | イシドジョウ |
ヒナイシドジョウ | オオガタスジシマドジョウ | トウカイコガタスジシマドジョウ | サンインコガタスジシマドジョウ | ビワコガタスジシマドジョウ (ヨドコガタスジシマドジョウを含む) |
オンガスジシマドジョウ | アリアケスジシマドジョウ | オオヨドシマドジョウ | エゾホトケドジョウ | ホトケドジョウ |
ナガレホトケドジョウ | ホトケドジョウ属の1種(東海集団) | ネコギギ | イトウ | アミメカワヨウジ |
ナガレフウライボラ | ヤマノカミ | カジカ小卵型 | カジカ中卵型 | アカメ |
オヤニラミ | アトクギス | トゲナガユゴイ | ジャノメハゼ | タナゴモドキ |
タメトモハゼ | ゴシキタメトモハゼ | ムツゴロウ | チワラスボ | トサカハゼ |
キセルハゼ | クボハゼ | ジュズカケハゼ関東固有種 | シマエソハゼ | エソハゼ |
ホホグロハゼ | オガサワラヨシノボリ | キバラヨシノボリ | コビトハゼ | |
絶滅危惧Ⅱ類(VU) 44種
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スナヤツメ北方種 | スナヤツメ南方種 | カワヤツメ | キンブナ | ハス |
ゼゼラ | デメモロコ | スゴモロコ | アジメドジョウ | トサシマドジョウ |
チュウガタスジシマドジョウ | ヤマトシマドジョウ | ギバチ | アリアケギバチ | アカザ |
オショロコマ | ミヤベイワナ | ゴギ | エゾトミヨ | メダカ北日本集団 |
メダカ南日本集団 | カマキリ(アユカケ) | ナンヨウチヌ | イシドンコ | ホシマダラハゼ |
タビラクチ | アサガラハゼ | ワラスボ | ヒゲワラスボ | ルリボウズハゼ |
シロウオ | ミナミヒメミミズハゼ | エドハゼ | チクゼンハゼ | シンジコハゼ |
ハゼクチ | ミナミアシシロハゼ | マサゴハゼ | ムジナハゼ | キララハゼ |
マングローブゴマハゼ | ゴマハゼ | ギンポハゼ | ボルネオハゼ | |
準絶滅危惧(NT) 34種
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シベリアヤツメ | ヤリタナゴ | アブラボテ | ヤチウグイ | カワヒガイ |
イワトコナマズ | イシカリワカサギ | サクラマス(ヤマメ) | サツキマス(アマゴ) | ビワマス |
トミヨ属汽水型 | コモチサヨリ | クルメサヨリ | カジカ大卵型 | カワアナゴ科の1種 |
トビハゼ | イドミミズハゼ | ユウスイミミズハゼ | ナガレミミズハゼ | ヒモハゼ |
ジュズカケハゼ広域分布種 | スダレウロハゼ | ワカケサラサハゼ | ニセシラヌイハゼ | シラヌイハゼ |
カブキハゼ | ホクロハゼ | ニセツムギハゼ | ホホグロスジハゼ | トウカイヨシノボリ |
シマヒレヨシノボリ | シロチチブ | ショウキハゼ | ナミノコハゼ | |
情報不足(DD) 33種
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ニューギニアウナギ | ナガブナ | ヤマナカハヤ | ドジョウ | ニッコウイワナ |
アンピンボラ | オニボラ | カマヒレボラ | モンナシボラ | ネッタイイソイワシ |
ミナミギンイソイワシ | ナンヨウタカサゴイシモチ | ハナダカタカサゴイシモチ | シラヌイハタ | ワキイシモチ |
ヒルギヌメリテンジクダイ | ダイダイコショウダイ | ゴマクモギンポ | ナリタイトヒキヌメリ | エリトゲハゼ |
ヒノコロモボウズハゼ | カキイロヒメボウズハゼ | ネムリミミズハゼ | ドウケハゼ | ヘビハゼ |
フタゴハゼ | コクチスナゴハゼ | タスキヒナハゼ | フタホシハゼ | ビワヨシノボリ |
トンガスナハゼ | マイコハゼ | クジャクハゼ | | |
絶滅のおそれのある地域個体群(LP) 15集団
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栃木県のミツバヤツメ | 本州の太平洋側湖沼系群のニシン | 琵琶湖のコイ在来型 | 本州日本海側のマルタ | 東北地方のエゾウグイ |
襟裳岬以西のシシャモ | 紀伊半島のヤマトイワナ(キリクチ) | 福島県以南の陸封のイトヨ太平洋型 | 本州のイトヨ日本海型 | 本州のトミヨ属淡水型 |
東北・北陸地方のカンキョウカジカ | 東北地方のハナカジカ | 有明海のスズキ | 北海道南部・東北地方のスミウキゴリ | 沖縄島のクサフグ |
割合 |
絶滅 | 3 | 253 | 0.75% | 63.25% |
野生絶滅 | 1 | 0.25% |
絶滅危惧IA類 | 絶滅危惧種 | 69 | 167 | 17.25% | 41.75% |
絶滅危惧IB類 | 54 | 13.50% |
絶滅危惧II類 | 44 | 11.00% |
準絶滅危惧 | 34 | 8.50% |
情報不足 | 33 | 8.25% |
絶滅のおそれのある地域個体群 | 15 | 3.75% |
レッドリスト外(普通種) | 147 | 36.75% |
合計 | 400 | 100% |
※環境省より引用
上表は環境省版の第4次レッドリストに掲載された汽水・淡水魚類とその割合です。
汽水・淡水魚類の評価対象種は約400種とされ、絶滅危惧種は167種(41.75%)です。
こんなにも多く絶滅が危惧されているのかと、純粋に思う方もおられるでしょうが、
単純に川で在来魚を3種捕ると、1種以上が絶滅危惧種です。私は行き過ぎた乱発選定だと思っています。
「ウナギは絶滅危惧種だから何々」という方は、167種のうち何種をご存知でしょうか。
比較対象種のことをまず知って下さい。また、これはウナギという種の評価ではなく、
日本国内の評価であって、国外(北朝鮮、韓国、中国、台湾、ベトナム、フィリピン)に分布する個体は、評価対象にされていません。
国外はどうか知らないけど、日本では絶滅危惧ⅠB類として、選定しましたというだけです。
ベニザケ(ヒメマス)はウナギよりも上位の絶滅危惧ⅠA類

ベニザケはスーパーで切り身、コンビニでおにぎりにされています。それ以外でも食べる機会は多いと思います。
ほぼ全て天然で外国産(ロシアやアメリカなど)が多いです。直ちに輸入を止めて、食べないようにするべきですか。
ウナギは絶滅危惧ⅠB類ですが、危険度はそれよりも上位の絶滅危惧ⅠA類です。
外国産だから問題ないというのでしたら、外国産のウナギであれば問題ないですか。
絶滅危惧種のウナギがスーパーやコンビニで売られることを問題視される方は、それよりも強い危機感でベニザケを問題視するべきでしょう。
安価で日常的に口へ入るものは、高価なウナギと違って、批判の対象に成り難いのです。
ウナギが高価であるからこそ、それを食べる人を見て嫉みから、何か言いたくなる心理はあると思います。
そこに絶滅危惧種というもっともらしい言葉は利用されていませんか。
ウナギ(絶滅危惧ⅠB類)よりも上位~同位
絶滅 |
チョウザメ アメリカでは絶滅していません。北海道~アカスカ湾(アメリカ)まで広く分布し、
北海道はもともと主要分布域アメリカからの迷魚と考えられます。
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スワモロコ
諏訪湖にのみ分布していると思われていましたが、近年にその流出河川である天竜川上流域で、
遺伝的にスワモロコと思われるものが見つかり、その個体と思われるものを、私が採集して形態も確認したところ、スワモロコと同定できました。
| 絶滅危惧ⅠA類 |
ヒナモロコ
日本にしかいなとすれば絶滅危惧ⅠA類が妥当でしょうが、アジア大陸に広大な分布域を持つため、国境を考えないで言えば普通種です。
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ホンモロコ
琵琶湖でホンモロコを専門に狙った漁が行われ、毎年に何トンも水揚げがあり、塩焼きや佃煮などで食べられています。春には大勢の釣り人が見られます。
ホンモロコはウナギよりも上位の絶滅危惧ⅠA類です。そんな魚を対象にした漁や釣りは、即刻止めた方が良いのでしょうか。
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イサザ
琵琶湖ではホンモロコと同様に、イサザを狙った漁が行われています。滋賀県のスーパーでは1パック数百円で売られています。そんな絶滅危惧種を対象にした漁は止めるべきでしょうか。
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テッポウウオ
熱帯地域に広く分布しますが、日本に熱帯はないため、迷魚として沖縄県西表島などでも確認されています。
日本では極希な魚であっても、種としては広域分布します。観賞魚としてペットショップに数百円で売られています。直ちに販売を止めるべきでしょうか。
| 絶滅危惧ⅠB類 |
ゲンゴロウブナ
別名ヘラブナです。本来は琵琶湖水系固有種ですが、日本中に放流されて釣りの対象(琵琶湖水系を含む)になっています。
ウナギ釣りを問題視するのであれば、ヘラブナ釣りも問題でしょうか。
在来生息水域である琵琶湖水系では、絶滅危惧ⅠB類なのだとすれば、在来生息水域の田沢湖で絶滅したクニマス(田沢湖固有種)は、野生絶滅ではなく絶滅にランクされるため、つじつまが合いません。
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ニゴロブナ
鮒寿司の原料です。これもホンモロコやイサザと同様に、琵琶湖ではニゴロブナを狙った漁が行われています。直ちに止めて鮒寿司の文化は終わらせるべきでしょうか。
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カワバタモロコ
数年前に愛知県津島市で食べた、モロコ寿司のモロコは全てカワバタモロコでした。
今年も濃尾平野では、たも網一掬いで200匹くらい、大量に捕れるため、安価で数が揃う食材なのでしょう。
200匹くらいの中には、モロコと称されることも多い普通種のモツゴやタモロコが、数匹ほど混ざることがあります。
カワバタモロコは全て逃がして、モツゴやタモロコを寄り集めて、モロコ寿司にするべきでしょうか。
むしろモツゴやタモロコは、この捕獲圧によって、絶滅するかもしれませんが、絶滅危惧種という肩書きは何よりも上でしょうか。
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ネコギギ
国指定天然記念物です。ウナギと同じランクです。2014年にシラスウナギは日本だけで20.7トン採捕されていますが、
仮に稚魚~成魚を含むネコギギを、20.7トン採捕する技術があれば、そこに達する前に絶滅すると思います。
それでもウナギは稚魚(シラスウナギ)だけで、20.7トン(国外も合わせるとそれ以上)捕っても絶滅していません。
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国指定天然記念物と国内希少野生動植物種のアユモドキ、ミヤコタナゴ、イタセンパラ、スイゲンゼニタナゴ、
それとホンモロコとイサザは同じ絶滅危惧ⅠA類です。もしも本当に絶滅のおそれが同程度であれば、
ホンモロコやイサザも国指定天然記念物や国内希少野生動植物種にするべきでしょう。
環境省レッドリストは国が作ったということも頭に入れないといけません。
研究者が科学的な手法や知見にのみ基づき、分類されたリストでは無いです。
その根拠については個別批判になるため書きませんが、
日本国の政治的背景も考慮し、選定されたものが一部にあります。
リストは3回改訂されていますが、毎回のように目玉の種類(例えば第2次のメダカ)があります。
第4次はクニマス、ウナギ、ドジョウでした。そのうちウナギだけが飛び抜けて、マスコミなどに取り上げられました。
その結果として「ウナギのつかみ捕り」を止めて「ドジョウのつかみ捕り」に変更し、
その横でウナギの蒲焼を作って売るイベントもあったようです。
レッドリストを詳しく知らない方は、絶滅危惧種という何だか重苦しく、難しそうでよくわからない言葉を過大に捉え、
天然記念物のように勘違いし、「ウナギは絶滅危惧種になったんだって」と一つ覚えしているとしか思えません。
そういう方はまず絶滅危惧種のことから知って下さい。
IUCNレッドリスト
絶滅(EX) |
- |
野生絶滅(EW) |
- |
絶滅危惧ⅠA類(CR) |
イトウ | | | | |
絶滅危惧ⅠB類(EN) |
ニホンウナギ | サツキマス(アマゴ) | ヤマトイワナ(キリクチ) | | |
絶滅危惧Ⅱ類(VU)
|
ミヤコタナゴ | イタセンパラ | カゼトゲタナゴ | ネコギギ | クロウミウマ |
ハヤセボウズハゼ | アリアケヒメシラウオ | | | |
準絶滅危惧(NT)
|
チョウザメ | イシドジョウ | チャイロマルハタ | ヤイトハタ | |
軽度懸念(LC)
|
ヒナモロコ | ベニザケ(ヒメマス) | マハゼ | タナゴ | ナンヨウタカサゴイシモチ |
セスジタカサゴイシモチ | タカサゴイシモチ | オオウナギ | カガミテンジクダイ | クモハゼ |
ジャノメハゼ | ヤエヤマノコギリハゼ | アサガラハゼ | アゴハゼ | コボラ |
ヒルギメナダ | ナガレフウライボラ | チチブモドキ | テンジクカワアナゴ | オカメハゼ |
カワアナゴ | イトヨ | イトヒキサギ | コンジキハゼ | アゴヒゲハゼ |
ウロハゼ | ズナガニゴイ | アミメカワヨウジ | ガンテンイシヨウジ | イシカリワカサギ |
ユゴイ | オオクチユゴイ | ニセシマイサキ | イッセンヨウジ | ドジョウ |
タウナギ | ボラ | ホホグロハゼ | ナミハゼ | ホシマダラハゼ |
キュウリウオ | ヨスジハゼ | ボルネオハゼ | クロコショウダイ | ヒトミハゼ |
モツゴ | トミヨ | タスキヒナハゼ | ヒナハゼ | ゴクラクハゼ |
ヤチウグイ | クロホシマンジュウダイ | ルリボウズハゼ | アカボウズハゼ | ナマズ |
ドウケハゼ | コトヒキ | ヒゲソリオコゼ | シモフリシマハゼ | ナガノゴリ |
クサフグ | フクドジョウ | etc. | | |
情報不足(DD)
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アユモドキ | アマミイシモチ | カライワシ | タナゴモドキ | イセゴイ |
ノボリハゼ | クチサケハゼ | マイコハゼ | アユ | クロヨシノボリ |
スイゲンゼニタナゴ | ツバサハゼ | カエルハゼ | ナンヨウボウズハゼ | イワメ |
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未評価(NE) |
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※The IUCN Red List of Threatened Species での検索結果
IUCNレッドリストは汽水・淡水魚類というカテゴリーは無いため、それに該当しそうな種類を抜き出しました。
少なくとも絶滅危惧Ⅱ類(VU) 以上の分類群は、検索して全て表記しているつもりです。
環境省レッドリストの絶滅危惧種以上の分類は171種ですが、IUCNはたった11種です。
環境省が最新知見で網羅的なのに対し、IUCNはやや知見や調査が不足していると思います。
アユモドキ、ミヤコタナゴ、イタセンパラ、スイゲンゼニタナゴ、ネコギギよりもウナギは上位分類です。
これは日本や東アジアが世界中のウナギ属を買い漁るため、国際取引の規制に指定しやすい根拠として、
実態よりも遥かに上位の絶滅危惧ⅠB類に分類したと想像します。政治的に一定の意味はあると思いますが、
背景を知らずに「国際機関もウナギを絶滅危惧種にしたんだって」「まあ本当に絶滅しちゃいそうね」と思われる方もおり、
混乱をもたらす原因だと考えます。
ウナギは超多産戦略
ウナギと同じ絶滅危惧ⅠB類の魚類以外も知って下さい。
環境省レッドリストではアマミノクロウサギ、イヌワシ、ライチョウなど。
IUCNレッドリストではアジアゾウ、ジャイアントパンダ、トキ、シロナガスクジラ、チンパンジーなど。
これだとウナギはトキと同じように保護するべきですか。そんなことを真剣に考える人はいないでしょう。
先に記した種類は、生態系高位に位置し、1度の産卵出産は10個体未満です。
こうした少産戦略は、元々数が少ない上に、一旦減ると回復に時間が掛かります。
そのため人が大量捕獲すると、絶滅の恐れが高まるのため、保全保護が必要になってきます。
しかし、ウナギは全く異なります。生態的中位に位置し、1度の産卵は100~300万粒(卵巣内卵数)です。
そのため人が大量捕獲しても、残った少数個体から、爆発的に増える可能性を秘めているため、保全保護が不要なのです。
但し、この爆発的に増えるには、様々な生存条件が揃わないと、起こることはありません。
それによってシラスウナギの不漁・平年並・豊漁となります。
不漁が数年続くこともありますが、それを絶滅の兆候だとか、不安を煽って騒いでも意味はありません。
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ウナギは淡水魚か?
 | 三河湾におけるウナギの生活型
来遊したシラスウナギについては、産卵回遊までの間、河川に定着するものの他に、遡上せずに湾内・河口に留まるもの、一回遡上しても再び海に戻るもの、
海と川を何度も行き来するものがいる。Tsukamoto et al.(1998)は海ウナギ資源がウナギ資源全体に占める割合は比較的多いと指摘した。
Kotake et al.(2005)が三河湾の定置網で採集したウナギ(その 71%は銀ウナギ)では海ウナギが40%、汽水ウナギが43%、17%が川ウナギであった(図1)。
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 | 産卵場で採捕されたウナギ親魚の生活履歴
水研センターと水産庁の調査船により産卵場付近で捕獲された親ウナギ 13個体(Chow et al., 2009, Kurogi et al., 2011)について、
Mochioka et al. (2012)は、①2個体(雄)は主に淡水(図 3の①)、5個体(4雄、1雌)は淡水から汽水と時には
海水(②)、2個体(雄)は主に海水と時には淡水(③)、4個体(1雄、3 雌)は主に海水で淡水履歴無し(④)であったとし、
河口や沿岸域に生息するウナギが資源の再生産に貢献する比率が大きいとした(図 3)。
海ウナギは内湾域のごく沿岸域に生息するものと考えられる。中国大陸沿岸部・揚子江河口域などには広大な浅海域が存在し、
海ウナギの資源も相当大きいのではないかと想像されるが情報は全くない。
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※水産総合研究センターより引用
ウナギは淡水魚(川魚)だと信じて疑わない人が多く、混乱が生じている気もしています。
三河湾(海)で捕れたウナギのうち、淡水魚と呼べるのは17%しかいません。
マリアナ諸島西方の産卵場(海)で捕れたウナギのうち、孵化(海)→成育(淡水)→産卵(海)は15%、
孵化(海)→成育(回遊)→産卵(海)は54%、孵化(海)→成育(海)→産卵(海)は31%です。
ウナギは高い割合で、川が必要ではない海水魚です。
海でも外洋ではなく内湾で、マアナゴの生息域よりは、やや塩分の低い場所で、生活しているものと想像します。
私は流入河川の無い漁港(海)で、シラスウナギ漁をされている方と話をしたり、紀伊半島(串本町)のタイドプール(海)で、ウナギ(成魚)を目撃したことがあります。
すなわち、ウナギは淡水・汽水・海水どこでも棲めるのです。
例えば川ごとに輪番で禁漁年を設けても、A川からB川へ海を通って移動が可能ですし、そもそも海にいるため意味がありません。
情報不足(DD)から絶滅危惧IB類(EN)とした主要理由
ニホンウナギには海域で一生を過ごす個体と、海域から河川に遡上し成長した後、産卵のため再び海域へ下る個体の存在が知られている。
前回見直しでは、河川に遡上する個体が産卵に寄与しているかなど、生態に関して不明な部分が多いことから情報不足(DD)と判断していた。
しかし、2012年5月にスコットランドで開催された国際魚類学会で、九州大学を中心するグループの研究発表により、
産卵場であるマリアナ諸島西方で捕獲されたニホンウナギ13個体すべてにおいて、河川感潮域に生息していた証拠となる汽水履歴が確認され、
また淡水履歴がないものも4個体に限られることが明らかとなった。これにより河川へ遡上する個体が産卵に大きく寄与していることが確かめられ、これに基づき改めて評価を行った。
※環境省より引用
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海で生涯生活するウナギは4個体に限られるため、汽水・淡水魚類(川魚)として評価し、絶滅危惧種に選定したという意味です。
これは曲解に近い言い回しで、13個体から4個体(31%)も海水ウナギがいたと捉えられるし、淡水ウナギは2個体(15%)に限られるとも言えます。
また、レッドリストのうち汽水・淡水が不要で、産卵場が外洋な種類は、ウナギ属(ウナギ、ニューギニアウナギ、オオウナギ)以外は無いと思われ、この生態は海水魚です。
そう簡単にウナギは捕れない
日本近海に生息する海水魚で、絶滅した種は知られていません。
例えばアユモドキのように、狭い陸水域にのみ生息する種類は、人が絶滅させる恐れは十分に考えられますが、
海水魚は広大な外洋があるため、人が減らすことはあっても、絶滅させることは物理的に困難です。
特にウナギは群れずに単独行動で、昼は砂礫などの中へ潜り、夜は底を這うため、
遊泳魚を主に狙う巻き網や定置網のように、大量捕獲は出来ません。
現在も筒、筌、延縄など、昔ながらの方法で、捕られています。
しかも漁師さんは高齢化して減り続けています。乱獲で絶滅なんて出来るわけがありません。
これは釣り人も同じです。ウナギが大量に釣れる方法はありません。
ウナギの数が多ければ釣れる数も多い、数が少なければ釣れる数も少ないだけで、
資源量から釣れる割合は、昔とさほど変わらないはずです。
それを1匹ならば問題ないが、10匹ならば乱獲だというのは、資源量から比較するべきです。
シラスウナギ(稚魚)やウナギ(成魚)は、人に見つかるほど居るから捕れるし、
居なければ捕れないだけで、漁獲量規制は大きな意味はないと考えます。
部屋でゴキブリを1匹見つけたら、数十匹潜んでいる可能性があるのと同じです。
乱獲できない

ウナギは乱獲で絶滅に瀕していると唱える方がいます。
一般的なシラスウナギ漁は12~5月の夜に、河口域で水面近くをライトで照らし、そこへ集まるシラスウナギを網で掬います。
たいてい河口域の広い大河川で、漁のできない雨や強風の日は、シラスウナギは捕獲されることなく、上流へ移動できます。
また、河口域の全面に渡って捕獲されるのではなく、ライトのある狭い場所に集まる個体を掬うだけです。
それ以外の場所は捕獲されませんし、深い場所にいる個体も捕獲されません。
夜に水中へ潜るとわかりますが、ライトの光は狭い範囲しか届きません。
ライトの光が届かない場所は、光に集まりやすいという、シラスウナギの特徴を利用した漁は無効です。
また、春の夜に川底の砂礫を掬うと、シラスウナギが出てくることがあります。
全ての個体が水面をふらふら泳いでるのではありません。
漁は免許が必要で、誰でも行えるものではありませんし、大規模な密漁は捕まり易く、簡単には成功しません。
日本、北朝鮮、韓国、中国、台湾、ベトナム、フィリピンの海や川にいる
例えば三重県の海へ流れる数百本ある川のうち、何本でシラスウナギ漁が行われているでしょうか。
一級・二級河川の河口域がほとんどで、普通河川(小河川)ではほとんど行われてません。
そうした川にもシラスウナギは遡上し、ウナギ(成魚)も見られます。
三重県南部はリアス海岸で、道路が発達しておらず、河口域へ近づくことが、容易ではない場所もあります。
そうした場所はウナギへの捕獲圧は、手つかずの状態が維持されています。
仮に日本の川にいるウナギを全て捕り尽くしたとしても、
北朝鮮、韓国、中国、台湾、ベトナム、フィリピンにいるウナギが、マリアナ諸島西方へ行って産卵すれば復活します。
また、全7カ国で川のウナギを捕り尽くしても、海にいるウナギが1匹で100~300万粒を産んで復活します。
海にウナギがいる限りは、川でどれだけ捕っても、直ちに絶滅へ繋がることはないのです。
ウナギのための川作りは必要か
日本の淡水魚は、一部の国内外来魚を除いて、相対的に減っています。
それはウナギも同様だと思います。
しかし、ウナギは清流からドブ川まで生息します。
低温の湧水地から高温の温泉排水まで見られ、水温による問題もありません。
滝や堰堤などを這って乗り越えます。
川の水が枯れても、地下水の残る場所へ潜ることで、他の魚よりも長く生存できます。
川の環境が悪化したら海へ移動できます。
皮膚呼吸が出来ますし、血液と粘液には毒があります。
こんな特殊能力を持って、適応力に優れた日本産淡水魚は、ウナギくらいでしょう。
ウナギを守るために、何かをするのであれば、別のもっと弱い魚を優先して下さい。
口に入らない魚はどうでもよいですか。ウナギは最も保護の優先度が低い魚です。
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まとめ

稚魚(シラスウナギ)の採捕量グラフは、生産過剰を起こさないために、1980年代に確立された需要量で、25トン前後を保っている。
成魚(ウナギ)は捕る人が減少し、大量捕獲する漁法が無い。
ウナギの3割は海水魚で、絶滅の恐れは低い。
絶滅危惧種の選定はナンセンスで、世間は過大に捉えている。
これまでと同じように、鰻丼(ニホンウナギ)を召し上がって下さい。
近年はウナギに関して、極端に悲観論が多いため、楽観論を記しました。
個別批判も記しましたが、世の中に様々な意見がある方が、判断材料になるという意味で、どうかご容赦下さい。
これをきっかけに、ウナギ以外のたくさんの魚が、本当に絶滅危惧されることにも目を向けて下さい。
当ページを作るにあたって、ご意見を下さった方々に、心より感謝申し上げます。
(2014年7月12日公開)
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■「ウナギは絶滅しない種」の公開後
公開3日と経たず反響が大きく、様々なご意見や批評を頂きました。その多くは批判的だと思います。
当ページは7月上中旬に思ったことを、短期間で一気に書き上げて公開したため、細かな突っ込み所があることは認めます。
噴飯された方は無学者の私見と思って無視して下さい。
公開1~2週間くらいすると、ウナギが絶滅するという意見が減り始め、少し風向きが変わるのを感じました。
2014年7月28日にはウナギ博士の塚本勝巳氏が
「ウナギは広大な海の人の手が届かないところで産卵する。海の環境によって、増減は大きいのですが、我々が生きているうちに、全部がなくなることはまずないと思います。」とインタビューで答え、
その意見にウナギ目の分類をされている日比野友亮氏は
「この部分には同感です。種としての絶滅はないだろうと思っています。」とツイートしています。
これは「ウナギは絶滅しない種」というタイトルと同じ結論だと思っています。
当ページはこの追記をもって大幅な更新は行いませんが、ウナギは絶滅しない種という意見には信念があります。
ご意見ご感想などありましたらフリー掲示板へご投稿下さい。
(2014年10月3日追記)
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