インタビュー

御手洗清太郎 役・古川雄大さん

音楽に救われて“ミュージックティーチャー”に

スポーツシーンを彩る数々の応援歌やヒット歌謡曲を手がけた、昭和を代表する作曲家・古関裕而(こせき ゆうじ)氏をモデルに、音楽とともに生きた夫婦を描く、連続テレビ小説『エール』。
第13週では、コロンブスレコードが専属新人歌手オーディションを行い、裕一(窪田正孝)の応援するプリンス久志(山崎 育三郎)と、音(二階堂ふみ)の応援するスター御手洗(古川雄大)が、バチバチとしのぎを削りました。今回は、久しぶりの登場となった御手洗清太郎を演じる古川雄大さんにインタビュー。“ミュージックティーチャー”の魅力的な人物像を、掘り下げて語ってもらいました。

――御手洗清太郎役のオファーを受けたときは、どんな思いでしたか?

僕はミュージカルを中心に活動していて、今は映像のお仕事が少しずつ増えてきたタイミング。こんなに早く朝ドラに出られるとは思ってもみませんでした。御手洗は、僕が今までに演じたことのない、すてきな個性を持った人物。ミュージカルでは王族や貴族の役を演じることが多いので、僕のことを「ミュージカル界の新プリンス」とおっしゃってくださる方もいるのですが、そのイメージを良い意味で壊せるんじゃないかと思いました。

――御手洗は個性的な声楽講師ですが、どんなことを意識して演じていますか?

最初に台本を読ませていただいた時は、キャピキャピした印象を受けました。そこから読み込んでいき監督ともお話しさせていただくなかで、何パターンも演技を見ていただきながら、細かく調整していきました。どちらかと言うと、明るい印象よりは声を低くして少しクールな感じを意識しています。ただ、ドイツで声楽を学んでいたということで、身振り手振りはオーバー気味です。視聴者の皆様に愛されるキャラクターになれるよう、役を構築したいと思っています。

――御手洗は(振る舞い方や言葉遣いなど)自身の個性が周囲から理解されず、大変な思いをしてきたようですね。

豊橋で裕一さんに話したとおり、子どものころは学校の先生にまでばかにされたり、殴られたりした。半ば逃げるようにドイツへ音楽留学したんです。でも、ドイツで死にものぐるいの努力をした結果、音楽を通じて自分の存在を認められて、性格も明るくなった。プロの歌手になりたい気持ちもあったけど、声楽を教えることで自分のような人を救えると考えて、ミュージックティーチャーになったんだと思っています。

――生徒である音(二階堂ふみ)に個人レッスンをするシーンが多いですが、音の印象はいかがですか?

堂々とした、強い女性だなと感じています。ボケる御手洗、ツッコむ音さんというパワーバランスが絶妙で、掛け合いもおもしろいです。二階堂さんが演じやすい空気を作ってくださるので、緊張しがちな僕はとても助かっています。
よく通る、とてもきれいな声で二階堂さんの歌声もとてもステキだなと思っています。

――御手洗は第13週で、コロンブスレコードの専属新人歌手オーディションに挑みました。久々の出番はいかがでしたか?

まず、山崎育三郎さんと張り合わなくちゃいけないのが大変でした。歌唱力ではかなわないので、発声で張り合うシーンはテンションを上げて頑張るしかなかったです(笑)。
御手洗は、過去に歌手の道を諦めたと言いつつも、派手な服装を見ても分かるように、スターへのあこがれを抱き続けてきたはず。今回は、そんな思いに決着をつけることができてよかったです。最後はプリンス久志にエールを送り、「やっぱり自分はエールを送る側なんだ」と納得したんじゃないでしょうか。ミュージックティーチャーに戻った御手洗は、たくさんの人に明るくエールを送り続けると思います。

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