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👉①出会いから事件への流れ

  私は伊藤氏とも山口氏とも、縁もゆかりもなかった。 2019年12月に決した裁判で、はじめて知った位である。

「ジャーナリスト同士の争いですか、英語で記者会見とかクールだなあ」と思っていろいろネットで情報をみていくと、山口氏の説明が、きわめて明快で筋が通っているように感じられた。そのあとブラックボツクスを付箋だらけになるほど読み、事情がわかりはじめてきたので、感じたことをまとめてみた。

 

 まず伊藤詩織氏と山口敬之氏の出会いまでを簡単に表にした。山口氏の記事が中吊りにでた日と伊藤氏がメールで就職依頼をした日が一致しているのは偶然ということだが、それ以外にも奇妙に行動が同期しているように見えるところがある。しかもメールやラインはほぼ伊藤氏が先に送り始めている。

 

時期 伊藤氏 山口氏

2013年 1月


メリーマウントマンハッタンカレッジ入学

 
2013年 初夏

 

某外交官から韓国軍がベトナム戦争時に慰安婦を使っていた情報があることを知らされた。
2013年 9月

 

TBSワシントン支局長として赴任、公文書調査を開始。
2013年 12月10日 

NY・ピアノバーGでホステスとして勤務。「知人を介して?」山口氏と会う。

知人の記者に連れられてピアノバーにゆきそこで伊藤氏に会う。
2013年 12月11日

TBSニューヨーク支局長を紹介され、支局を案内されるが、その後フィレンツェに留学する。(金銭的理由?)


TBSニューヨーク支局長に伊藤氏を紹介し、支局長に伊藤氏を任せてその場を立ち去る。

2014年 7月25日  

ベトナムの韓国軍慰安所についての書簡を発見

2014年 8月 NYに戻り、インターン先を山口氏に頼む8月27日  日本テレビNY支局インターンに決まる。(11月まで) TBS本社とベトナム慰安所報道の交渉を始める。(2015年2月から逆算して半年前)
2014年 9月23日

国連総会 伊藤氏からのメールでのやり取りのみ。

2014年 12月頃  

ベトナム韓国軍慰安所の証人フィンライソン氏にインタビュー

2014年 12月末~ 日本に戻る  
2015年 2月 ロイター東京支局で無給インターン開始

ベトナムの韓国軍慰安所の件はTBSで扱わないと決定

2015年 3月25日

山口氏にメール。就職依頼。会いたい旨伝える

記事の載った週刊文春の中吊り広告が出る

2015年 3月26日  

週刊文春発売

2015年 3月30日  

日本に帰国

2015年 4月3日

山口氏伊藤氏と会い恵比寿の①串カツ屋~②鮨の喜一~③東京シェラトンホテルへ

2015年 4月4日 5時50分にホテルのタクシーに乗る

7時40分にシェラトンホテルを出る。

 

 2013年1月ごろ 伊藤氏はアメリカの大学に入学。写真とジャーナリズムの勉強をしながらピアノバーというキャバクラのようなところで働いていた。キャバクラ経験は以前から六本木でもあったようである。(伊藤)

 2013年初夏 某外交官から韓国軍がベトナム戦争時に慰安婦を使っていた情報があることを知らされた。(山口)

 2013年8月~9月 TBSのワシントン支局長として赴任後、アメリカの公文書調査を始める。(山口)

 2013年12月10日 山口氏は知人の記者に連れられてそのピアノバーへ行き、伊藤氏がホステスとして山口氏についた。そのときが初対面で伊藤氏は山口氏から名刺をもらい、大学でジャーナリズムを学んでおり、ジャーナリストになることを夢見ていることを強くアピールした。(伊藤)

 ※学生で不法就労していた疑いがある。

 二人はホステスと客の関係であったが、伊藤氏がジャーナリスト希望を猛烈にアピールしたため、山口氏が便宜をはかり、翌日ニューヨーク支局長を紹介した。

 しかし伊藤氏はまもなく留学と称してフィレンツェに行ってしまう。

 2014年7月 山口氏、ベトナム関連重要書簡を発見。証人のインタビューも行う。

 2014年8月 山口氏、ベトナムの件をTBSで報道するために本社とやり取りし始める

 2014年8月 伊藤氏、ニューヨークに戻り、山口氏にインターン先を依頼。日本テレビニューヨーク支局長を紹される。

 2014年9月 山口氏は国連総会でニューヨークに来訪。伊藤氏からメール。山口氏は有名人や国連大使等との面会などに誘ったが、伊藤氏は日本からゲストが来ているとのことで会わず。

 2015年1月(あるいは2014年12月後半) 伊藤氏 日本に帰国。

 2015年2月 伊藤氏 ロイター通信の東京支局で無給のインターン開始。

 2015年2月 TBSはベトナム慰安婦の問題を扱わないと結論。

 2015年3月25日 山口氏の記事が載っている週刊文春の中吊り広告が出る。

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 2015年3月25日、伊藤氏メールで山口氏に就職依頼。山口氏は無給のインターンか、有給のプロデューサーの支援を提案、ただしプロデューサーならビザが必要である旨を伝える。山口氏はTBSに呼び出されており、日本に帰る予定があったので伊藤氏の要望もあり、会うことになった。

 2015年3月26日 週刊文春に山口氏の記事が載る。

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 山口氏は記事の扱いで、TBSに呼び出されて3月30日、日本に一時帰国する。

 TBS本社での話を終え、最後の一泊というところだった。

 

【恵比寿駅~串焼き屋~鮨屋 酒量】

 2015年4月3日。午後8時。山口氏はすでになじみの串焼き屋についていて、電話がきて恵比寿駅まで迎えにいった。 

 山口氏はなじみの串焼き屋に伊藤氏を連れていき、伊藤氏は小さなコップでビール二杯とワイン1,2杯を飲んだという。串焼5本、もつ煮込み、きゅうりの叩きなどを食べた。客は満席に近くでビザの話も説明し他の客ともやりとりした。

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 ※店の女将によれば、小さなコップでビール2杯としそサワー1杯それに本人が飲めるというのでワインはボトルで入れたので、数杯(5~6杯)は飲んだという。

 そのあと、2人は徒歩5、6分のところにある鮨屋にいった。ここも客はいっぱいいてほぼ満席。隣にはさかなクンが座ったという。伊藤氏は日本酒を2合を飲み終わる前にトイレで、意識を失った。

 伊藤氏がトイレからなかなかでてこないので、店員がいってみると、トイレ内で便器から崩れ落ち、不自然なかたちで寝込んでいたという。

 店員の話では伊藤氏は声をかけると目を覚まし、意識をとりもどした。その後、他の席へいって話をしたり、裸足で歩き回ったりしていた。

 伊藤氏本人はトイレで気を失ってから翌日4月4日5時ごろまで記憶がないと主張。

 店側はこの時日本酒1升ちかく(7,8合)を二人で飲んでいたとしている。

 

 【タクシー~ホテル】

 店をでて、山口氏はタクシーをひろった。その時の伊藤氏は酔って街路樹によりかかるような状態であったという。裁判所では鮨屋は恵比寿の駅からは5分とあり、タクシーに乗せるのは不合理であると判じた。つまり近いのにタクシーに乗せるのは怪しいというわけである。

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 だが近いと言っても夜道を千鳥足で歩く。鮨屋で一度眠り込んで意識を失った伊藤氏である。道端でまた同じようにならないとも限らない。

 大概の男性なら、女性がふらふらしていて、自分がタクシーなら、近くてもついでだから途中まで乗せていくだろう。合理性はある。

 これでタクシーに乗せたのが不合理といわれたら身もふたもない。裁判所の判断には無理がある。

 タクシーの運転手の証言では、車の中で、二人は鮨や仕事の話などしていたという。これはこの時点で伊藤氏に意識があった証左である。

 しかも伊藤氏から運転手に最寄り駅を聞き、目黒駅といわれると、目黒駅で降ろしてくれと言った。これは目黒駅を理解する見当識があったこと、駅で降りるという判断力があったことを示している。

 運転手は目黒駅に近づくにつれ、行き先を確認したが、伊藤氏は再度目黒駅を指示した。山口氏はそれを止めようとはしなかった。

 もし、山口氏が最初からホテルに連れて行くことを目的としていたなら、ここで説得にかかるだろう。

 目黒駅につく直前で、山口氏は伊藤氏の様子がおかしいのを察知し、ホテルで休ませる決断をした。結局伊藤氏は、車内で嘔吐した

 ホテルにつき、山口氏は降車したが、伊藤氏はタクシー内の嘔吐物をなんとかしようとして、降りるのにもたついた。

 山口氏は伊藤氏に手を貸し、支えてタクシーから降ろした。

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 このときのホテルの監視映像があるので、その時の証拠になりそうなものだが、同じ映像を観たにもかかわらず、伊藤氏が話を盛って形容したために、みる人によって意見が異なり、裁判官すらも引きずるように降ろしたと結論づけた。

 しかし、伊藤氏は自ら足をタクシーの外に出している。本人に意識がなかったり、降りるのが嫌なら、腕や肩をもって引きずりだそうとしたときに、下半身がシートの摩擦と体の重みで残り、上半身がタクシーの中で倒れてしまう。さらに引っ張れば相手は脚がタクシーに残った状態で上半身から引きずり出されてしまう。

 伊藤氏が足から出たということは一度自分でおしりをずらし、体をドアにむけて回転させたということ。つまり伊藤氏自身に協力動作があったということである。

 さもなくば山口氏が伊藤氏の腰~尻~または下肢に手をまわし、無理やり引きずりださなければならないが、そこで意識のある伊藤氏が拒否すれば格闘になる。

 そうなればさすがのタクシードライバーも、フロントのボーイも異変に気づくはずである。

 伊藤氏は自分で足から出てきた。

 さらに事実を具体的に指摘しなければならない裁判所は引きずる「ように」と曖昧な表現した。

 「ように」ということばは、そのようにみえるが実際はそうではない、あるいはほんとうはわからない時に使う言葉である。

 裁判所も本当は引きずっていない、あるいはわからないにもかかわらず、こうした印象を与えるあいまいな言葉をそのまま使った。

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 伊藤氏はフロントを通過するときも、抱きかかえられ、足が地についておらず、引きずられたと主張しているが、山口氏は伊藤氏はふらついていたので支えてはいたが自分の脚で歩いていたという。 

 足が地につかず引きずられるためには両脇から抱えてつれてゆかなければならない。Black Boxに書かれた伊藤氏のこの説明は物理的に不可能である。伊藤氏はホテル内の移動が自己の意思ではなかったことを強調したかったようであるがやりすぎである。

 また山口氏は片手にカバン二つと伊藤氏のものと思われるコートも持っている。片腕で女性を抱きかかえて連れて、数十メートルを引きずるようなことをすればフロントが異常を察知する。 

 以下の画像はネットに流出していたものであるが、山口氏は公判で訂正したようにカバンを二つとコートのようなものも持っている、サポートが片手であることがわかるため、伊藤氏を介助する力が強くないことを証明している。

 片手では倒れないように支えるのがやっとで、片手で酩酊した大人の女性を無理やり引きずることが難しいことが分かる。

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 ところが伊藤氏側はそれを単なる「形容」であるといい、裁判官も動画をみて異論をさしはさまなかった。これは度が過ぎた誇張であり、事実を歪める形容であるが、裁判官はスルーした。

 その後、伊藤氏の主張は目が覚めたらベッドで山口氏がおおいかぶさって性交していたという生々しいものだった。伊藤氏は痛い痛いと抵抗し、一旦バスルームに逃げこんだという。

 ところが、なぜかバスルームに入った後、逃げようとしてまた部屋を出るためにドアをあけた。すると再び山口氏に押さえこまれたという。しかし、強く拒否したので山口氏は行為をやめた。伊藤氏はこれが5時ごろのことと主張している。

 バスルームでは手元の山口氏のアメニティに気づくも、目の前にある電話に気づかない。しかも折角逃げ込んだバスルームのドアをあけるというのは、動転していたとはいえ、不自然である。実は伊藤氏は以前このホテルにとまっている(BlackBox )。バスルームの電話に気がつかぬはずはない。

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【山口氏の主張】

 伊藤氏の主張は裁判所の判決とは逆に不審な点が多く、一貫性がない。では山口氏の主張はどうであろうか。

 山口氏の主張では、伊藤氏がエレベーター前でも意識があり、会話をしたという、部屋に入るとパソコン周辺バスルーム前、バスルームの中で嘔吐し、嘔吐まみれになってうずくまっていたという。

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 山口氏は伊藤氏が嘔吐まみれの衣類を脱ぐのを手伝い、嘔吐をふき取り、伊藤氏はその後ベッドでいびきをかきながら寝たという。

 深夜2時ごろ伊藤氏はバスルームに行き、戻ってきてから非礼を謝罪し、不合格ですかなどと連呼したので、山口氏は先ほど伊藤氏が寝ていたベッドで休むように促した。

 伊藤氏はまだチャンスがあるのであれば、こちらに来てほしい などと言ったので山口氏は伊藤氏のベッドに腰かけ、なだめ、座る位置を変えるなどしているうちに手が触れ、伊藤氏に手を引かれ、ベッドに入り添い寝するような状態になり、伊藤氏が脚を載せるなどして絡みついてきたのでなだめるために性行為を行ったという。この時山口氏は臭いと酔いのため途中で萎えてしまい、伊藤氏が口淫を行い再度挿入したが再び萎え、射精には至らなかったという。

 3時ごろには就寝しており、山口氏は伊藤氏が目を覚ましたのには気づいていない。ブラウスはほとんど乾いていていたと思われるが伊藤氏がTシャツを希望したので選ばせた。

 その日は普通の会話をして出ていった。

 伊藤氏自身の陳述でも部屋を出るときまたねと言われて会釈して出たという。強姦した相手に会釈して出ていく性被害者などいるだろうか。

 その後山口氏は一度ホテルに置き忘れてあったポーチについて尋ねるため伊藤氏に電話をしたが、伊藤氏のものではないとのことだった。

 

【膝のずれと痛み】

 伊藤氏はベッド上で無理やり膝をこじあけられ、「膝がひどく痛んだ」として、翌日友人と会うためにレストランまでいき、2階から降りるときに強い痛みを感じてなかなか階段をおりることができなかったといっている。

 その翌日整形外科の開いている月曜日4/6に受診し「膝がズレている」と言われたとしている。

 しかしホテルを出るときの映像では、ヒールのある靴で足早に大股で歩いていた。普通膝がずれていては、このようには歩けない。

 2019/7/8の口頭弁論では5月4日早朝痛みはなく、5月5日に階段で痛みを感じたと証言を変えている。

(裁判官)右膝の痛みを最初に意識したのは  
(伊藤)5日に友人と食事するために、2階のレストランへの階段を上り降りしたとき

(裁判官)4日の早朝に痛みは
 (伊藤)認識していない

 事件直後の受診について時系列でまとめると

4/4 5時ごろ膝をこじあけられ、「膝がひどく痛んだ。」

4/4 5時50分ごろホテル~タクシーへの移動時を含めて早朝に痛みはなかった。

 (ホテルを出るときの映像では、ヒールのある靴で足早に大股で歩いていた。)

4/4 午前中アフターピルをもらいにイーク表参道産婦人科へ行く。

4/4 妹らと夜桜見物をして0時前に帰宅し、膝が激しく痛み、歩けないほどになっていた。

4/5 午後友人と会ったレストランは「二階にあり、私は膝が痛くてなかなか下りることができなかった。

 さらにその日、看護師のSの家具選び、買い物につきあっている。

4/6 元谷整形外科を受診して「仕事で変な体勢になったので、昔バスケをやっていたから古傷かもしれません」とあいまいに説明した。

 ところが伊藤氏曰く、医師は「強い衝撃を受けて、膝がずれている。手術は大変なことだし、完治まで長い時間がかかる。」と言ったという。

 にもかかわらず医師はレントゲンを撮らず、電気治療、シップ。受診はこの一回のみ。

 しかし診断名は右膝内障、右膝挫傷。この診断名で医師が上記のような言い方をするというのは考えられない。

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 友人と薬局でサポーターを選んだ。数か月サポーターで過ごすことになった。もし仮に医師が膝のズレを視認できたのであれば、レントゲンを撮るであろうし、必要なのはシーネか、それに近いハードなサポーターで、薬局というより、医師が確認して適したものを診療所で出すのが一般的であろう。

カルテは閲覧制限されており、裁判で山口氏の弁護士が、開示請求を行った。カルテでは受傷は、山口と会った数日前の3月31日と書かれていることなどがわかった。カルテと供述が一致しない。

 伊藤氏はレイプされたとはいえず、「仕事で変な体勢になったので、昔バスケをやっていたので、古傷かもしれません」と説明したという。 

 ホテルを出てタクシーにのったのが、5時50分、その30分前にこうしたことが起きたと伊藤氏は主張しているが、山口氏側は性交は夜間2時過ぎごろにあったとし、こうした暴力があったこと自体を否定している。

 イーク表参道の産婦人科のカルテでは「coitus(性交)AM2~3時頃、」と書かれているという。これは、山口氏側が主張している時間とほぼ一致している。だが、裁判では、コンドームは破れたのではなく、つけていなかったと双方主張している。カルテには事実に反することが書かれているため、このカルテの信憑性がないとされた。伊藤氏はカルテと異なる部分は「勝手に書かれたのだと思う」、「明け方とだけ言った」としている。(7/8口頭弁論)

 これ以外にも伊藤氏がビザの話をしたこと、月経を自主申告していたことなど書かれたカルテがあるが閲覧が制限されている。

 医療カルテはそんなにあっちでもこっちでもでたらめに作成されるものではない。医師は必要最小限のことを正確に聞き取って書く訓練を受けている。薬などは有効性を判断しなければならないから、時間などいいかげんなことは書かない。むしろ話されたことを正確に書くので、その時の伊藤氏が話した内容の証拠となる。暴行があったことを隠すために事実を語れなかったとしても、時間を違えて申告することは考えにくいし、伊藤氏にとっても医師にとっても意味がない。

【メールのやり取り】

 山口氏と伊藤氏のメールでのやり取りは伊藤氏の書いた「Black Box」という本と、山口氏の「私を訴えた伊藤詩織という独占手記」に「一部」引用されている。

 BlackBoxには「これでメールはすべてだ。」と書かれているがこれは明白な嘘である。

 かなりのメールのやり取りを省略しており、その中には妊娠不安をたてにして入院したと偽り、医療費、仕事を要求するという恐喝に近いものもある。時系列を確認するとわかるが、妊娠の不安が完全になくなったあとも、訴えており、捜査員に頼まれたからメールを送りつづけたなどと裁判後の会見でいっている。

以下のサイトでは事件前後のメールの全文を公開している。

 メール全文

 伊藤氏からの事後一通目は、ビザの対応を問い合わせるビジネスライクなものだった。

「山口さん、お疲れ様です。無事ワシントンへ戻られましたでしょうか? VISAのことについてどのような対応を検討していただいているのか案を教えていただけると幸いです。 伊藤」

 性被害者がすぐに警察に駆け込まずに日頃のやり取りを維持しようとすることはありうると、伊藤氏側は主張した。

 だが、やりとりの一通目、「お疲れ様」という文言は著書Black Boxでは削除されている。伊藤氏自身この「お疲れ様」という文言はおかしいと考えていた証左である。

 その後数日伊藤氏は返事が来ないために、山口氏に騙されたのではないかと疑い始め、友人に話し、警察に行ったことがBlack Boxに書かれている。

「そもそもプロデューサー職に内定していた事実さえなかったのかもしれない、この時初めて気づいた。考えたくもなかった。最初から仕事仲間になるということではなく、どうでもできる「モノ」のように見られていたのではないか。悔しくて、悲しくてたまらなかった。」P70

 裁判官は虚偽申告する動機がないとしたが、この文章は虚偽申告の動機として指摘できる。内定していてたといえるのかどうかはやりとりからかなり疑わしいが、本人からすれば希望的観測で内定と思い込み、あてがはずれたので行動を起こした虚偽申告の動機としては当てはまる。この悔しさはそのまま山口氏への仕返しとして準強姦虚偽申告のストーリーを構築したとしても不自然ではない。虚偽申告の文献と照らし合わせても動機として確認できる。

 山口氏弁護側の誤りは山口氏がワシントン支局長を解任された時期を伊藤氏翻意の時期と考えたことである。そうではなくもっと早く、4/6のお疲れ様メールの返信がすぐ来なかった時点で悔しくて、悲しくてたまらなかったのである

 この文章は、強姦されたからというより、就職の話が偽りかもしれない、VISAが獲得できないということへのくやしさで書かれている。BlackBoxが創作であるとしても、伊藤氏がこの本に書かれている事実が真実であるという限りはこの文言は裁判上動機として指摘できる。

 その後の伊藤氏側のメールの素案は友人が書いたものだという。友人には以前セクハラ訴訟を経験した友人がおり、謝罪を要求することが重要だと考えていた様子で繰り返し謝罪を要求している。怒った友人の介入でメール内容はがらりと変わり、ちぐはぐなやりとりがはじまる。 

 山口氏は驚いて落ち着かせようとするが、事態は更にこじれたものになってゆく。

 山口氏は、伊藤氏からのメールが、事実と異なることに疑問を感じ、メールを返信している。

 伊藤氏から罵声を浴びせたことの謝罪メールが山口氏のもとにとどいた。「罵声を浴びた覚えはない」と山口氏は送り返す。

 強姦したものと、された側のやりとりとしては、かなり奇妙である。

 山口氏は罵声そのものが最初からなかったと書いている。

 伊藤氏のメールが語るレイプ・ストーリーでは伊藤氏が山口氏に罵声を浴びせたことになっていたのだ。

 この素案は伊藤氏の友人が作ったこといっているから、伊藤氏が語ってきかせた罵声をふくめたストーリーを友人が真に受けてメールを作成したと考えられる。メールには友人の感情が加わった様子があり、第三者を思わせる言葉選びが多い。 伊藤氏本人も言った手前、訂正できずに送ったとすると考えると筋が通る。

 5月7日捜査員の勧めで妊娠検査を受けたが、妊娠していないことが判明さたあとも妊娠不安で山口氏を恫喝している。この部分はBlack Boxではカットされている。

 伊藤氏は、ビザの話はあまりできなかったと書いているが、山口氏としてはさんざんビザの話はした。これについては、店の女将が聞いている。

 実はもう一つ奇妙な事がある。ジャーナリスト同士で、これから仕事を紹介してもらうという相手から、読んできてくれと言われた記事を伊藤氏は読んできていなかった。通常の就職活動ならありえないし、尊敬する相手に政治部としてやれるかどうか聞くとなればなおさらである。

 伊藤氏は鮨屋で飲んだ日本酒の酒量は1~2合とし、そのためデートレイプドラッグの可能性を主張しているが、店の証言、山口氏の酒量を差し引いて推測すると少なくとも日本酒はトータル4~5合は飲んでいた。しかも串焼き屋のおかみの証言ではビール2杯、サワー1杯、ワインを数杯を飲んでいるという。伊藤氏はこれも少なく見積もってサワーをいれず、ビール2杯とワインを半分以下の1、2杯としている。ワインなら多く飲めるといってボトルをたのませておいて1~2杯ということないだろう。しかもワインを飲んだこの時はまだ記憶がある時間帯である。

 デートレイプドラッグ等証拠もなにもないこの件をふくめて、伊藤氏は山口氏に疑いをかけ、名誉を棄損しつづけている。しかし民事裁判所はそれも含めて「事実をすべて真実」「専ら公益のための」ものとした。異様な判決である。

 伊藤氏は著書のなかで、膝のズレを山口の暴行のせいだと主張している。 裁判所は、本訴では証拠不十分としながら、反訴に対する判決では書かれた事実をすべて真実としてしまった。判決自体つじつまがあわない。

 なぜ裁判所がこんなことを公然とやってしまうかというと「事実を真実とし、もっぱら公益のため」としないと名誉毀損の違法性を否定できないからだ。

 当時の捜査員はデートレイプドラッグに関係なく、それだけアルコールを飲んでいれば、逮捕状を請求する決め手になるとふんで逮捕状をとった。一審裁判でも伊藤氏が強度の酩酊状態にあったことは認められている。

 逮捕されなかったことについて、政権との関わりがあったなどとうわさされるが、後の民間人が参加する検察審査会でも不起訴相当という結論が出たところをみると、最初の逮捕の中止も不起訴という判断も妥当だったといえる。

 主張の食い違いの何点かは、ホテルのビデオ映像と、カルテの公開であきらかになる。

 ところが伊藤氏側は映像はホテルから買い取ったものとし、ホテルとの約束で公開できないという。

 そして整形外科や、産婦人科カルテにも閲覧制限をかけていることには説明がつかない。個人情報の部分は隠せばいいだけである。そのほか、裁判資料のかなりの部分に閲覧制限をかけている。

 関係者は裁判で映像を見ているので、ホテルマンの証言、タクシー運転手の証言との異同があきらかになっているはずであるが、その点について感想が一致しない。

 また山口氏は、伊藤氏を虚偽告訴と名誉毀損で刑事告訴した。捜査されれば、これまで不明確であった事実が、あきらかにされるであろう。

 ネット上では決め手とされている「記憶に自信がある方ではない」というホテルドアマンの証言の危うさは、山口氏が、フェイスブックでのべている。ドアマンは客観的という言葉をつかってはいるが、相当主観的な証言をしている。彼の証言はむしろ彼女が意識があり、嘔吐物のためにタクシーでもたついていたこと証明するものである。

2020年1月 8日 (水)

④東京地裁判決【詳細】

【1】黒、全文ではないが、東京地裁判決を少し詳しく載せた。

青は今回の判決の疑問点

赤は反論

 原告は、本件串焼き店では小グラスの ビールを2杯、グラスワインを1杯ないし2杯飲み、本件寿司店では、日本酒を少なく とも2合飲んだこと、

 本件寿司店においてトイレに行った際、蓋をした便器に腰掛け、 給水タンクに頭をもたせかけた状態で意識を失ったこと、

 トイレから戻った後は同じ内容を繰り返し話す状態であったこと、

 本件寿司店を出た際に千鳥足であり、時折、並木に手をついて休む様子であったこと、

 タクシーの車内において嘔吐したこと、

 タクシ ーが本ホテルの車止めに到着し、停車してから2分以上経過した後、被告に引き滑られるようにしてドア側に移動して降車したこと、

  ホテルの部屋に向かう間、足元が ふらついており、隣を歩く被告に体を預け、被告に支えられる状態にあったことが認められる。

 これらの事実からすると、原告は、本件寿司店を出た時点で相当量のアルコールを摂取し、強度の酩酊状態にあったものと認められ、

 このことは、本件寿司店において トイレに入った後、本件居室で目を覚ますまでの記憶がないという原告の供述内容と整合的である。 

 また、 原告は、本件居室においてシャワー を浴びることなく、4月4日午前5時50分に本件ホテルを出てタクシーで帰宅したことが認められるところ、これらの原告の行動は、原告が被告との間で合意の下に本件 行為に及んだ後の行動としては、不自然に性急であり、本件ホテルから一刻も早く立ち去ろうとするための行動であったとみるのが自然である。

➡2時から3時にあいだに行為があったとしたら、ゆっくりひと眠りしている。早朝でたのは勝手にホテルに泊まっていたので、二人で出るところを見られたくなかったから。裏付けのない伊藤氏の一方的な供述を前提として状況を説明してしまっている。

また、原告は、同日にイーク表参道を受診してアフターピルの処方を受けているが、このことは、避妊することなく行われた本件行為が、原告の予期しないものであったことを裏付ける事情といえる。

➡予期していたとしても、アフターピルを使うこともある。事件の裏付けにはならない。

 加えて、原告は、同月7日及び9日に友人2名に 本件行為に係る事実を告げ相談したほか、同月9日には原宿警察署において本件行為に係る事実を申告して相談したことが認められる。

 原告が、本件行為に近接した 時期に、本件行為につき合意に基づかずに行われた性交渉であると周囲に訴え、捜査機関に申告していた点は、本件行が原告の意思に反して行われたものであることを裏付けるものといえる。

➡原告が虚偽を語り、虚偽申告をしている場合もあり、裏付けにはならない。原告は現在虚偽申告で訴えられているので、裏付けにはならない。

 この捜査機関への申告については、被告がTBSワシントン 支局長を解任されたのは同月23日であり、原告が本件行為に係る事実を警察に申告した同月9日の時点では、被告は同支局長として原告の就職の斡旋を期待し得る 立場にあった者であるから、原告があえて虚偽の申告をする動機は見当たらない。

動機は見当たる!

そもそもプロデューサー職に内定していた事実さえなかったのかもしれない、この時初めて気づいた。考えたくもなかった。最初から仕事仲間になるということではなく、どうでもできる「モノ」のように見られていたのではないか。悔しくて、悲しくてたまらなかった。』Black Box p70

 ★ 裁判所の重要な見落としである。

以上の点からすると、本件寿司店において二度目はトイレに入った後、本件居室で 意識が戻るまでの記憶がなく、意識が戻る際、被告による本件行為が行われていた とする原告の供述は、本件行為前の原告の酩酊状態や本件行為後の原告の行動等 整合するものである。

➡️タクシーでは会話し、動画をみれば、自ら歩いている部分があり、行為後の原告の陳述には、不可解な点が多く、整合しない。ことに一度バスルームに閉じ籠ったのに目の前の電話に気付きもせず、再び危険に飛び込み相手のTシャツを着て、またねといわれて会釈して出ていく性被害者など不自然である。

 

 原告は被告との会食の前に被告に対し複数回に わたり就取先の紹介を求るメールを送ったこと、被告の本ホテルの滞在に係る冷臓庫の利用履歴としてミネラルウォーター1本が計上されていることが認められ、これらの事実は被告の供述内容と整合する。

しかし、被告は、原告と共に本ホテルに向かった経緯につき、原告を本件ホテル に連れて行くことを決めたのはタクシー車内において原告が嘔吐した時点でありタ クシーに乗るまでは原告の酩酊の程度は分からなかったと供述する、

➡「程度がわからない」というのは酔っているか酔っていないか0か100か全くわからないと言っているわけではない。一度は意識を失い、並木に寄りかかっていたのをみている。これをみて全く酔っていないと言っていたということは考えられない。相応に酔ってはいるが、帰れるレベルかどうかわからないという意味で説明しているにすぎない。

 まるで揚げ足取りのような判決文である。あるいは、わかっていてこうした言葉のあやで、思い通りの判決を導こうとしているのであろうか。

 本件寿司店と恵比寿駅は徒歩わずか5分程度の距離であ ることを踏まえると、本件寿司店を出た時点で、被告が自らと共に原告をタクシーに乗車させた点について合理的な理由は認め無い。

➡そもそも5分だからと、タクシーに載せるのに合理的理由が必要なのか?酔った女性への配慮として載せることは紳士的行為である。

➡さらに並木や電柱に寄りかかるレベルの意識を一度失った女性の千鳥足で5分では駅に到達できるかは不明である。

 また、原告は、タクシーの運転手に対し、「近くの駅まで行ってください」と指示し、近隣の 原宿にある自宅に通車を使ってる意思を示していたのに、被告は、タクシーが目黒駅に到着する直前に、運転手に対し本件ホテルに向かうよう指示し「その前で駅で降ろしてください」と述べた原告に対し「まだ仕事の話があるから、何もしないから」などと述べて、原告をホテルに同行させた事実が認められる。

➡山口氏の「●●駅で降りたいと言ったことは、あっています。伊藤さんは『帰れます』と言った後に(タクシー内で)吐いた。これは駅で降ろしても危険だと思いました。」という供述をなぜ取り上げない?

 上記につき、被告は原告が当時、神奈川県に居住していたと思っていたと供述するが、原告は あらかじめ被告に対し原宿に居住している事実を告げていたと供述していることに照らし、信用することができず、

➡伊藤氏があらかじめ被告に対し原宿に居住している事実を告げていたという証拠はなにもない。むしろ供述は変遷している。

➡駅からもつ焼き屋にいく途中で、話したというが、自宅の外観について話したという陳述書がありながら、口頭弁論では原宿駅とだけ話したといって、それ以外は話していないという。

 この点を措いても、本件寿司店での飲食を終え、帰宅のためタクシーに同乗させた被告が原告の帰宅先を尋ねていないこと自体、不自然というほかない。

➡山口氏は履歴書をみて会話し、自分の大学と関連付けて神奈川方面だと思っていたから、あらためて聞くことはなかった。しかもタクシーに乗った後行き先をまずは山口氏が言おうとはしておらず。本人に言わせている。

 さらに、被告は、午前0時までに米国の政治の動向を確認する必要があったため、やむを得ず原告をホテルに連れて行くことと したなどと供述するが、当時、被告はTBSから出社に及ばずとの通知を受けていたのであるから、米国の政治の動向を確認することが職務上必須であったとも認め難くこの点においても、被告の供述はにわかに信用することができない。

➡出社している時だけが仕事ではない。つねに新しい情報を集めていないと必要な時に動けない。山口氏はこの時解任されるとは考えていなかった。

 被告は、原告が午前2時頃に起きた際、原告は、「私は、何でここにいるんでしょう か」と述べ、就職活動について自分が不合格であるかを何度も尋ねており酔っている様子は見られなかったと供述する。しかし、原告のこの発言自体、原告が本件居室に入室することにつき同意をしていないことの証左というべきであるし、

➡裁判官がこの「私は、何でここにいるんでしょう か」 を入室不同意の根拠とするならば、この時点で意識があったことを認め五時まで意識がなかったという前提が崩れる。

➡また、意に反していれば、そこで退室できた。退出しなかったということは、入室を受け入れたということである。

 前記判示のとおり、本件寿司店において強度の酩酊状態になり、本件居室に到着した後も嘔吐をし、被告の供述によれば一人で脱衣もままならない状態であったという原告が、約2時間という短時間で、酔った様子が見られないまでに回復したとする点についても疑念を抱かざるを得ない。

➡大量に嘔吐してアルコールを吐き出し、2時間爆睡すればありうる。しかも原告は自他ともに酒には強いと主張している。

そして、被告の供述する事実経過 は、本件行為後、原告が本件居室でシャワーを浴びることもなく、早朝、被告を残して 一人で本件ホテルを出たこととも整合しない。

➡被告の述べる事実経過とは、2時から3時の間に行為があり、更にひと眠りしてから、普通に話しをしてホテルを出たということである。そもそも伊藤氏は宿泊人数に入っていない。男性が一人で泊まっていた部屋にとまったたわけであるから、人目につかないようこっそり脱け出したかったと考えられる。またシャワーに関しては山口氏の退室が早かったこと、自宅がタクシーでさほど遠くなかったことから、帰ってからシャワー浴びることを選んだと考えられる。嘔吐物処理のためタオルを使い切っており、予備がなかった可能性もある。

さらに、本件行為に至る経緯についても、被告は、4月18日、原告に対して送信したメールに いて、「あなたは唐突にトイレに立って、戻ってきて私の寝ていたベッドに入ってきました」、「あなたのような素敵な女性が半裸 でベッドに入ってきて、そういうことになってしまったなどと記載して、原告の方から 被告の寝ていたベッドに入ってきたと説明していたことが認められるが、同メールの 内容は、原告に呼ばれたために被告が窓側がわのベッドから原告の寝ている入口側のベ ッドに移動したとする被告の供述内容と矛盾するものであり、このような供述の内容について合理的理由は認め難い。

この点につき、被告は、上記メールにおける「私の寝ていたベッド」とは、前日まで被告が寝ていたベッド、すなわち入り口側のベッドのことを指すなどと供述する。しかし、被告の供述を前提にすると、原告は、それまで寝ていた入口側のベッドから唐突に立ってトイレへ行き、戻ってきた。もともと寝ていた入口側のベッドに戻ったに過ぎないことになり、本件行為のきっかけについて説明するという上記メールの趣旨からして不自然というべきであるし、「私の寝ていたベッドに入ってきた」とする上記メールの文理とも整合せず、被告の供述は不合理というほかならない。以上のとおり、被告の供述は、本件行の直接原因となった直近の原告の言動という核心部分について不合理に変遷しており、その信用性は重大な疑念があるとい わざるを得ない。

①メールの内容は伊藤氏の側からアプローチし、山口氏のテリトリーに入ってきたことを念をおすために書かれた。どちらのベッドに寝ていたかということを説明するために書かれたのではない。

 そもそもメールと裁判での陳述とは記述の目的も相手も全く異なる。メールは事情のわかっているはずである相手に向けて書かれたものであり、陳述はできるだけ客観的に状況を説明するためのものである。

 ②山口氏の言った「寝ていた」は過去完了の意味をもち、昨日まで寝ていたベッドというような意味合いである。しかしながら、現代の日本語では過去完了と過去の形の区別がなくなっているため、裁判官は誤読した。山口氏は書いた意味合いを説明したが、裁判官は理解できなかった。

➡伊藤氏はトイレからBベッドの山口氏の前で跪き、不合格ですかと繰り返し、山口氏に促されてAベッドに座った。そして山口氏が話そうとベッドに腰かけ、位置を変えるうちに手が触れて伊藤氏にAベッドに引き入れられた。

「私が(昨日まで)寝ていたベッドに入って来た。」という文は2点の状況を含んでいる。

①伊藤氏は結局Aベッドに戻った。

②山口氏はBベッドからAベッドに移動した。

③伊藤氏が山口氏の手を引いたことがあって、山口氏はベッドに入った。

 だが山口氏は伊藤氏のメールにむっとしながらも伊藤氏を落ち着かせようと、露骨な不合格ですかなどと言った話を避け、ちょっとした褒め言葉を容れながら説明したため、上記のような端的な表現を使った。

➡原告の言動という核心部分というが核心ではない。上記理由によりメールでは詳細が省略されているだけであり。変遷ではない。

 被告の供述の信用性に関する原告の主張について被告は、イーク表参道のカルテには性交渉が4月4日午前2時ないし3時に行わ れた旨の記載があることから、原告自身同時刻において意識があったことを認めて いると主張する。 しかし、本件行為時に避妊具が使用されていない点は当事者間に争いがないところ、イーク表参道のカルテには、避妊具が破れたなどと客観的事実に反する記載が ある点で、記載内容の正確性に疑義がある。もとより、アフターピルの処方のみを目的とする診療で、患者から詳細な聴取がされていないとしても不自然とはいえないこ と、原告がイーク表参道を受診したのは本件行為から間もない時点であり、アフター ピルの処方の対象となる性交渉の詳細を述べることに抵抗を感じていたと考えられる ことからすると、原告の曖昧な申告に基づき、カルテルに不正確な記載がされたとの疑念も払拭することができない。そうすると、イーク表参道のカルテの記載内容に依拠 して、原告が午前2時ないし3時に意識があったと認めているということはできない。

➡この時点はではまだ山口氏を訴えるつもりはなかった。動機が発生したのは伊藤氏が4月6日にメールを送った後である。

➡また理由についての記載内容に疑義があるとしても、ピルに関しては性交渉の時間が重要であることは被告も医師も偽りを述べる理由がない、できるだけ正確を期したとしても不思議ではない。しかも間もない時点でのピルのために行った病院でのカルテであるがゆえに、信憑性は高い。のちの受診の場合、原告が被告を陥れようとする動機が発生した後であるため、むしろ信憑性に欠け、証拠がための受診の可能性がある。

➡2時から3時という時間が山口氏の供述と一致している。

➡記載内容に疑義があるといっても本人が「明け方」と言うのに、「2時から3時」と書く医者はいない。何のメリットもない。

 被告は、まつしま病院のカルテには4月3日から同月4日にかけて強姦被害にあったがその間の記憶がない旨の記載、まちどりクリニックのカルテには同日午前5時 頃に性交渉に及んだがその記憶がない旨の記載。新百合ヶ丘総合病院のカルテに は同月3日に被害を受けた旨の記載があることからすると、原告にはそもそも本件行為に係る記憶がなかったのであり、同意なく本件行がなされたとする原告の供述 は信用できない旨主張する。 しかし、原告は、4月3日に本件寿司店において意識を失った後の記憶がなく、翌4 日早朝に目を覚ました室には既に被告に性交渉を行っていたと供述しており、まっし ま病院とまちどりクリニックの各カルテにおいて記憶がないと記載されているのは、同 月3日に意識を失ってから翌4日早朝に目を覚ますまでの間の記憶がないとの趣旨であると理解することができるまた新百合ヶ丘総合病院のカルテにおいて同月3 日に被告を受けたと記載されているのは、原告自身は同日に意識を失った後、翌4 日早朝に目覚めるまでの記憶がなく同月3日から翌4日未明にかけて本件行為が 行われていた可能性があるとの調整を踏まえたものであるとみるのが自然である。 したがって、上記各カルテの記の内容を根拠に、原告が自己の認識し記憶する 部分として供述する本件行の状況につき、原告の記憶がなかったということはでき ない。

➡それ以後の病院受診の時期には被告を訴えるつもりでいた。つまり、ありばいを作るために受診した可能性がある。

 被告は、原告と被告の本件ホテルの部屋に到着したのは午後11時頃であるに もかかわらず、本件行為があったのは翌日午前5時頃であることになる点で、原告の 供述は不合理であると主張する。 しかし、原告は、被告が宿泊する部屋に入った時点で、嘔吐して吐瀉物が髪や衣服に付着した状態となっていたと推測されることからすると、被告が直ちに原告との性交渉に及ぶ状況にはなかったとしても不自然であるとまではいえない。また、原告の供述によれば、遅くとも午前5時には性交渉が行われていたとのことであり、それ以前については記憶がなく、それ以前に性交渉がいつ行われていたのかについては不明であることを前提とするものと解されることからすると、原告の供述が不合理である ということはできない。

 被告は、被告の宿泊するバスルームには電話機が設置されており、原告が電話機を使用して外部への連絡をしなかったことは、原告が供述する当時の状況と矛盾すると主張する。 しかし、原告の供述によれば、原告がバスルームに入ったのは、目が覚めて被告 から性交渉をされていることに気付いた直後であり、動揺して自らが置かれている状 況が把握できず、冷静な判断ができない状態であったことは容易に推察されるから、 電話機を使用して、外部への連絡をしなかったことが不自然であるとはいえない。

➡アメニティを記憶する、鏡を見て傷を確認するなど当時の状態を詳述しているところからみて、電話機に気づかないはずはない。トイレというとっさの機転をはたらかせ、外に出ようとしながら、フロントに助けを求めなかった理由を裸にせいにするのも不合理である。着衣が入口ドアにかかっていたのを後で気づくのもおかしい。

(弁)一旦トイレに逃げ込み鍵をかけた際、フロントに助けを求めなかったのか    
(伊)裸では考えなかった       7/8口頭弁論

「とにかく部屋からでなければならない。意を決してドアを開けると・・・」Black Box P50

 フロントに助けを求めなかった理由を裸にしながら、その裸で部屋から出るのは平気だったという。不合理である。

被告は、原告が被告から渡されたTシャツを活用したことは、被告が原告に対し 同意なく性交渉を行ったという原告の供述内容と整合しないと主張する。 しかし、原告の供述によれば、原告の衣服を探したのは、本件行為の直後であり 原告が動揺し、一刻も早くその場を離れたいとの心理状態であったことが合理的に推察されるところ、同時点において、原告の着用していたブラウスが濡れたで着用できない状態であったことからすると、原告が被告から差し出されたTシャツ をとっさに受け取り、若用したことが不自然であるということはできない。

➡強姦された相手からTシャツを差し出され混乱していたからといって、着るのは不自然である。他に着るものコート、キャミソール、カーデガンなどはあった。一刻も早く出たいなら着る間も惜しみ出る。しかもドアノブにブラウスが、かかっていれば、濡れているから着ないという選択は、不自然である。

 被告は、原告が4月6日に被告が無事にワシントンに戻ったかを確認するとともに ビザに係る対応の検討結果を尋ねるメールを送ったことは、本件行為があったことを受け入れた上で就職活動に係る協力を求める行為であり、本件行為が原告の同意 にづくものであったことを裏付けるから、原告の供述に信用性がないと主張する。 しかし、同意のない性交渉をされた者が、その事実をにわかに受け入れられず、それ以前の日常生活と変わらない振る舞いをすることは十分にあり得るところであり 原告の上記メールも、被告と性交渉を行ったという事実を受け入れられず、従前の就職活動に係るやり取りの延長として送られたものとみて不自然ではない。そうすると、 原告が上記メールを送ったことにより、本件行為が原告の同意に基づくものであった ことが推認されるということはできず、原告の供述の信用性に影響を及ぼすものとは認められない。

➡もちろんそれ以前の日常生活と変わらない振る舞いを行おうとすることは確かにあり得る。

 しかし暴力を受けた性被害者は、「お疲れ様」というメールを送ることはない。まだ、仕事をはじめたわけではなく、いやなら関係をたちきれた。自分からメールを送って関係性を維持しようとした。

 しかも著作ではわざわざこのお疲れさまという文言を削除している。これは本人がまずいとおもったからであろう。

 被告は、○○が陳述において原告が準強姦の被害を受けたとの話をしたにしていること、●●が陳述において原告が被告に馬乗りで押さえつけられたとの 話をした旨記載していることが矛盾し、また●●の陳述書の上記記載に関し、被告が 原告に馬乗りになったとすると被告は原告の下腹部に陰茎を挿入することができない から、原告の供述には信用性がないと主張する。しかし、そもそも原告は法律の専門家ではなく、準強姦と強盗との区別が曖味であった可能性が十分に考えられる上、原告が意識を失った状態で被告から性交渉をさ れた点をとらえて、「準強姦」、原告が意識を取り戻した状態で被告から体を押さえ付けられた点を捉えて、「強姦」とそれぞれ表現したととしても何ら不自然ではない。また被告が原告をベッドに押し倒して、上から覆いかぶさる状態にあった点を「馬乗り」 と表現することも不合理ではなく、これらの点を根拠に原告の供述に矛盾や変遷が あるということはできない。

 

<本件についての合法の有無>
 タクシー内における原告と被告のやり取り、タクシ 一降車時及びタクシーを降車してから本件居室に入室するまでの原告の状況からすれば、原告は、当時の記憶は失しているものの、原告が本件居室に被告と共に入室したことが、原告の意思に基づくものであったとは認められない。

 次に、両当事者の供述についてみると、前記のとおり、本件居室内における本件行為に関する被告の供述には、重要な部分において不合理な変遷が見られ、客観的な 事情と整合しない点も複数存するなど、その信用性に概念が残るものであるのに対し 、本件行当時に意識を回復した後の事実に関する原告の供述は、客観的な事情や 本件行為後の行動と整合するものであり、供述 の重要部分に変遷が認められないことからすると、被告の供述と比較しても相対的に信用性が高いものと認められる。 以上のとおり、本件行為に至る原因となった本件居室への入室が原告の意思に基づくものではなかったと認められることに加え、信用性が相対的に高いと認められる原告の供述によれば、被告が、酸欠状態にあって意識のない原告に対し(➡酸欠状態であった意識のない原告?話が違っていないか?意識のない原告がどうして酸欠状態だったとわかるの?)、原告の合意のないまま本件行為に及んだ事実、及び原告が意識を回復して性行為を拒絶した 後も原告の体を押さえ付けて性行為を継続しようとした事実を認めることができる。そうすると、被告による上記行為は、原告に対する不法行為を構成するものと認められる。

 原告は、それまでに二回しか会ったことがなく、就職活動に係る 連絡のみを行い、将来は職務上の上司となる可能性のあった被告から、強度の酩酊状態にあり、意識を失った状態で、避妊具を着けることなく性交渉をされたこと、意識 を回復し拒絶した後も、被告に体を押さえ付けられて強引に性交渉を継続されそうに なり、その際、ベッドに顔面が押し付けられる形となって呼吸が困難になるなどして恐 怖を感じたこと、これにより、原告が、現在まで、時折、フラッシュバックやパニックが 生じる状態が継続していることが認められる。

 なお、原告は、本件行為後の4月6日、元谷整形外科において右膝内障及び右膝挫傷と診断された事実が認められるところ、同 が 原告が記憶を失した時間中により生じたものであることは疑われるものの、本件行為により生じたものか、それ以前の経過の中で生じたものであるかは証拠上明らかではなく、本件行為により生じたものとするには至らない。

 上記事実のほか、本件に頼れた一切の事情を総合考慮すると、原告が被告の不法 行為によって被った肉体的及び精神的苦痛に対する慰謝料は、300万円をもって相当と認める。

 そして、被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用の については、30万 円と認めるのが相当である。 したがって、原告は、被告に対し、不法行為」による損害賠償請求権に基づき、330 万円及び不法行為日である4月4日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害 金を請求することができる。

本件公表行為が被告に対する不法行為を構成するかについてしたがって、謝罪広告掲載等の要否は判断するまでもなく、被告の反訴請求はいずれも理由がない。

以上よれば、原告の本訴請求は、被告に対し、330万円及びこれに対する平成27 年4月4日(不法行為の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損 吉金の支払いを求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないか らこれを棄却し、被告の反訴請求は理由がないからいずれもこれを棄却することとし て、主文のとおり判決する。

以上

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以下https://www.justiceforny.com/cont2/14.html

に公表された訴状、反訴状、判決文に 、赤で注を付けさせていただきました。

        【 訴 状 】

平成29年9月28日

東京地方裁判所民事部 御中

当事者の記載
別紙当事者目録記載のとおり

事件名 損害賠償請求事件
訴訟物の価格 金1100万円
貼付印紙額 金5万3000円
予納郵券 金6000円


         請求の趣旨

1   被告は原告に対して金1100万円およびこれに対する平成27年4月4日から支払済みに至るまで、年利5パーセントの割合による金員を支払え

2   訴訟費用は被告の負担とする
   との判決ならびに仮執行宣言を求める。



          請求の原因

第1 当事者
1   原告は、ニューヨークの大学でジャーナリズムと写真を専攻した後、平成27年初めに帰国し、トムソン・ロイターでインターンとして勤務していた際に、就職先の紹介を受けるべく、平成27年4月に被告と会ったところ、被告から、後述する不法行為による被害にあった者である。

2   被告は、TBSに入社後、政治部を経て平成25年からワシントン支局長を務めた後、平成28年5月に同社を退社し、フリーのジャーナリストとして「総理」(幻冬舎)を出版したほか、テレビのワイドショーなどに多数出演していた者である。

第2 事件当日までの経緯

1 原告は、平成25年秋ころに、ニューヨークの大学でジャーナリズムと写真を専攻していた際に、当時、TBSのワシントン支局長であった被告とアルバイト先のピアノバーで面識を得た。原告が、報道機関での仕事に興味があると告げると、被告は数日後にTBSのニューヨーク支局長を交えた昼食会に呼んでくれ、ニューヨーク支局長とともに、TBSのニューヨーク支局まで同行させてもらった。しかし、原告は、ニューヨークの大学卒業後(👉そもそも卒業したのだろうか)は、日本テレビのニューヨーク支局でインターンとして働くことになったため、ニューヨーク滞在中に、被告と再度会うことはなかった。


2 原告は、平成27年初めに日本に帰国し、トムソン・ロイターでインターンとして働くようになったが、正社員としての就職先を探す中で、以前面識のあった被告がTBSのワシントン支局であればいつでも仕事が紹介できると話していたことを思い出し、就職先の紹介をしてもらえないかと考え、メールで連絡をとったところ、被告からは、「まずこっち(アメリカ)に来てフリーランスとして契約して、しばらく仕事をしてもらいながら正式に採用に向かうという手もあります。このやり方なら私が決済できます。」(平成27年3月27日)といったメールの返信があった(甲1号証)。

3 その後、被告に対して原告の履歴書を送ったところ、平成27年3月28日に被告から「履歴書受け取りました。ありがとう。最大の関門はビザだね。TBSで支援する事も可能ですので、検討してみます。ところで、ヤボ用で一時帰国することになったんだけど、来週は東京にいますか?」とのメールがあった。原告は、渡米の段取りに向けた話をするものと考えて、被告に会うこととし、事件が発生した平成27年4月3日に恵比寿で被告と会う約束をするに至った。

4 したがって、原告は被告とは事件発生2年前の平成25年に、ニューヨークで2回会ったことがあるだけであり、しかも、被告と1対1で会食をするのは、初めてのことであった。なお、原告は、4月3日の会食時にも、他の報道関係者が同席するものと考えていた。(👉ニューヨークの時はインターン紹介という明確な目的があった。しかし今回はワシントン支局内の話でメールのやり取りの内容から、誰かが同行すると考えるのは無理がある。またそこまで話がすすんでいるわけではない。政治部でやれるか、VISAをどうするかなどそれ以前の問題がある、その話を聞くはずだった;伊藤氏陳述書参照 )


第3 会食時の経緯

1 原告は、午後7時に恵比寿駅で被告と待ち合わせをしたが、取材のために1時間遅れてしまった。被告に電話をすると、駅まで迎えに来てくれ、店までの道すがら「恵比寿には顔をださなきゃいけない店がものすごくあり、次に行く寿司屋を予約していて、ここは軽くつきあってくれ」と言われ、串焼き屋に案内された。串焼き屋では、原告は串焼き5本食べたほか、コップのビール2杯、グラスワイン1杯ほどを飲んだだけであった。(👉ワインは少なくとも数杯、シソサワーも飲んでいるという女将の話)1時間半ほど店内にいたものの、被告人は世間話などに終始し、本来するべきビザに関する打合せができなかった。


2 その後、歩いて5分ほどのところにある寿司店に移動した。被告からは、「君の良い評判を聞いていたので、一緒に働きたいと思っていた」などと、ようやく仕事の話が出たが、肝心のビザや待遇の話は出なかった。この間、原告の記憶では2人で日本酒を2合ほど飲んだだけだった(👉この時点では2合目とは伊藤氏だけの量で、飲み終わる前とBlackBoxに書いてある)が、原告が2度目のトイレに行った際に、頭がくらくらとし、蓋をした便器にそのまま腰掛け、給水タンクに頭をもたせかけて休んだきり、その後の記憶がなくなってしまった。

第3 ホテルに連れていかれるまでの経緯 

1 原告は記憶していないが、寿司屋から被告とともにタクシーに乗り込み、シェラトン都ホテルに連れて行かれた。タクシーの運転手は、そのときのことをよく記憶しており、原告が「近くの駅まで行ってください」と言っていたにもかかわらず、最終的には被告の指示でシェラトン都ホテルに向かったとのことである。さらに、ホテルに到着しても、後部座席の奥側に座っていた原告は(👉ゲロして)なかなかタクシーから降りることができず、被告が原告の体ごと引きずりだすような形(👉自分で足を出している。でるのを介助するような形で)で原告をタクシーから降ろしたとのことである(甲2号証)


2 タクシー運転手の記憶は、ホテルに残されていた防犯カメラの画像によっても、裏付けられている。すなわち、午後11時19分に原告らを乗せたタクシーがホテルの車寄せに到着して、午後11時20分42秒に、被告がタクシーの車外に出た場面をとらえた後、再び、被告がタクシー内に体を入れ、車内に残っていた原告を抱えるようにして出て来たのが午後11時21分52秒であり、1分以上の時間をかけて原告を車内から降ろす様子が記録されていた(甲3号証)。

 さらに、ホテル内に入った後も、ロビー内を被告が原告を抱きかかえ、原告が足元に力が入らず上半身を曲げるような不自然な体勢で歩いて行く様子が記録されている(👉足は浮いておらず、引きずられてもいない。)(甲3号証、午後11時22分16秒など)。

 なお、シェラトン都ホテルに対しては本件訴訟提起前に、防犯カメラの映像の開示を求めたところ、裁判所から提出を命じられればこれに応じるとのことであったことから、文書送付嘱託の申立を行う予定である。

第4 ホテルの居室内でのやりとり
1 原告が、痛みで目が覚めると被告からの性的被害に遭っている最中であった。ベッドの上で、裸で仰向けになっていた原告に跨がって、被告が原告の下腹部に性器を挿入していた。被告の行為に気づいた原告が「痛い、痛い」と何度も訴えたが、被告は行為を止めようとしなかった。さらに原告が「痛い」と言い続けたところ、被告は「痛いの?」と言って動きを止めたものの、体を離そうとはせず、押しのけようとしても身動きがとれなかった。原告が、「トイレに行きたい」と言うと、被告はようやく体を起こした。その際に、被告が避妊具をつけていないことがわかった。

2 原告は、バスルームに駆け込んで鍵をかけた。バスルーム内には、ヒゲそりなどの男性もののアメニティがあったタオルの上に並べられていた(👉その上50センチにある電話がわからなかった。)ことから、その場所が、被告の滞在しているホテル内であることが分かった。原告が鏡で自分の裸の体を見ると、乳首から出血しており、体がところどころ、傷ついていることが確認できた。(👉傷を見た者もいない。証拠もない。どちらの乳首が痛かったかもわからない。)原告は被告から服を取り戻して、直ちに部屋から逃げる必要があると考えた。


3 原告が、バスルームのドアを開けると(👉なぜ開けたか不自然、すぐ前に被告が立っており、そのまま肩をつかまれ、再びベッドにひきずり倒された。そして、抵抗できないほどの強い力で体と頭をベッドに押さえつけられ、再び性的暴行を加えられそうになった。原告が足を閉じ体をねじ曲げたとき、被告の顔が近づきキスをされかけたが、原告が必死の抵抗で顔を背けたところ、原告の顔はベッドに押しつけられた状態となった。被告が原告の顔や頭と体を押さえつけ、自分の体で覆い被さった状態であったため、原告は息ができなくなり窒息しそうになった。原告が必死で自らの体を硬くし、体を丸め、足を閉じて必死に抵抗を続けたところ、頭を押さえつけていた被告の手が離れ、ようやく呼吸ができるようになった。原告が、「痛い。止めて下さい」と言うと、被告は、「痛いの?」などと言いながら、無理やり膝をこじ開けようとしてきたが、原告は体を硬くして精一杯抵抗を続けた。

4 ようやく被告が動きを止めたとき、原告は、とっさに英語で「What the fuck are you doing!」(何するつもりなの!)「Why the fuck do you do this to me.」(何でこんなことするの)「I thought we will be working together and now after what you did to me,  how do you think we can work together.」(一緒に働く予定の人間にこんなことをして、何のつもりなの)などと汚い言葉を混ぜて罵倒した。これに対し、原告は「君のことが本当に好きになっちゃった」「早くワシントンに連れて行きたい。君は合格だよ」などと答えた。原告がさらに、「それなら、これから一緒に仕事をしようという人間に(👉一緒に仕事をするかどうかは全く決まっていない。 なぜこんなことをするのか。避妊もしないでもし妊娠したらどうするのか。病気になったらどうするのか」とさらに英語で聞くと、被告は「ごめんね」と一言謝った。そして、「これから一時間か二時間後に空港に行かなければならない。そこへ行くまでに大きな薬局があるので、ピルを買ってあげる。(👉薬局でピルが買えないことは山口氏も知っていた。 一緒にシャワーを浴びて行こう」などと言ってきたが、原告はこれを断った。

5 原告は、ようやくベッドから抜け出し、被告に服を返すように行ったが(原文ママ)、被告がベッドから動かなかったことから、原告自らが部屋のあちこちに散乱していた服を拾った。なかなか見つからなかったブラジャーは開いた被告スーツケース(原文ママ)の上にあったが、パンツが一向に見つからず、被告に聞くと、被告は「パンツくらいお土産にさせてよ」などと言ってきた。なおも、原告がパンツを返すよう被告に求めると、被告は、「今まで出来る女みたいだったのに、今は困った子どもみたいで可愛いね」などと良って(原文ママ)、ようやくパンツを返してきた。取り戻した下着や服(👉被告に差し出されたTシャツ)を身につけ、原告一人で(👉またねといわれて会釈して)客室を出て、午前5時50分頃タクシーでホテルから帰宅した。なお、防犯カメラの映像にも、原告が平成27年4月4日の午前5時50分にホテルを一人で(👉大股早足で膝の損傷などないかのように痛みもなく)歩いて出ていく様子が記録されている(甲3号証)


第5 事件後の経緯
1 原告は自宅に戻ると、真っ先に服を脱ぎ、着ていたものを洗濯機に入れ、シャワーを浴びたが、あざ、出血している部分があり、胸はシャワーをあてることもできないほど痛みを感じた。その後、被告が避妊具をつけずに性行為に及んでいたことから、平成27年4月4日のうちに、自宅近くにあるイーク表参道に行き、アフターピルの処方を受けた(甲4号証)。

2 事件後、原告は右膝の痛みを感じており、(👉早朝は痛みを感じていなかった。7/8口頭弁論)平成27年4月5日に友人と会った際には、痛みのために歩行が困難な状況となっており、友人宅に宿泊させてもらうこととなった。そして、翌6日に、友人宅の近所にある元谷整形外科に行ったところ、「凄い衝撃を受けて、膝がずれている。手術は困難だし、完治まで長い時間がかかる」と言われ(👉カルテ内容と映像、診断名と一致しない。)、「右膝内障、右膝挫傷」との診断を受けた。そして、その後膝の痛みのために、数カ月にわたってサポーターをつけて生活することとなった。

3 友人に事件のことを初めて話した結果、警察に被害を申告することを決意するに至り、平成27年4月9日に原宿署に相談に行き、その後、事件を管轄する高輪署の警察官に相談をした。

4 平成27年4月17日に、性被害の被害者を多く扱うというまつしま病院に行き、検査を受けた結果、外陰部から膣内には外傷はなく、性病についても異常はないとの診断結果であった。事件後、眠れていなかったことから、睡眠薬の処方を受けた(甲5号証)。(👉この時妊娠検査をしていない。月経ありと自主申告)

5 平成27年4月30日に、高輪署が原告の被告に対する告訴状を受理した。

6 原告は、膝の痛みのために事件後1カ月ほど職場に復帰することができず、その間も、突然事件のことを思い出したり、街中で、被告に似た人物を見ただけで、吐き気を催してパニックを起こすという症状が続いていたため、平成27年5月20日に、精神科・診療内科のまちどりクリニックを受診したところ、「外傷後ストレス障害」との診断を受けた(甲6号証)。

7 平成27年6月初めに被告に対する逮捕状が請求されたものの、逮捕状執行が直前になって、警視庁上層部の指示によってとりやめられる事態となり、捜査の担当も高輪署から警視庁捜査1課に変更となった。警視庁捜査1課の捜査員を通じて、被告側から示談の申し入れがあったが、原告はこれを断った。

8 平成28年7月16日に、被告に対する不起訴処分が下された。このため、原告は、この処分を不服として、平成29年5月29日(👉かなりの時間が経過している。)に東京検察審査会に対して審査の申立を行った(甲7号証)。

第6 被告の不法行為責任
1 被告は、平成27年4月4日の午前5時ころ、原告が意識を失っているのに乗じて、避妊具もつけずに原告の下腹部に陰茎を挿入させる等の性行為(👉下腹部に陰茎は挿入できない。陰部又は女性器)を行ったのであり、かかる行為は、原告に対する故意による不法行為に該当し、被告は民法709条に基づく損害賠償責任を負う。

2 さらに被告は、平成27年4月4日の午前5時ころ、原告が意識を取り戻し、性行為をやめるよう求めた後も、原告の体をおさえつける等して、性行為を続けようとしたのであり、かかる行為は、原告に対する故意による不法行為に該当し、被告は民法709条に基づく損害賠償責任を負う。

第7 原告の損害

1 原告は、上述のとおり、突然事件のことを思い出したり、街中で、被告に似た人物を見ただけで、吐き気を催してパニックを起こすという症状が現在に至るまで続いており(👉裁判後の会見にあえて現れた。桜散る番組に現れた。PSTDが治っているのか?。)、被告の身勝手な行為によって極めて重大な肉体的・精神的苦痛を被った。原告がこれによって被った損害に相当する慰謝料は金1000万円を下回らない。


2 原告が自ら被告に対して損害請求していくことは極めて困難であり、請求金額の1割にあたる弁護士費用については、被告の不法行為と相当因果関係ある損害と判断されるべきである。

第8 結論
よって、原告は被告に対し、民法709条に基づき不法行為に基づく損害賠償として、金1100万円およびこれに対する事件発生日である平成27年4月4日から支払済みまで年5パーセントの割合による遅延損害金を支払うことを求める。

 

【反訴状】 平成30年2月1日

【もくじ(反訴状の構成】

第1 反訴請求の趣旨

第2 事案の概要

第3 反訴請求の原因

 1.当事者

   ⑴ 反訴原告(被告)

   ⑵ 反訴被告(原告)

 2.反訴被告(原告)の被害妄想と虚構

   ⑴ はじめに

   ⑵ 準強姦被害の虚偽性・妄想性

    ア 反訴原告(被告)の承諾について

    イ デートレイプドラッグ(薬物)の不使用について

   ⑶ 強姦被害の虚偽性・妄想性

    ア 4月4日午前5時の強姦被害が「虚妄」「捏造」である理由

    イ 強姦の被害状況にみられる支離滅裂

   ⑷ 被害関連事実にみられる「悪質な虚構・欺罔」の数々

    ア 反訴被告は、ホテル内を「床に足をつけて」歩行

    イ 反訴原告は、会食中「ビザの話」をしていた

    ウ 「元検事の叔父」にみる「虚構」ないし「経歴詐称」

    エ 「凄い衝撃」で「膝がズレている」の歪曲

    オ 「妊娠の不安」を煽る欺罔・脅迫

   ⑸ 反訴被告(原告)の故意と動機

    ア 責任原因(故意)

    イ 虚偽申告の動機をめぐって

   ⑹ 本件性交渉の合意(反訴被告の承諾)を基礎づける事実

    ア 反訴原告(被告)には明確な意識があった

    イ 事後の親睦メール

    ウ 反訴原告(被告)には性交渉の動機がない

    エ 反訴原告(被告)には性交渉に積極的動機があった

    オ 反訴原告(被告)の供述が十分に信用できること

   ⑺ 結論

  3.不法行為(名誉毀損、プライバシー侵害)

   ⑴ 週刊新潮による報道

   ⑵ 司法記者クラブでの記者会見

   ⑶ 「ブラックボックス」の出版・頒布

   ⑷ その他・各種記者会見

  4.反訴原告(被告)に生じた損害

   ⑴ 慰謝料 2000万円

   ⑵ 営業損害 1億円

   ⑶ 弁護士費用 1000万円

  5.謝罪広告の必要性 

  6.結論


【反訴状】 (前半)


         反訴状

第1 反訴請求の趣旨

1. 反訴被告(原告)は、原告に対し、1億3000万円及びこれに対する平成29年10月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2. 反訴被告(原告)は、讀賣新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞及び日本経済新聞の各全国版に、別紙謝罪広告目的1⑴記載の謝罪広告を同1⑵記載の掲載条件にて各1回掲載せよ。

3. 反訴被告(原告)は、反訴原告代理人が設置するウェブサイト

(URL:https://www.kitaguchilaw.jp/)にて、反訴原告(被告)らが別紙謝罪目録2記載の謝罪広告を、本判決確定後1年間に限り掲載することを受忍するとともに、本件判決確定後2か月以内に1か月間、松尾千代田法律事務所(送達場所)のホームページ内の反訴被告代理人西廣陽子のプロフィールページ

(URL:https://www.matsuolawoffice.com/profile/nishihiro.html) にて、同目録2記載の謝罪広告を掲載せよ。

4. 訴訟費用は反訴被告(原告)の負担とする。

との裁判を求める。

第2 事案の概要

本件は、反訴被告(原告)が、反訴原告(被告)からデートレイプドラッグを使用したレイプ被害を受けたという被害妄想を抱き、警視庁高輪警察署にて「準強姦」の被疑事実で被害届を出すと同時に、反訴原告(被告)を加害者として同被疑事実で告訴した後、東京地方検察庁が反訴原告(被告)を不起訴とし、かつ、反訴被告(原告)からの審査申立てを受けた東京検察審査会が本件不起訴処分は相当である旨の議決をした状況のもとで、反訴被告(原告)が反訴原告(被告)に対し、不法行為(準強姦被害及び強姦被害)に基づき損害賠償請求訴訟(本訴)を提起したのに対し、反訴原告(被告)が、反訴被告(原告)に対し、反訴被告(原告)が、東京検査審査会に対する上記審査請求に際して、その代理人弁護士立会のもと、司法記者クラブにて記者会見を開いて、反訴被告(原告)を被疑者とする準強姦被疑事件を不起訴にした東京地方検察庁の処分の不当性を訴えたこと、反訴原告(被告)から客観的には「強姦」被害を受けた旨の内容虚偽の手記「ブラックボックス」を出版・公表された上、各種報道機関に生出演・記者会見や、各種催事やインターネット上での意見表明等の報道活動を通じて、反訴被告(原告)による強姦被害を訴え続けられたことで、名誉・信用が毀損され、かつ、プライバシー権を侵害されたことを理由として、反訴原告(被告)が反訴被告(原告)に対し、不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき損害金の支払を請求するとともに、民法723条に基づき、讀賣新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞及び日本経済新聞の各全国版並びに被告及び被告代理人が設置するウェブサイトへの謝罪広告の掲載を求める事案である。


第3 反訴請求の原因

1.当事者


⑴ 反訴原告(被告)

反訴被告(原告)は、本件が発生した平成27年4月4日当時、48歳で、株式会社TBSテレビ(以下「TBS」という。)のワシントン支局長であった。

平成2年3月、慶應義塾大学経済学部を卒業後、TBSに入社し、同5年には、ロンドン支局に異動し、以後、ルワンダ内戦や中東紛争、在ペルー日本大使公邸占拠事件など、多くの内戦や紛争、国際政治の現場取材、次いで、本社社会部(警視庁、運輸省等)での取材経験を経て、平成12年には政治部に異動して官邸キャップ、与党キャップ、外務省キャップなどに従事してきた。この間、反訴被告(原告)は、平成19年9月12日の「安倍首相辞任」をスクープしたこと等でTBS社長賞2回、TBSテレビ社長賞3回をはじめ、報道局長賞を含め計17回以上の表彰(乙21の1~5等)を受けており、著書である「総理」(平成28年6月)及び「暗闘」(平成29年1月)は、いずれもAmazonノンフィクションランキングで一位を獲得し、平成28年4月に、週刊文春から発表した報道記事「韓国軍にベトナム人慰安婦がいた」では、大宅壮一ノンフィクション大賞最終候補作に抜擢されるなど、ジャーナリストとして活動してきた。

もとより、ジャーナリストとしての執筆経験(月刊文藝春秋、週刊文春、現代ビジネス、週刊現代、SPA!、月刊Hanada、月刊WiLL、夕刊フジ、日経BPほか)、出演(テレビ朝日、フジテレビ、テレビ東京、AbemaTV、DHCシアター、報道特注、NEXTEP他)、講演(マスコミ倫理懇親会、北日本政経懇話会、大和証券、日本再興会他)等のオファーも数多く受けてきた。

⑵ 反訴被告(原告)

平成27年4月4日当時、トムソン・ロイター(テレビニュース部)でインターン(無給)をしていた、ジャーナリスト志望の研修生(当時26歳・女性)で、TBSワシントン支局での無給アルバイトもしくは現地スタッフとしての就業を希望していた。

2.反訴被告(原告)の被害妄想と虚構

⑴ はじめに

反訴被告(原告)は、平成27年4月30日、反訴原告(被告)から性暴力被害を受けた旨の被疑事実を理由として、警視庁高輪警察署に出向き、被害届を提出するとともに、告訴したとのことであるが(訴状8頁10行目、甲19・97頁)、被疑事実の具体的内容は不明である。

もっとも、

①当該被疑事件については、罪名が「準強姦」とされていること(甲7)、

②反訴被告(原告)が随所で、薬物(デートレイプドラッグ)を利用した被害を訴えていること(甲7・5頁3行目以下、甲7添付資料[週刊新潮]23頁、甲19・66頁、同89頁)、

③本件告訴事件の捜査段階で、反訴被告(原告)が、高輪署警察官の勧めで、妊娠検査の目的で受診した新百合ヶ丘総合病院のカルテによれば、同人は医師に対し「4月3日に被害」と申告していること(乙9)、

④反訴被告(原告)が、週刊新潮に対し、「…『準強姦』の逮捕状が発付されました。」その捜査情報をリークしていること等の諸事情に照らし、当初、反訴被告(原告)が訴えていた性被害(被疑事実)は、平成27年4月3日深夜から翌4日の未明にかけての、薬物(デートレイプドラッグ)を利用した準強姦であったものと合理的に推認される。もし仮に反訴被告(原告)が、当初から本件訴訟で主張しているとおりの性犯罪被害を申告していたのであれば、具体的には、高輪警察署の警察官に対して、「…肩をつかまれ、再びベッドにひきずり倒された。」、反訴被告(原告)の「顔はベッドに押し付けられた状態」となり、「息ができなくなり窒息しそうになった」、「無理やり膝をこじ開けようと」された等の態様の「暴行」を受け、かつ、「乳首からの出血」、「右膝内障、右膝挫傷」等の「傷害」を生じた旨の被害申告をしていたのであれば、強姦致傷罪(旧刑法181条)の既遂で受理されたはずだからである。

ところが、その後、反訴被告(原告)は、自らの供述を変遷させ、上記深夜未明の準強姦に付加して、翌4日午前5時過ぎ頃の強姦の事実を主張するに至った(甲7添付資料24頁「…すごい勢いでベッドに顔と身体を押さえつけられました。…。何とか抵抗して2度目のレイプをされることはありませんでしたが、…」、訴状6頁、甲19・49頁以下等)。しかしながら、上記の準強姦及び強姦のいずれも、反訴被告(原告)の虚偽・虚構・妄想であって、事実に反する。その理由は次のとおりである。

⑵ 準強姦被害の虚偽性・妄想性

平成27年4月4日深夜、東京都港区白金台所在の「シェラトン都ホテル東京」(以下「本件ホテル」という。)にて、反訴原告(被告)が、反訴被告(原告)と、合意のもとで性交渉(以下「本件性交渉」という。)したことは事実であるが、当事者間の本件性交渉は、酩酊状態から醒めた反訴被告(原告)が、酒の飲み過ぎで失態を演じたことに気付いたことで、挽回を図ろうと、反訴原告(被告)に対し、意図的かつ執拗に性的交渉に向けた働きかけをしてきたがゆえに、反訴原告(被告)が、これに応じたものに過ぎない。もとより、反訴原告(被告)が、反訴被告(原告)に対しデートレイプドラッグ(薬物)を使用したことは一切ない。

ア 反訴原告(被告)の承諾について

当事者間の本件性交渉の経緯及び経過は、反訴被告(原告)の陳述書(乙4)において、具体的かつ詳細に述べたとおりである。すなわち、酩酊状態から醒めた反訴原告(被告)が、反訴原告(被告)からの叱責により、自らが醜態を晒したことに気付き、自らの失態を挽回しようと企図して、反訴原告(被告)に対し、性交渉に向けて強い働きかけ・誘惑を仕掛けてきたことで、反訴原告(被告)が、これに応じてしまったというものである。

したがって、本件性交渉は、反訴被告(原告)の承諾のもとで、これに至ったものである。このことは、①本件当日午前、反訴被告(原告)が本件ホテルで目覚めてから、本件ホテルを退出するまでの間、本件ホテルの従業員にも、関係医療機関にもレイプ被害を一切訴えていなかったことや、②反訴原告(被告)が本件当日、日本を出発してワシントンに戻ることを知っていた反訴被告(原告)が、4月6日午前11時頃、その帰還のタイミングを見計らって、反訴原告(被告)に対し、親睦と反訴原告(被告)のもとでの就職情報の提供を求める旨のメールを送信していること(甲1の15「山口さん、お疲れ様です。無事ワシントンへ戻られましたでしょうか? VISAのことについてどの様な対応を検討していただいているのか案を教えていただけると幸いです。…履歴書添付させていただきます。」)等の諸事情から明らかであるが、本件性交渉が、反訴被告(原告)の承諾のもとに行われたことを裏付ける評価根拠事実については、後で整理して再論する(後記・反訴請求原因2⑹)。

なお、反訴被告(原告)は、その後、薬物による酩酊下において、その意思に反して性交渉が行われた旨を主張しているが、本件性交渉の際、反訴被告(原告)は、酩酊状態から醒め、明確な意識・意思があったことは、反訴原告(被告)が再三述べているとおりである(反訴被告自身も、「イーク表参道」の医師に対し、自身の本件性交渉の時間帯について、「coitus(性交)AM2~3時頃」と申告していたのであるからその間、意識があったことを自認していたのである[乙6]。)。

もし仮に反訴被告(原告)の主張を前提として、4月3日午後9時過ぎころに入店した寿司店「鮨の喜一」(以下「本件寿司店」という。)において、反訴被告(原告)が2度目のトイレに入ってから、翌4日の午前5時頃までの間の時間帯における反訴被告(原告)の記憶が「ブラック・アウト」(甲23・7頁)ないし「一過性前向健忘」(甲24・3頁)によって「完全に失われた」というのであれば(反訴被告としては、従来の供述の信用性を最低限保持するためにも、この旨の主張を貫かざるを得ないであろう。)、反訴被告(原告)としては、―「後付けの」被害感情を別論とすれば―、反訴被告自身の「記憶」を根拠としては、上記時間帯の事実関係・事実経過について、何らの主張も、何らの反論もできないことになるはずである。

イ デートレイプドラッグ(薬物)の不使用について

反訴原告(被告)は、本件当時、

❶「デートレイプドラッグ」などという薬物の存在・用法について全く知らなかったし、見たこともなかった旨を一貫して主張し、

❷当然のことながら、準強姦の事実を強く否認するとともに、その類の薬物の使用事実を強く否認しているところ(乙4・22頁末行以下、甲10・258頁)、

❸反訴被告(原告)の方では、「デートレイプドラッグ」などという薬物が使用されたことを疑わせるに足りる何らの証拠上の根拠も、それを裏付ける客観的な状況証拠をも示していない(示すことができない)。
反訴被告(原告)は、自身が酒に強く、「寿司店で記憶を失うまでに日本酒2合を被疑者(反訴原告)とともに飲んだ程度であった。」(甲7・4頁)ことから、酩酊状態に陥ることはあり得ないなどと強弁し、自らの記憶を、自身に都合良く歪曲しているが、

❹最初の串焼き店「とよかつ」(以下「本件串焼き店」という。)では、反訴原告(被告)が、反訴被告(原告)のために一升瓶のワインを注文せざるを得ないほどに多飲しており(乙4・7頁の写真参照)、かつ、

❺本件寿司店においては、その店主が、聞き込み捜査にきた警察署・警察官に「二人で一升近く飲んだ」と供述するほどに「鯨飲」しており(甲19・124頁)、

❻実際、反訴被告(原告)は、本件ホテルに向かう途上のタクシーの中で嘔吐しており(甲2)、

❼本件ホテル内でも嘔吐しているのであるから(乙3)、本件寿司店から本件ホテルに到着するまでの間、反訴被告(原告)が酒を飲み過ぎて、酩酊していたと考える方が、格段に自然かつ合理的である。もとより、反訴被告(原告)は、本件寿司店では、店主と「さかなクン」との会話に夢中だったのであって(乙4・10頁以下)、その間、反訴被告(原告)は自ら手酌で飲酒し続けていたこともあって、同人に対し酒を飲むようにとすすめたこともない。

もし仮に反訴被告(原告)の主張、具体的には、①反訴原告(被告)は酒が非常に強く、かつ、②本件当日における反訴被告(原告)の飲酒量が酩酊してだらしなく、トイレで寝込むような量ではかったが故に、当該酩酊状態は、飲酒に因るものではない反面で、③デートレイプドラッグが使用されたという反訴被告(原告)が主張する仮定的事実を前提とした場合、本件寿司店のトイレの中で反訴被告(原告)が意識喪失に陥った原因としては、そのトイレの中に入った時点でデートレイプドラッグの薬効が発現したこと以外には考えられないことになるはずである。

ところが、一方、反訴被告(原告)から提出された証拠によれば、デートレイプドラッグの効果(意識喪失)の持続時間は、少なくとも「3~6時間程度」(甲22・3頁)であるから、今度は、反訴被告(原告)が援用するタクシー運転手の供述内容、具体的には、当日、本件ホテルに向かう途上のタクシー内で、「二人とも寿司が美味しかったというような話」をしていたこと(甲2)との間で、救いがたい矛盾を生ずることになる。何故なら、反訴被告(原告)の主張を前提とすれば、トイレ内で意識を失わせるといった態様の薬効が、タクシーに乗車中の時間帯でも持続していたことになるはずであり、この間、意識の存在を前提とする会話が成立しないはずだからである。

医学的にいえば、例えば、「ロヒプノール」(薬剤)には

❶「眠気、起きているのが難しい状態」及び❷「記憶障害」等の薬効があるとのことであるが(甲22の2・2枚目)、同一の薬物=薬剤成分が同一人物に服用されれば、当然、その効果が作用・持続する間、その薬理効果も一様に生ずるはずであるから、ある時間帯 ― 本件寿司店を出るまで ― は、上記❶だけが「選択的」に発生といった、薬理効果の一部が限定的に生じ、その後の時間帯― タクシー乗車後― は、その薬理効果が(❶→❷へ)変化して、上記❶とは別異の上記❷という薬理効果の一部だけが別途「選択的」に生ずるなどということは、医学的・薬理学的にありえないはずだからである。

したがって、本件事実関係のもとでは、デートレイプドラッグの使用はありえない(なお、清水惠子教授の意見[甲24の1]は、あくまでも飲酒量等について、反訴被告の主張が正しいことを前提としたもので、前提において採用し難いものであるうえ、上記薬効の「変化」について何ら合理的な説明がなされていないし、単なる一般的抽象的な可能性を指摘したに過ぎないものである。)。

⑶ 強姦被害の虚偽性・妄想性

反訴被告(原告)は、平成27年4月4日午前5時ころの時点での準強姦被害及び強姦被害を分けて主張し(訴状9頁。仮にそれが真実であると仮定しても、法律的には、反訴被告が主張する同日午前5時頃の反訴原告の所為は一連の行為であるから、刑法上は強姦の包括一罪であり、民事上も、不法行為としては、強姦に吸収されるものとみるべきであろう。)、周知・後記のとおり自著「ブラックボックス」においても、同時間帯の性暴力被害の状況について生々しく具体的に述べているが、全てが反訴被告(原告)が後から「捏造」した「悪質な虚妄」であって、ストーリーとしても、反訴被告(原告)としては「脳裏に描く」ことさえもできない程度の内容で、支離滅裂である。

ア 4月4日午前5時の強姦被害が「虚妄」「捏造」である理由

反訴被告(原告)は、本件ホテルでの出来事の後、複数の医療機関を受診しているが、「客観的で動かし難い証拠」である各医療機関の診療録によれば、反訴被告(原告)は、当日午前5時前後の出来事について、全く記憶がなかったことが明らかである。

すなわち、❶平成27年4月17日(本件当日から約2週間経過)、まつしま病院(産婦人科)を受診した時点での問診記録によれば、反訴被告(原告)は、同病院を受診した経緯について、医師に対し「4月3日―4日にかけて、レイプ被害にあった(…、その間の記憶がなく、翌日も気分が悪かった)」云々と申告しており(乙8・4頁)、

同様に、❷同年5月20日(本件当日から約1か月半経過)、まちどりクリニック(精神科)を受診した際も、反訴被告(原告)は、待鳥医師に対して、「Pt(患者=反訴被告)は、Al(アルコール)はかなり強い。気を失ったことはない。「5°頃(=午前5時頃)」、行為に及んだが記憶がない。」と申告し(甲25の1・22頁)、

さらには、❸高輪警察署警察官の勧めにより、したがって、「犯罪捜査上の必要性を意識した上で」受診したはずの新百合ヶ丘総合病院(産婦人科)のカルテにおいてさえも、医師に対し「4月3日に被害」と申告している(乙9)。

上記のごとく、反訴被告(原告)本人自身が「当日午前5時頃の記憶のない(なかった)」ことを自認し、犯罪捜査の段階でも、同日午前5時の「強姦」被害については、殆ど記憶になく、殆ど意識さえもしていなかったはずであるにもかかわらず、「ブラックボックス」(甲19)49頁以下では性被害暴力の状況が具体的かつ詳細に叙述されているのであって、かかる具体的な記憶が蘇るはずもないことは自明の理である。

それ故、反訴被告(原告)が想い描く当日午前5時前後の出来事は、すべて「悪質な捏造」だということになる。念のため付言するに、反訴原告(被告)は、4月4日午前5時前後の時間帯での性交渉については、一貫してこれを強く否定しているところ、一般論として、準強姦を企図した犯人が、酩酊した被害女性をホテル等に午後11時前後に連れ込んだ場合、社会常識的にみて、当該犯行を決行するのは、被害女性が意識を喪失した酩酊状態が持続する深夜の時間帯のはずであって、被害者が翌朝の午前5時前後に酩酊状態から醒める時間帯に準強姦を(再度)実行するはずがない。まして、反訴原告(被告)のごとく社会的地位のある人物が、被害女性の「承諾」がない状況のもとで、自らの犯行を自認するに等しい裸体の状態で自らの裸体を被害女性の目の前に晒すこともありえない。

また、本件当時、反訴被告(原告)がタクシー内で嘔吐した事実については、反訴被告(原告)も、これを認めざるを得ないであろうが(甲2)、口内が嘔吐物で汚れた女性については、その女性が「意識的に」うがいをするか、口内洗浄をしたのと同様の状態―意識的行動が前提になる―(本件の場合でいえば、ミネラレルウォーターを飲むこと)が生じない限りは、どんな男性でもキスをしようなどとは思わない(甲37[反訴被告の陳述書]には、「被告(反訴原告)の顔が近づきキスをされかけた」との叙述がある。)。

ちなみに、反訴被告(原告)が、当時、4月4日早朝前後の事実経過を殆ど記憶してなかったことは、高輪警察署での取調べの際に、警察官から「(本件事件当日、自宅に)帰ってきたのは何時でしたか。」と聞かれて、反訴被告(原告)が「5時半です。」と供述したら、警察官から「違います。5時55分です。こんなんじゃあ訴訟を起こしても負けますよ。」と言われた旨の事情を、まちどりクリニック(精神科)でのSCT(文章完成法テスト)前に供述していたこと(甲25の1・8枚目)からも窺い知れる。

イ 強姦の被害状況にみられる支離滅裂

反訴被告(原告)の自著「ブラックボックス」によれば、反訴原告から受けた性暴力被害の状況として、次の叙述(甲19・50-51頁)が認められる。すなわち、反訴原告(被告)は、反訴原告(被告)に対し「トイレに行きたい」と言って、「トイレに駆け込んで鍵をかけた」後、「意を決して(バスルームの)ドアを開けると、すぐ前に山口氏(反訴原告)が立っており」、その後の反訴原告(被告)の所為、ないし反訴被告(原告)の状態を時系列で抜粋すると、❶「そのまま肩をつかまれて、再びベッドに引きずり倒され」、❷「体と頭は(ベッドに)押さえつけられ、覆い被されていた状態だったため、息ができなくなり、窒息しそうになった」、❸「必死に体を硬くし体を丸め、足を閉じて必死で抵抗し続けた。」、 ❹「頭を押さえつけていた手が離れ、やっと呼吸ができた。」❺「『痛い。やめてください』(との発言に対し)、『痛いの?』などと言いながら、無理やり膝をこじ開けようとした。」と叙述されている(甲19・50頁末行~51頁11行目)。

上記❶❷❹の各叙述からすれば、反訴原告(被告)は、背後から反訴被告(原告)の後頭部をベッドに押さえてつけいたことになるから、反訴被告(原告)は「うつぶせ状態」(後背位)のはずである。ところが、一方、上記❸❺の各叙述(反訴被告が必死で膝を閉じた状態で抵抗しているのに対し、反訴原告が、反訴被告の膝を「無理やり膝をこじ開けよう」)によれば、明らかに反訴被告は「正常位」の状態で抵抗していることになる。

以上のごとく、反訴被告(原告)の性暴力被害に関する描写は、加害者・被害者間の相互の位置関係が、「うつ伏せ状態」と「正常位」とが時間的に相前後して混在しており、支離滅裂である。この点、反訴被告(原告)は、反訴原告(被告)の代理人から指摘を受けるであろう上記矛盾点を意識した上で、陳述書では、ブラックボックスが描写する「ベッド上での窒息状況」を説明すべく、「被告(反訴原告)の顔が近づきキスをされかけた時、必死に顔を背けたところ、私(反訴被告)の顔はベッドに押し付けられた状態になり、私は息ができなくなり窒息しそうになりました。この時、被告がどのように押さえつけているかはわかりません。」(甲37・9頁1行目以下)などと述べ、ブラックボックスの叙述(=供述)を変遷させ、上記矛盾点をなんとか糊塗しようとしている。

しかしながら、「被告(=反訴原告)の顔が近づきキスをされかけた時」は、当然、両当事者は、相互に顔面を向き合った「正対」関係にあるから、いくら反訴原告(被告)が「必死に顔を背けた」ところで、同人の胸腹部は上を向いている(仰臥位)のであって、「私(反訴被告)の顔はベッドに押し付けられた状態」にはなりえない。

そもそも、反訴被告(原告)は、陳述書の上記叙述部分で、自著「ブラックボックス」(甲17)との整合性を保とうとして、「顔面をベッドに押し付けられる態様」の窒息状況を述べているのであるが、実は、反訴原告(被告)がブラックボックスを出版したのは、平成29年10月のことであるから(甲17)、本件事件後、2年以上も経過した後である。ところが、その一方で、反訴被告(原告)は、本件当日から約1か月半経過した後の時期(平成27年5月20日)、反訴原告(被告)が「まちどりクリニック」を受診した際は、「(反訴原告から)上に乗られて(その手で)口を塞がれた時に恐怖」云々と述べていた(甲25の1・26頁「PTSDチェックシート」)のであるから―この場合は「正常位」が前提になる―、ブラックボックスの前記内容、及び陳述書(甲37)との間でも矛盾・変遷がある(注:「口を」(=対象を「口に限局して」)塞ぐ手段は、「手」を口に当てる以外には考えられず、ベッドに顔を押し付ける場合は、「顔全体が」塞がれるから、「口を塞がれた」とは言わない。)。

従って、前記アのとおり、反訴被告(原告)が前記各医療機関で述べたとおり、その当時から、当日午前5時頃の時間帯の記憶が忘失していたことに鑑み、反訴被告(原告)の陳述書の内容も、ブラックボックスの内容も全て、悪質な「捏造」であり「虚構」であるとみなすのが相当である。ちなみに、当反訴原告(被告)代理人は、過去20年以上にわたって医療過誤訴訟を重点に訴訟活動に取り組んできた経験をもち、本件訴訟についても、医学的観点から複数の医師(精神科医を含む)に相談しているが、反訴被告(原告)が、通常の女性であれば、最も「秘匿」したはずの性暴力被害情報について、自ら「実名」及び「顔面」を公然とさらけ出して、これを赤裸々に生々しく訴えていることは相談相手の医師らの間でも周知の事実であり、このような特異な反訴被告(原告)の行動、及びその際の反訴被告(原告)の「顔の表情」が「笑顔」であること等の諸事情から、同人について、「境界型のパーソナル障害」を強く疑う医師が当代理人の知人だけでも複数いることを言明してしておきたい。(👉山口氏の主張に沿って考えるならば、伊藤氏は性被害を受けたという嘘を言い、体験などしていないことを意図的に語って知名度を得ている可能性がある。つまり性被害者が笑顔を作っているわけではない。医師らの見解はあくまで性暴力被害を受けた者の笑顔、公然と顔をだすなど境界型パーソナル障害を疑うという事であるため、反訴側の主張に沿っていない。この部分に関してはまた性被害者への無理解として反論の余地があり、現に反論されることになる。 )

人格攻撃に当たると非難される可能性があるため、不本意ながら各医師の名前を出すことはできないが、現実問題として、前記のとおり反訴被告(原告)は、出版物で支離滅裂な言動を公表し、のみならず、後記のとおり「客観的に動かし難い」証拠に基づいて、明らかに「虚偽」と断定・証明できる事実を、重畳的に複数、公表していること等からも、上記精神疾患を疑われてもやむをえないというべきであろう。

⑷ 被害関連事実にみられる「悪質な虚構・欺罔」の数々

反訴被告(原告)は、自著「ブラック・ボックス」(甲19)において、周知のとおり自身を「性暴力被害者」として「実名」で、「性犯罪」の事実経過を公表するにとどまらず、その「加害者」=「反訴原告(被告)」をも実名で告発するといった「前代未聞」の暴露本の体裁をとっているが、その内容を精査すると、随所で「虚構・欺罔」による「虚偽」と断定できる事実に基づく「悪質な脚色」が施されている。そして、これら「事実の歪曲」「欺罔」は、前記⑵の準強姦被害、及び前記⑶の強姦被害の虚偽性・妄想性・虚構性を強く裏付けるものである。

以下で、反訴被告(原告)名義の上記著作に認められる「悪質な虚構」ないし「事実の歪曲」「欺罔」を整理しておく。

ア 反訴被告は、ホテル内を「床に足をつけて」歩行

反訴被告(原告)は、本件告訴事件の捜査段階で、「捜査員A」から見せてもらったという、本件当日の本件ホテルの監視カメラで撮影されていた反訴被告(原告)の歩行態様・状態・状況について、「足が地につかず」歩行できなかったなどと叙述している。具体的には、①本件ホテルにタクシーに乗って本件ホテルに到着した際は、「山口氏は、やがて上半身を(タクシーの)後部座席に入れて私を引きずり出した。そして、歩くこともできず抱えられて運ばれる私の姿を、ホテルのベルボーイが立ったまま見ていた。」(甲19・79頁)、②「入口のカメラの次は、ホテルのロビーを横切る映像になる。山口氏に抱えられた私は足が地についておらず、前のめりのまま、力なく引きずられ、エレベーターの方向へ消えていった。」と描写している(同80~81頁)。

しかも、その映写現場[高輪警察署]に同席した「(親友の)K」は、「私の映像に戦慄し、吐き気を催したそうだ。」などと、読者の反感・嫌悪感を惹起することにおいて、十分な効果のある刺激的な叙述までもが付加されている(同79頁)。しかしながら、実際の映像(甲15~17)上では、上記①②の記述をもって描き出されている歩行態様・状態・状況は全く確認できない。すなわち、反訴被告(原告)は、反訴原告(被告)に支えられながらも、自立歩行していることから、上記①②の各叙述は、いずれも明らかな虚構ないし事実の著しい歪曲である。

このことは、反訴原告(被告)が、反訴被告(原告)に対し、上記①②の描写に該当する、監視ビデオ画像上の時間帯を特定・明示するよう「二度にわたって」釈明を求めた(被告第3準6頁「6⑴⑵」、第5準1頁)にもかかわらず、反訴原告(被告)が、求釈明に応ずることなく(求釈明に応ずることができない)、「沈黙」を続けていること(原告準⑷以下)、上記①②の場面の叙述について、訴状等では、監視ビデオ映像との矛盾がないように、曖昧かつ欺瞞的に「ぼかす」ような記述(4頁)に修正が施されていることからも明らかである。したがって、反訴原告(被告)が、自著・ブラックボックスを著述するに当たって、あたかも反訴原告(被告)が、反訴被告(原告)を強制的に本件ホテルに拉致・連行したかごとくに経緯・事情を描写することで、不正に事実を歪曲していることは、明らかである。

イ 反訴原告は、会食中「ビザの話」をしていた

反訴被告(原告)は、自著・ブラックボックスにおいても、本件訴訟においても、一貫して、本件ホテルに至る前段階である、本件串焼き店及び本件寿司店のいずれでも、同人が当該会合の目的とした「ビザ」の話が出なかった旨を主張しているところ(甲19・47~48頁、訴状4頁、原告準⑴3頁、同11頁、原告準⑷3頁[会合の目的])、これに対し、反訴原告(被告)の方では、一貫して、「ビザ」のことを話題にし、情報提供している旨の主張をしている(答弁書10~11頁、被告第4準3~4頁、7頁)。

ところが、実際には、反訴被告(原告)自身も、自著・ブラックボックスを著述する前の時点は、医療機関(精神科医)に対しては、意識を失う前までの間、「ビザ」の話が出ていたことを認めていたのであるから、上記各主張は、事実を不当に歪曲していることが明らかである(甲25[まちどりクリニック・診療録]2頁「ビザの話し合いをAと2人でした際に薬で眠らされ(?)…」) したがって、上記事実の歪曲は、反訴原告(被告)が、ブラックボックスの読者、及び本件訴訟関係者をして、あたかも「不純な動機」から(下心を隠して)反訴被告(原告)を食事に勧誘したかの如くに印象づけ、事実に反した不当な誤解を与えることを企図したものと考えられる。

ウ 「元検事の叔父」にみる「虚構」ないし「経歴詐称」

反訴被告(原告)の自著・ブラックボックスでは、「私には、元検事の叔父がいた。」(甲19・117頁)として、「元検事の叔父」を登場させ、法律的にもっともらしいことを語らせている。具体的・部分的に抜粋すると、「叔父は検察のOBとして、検察官が最初から『逮捕できない。任意で取り調べても必ず不起訴になる』などと断定することはありえない。弁護士とよく相談しなさい、と言った。」(同118頁)、「叔父は、とにかく裁判所が一度許可した逮捕状が簡単に執行されないなんていうことはないから、その逮捕状が今どこにあるのかを、弁護士の先生と一緒に警視庁に行って聞きなさい、と言った。」(同141頁)、「私がその時に弁護士を探していた第1の目的は、A氏が取った逮捕状の行方を探すことであった。…。一緒に警察へ行き、…、問い質してくれる弁護士を探していた。これは元検事の叔父のアドバイスだったが。」(同148頁)、「元検事の叔父が言ったように、A氏も、・・・」(同155頁)等の記述が認められる。

ブラックボックスの著者は、これら記述において、法律専門家としての資格をもつ「元検事の叔父」に刑事手続に関する実務の運用について語らせることで、反訴被告(原告)の上記各見解について、いわば「権威付け」をすることで、各記述について、迫真性があるかの如くに見せかけているのである。ところが、ここで、反訴被告(原告)ないしブラックボックスの著者(反訴原告は、法律について素人のゴーストライターの存在を疑っている。)は「致命的」な失敗を犯してしまっていた。

当反訴原告(被告)代理人は、本件受任後まもなくの時期、ブラックボックスを読み始めたところ、「山口氏は海外にいると言っているが、日本にいるかもしれない、と(反訴被告)が話すと、 (元検事の叔父は)飛行機の出入り、パスポートの関係で外務省に照会すれば、翌日には海外へ行ったかどうかわかる。」(甲19・118頁)との記述を読んだ途端、思わず噴き出してしまった。いうまでもなく、出入国管理は、法務省の管轄であるから、「元検事の」叔父がもし実際の人物であれば、そのような法律について「ド素人的」な間違いをするわけがない。反訴被告(原告)は、「元検事の叔父」といった虚構人物を登場させ、「フィクション」を描いていたことがバレてしまったのだ。

念のため、反訴被告(原告)の戸籍(乙12)をもとに、同人の父・伊藤●の【従前戸籍】である、父方の祖父・伊藤●●の改製原戸籍(乙13)、及び反訴被告(原告)の母・伊藤(旧姓●●)●●の【従前戸籍】である、祖父・●●の除籍謄本(乙14)を調査することで、反訴被告(原告)には、厳密には「叔父」など存在せず、上記登場人物として該当可能性のある人物として、父方の「伯父」伊藤●(昭和29年9月26日生)及び母方の「伯父」●●●●()の二名を割り出した。その上で、当該両名に「検察官・検事」の履歴があるか否かを調査すべく、法務省大臣官房人事課に弁護会照会したところ、いずれも検察官・検事の履歴がないことが確定された(乙15参照)。

エ 「凄い衝撃」で「膝がズレている」の歪曲

反訴被告(原告)は、反訴原告(被告)から性的暴行によって、右膝を負傷した旨を主張している。具体的には、その自著「ブラックボックス」には、①本件当日(4月4日土曜日)の「帰宅した(午後)十二時前」には、「右膝が激しく痛み、歩けないほどになっていた」(甲19・64~65頁)、②4月6日、(元谷)整形外科を受診した際、医師に「知人にレイプされた」とはいえず、「『仕事でヘンな体勢になったので。昔、バスケをやっていたから古傷かもしれせん。』と曖昧に説明した」のに対し、③(元谷)医師が、「激しい衝撃を受けて、膝がズレている。手術は大変なことだし、完治まで長い時間がかかる」と説明した(同66頁)の各叙述部分がある。なお、反訴原告(被告)の陳述書には、上記①の記述部分がない(甲37・11~12頁)。

上記書籍の読者が、上記各叙述部分を読めば、右膝に向けて、反訴原告(被告)が、激しい性的暴行を加え、その結果、「膝がズレる」(外傷性脱臼)の傷害を負った旨の印象を持つことは自明であろう。しかしながら、そもそも反訴原告(被告)が主張する、性的暴行は、「無理やり膝をこじ開けようとした。(このため、「膝の関節がひどく痛んだ。」)」(甲19・51頁、同旨甲37・9頁)という態様のものであるから、何故に「右膝に」限局した脱臼・疼痛等の症状が生ずるのかが不可解である

なるほど、反訴原告(被告)は、4月6日、元谷整形外科を受診し、医師に対し膝の痛みを訴え、医師においても、「膝の不安定性(+)」、「膝蓋骨が横に動き易く、腰痛の原因になる」旨の他覚的所見をカルテに記録していることから(乙6)、膝蓋骨の脱臼を疑った形跡がある。しかしながら、実際に元谷医師が診断した病名は、「膝内障」、「膝挫傷」にとどまっているうえ、

①外傷性の膝蓋骨脱臼であれば、著明な膝の腫脹を伴うが、同医師のカルテ記載によれば「関節内水腫(-)」との所見から、膝関節の腫脹が存在しなかったことが強く窺われること、

②元谷医師が、外傷性膝蓋骨脱臼を疑えば、当然に実施するはずの単純X線検査を実施していないことさらに

③外傷性膝蓋骨脱臼であれば、装具等の治療を実施するはずのところ、そのような治療がなされておらずかつ、反訴原告(被告)の方でも、初診日以降、元谷整形崖を受診していないのであるから、元谷医師が、膝蓋骨脱臼を疑ったとしても、外傷性のものではなく、「反復性」のもの(先天的・解剖学的な素因により脱臼しやすくなった状態にもとづく脱臼)に過ぎない。

その一方で、反訴被告(原告)が主張する元谷医師の説明内容は、「激しい衝撃(=外力)を受けて、膝がズレている。」というものであるから、明らかに「外傷性」膝蓋骨脱臼である。したがって、反訴被告の主張する元谷医師の説明内容と、実際の所見とは整合せず、矛盾がある。

加うるに、反訴原告(被告)は、ブラックボックスでは、前記のとおり「右膝が激しく痛み、歩けないほどになっていた」との叙述を加えておきながら、その旨の症状を元谷医師に訴えていないし(乙6のカルテには、「knee pain(膝の痛み)」との記載しかない。)、そもそも、反訴原告(被告)からの性的暴行によって右膝損傷を覚えたのであれば、4月3日から翌4日にかけての間に何らかの外傷があった旨を訴えるはずのところ、カルテ上は、医師に「3月31日に変な姿勢で座っていて」 (乙6)云々と受傷日を特定して述べているのであって、性的羞恥心から前記②のとおり受傷機転の主訴を偽ることはありえても、受傷日までを偽る理由はないから、本件性交渉とは無関係の膝の症状について、偽って、性的暴行に起因する症状にすり替えて述べていることは明らかである(以上のうち、医学的考察部分については、乙5参照)。

オ 「妊娠の不安」を煽る欺罔・脅迫

(ア)客観的な事実経過

反訴原告(被告)の認識では、本件性交渉に際して、射精には至っておらず、そもそも反訴被告(原告)が妊娠する可能性などなかったが(乙3・13頁以下)、反訴被告(原告)の方では、「妊娠の可能性」を気にして、緊急避妊ピルの処方を受けている。これに関する客観的な事実経過を整理すると、次のとおりである。

① 4月4日午後2時5分頃、反訴被告(原告)は、「イーク表参道」(婦人科)にて、緊急避妊ピル(ノルレボ2錠)を内服した(乙7、甲4、甲5等)。

② 4月9日から3日間、出血(消退出血)があり(乙8・4頁、甲5。なお新百合ヶ丘総合病院では、消退出血の開始を4月7日として申告しているが[乙9・2頁]、記憶違いであろう。)、当該出血について、反訴被告(原告)自身においても、まつしま病院の医師に対し、「最終月経4月9日~」と自主申告していた(乙8・2頁)。

③ このため、4月17日、反訴被告(原告)が、まつしま病院(婦人科)を受診した際は、「妊娠検査」は行われず(これに対する反訴被告からの不服の申出もなく)、同病院では、淋菌・クラミジア等の感染症の有無のチェックと、外傷の有無のみが診察され、同日の内診で、外傷がないことが確認され、4月23日の受診の際、上記細菌感染についても、陰性であることが確認された(甲5、乙8・3頁以下)。

④ 5月7日、反訴被告(原告)は、警察官の勧めで、新百合ヶ丘総合病院(産婦人科)を受診したが、同病院のテストパック(妊娠検査)でも陰性が確認され、上記診療経過(緊急避妊ピル後の消退出血)から「妊娠の可能性はほぼゼロ」と診断された(乙9)。

(イ)医学的知見と、反訴被告(原告)の認識

周知のとおり、緊急避妊ピル(ノルレボ錠)を内服して、3日後ないし7日後の間に「月経のような出血(消退出血)」が認められれば、妊娠を否定できる(乙10、乙11)したがって、4月9日、「月経」(消退出血)の開始を認識した反訴被告(原告)としては、その時点(4月9日ないし11日の時点)で、本件性交渉によっては妊娠しなかったことを知り得たはずであるし、少なくとも、4月17日、反訴被告(原告)が、まつしま病院を受診した時点で、産婦人科の医師からその旨を確認したはずである。

(ウ)反訴被告(原告)のとった行動(欺罔・脅迫)

しかるに、反訴被告(原告)は、上記(ア)②③④の事実経過を秘して、自著「ブラックボックス」では、「モーニングアフターピルは事件から数時間後に処方してもらってはいたものの、想定していた月経の日を大幅に過ぎていたのだ。」(甲19・87頁、同旨125頁)などと、産婦人科医師(まつしま病院)に自主申告した上記内容(4月9日から3日間、月経あり[乙8・2頁])とは異なる内容虚偽の叙述をした上で、反訴被告(原告)に対し、次の内容のメールを送信し、かつ、その事実を上記著書で暴露している。

① まつしま病院にて、「妊娠なきこと」を確認した4月17日の翌日に当たる)4月18日、「…意識不明の私に避妊もせずに行為に及び、 それ以降私はどうしようかという不安の中にいます。 山口さんは私が妊娠した場合のことをお考えですか? …、今は妊娠してしまったら働けなくなってしまうという恐怖でいっぱいです」(甲19・86頁、甲1の24)、

②(まつしま病院にて、「妊娠なきこと」を確認した後の)4月24日、 「まだ生理が来ていないので不安で仕方ありません。寝ても覚めてもこのことで頭が一杯です。…」(甲19・90頁、甲1 の26)

③(まつしま病院にて、「妊娠なきこと」を確認した後の)5月4日、 「妊娠と仕事の事で大至急お話したいので、連絡の取れる電話番号を教えてください」(甲19・105頁、甲1の28)、同日、「…妊娠の可能性があるので渡航の時期を延ばせませんか?」(甲19・106頁、甲1の29)

④(まつしま病院にて、「妊娠なきこと」を確認した後の)5月6日、「あの夜、山口さんに意識がないまま強制的に性行為を行われ、肉体的にも精神的にも傷つけられました。…、現在、生理が大幅に遅れ、妊娠という可能性が大きくなり、現実的な対処に早急に向き合わなければいけない今、山口さんからの誠心誠意のある謝罪、仕事、妊娠に対しての対応を早急にしていただかなければ、もう精神的にも限界で周りに助けを求めざるを終(ママ)えません。…」(甲19・108頁、甲1の22)如上の各メールは、前提事実を反訴原告(被告)にも、自著の読者に対しても偽りつつ(客観的には既に「妊娠の可能性」は否定され、反訴被告も承知していた。)、被害感情を前面に打ち出して、反訴原告(被告)に対し、その意思・認識に反し、準強姦の事実と、それに対する謝罪を求めるものであって、真の性犯罪被害者の行動とは全く相容れない。

以上のとおり「動かし難い客観的な証拠関係」から、「虚構」、「事実の著しい歪曲」を随所で指摘できるにもかかわらず、反訴被告(原告)は、「『ブラックボックス』は、原告が自らの記憶に基づいて真実を執筆したものである」と主張して恥じないのであるから、反訴被告(原告)においては、「裁判所を欺罔」することに何の躊躇も、良心の呵責も感じていないことは明らかである。この意味で、反訴被告(原告)は、倫理的な感覚が欠落・麻痺しているか、精神的な問題を抱えているものと考えざるを得ず、驚き呆れるばかりである。

⑸ 反訴被告(原告)の故意と動機

ア 責任原因(故意)

反訴被告(原告)は、本件性交渉があった時間帯の出来事・事実経過については、「意識喪失」ないし「ブラックアウト」を理由に積極的な主張をせず、沈黙を守っているが、4月4日午前5時頃の準強姦ないし強姦行為については、前記⑶で詳論したとおり、反訴被告(原告)が、本件ホテルで一夜を明かしてからまもなくの時期に受診した複数の医療機関に対し、その時間帯の出来事についても、「記憶がない」旨を明確に述べているのであるから、全て「捏造」だということになる。

しかも、前記⑷のアないしエで指摘した各「虚構」は、いずれもが、反訴原告(被告)が「性犯罪者」と仮定した場合に、その「悪質性」を際立たせるといった明確な意図・目的をもって、事実関係を歪曲させるものであることにおいて一致・共通している。したがって、これら「虚構」の事実主張は、単なる「思い違い」や「勘違い」では説明がつかない事実の意図的な「歪曲」であって、単なる「誇張」や「脚色」ではありえない。この意味で前記⑷アないしオの各「虚構」ないし「事実の著しい歪曲」は、反訴原告(被告)に対する報復・応報感情を完全に逸脱した、犯罪的意図(悪意)のもとに、反訴原告(被告)を貶め、ひたすら「悪質な性暴力犯罪者」に仕立て上げることを目的していることが明らかであって、その「害意」は、いわば確信犯的なものである。

したがって、本件の中核的な要素である、性犯罪行為に係る反訴被告(原告)の事実主張は、「故意」(害意)に基づくことが明らかである。

イ 虚偽申告の動機をめぐって

真実、性暴力被害を受けた女性であれば、通常は、性的羞恥心が障害して、よほど崇高な目的がない限り、自らの実名と顔を明らかにした上で、自らの恥辱体験を生々しく具体的に公表することは考えにくい。ところが、反訴被告(原告)の場合は、前記のとおり「真実は性暴力を受けた被害者ではない」し、後述のとおり「就職関係で既に御世話になり」、かつ、「4月4日以後も御世話になるはずであった」被害者の男性を「性暴力の加害者」に仕立て上げた上で、その実名や、本件ホテルに至った経緯等の諸事情までも、詳細に暴露・歪曲・公表し、前記⑷アないしオのとおり確信犯的な虚飾と事実関係の捏造・歪曲といった手段を弄して、世間を欺いて、社会に衝撃を与えたものである。

もとより、反訴被告(原告)が、自身の就業斡旋・アドバイス等で御世話になった恩人である反訴原告(被告)の、ジャーナリストとしての社会生命を奪うといった、いわば「恩を仇で返す」といった「究極の」暴挙を敢行した動機については、あまりに常軌を逸しているので、反訴原告(被告)及び同代理人の理解の範囲を超えている面があることは否定できない(精神疾患の可能性を強く疑わざるを得ない。)。しかしながら、反訴被告(原告)が虚偽・虚構の性暴力被害を世間に後記のとおり記者会見等のマスコミ報道やソーシャルネットワークを用いて流布・伝播させ、その過程で必然的に惹起された事態・結果・推移、具体的には、以下に摘示する諸事実からその動機・目的は、自ずと窺い知れるというべきであろう。すなわち、

(ア)「倒錯した」被害感情

反訴被告(原告)の、反訴原告(被告)に対する攻撃的な名誉活動の根底に「倒錯した」被害感情、すなわち「逆恨み」の感情があることは自明の理である。本件当日以後の当事者間におけるメールの交信経過から明らかなとおり、反訴被告(原告)は、4月6日午前に「山口さん、お疲れ様です。無事ワシントンへ戻られましたでしょうか?」(甲1の15)云々と、「親睦」のメールを送信していてところ、その後、態度を豹変させ、前述のとおり「妊娠の可能性がない」ことが医学的に確認された後でさえも「妊娠の可能性がある」などと、反訴被告(原告)が、「事実を偽った」悪意ある欺瞞的メールを送り続けた背景には、「相談相手」であった反訴原告(被告)を「交渉相手」として扱い、反訴原告(被告)の善意・誤解にもとづく心配を悪用することを厭わず、それに心理的抵抗を感じることもなく、交渉相手の誤信に乗じて「妊娠の可能性のあるレイプ被害」を訴えることも辞さないといった「被害妄想」が生じたことは明らかである。

反訴被告(原告)の上記「被害妄想」形成に至る心理的機序については、健全な常識的感覚からは理解に苦しむものがあり、何らかの精神疾患の介在を疑わせるものであるが、あえて反訴被告(原告)の心理機序を推察するに、反訴被告(原告)にしてみれば、自らのだらしない鯨飲・酩酊のために、就職活動の支援を仰いでいた反訴原告(被告)の前で醜態を晒し、恥じ入るばかりの迷惑をかけたことを契機として、汚名を挽回し、自己の就職活動を有利に展開するための足掛かりを確保するとともに、彼女自身が「失態を挽回できた。」という安心感を得たいがためのいわゆる「枕営業」的な動機から、自らの肉体を反訴原告(被告)に委ねることを咄嗟に思いつき、反訴原告(被告)との性交渉を強引に勧誘し、自ら身を挺して、それを受け容れたにもかかわらず、その後、反訴原告(被告)は、あろうことか反訴原告(被告)に対し下手にでるよりも、肉体関係(「妊娠の可能性」)をもったという既成事実を「逆手」にとって、これを悪用し、半ば脅迫・強要的な言辞・手段を用いた方が就職活動をより有利に展開できるといった邪念が生じたものと考えざるを得ない。

ところが、その後、就職希望先のTBS内で起きた反訴原告(被告)の左遷・辞職といった、反訴被告(原告)にとってはもとより、反訴原告(被告)にとっても、4月4日の時点では、全く「想定外」だった事態が生じたことから、反訴被告(原告)においては、TBSワシントン支局での就業希望に関する失望・挫折感と同時に、反訴原告(被告)への「逆恨み」感情が生じ、これらの鬱屈した感情が高じて妄想的な性暴力被害感情へと転化・変容・暴走していったものと推認される。

もとより、一般的には、うら若き「美人」が、マスメディアの前に実名と顔を晒して、涙ながらに性暴力被害を訴えれば、殆どの大衆は、反訴被告(原告)の方に同情し、(精神疾患に基づく被害妄想の可能性に想到せず、これを疑うこともなく)それが真実だと信じてしまうことは必定である。反訴被告(原告)においても、前代未聞の、いわば「体当たり」攻撃的な広報活動(反訴原告からみれば、「虚偽告発」)を行えば、― 特に、反訴原告(被告)は、「一部には」安倍政権と深い関係があるものと否定的な評価を受けていたこととも相まって ―、一斉に反政権寄りのマスコミの注目・関心を集め、反訴被告(原告)の社会的地位に致命的な打撃を与え、ジャーナリストとしての活動基盤を根底から失わせる事態に至ることは、当然に予見できたはずである。したがって、反訴被告(原告)による、反訴原告(被告)に対する一連の個人攻撃的な名誉毀損活動の根底に「逆恨み」の感情があることは明らかである。

もっとも、個人的な逆恨み感情(妄想被害感情)の回復・慰謝・満足だけの目的であれば、個人間の示談交渉で足りたはずであり、マスメディアを動員してまでして、大々的に公表するまでの説明は到底つかない。反訴被告(原告)の広報活動によって、「デートレイプドラッグ」という卑劣な薬物を使った「性暴力加害者」としての汚名・「濡れ衣」を着せられた反訴被告(原告)へのダメージ(反作用)があまりに過剰となり、バランスを著しく失するに至ることが必定だからである。

特に、後述の平成29年5月29日の司法記者クラブでの記者会見では、反訴被告(原告)は、自らの代理人弁護士(村田智子弁護士及び西廣陽子弁護士)を同伴して、自らの実名のみならず、反訴原告(被告)の実名を出して、レイプ被害を訴えたのであるから、反訴原告(被告)を社会的に抹殺するに等しい打撃を与えることになることは、当然に予見していたはずである。

(イ)政治目的(安倍政権への批判的言論によるダメージ)

たとえ「虚偽告発」であるにしても、準強姦罪も強姦罪も、本来は、個人法益に対する罪であって、個人的な性暴力被害の範疇にとどまるはずの性格の犯罪類型である。ところが、本件は、周知のとおり政治目的に悪用・転用されている。このことを象徴的に示すことが、反訴被告(原告)が東京検察審査会に申立てた審査申立書に、週刊新潮の週刊誌記事が添付されているということであり(甲7)、その大見出しが「『安倍総理』ベッタリの記者の『準強姦逮捕状』」とされ、中見出しとして、その大見出しの修飾語として付加された「『警視庁刑事部長』が握り潰した」といった、世間の反感を扇情的に煽る文字が連ねられていることである。ここでは、あたかも反訴原告(被告)が、安倍総理との個人的な関係から不法な働きかけのもとに、政治的圧力をかけて、中村 格 ・警視庁刑事部長(第2次安倍政権発足時の秘書官)を通じて、逮捕令状執行停止と犯罪事件のもみ消しを操作したかのごとくに事実関係が著しく歪曲され、印象操作が施されているのである。

そして、同旨の合理的な根拠を欠く偏向報道は、反訴被告(原告)の著作である「ブラックボックス」でも強調されているところである(甲19・131頁「成田空港で逮捕する」、同132頁「山口氏の逮捕に合わせ、成田空港で逮捕する…」、同133頁「衝撃の電話」、同134頁「ストップをかけたのは警視庁のトップです」、同188頁「当時の刑事部長は、中村格氏」、同212頁「菅(義偉)官房長官の秘書官として絶大な信頼を得てきた中村格刑事部長(当時)が隠蔽を指示した可能性が、…」、等々)。

 

【反訴状】 (後半)

したがって、反訴原告(被告)の本件での各種被害報道には、明らかに政治的な意図が垣間見えるのであって、反訴被告(原告)の背後に安倍政権に対し批判的な政治的立場・思想の持ち主が、反訴被告(原告)と通謀の上、表面的には、「性暴力被害」に対する日本の刑事司法・刑事手続の限界を「恥辱」として訴えつつも、その偏向報道を政治的に利用した背後者の存在(その背後者が反訴被告を使嗾・慫慂して、偏向報道を敢行させたこと)が強く疑われるところである。

 

ちなみに、刑事犯罪の捜査実務にも精通されているであろう裁判所には「釈迦に説法」であろうが、薬物利用犯罪、あるいは飲酒酩酊状況を利用した準強姦犯を検挙するには、性犯罪被害者自身が被害直後に被害を申告し、速やかに薬物検査や、アルコール濃度等を実施するなどして客観的証拠を確保しておくことが必要不可欠である。ところが、本件の場合、準強姦事実自体がそもそも「虚構」であり、反訴被告(原告)が初めて警察署に相談に出向いたのは、4月9日のことで(甲19・72頁)、既に5日も経過していた。したがって、警視庁の幹部が、反訴原告(被告)を準強姦罪で検挙できるわけがないと判断したことは当然のことであり、また、そのような犯罪捜査の常識を欠き、「自称・犯罪被害者」(反訴被告)に対し捜査情報を垂れ流し続けていた高輪署警察官(地方公務員法34条1項違反で、処罰対象となる[同法60条]。甲19・78頁「四月十五日に、捜査員A氏と、シェラトン都ホテルを訪ねた。…」、同124頁「鮨屋の不可解な証言」、同132頁「八日の月曜日にアメリカから(反訴原告が)帰国します。入国してきたところを空港で逮捕する事になりした」等々)から、捜査権限を取りあげて、警視庁本庁に回付させ、逮捕令状の執行を停止させたのは、当然の処置である。

 

(ウ)経済目的(「性暴力被害の訴え」を「生業」とする)

 

反訴被告(原告)は、後記のとおり反訴被告(原告)は、本件告訴事件に係る東京地方検察庁の不起訴裁定に対する検察審査会への審査請求に際しての司法記者クラブでの記者会見の場で、「実名」で「顔を」出した上で、「性犯罪被害」を訴え、「悲劇のヒロイン」を演じたことによって、一躍、有名になった。

   (Photo1)                 (Photo2) 

<ネットで出回った当事者の肖像>      <普段の反訴原告>

 

そして、その後も、①「悲劇のヒロイン」を演じた反訴被告(原告)が世間的には「美人」と評価される一方で、②「性暴力の加害者」に仕立て上げられた反訴被告(原告)の方は、それとは裏腹に、憎憎しげな「写真」(前掲参照)とともに、いわゆる「森友・加計問題」と並び、安倍首相との個人的コネクションによる事実もみ消し疑惑、捜査権力の不正・枉法と結びつけられつつ、連続的に報道が大々的に報じられた。

 

また、当該偏向報道と並行して、反訴被告(原告)自らが「真実はここにある」、「レイプ被害にあったジャーナリストが世に問う、法と捜査、社会の現状。」などと書かれた帯を付して、「性暴力被害」の実情(実は、虚構)を訴え、かつ、反訴被告(原告)自身の「顔写真」を表紙に表示させた自著「ブラックボックス」(甲19)を出版・頒布させ、たちまちベストセラーとなった。この結果、反訴被告(原告)=「同情されるべき、勇気ある正義の性暴力被害者」、方や反訴被告(原告)=「憎むべき女性の敵、不逞の性暴力犯罪者」といったイメージが社会に定着してしまい、反訴被告(原告)は、「性犯罪に係る刑事司法改革の旗手」あるいは「女性の性暴力被害を訴える象徴的存在」として持て囃され、あるいは、日本での「#Me Too」運動の「先駆的存在」として祭り上げられるとともに、「性暴力被害」に関する社会問題を扱う講演・企画、報道番組、出版社等への出演・原稿執筆等の依頼が殺到することとなった。

 

かくて、「著名なジャーナリスト」(反訴原告)を「踏み台」とした反訴被告(原告)の喧伝活動(売名行為)が奏功し、「日本における性暴力被害の課題」を訴え続ける社会活動を「ビジネス化」し、それが、反訴被告(原告)の「生業(なりわい)」となったのである。反訴原告(被告)が、本件に係る「性暴力被害の告発」に踏み切ったことで、同人は、無償・無名の「インターン」から、飛躍して「生活の糧」を獲得するといった、十分な「経済的」成果を挙げたことは明らかであろう。

 

(エ)自己満足(性暴力被害を訴える「カリスマ」的地位の確立)

 

「女性の性暴力被害を訴える象徴的存在」として各種マスコミ・報道番組等に出演し、あるいは、日本での「# Me Too」運動の「先駆的存在」、「性犯罪に係る刑事司法改革の旗手」として社会活動を行うなどする過程において、反訴被告(原告)本人の「悲劇のヒロイン」としての虚栄心と、ナルシズムが満たされ、精神的な高揚・陶酔・充実感を味わうに至っていることは、インターネット上で日々拡散されている動画(乙22に収録)等から随所で確認できる、「笑顔」の表情(例えば、下掲)から明らかであろう。

 

そして、反訴被告(原告)が、「クーリエ・ジャポン(COURRiER JAPON)」という雑誌において、「伊藤詩織責任編集」のもと、「『性暴力』はなぜ起こる」と題した特集号(乙38)が組まれ、その特集号の表紙に反訴被告(原告)自身の顔写真が掲載され、世間に普く頒布されたことは、自身の虚栄心・自己顕示欲を十分に満足させたことは明らかであろう。

 

 (Photo3 福島みずほ・森ゆう子らと共に口を開けて笑顔で着席の図)

 

以上で述べたとおり、本件性暴力被害が単なる「捏造」「虚構」であるにとどまらず、前記(イ)ないし(エ)の諸事実が認められることを総合考慮すると、虚偽告訴後の反訴原告(被告)による一連の報道・喧伝活動の動機・目的は、単なる妄想的な被害感情に起因した、加害者に対する社会制裁の範囲を完全に逸脱しており、反訴原告(被告)の高度な社会的認知度・著名性を「踏み台」として悪用しつつ、自らは「性暴力被害を訴えるジャーナリスト」としての「売名」を図ったというべきもので、その本質は、「デマゴーグ(Demagog 大衆扇動者)」である。

 

なお、反訴原告(被告)は、上記諸事情から、今では、反訴被告(原告)の打算的意図は明らかであると考えるので、前代理人のもとで述べられた本訴被告準⑴11頁「8」の各主張、具体的には、「原告が虚偽を述べる理由は、被告には不知である。」、「原告の行動は全く不可解である。」との各主張を撤回する。

 

⑹ 本件性交渉の合意(反訴被告の承諾)を基礎づける事実

 

前記⑵ないし⑸の諸事情から、反訴被告(原告)が、悪意(故意)をもって、準強姦ないし強姦の事実を「虚構」、「捏造」したことは明らかであるが、「暴行・脅迫」を手段とせず、あるいは「酩酊」に起因した意識喪失に乗じた性交渉でなかったという反訴原告(被告)の主張を前提としても、もし仮に本件性交渉が、「反訴被告(原告)の承諾」なくして行われたものであれば、―反訴原告(被告)において、その承諾があるものと信じたことが無過失であることを立証しない限り―、不本意な性交渉が行われたという意味で、なお不法行為を観念する余地があることは、反訴原告(被告)も当然承知している。

 

しかしながら、本件性交渉は「反訴被告(原告)の承諾」のもとで行われており、少なくとも反訴被告(原告)の承諾がある反訴原告(被告)が考えたことには合理的な根拠があり、反訴原告(被告)には過失はない。その理由を整理すると、次のとおりである。すなわち、本件性交渉の前提として、以下の諸事情が証拠上認められる。

 

ア 反訴原告(被告)には明確な意識があった

 

前提として、本件性交渉の時点(4月4日午前2時頃)で、反訴被告(原告)は、一睡して既に酩酊状態から醒めており、明確な意識があった(乙3・8頁以下)。このことは、①反訴被告(原告)の方で、ホテルの冷蔵庫の中から、「ミネラルウォーター」を取り出して飲んでいること(甲35の2)、及び②本件当日、反訴被告(原告)が「イーク表参道」の医師に対し、本件性交渉の時間帯を不詳とせず、特定(乙7「AM2-3時頃」)して申告した上で、緊急避妊ピルの処方を受けていること(乙7、甲4)からも明らかである。若干敷衍するに、もとより、無意識の状態で「ミネラルウォーター」を飲むことは不可能である。反訴被告(原告)が一貫して主張しているとおり、反訴被告(原告)は、当時、会社の経費ではなく、自らの個人負担で帰国し、ホテルでの滞在費用も自己負担であったこと(乙16)から、なるべく無用の出費は抑えるべく、ホテル内では割高の冷蔵庫を使用せず、ペットボトルのお茶を飲むようにしていた(乙3・8頁)。

 

したがって、反訴被告(原告)自らは、本件ホテル滞在中、一切冷蔵庫を使用しておらず、ホテル宿泊費の明細書(乙17)に記載された4月4日の「冷蔵庫 210」は、反訴被告(原告)が勝手に飲用したミネラルウォーターの代金である。また、4日午前5時過ぎの「強姦」は、全て反訴被告(原告)の虚構・捏造であるが(前記⑶)、仮にその時間帯の強姦が事実であったと仮定しても、反訴被告(原告)は「下腹部の痛み」で目が覚め、「痛い、痛い」と訴えたというのであるから(甲37・8頁)、未だ陰茎の挿入・射精には至っておらず、それ故にこそ、反訴被告(原告)は、週刊新潮の記者に「何とか抵抗して2度目のレイプをされることはありませんでした」と述べているである(甲7添付の週刊誌記事24頁参照)。

 

したがって、反訴被告(原告)が、本件当日、「イーク表参道」でアフターピルの処方を受けたのは、当日午前5時頃の性交渉が理由ではなく、深夜2時前後の本件性交渉を「意識」していたからに他ならない(乙7[イーク表参道・診療録]によれば、反訴被告自身、医師に「coitus(性交)AM2~3時頃、コンドーム破れた」と申告している。)。

 

イ 事後の親睦メール

 

本件当日、― 時間帯及び態様を別論とすれば ―、当事者間で性交渉があったこと自体は、当事者間で争いがないところ、反訴被告(原告)は、反訴原告(被告)との性交渉の事実を認識・知悉したうえで、反訴原告(被告)のアメリカへの入国のタイミングを見計らって、親睦のメールを送信している。 すなわち、反訴原告(被告)は、4月6日午前11時1分、反訴原告(被告)「山口さん、お疲れさまです。無事ワシントンへ戻られましたでしょうか? VISAのことについてどの様な対応を検討していただいているのか案を教えていただけると幸いです。」(甲1の15)などと、反訴原告(被告)の海外出張の労をねぎらい、無事の帰還を慮る旨の親睦のメールを送信していたのであって、不本意な性交渉を咎め立てする趣旨のことは一切読み取れず、本件性交渉を既成事実として受け容れ、それを前提に、反訴原告(被告)に対し、自身の就職活動に向けた協力を求めているのである。

 

なお、反訴被告(原告)が、当日午前7時から8時頃、本件ホテルを出る際、ホテル客室室内に忘れ物があることに気付いたことから、反訴被告(原告)に対し、「ここに黒いポーチがあるんだけど、忘れ物じゃない?」と電話を入れたのに対し、反訴被告(原告)は、「はい、分かりました。失礼致します。」と普通の受け答えをしており、本件性交渉について、反訴原告(被告)を非難する趣旨の言動をとっていないことも、反訴被告(原告)が認めるところである(原告準⑴7頁、20頁)。

 

もとより、反訴原告(被告)の方でも、反訴被告(原告)が主張するような「悪質な強姦行為」とそれに対する反訴被告(原告)の「激しい抵抗」を認知していれば、「ここに黒いポーチがあるんだけど、忘れ物じゃない?」などといった些事について電話連絡をするはずもないことは自明の理である。

 

ウ 反訴原告(被告)には性交渉の動機がない

 

反訴原告(被告)には、反訴被告(原告)からの「性交渉に向けた働きかけ」がなければ、性交渉をする動機がない。反訴原告(被告)は、❶当時、TBSワシントン支局長という社内でも責任のある管理職にあり、かつ、ジャーナリストとしても著名であり、この意味で既に社会的地位を築いていたのであって(乙4、乙21の1~5等)、家庭もあり家族もあり、見識もある「大の大人」が、年齢が二回り近くも離れた(年齢差:22歳年下の)反訴被告(原告)との間で、性的トラブルやスキャンダルの危険を冒すなどということはおよそ考え難く、しかも、❷当時、反訴原告(被告)は、3月30日からの短期間の日本滞在を予定して、社内賞罰委員会からの事情聴取や、知人との面会・挨拶等、過密なスケジュールのもとで忙しく活動しており(乙4・2~3頁)、4月3日の当日も朝から始動し、深夜12時に至るまで、職場であるワシントン支局の各支局員等からの情報メールのチェックを要求されるといった強迫観念を伴う緊張感を強いられる中で(乙3・4頁)、疲労を蓄積させていたことに加え、❸反訴原告(被告)の年齢(当時48歳)を考慮すると、4月4日深夜に、親子ほどの年齢差のある若い女性(反訴被告)を口説く精神的余力などないはずで、「少しでも早く寝たい。」、「早く休みたい。」と思うのが人情である。

 

加うるに、❹本件性交渉の当時、反訴被告(原告)は、嘔吐による吐物が髪に付着して異臭を放っていたのであって、反訴被告(原告)からの働きかけ・アクションがない限り、反訴原告(被告)の方から性交渉を要望するわけがないことは自明の理である。若干敷衍するに、反訴被告(原告)のブラウスが「濡れた状態」で干してあったことは当事者間で争いがないが、反訴被告(原告)にはブラウスが濡れた経緯等については記憶がないのであるから、反訴被告(原告)自身がブラウスに嘔吐していたために、反訴原告(被告)がそれを脱がせ、洗って干したという反訴原告(被告)が主張する事実経過を否定する証拠上の根拠はない。

 

しかして、通常の人間は、自身の着衣に向かって嘔吐することはないから、反訴原告(被告)のブラウスが吐物で汚染された原因としては、反訴被告(原告)が供述するとおり、反訴被告(原告)が酩酊し「体操座りのような状態」で座り込み、頭を前に出してうつぶした状態で吐いたと考えるのが自然かつ合理的であり(乙3・6~7頁)、その際、反訴被告(原告)の髪にも吐物が付着し、それ故に異臭を放っていたという反訴原告(被告)の供述(乙3・10頁4行目以下「伊藤氏から放たれる嘔吐の異臭がきつい」、同13頁25行目「性交渉のときも、彼女の髪は、嘔吐物の異臭がしました。」)については、何ら疑いを差し挟む余地がない(反訴原告は、反訴被告に宛てた4月18日のメールでも、「私はあなたの髪の毛などについた嘔吐臭が耐えられなかったので別のベッドで寝ました」[甲1の25]と述べている[甲19・87頁])。

 

ちなみに、反訴被告(原告)の口元の方は、ミネラルウォーターを飲んだ際に口が濯がれる状態になったため、異臭はしなかったとしても(乙3・14頁2行目以下)、何ら不自然・不合理はない。

 

以上のとおり、たとえ相手の女性が、いかに美貌の美女であったとしても、吐物の異臭を放つ女性を相手に、積極的に性的交渉をしよう思う男性は、―女性からよほどの積極的な働きかけがない限りは―、皆無であろう。しかして、反訴原告(被告)は、本件性的交渉の至る経緯において、反訴被告(原告)から「(TBSワシントン支局で)絶対貢献します。頑張ります。」「私は不合格ですか。」等と繰り返し執拗に迫られ、その気持ちを鎮めつつ、なだめ続けるなかで、ベッド上で寝ている反訴被告(原告)から、右手を握られたままの状態で、その右手を引っ張り込まれ、かつ、生身の右脚を体の上に乗せられるなどの働きかけを受けていた(乙3・13~14頁)。

 

エ 反訴原告(被告)には性交渉に積極的動機があった

 

逆に、反訴被告(原告)の方には、反訴原告(被告)に対し、性交渉に向けて、積極的に働きかける動機があった。反訴被告(原告)が、当時、反訴原告(被告)が支局長を務めていたTBSワシントン支局での就職を熱望していたことは、当事者間に争いがなく、反訴被告(原告)が、反訴原告(被告)とのコネクションを唯一の頼りとして、ビザ取得に向け、その協力・指導等の支援を仰いでいたことは、反訴被告(原告)から反訴原告(被告)に送信された複数のメールの内容から明らかである(3月25日「以前山口さんが、ワシントン支局であればいつでもインターンにおいでよといってくださったのですが、未だ有効ですか?笑」、「東京にお戻りの際は是非お会いできたらうれしいです。」、同日「本気です! プロデューサーのポジションに応募させていただきたいです。是非ともご検討して頂けませんでしょうか?」、3月27日「日本語の履歴書を添付させていただきますので、ご検討の程宜しくお願い致します。」[甲1の1]、「VISA は難しい部分でありますよね。ご検討の程、よろしくお願いします。 はい、来週東京にいます!……もしお時間があれば是非お会いしたいです!」[甲1の3]、「…VISAのことについてどの様な対応を検討していただいているのか案を教えていただけると幸いです。」[甲1の15])。

 

しかるに、反訴被告(原告)は、泥酔した挙げ句に、本件ホテルに向かうタクシーの中や、反訴原告(被告)の宿泊しているホテルの室内で、嘔吐して寝込むといった醜態をさらけ出し、反訴被告(原告)を怒らせ、その機嫌を損ねてしまったのであるから、不快感や嫌悪感を露わにしていた反訴原告(被告)を前に(乙3・8~11頁)、失態の挽回(反訴原告の機嫌直し)に躍起になるとは当然のことであって、反訴原告(被告)に対し謝り続けるうちに、反訴原告(被告)の気分直しの手段として、性交渉への誘惑を思いついたとしても何ら不自然・不合理ではない。

 

ちなみに、性体験が全くないか、それが乏しい女性の場合であれば、いかに就職のためとはいえ、愛情のない男性との間で肉体関係をもつことには、強い躊躇や抵抗感を覚えるであろうが、①反訴被告(原告)の場合は、パートナーとの同棲経験があることは反訴被告(原告)自身も認めているところであり(甲19・20頁。なお、精神科医師のもとでの診療録には「付き合っている男性とも性行為ができない。相手が理解してくれているが…」との記載部分がある[甲25の1・30頁])、②そもそも、反訴原告(被告)が反訴被告(原告)と最初に知り合った際、同人が、「キャバクラのような飲食店」で、「ホステス」をしていたこと、さらには、③反訴被告(原告)が、本件を契機に、自らの実名と相手方の実名を公表し、かつ、性交渉の場面をさらけだす内容の著書を出版していること(甲19)等の諸事情に徴すれば、前記類型(性体験が乏しい)の女性と比べると、性的羞恥心からくるハードルが相対的に低いものとみて矛盾はない。

 

オ 反訴原告(被告)の供述が十分に信用できること

 

総じて、反訴原告(被告)の供述内容は、極めて具体的かつ自然なものであり、迫真性があり、客観的な関係証拠との間で矛盾がなく、十分に信用できるものである。特に、反訴原告(被告)は、反訴被告(原告)から事実に反して不条理なメール(甲1の24)を受けた後も、自己の主張を貫き、反訴被告(原告)の心理・心情を慮って、逃げも隠れもせずに、誠実に対応している。具体的には、「私が1度でも、職権を使ってあなたを口説いたり言い寄ったりしましたか?一切していませんよ。単純に自分が被害者で私が加害者だというなら、私がそもそもそういう悪意を持っていたと考えるなら、とても残念なことです。」(甲1の23)、「あなた(反訴被告)が心身ともに疲弊している事についてはとても心配しています」(甲1の33)、「メールでいただいた問い合わせのうち、まず連絡方法について連絡します。私は現在一時的に日米どちらにも住所がないので携帯の契約ができません。何らかの形で携帯を入手し次第連絡します。それまではメールをくれれば、すぐ連絡します。…」(甲1の34)、「私はあなたを攻撃したり苦しめたりする意図は全くありません。出来るだけ早くこの事態を乗り越える為に、あらゆる努力は惜しまないつもりです。…」(甲1の37)等。

 

また、反訴被告(原告)が、平成27年5月、週刊新潮(甲7)を介して、真実に反し、反訴原告(被告)に向けて悪意に満ちた暴露報道を流布させた後も、平成29年5月29日、本件の不起訴決定を受けて、東京検察審査会に審査申立てをした際に行った司法記者クラブでの記者会見で、初めて反訴被告(原告)自らの実名と、反訴原告(被告)の実名を語って、真実に反して、反訴原告(被告)を誹謗するのみならず、日本の刑事司法を批判する趣旨の妄言を吐いた後も、「私を訴えた伊藤詩織さんへ」と題した手記(甲10)を雑誌社に投稿し、反訴原告(被告)に対し、冷静に語りかけるように「何より、性暴力の被害者ではないあなたが、自分でもそうではないと密かに知りながら、表向き性犯罪被害者を標榜して生きることは、本当の性犯罪被害者のみならず、他ならぬあなた自身を貶めることになる。大変残念なことです。」(同273頁)と述べ、事実関係をありのままに切々と語っており、その内容が、本件訴訟における主張内容・陳述内容とも整合し、一貫している。これら諸事情は、反訴原告(被告)の供述の信用性を裏付けるものである。

 他方、反訴被告(原告)の供述内容は、前記⑶で述べたとおり、中核的なところ(4月4日午前5時頃の準強姦被害・強姦被害)で、同人が捏造したものであり、かつ、その態様・内容が支離滅裂であるのみならず、前記⑷で詳論したとおり、被害関連事実で、数々の「悪質な虚構」が施された著作を公表し、しかも、それらの虚構が、すべて「真実」であると言明しているのであるから(原告準⑷1頁)、全く信用できないことは明らかである。

 ⑺ 結論

 以上から、証拠上も、本件性交渉は、当事者間の合意にもとで行われたものであると断定できる。

 3.不法行為(名誉毀損、プライバシー侵害)

 反訴被告(原告)は、現実には、前記のとおり反訴原告(被告)から性暴力被害を全く受けていなかったにもかかわらず、真実に反して、反訴原告を加害者とする性暴力被害を訴えて、日時(4月4日)・場所(本件ホテル)・方法(デートレイプドラッグを使用し、反訴被告を強引に引きずるにようにホテル内を連行等)等を具体的に特定明示した準強姦事実ないし強姦事実を、日本全国に限らず、全世界の不特定、多数者に向けて発信・流布させ、反訴原告(被告)の名誉・信用を著しく毀損するとともに、プライバシーを侵害した。

 

反訴被告(原告)の表現行為のうち、特に反訴原告(被告)に対する社会的評価を著しく低下させ、あるいは、反訴原告(被告)が多大の精神的打撃を受けた行為は、次のとおりである。

 

(1)週刊新潮による報道

 

     (Photo4 週刊新潮の中吊り広告)

 

反訴被告(原告)は、平成29年3月頃、訴外清水潔から紹介を受けた「週刊新潮」の記者の取材に応じて(甲19・209頁以下)、前記のとおり内容虚偽のレイプ被害を訴え、「被害女性が告発! 『警視庁刑事部長』が握り潰した」「『安倍総理』ベッタリ記者の『準強姦逮捕状』」、などと世間の反感を扇情的に煽る標題のもと、反訴原告(被告)の名誉を著しく毀損する内容の週刊誌記事を日本全国に頒布させた。

 

本書添付の別紙・記述目録⑴①ないし④記載の各記述は、いずれも、前記のとおり反訴被告(原告)の虚構ないし妄想に基づくもので、真実に反した原告の社会的評価を著しく低下させたものであるから、名誉毀損にあたる(民法719条2項参照)。

 

(2)司法記者クラブでの記者会見

 

<Photo6 司法記者クラブで会見の図>  その報道でほほ笑む反訴被告>

 

反訴被告(原告)は、自ら告訴した反訴原告(被告)の準強姦被疑事件が嫌疑不十分で不起訴となったことを承けて、平成29年5月29日、東京検察審査会に審査申立てをした直後、反訴原告(被告)の代理人弁護士らを同伴して、司法記者クラブでの記者会見に臨んだ(乙22)。

 

この記者会見では、反訴被告(原告)は、初めて、自らの下の名前、すなわち、「詩織」を出し、自らの顔をテレビカメラの前に晒しつつ、かつ、マスコミ関係者に対し、予め用意した手控えメモ(乙18)を配布した上で、「私は2年前、レイプの被害に遭いました。」、「警察は当初、被害届を受け取ることすら拒んでいました。理由は、・・・。また、相手方の山口敬之氏が当時TBSのワシントン支局長で、著名人だからでした。」などと明記された、メモを読み上げる形式で、自らのレイプ被害と、反訴原告(被告)に係る準強姦被疑事件の不起訴とされたことの不当性を訴えたことから、大きく報道され、その後も、当該記者会見の模様は、動画サイトを通じて、連日、全国・全世界に頒布されたまま、今日に至っている(乙22の2)。

 

しかしながら、反訴被告(原告)が訴えた準強姦被疑事件は、前記のとおり同人の虚構ないし妄想に基づくものであり、同人が読み上げた上記メモのうち、本書添付の別紙・記述目録⑵記載の事実は、いずれも真実に反し、原告の社会的評価を著しく低下させたものであるから、名誉毀損にあたる。

 

⑶ 「ブラックボックス」の出版・頒布

 

反訴被告(原告)は、平成29年10月、前記⑴の週刊誌報道と前記⑵の司法記者クラブでの記者会見等を通じて、一躍脚光を浴びるなか、文藝春秋から自著「ブラックボックス」(甲19)を発行し、さらに反訴原告(被告)に対する名誉毀損活動を拡充させた。

 

すなわち、既に再三主張したとおり、上記著書の中では、真実に反して、反訴原告(被告)から強姦被害にあった旨を具体的かつ詳細に叙述し公表・頒布したことで反訴原告(被告)の名誉を著しく毀損し、かつ、相手方(反訴原告)が公開を欲せず秘匿したい私生活上の私事についても、虚構による誤った情報を前提として公表・暴露した。具体的には、上記著書のうち、本書添付の別紙・記述目録⑶にて摘示した各記載部分は、いずれも真実に反して、反訴原告(被告)の名誉を毀損するものであり、別紙・記述目録⑷にて摘示した各記載部分は、いわれなき性暴力被害(及びそれに伴う妊娠の不安)を訴えた反訴被告(原告)が、反訴被告(原告)との間の私的な交渉過程を示すメール等の日時・内容を暴露したものであって、そのような私事を公表すること自体が反訴原告(被告)のプライバシーを著しく侵害するものである。

 

ちなみに、ネット情報によれば、「ブラックボックス」は、平成29年10月18日に刊行され、同月24日の時点で、既に「累計発行部数が5万部、ネット書店ではランキング1位を獲得」しており(乙19)、平成30年度の本屋大賞でも、「ノンフィクション本大賞」部門でもノミネートされる(乙20)など、大きな社会的反響を呼んだことは周知の事実である。

 

(4)その他・各種記者会見

 

その他、反訴被告(原告)による反訴原告(被告)に対する名誉毀損活動の影響は計り知れないものがあるが、特に社会的な影響があり、かつ、反訴原告(被告)の名誉を毀損した主たる報道・社会活動事例(乙22等)を列挙すると、次のとおりである。

 

ア 国会議員・超党派で「準強姦事件逮捕状執行停止問題」を検証する会での第3回会合での意見交換会の状況(乙22に収録) 

 

  

上掲・静止画像は、平成29年12月6日に国会内で開催されたとみられる、「超党派で『準強姦事件逮捕状執行停止問題』を検討する会・第3回 第1部 ジャーナリスト伊藤詩織さんとの意見交換会」という字幕の出ている動画記録(乙第22号証)から採取したものである。当該動画の撮影対象となった上記「意見交換会」における各参加者の発言内容は、証拠として「動画記録・反訳書(2)」のとおりである。

 

この会合では、森ゆうこ議員(自由党)、柚木道義議員(希望の党)、福島瑞穂議員(社民党)、糸数慶子議員(「沖縄の風」代表)、仁比聡平議員(日本共産党)、有田芳生議員(立憲民主党)、高井崇志議員(立憲民主党)、及び本村伸子議員(日本共産党)ら複数の国会議員が参加しており、反訴被告(原告)は、得意満面の笑みを浮かべつつ、自著「ブラックボックス」を発行するに至った経緯、自らが妄想した性暴力被害を訴えるとともに、反訴原告(被告)の実名を出して、捜査に際して、反訴原告(被告)が「著名だから」特別扱いされたなどと、全く根拠を欠く事実を吹聴していることが確認できる(乙22、同号証の3)。

 

なお、上記動画も、動画サイトから容易に再生・取込ができるもので、現在も日々、反訴原告(被告)の名誉が毀損されている状況にある。

 

イ 外国人特派員協会での記者会見

 

反訴原告(被告)は、平成29年10月24日、外国人特派員協会にて記者会見を開き、自身が性暴力被害者であることを前提に、反訴原告(被告)が不起訴となったことを、日本の刑事司法の問題にすり替えるとともに、自著「ブラックボックス」の内容の真実性を強調した(乙23)。なお、上記動画も、動画サイトから容易に再生・取込ができるもので、現在も日々、反訴原告(被告)の名誉が毀損されている状況にある。

 

ウ 国連本部での記者会見(乙35)

 

反訴被告(原告)は、平成30年3月16日、国連本部での記者会見にて英語で熱弁をふるい、本件での性暴力被害を訴えた(乙35、乙37)

 

         (Photo9 国連で泣く原告 (字幕)私を信じなくてもいいですが想像してください)(Photo10 国連で演説する原告 あなたの愛する人がそういう目にあうかもしれない)

 

上記記者会見の模様を収録した動画についても、反訴被告(原告)が敢行した前記司法記者クラブでの記者会見等を、関係当事者双方を実名入りで報道してきた毎日新聞社(乙36参照)が管理する動画サイトで、現在も、日々垂れ流し状態であり(乙35)、反訴原告(被告)の名誉が世界的規模で毀損されている状況が確認できる。

 

エ 英国BBC・テレビドキュメンタリー番組「日本の秘められた恥 Japan's Secret Shame」(平成30年6月28日)への出演(乙24、乙25)

 

        <BBC番組TOP映像>

 

反訴被告(原告)は、英国放送協会(BBC)のテレビ取材に応じて、反訴原告(被告)が「強姦された」と「顔を出して」訴えるとともに、あたかも、「強姦犯人の」反訴原告(被告)が「首相に近い人物」であったからこそ、逮捕もされず、不起訴となったのごとく内容虚偽の事実を当該報道機関に申し向けた。そして、その取材内容は、平成30年6月28日、「日本の秘められた恥(Japan's Secret Shame)」と題する「ドキュメンタリー番組」としてBBCから放映された(乙24、乙25)。

 

この結果、反訴原告(被告)の悪名は、全世界規模で確固たるものとなり、反訴原告(被告)の社会的信用は地に堕とされたことは、多言を要しない。なお、上記動画も、動画サイトから容易に再生・取込ができるもので、現在も日々、反訴原告(被告)の名誉が毀損されている状況にある。

 

オ ノルウェー/スウェーデンの人気トーク番組「スカヴラン(Skavlan)」への出演(乙26、乙27)

 

          <Skavlan 出演場面>

 

反訴被告(原告)は、自身の前記ウ(国連)及びエ(BBC)での海外での広報活動によって、反訴原告(被告)を名誉を毀損した上で、さらに、ノルウェー/スウェーデンの人気トーク番組にも出演し、自身の強姦被害を嬉しそうに語った。このテレビ出演と、その動画のネット配信によって、反訴原告(被告)の名誉毀損状態がさらに拡幅したことは多言を要しない(乙26、乙27の1、2)。

 

カ アメリカの大手新聞社「ニューヨーク・タイムズ」の報道

 

アメリカの大手新聞社が本件を一面で取り上げ、「山口氏(反訴原告)が安倍首相と懇意していることから逮捕を逃れたのではないか」と疑問を投げかけている(乙28)。

 

4.反訴原告(被告)に生じた損害

 

反訴被告(原告)の前記3の態様による、一連の名誉等毀損行為によって、反訴原告(被告)が被った損害は、次のとおりである。

 

(1)慰謝料 2000万円

 

反訴原告(被告)は、反訴原告(被告)による前記3の表現活動の結果、周知のとおり、全国・全世界から「性暴力加害者」としてのレッテルを貼られ、その結果、反訴原告(被告)はもとより、その家族もが、酷く、激烈な社会的バッシングを受けるに至り、反訴被告(原告)のジャーナリストとしての社会的信用が根底から奪われた。これによる反訴原告(被告)が受けた精神的打撃は、筆舌に尽くしがたいものであるが、敢えて金銭に換算すると2000万円を下らない。

 

(2)営業損害 1億円

 

ジャーナリストとしての社会的生命を絶たれ、平成29年10月以降、出版・出演のオファーが途絶えるとともに、顧問契約も解除された。具体的には、平成28年度までは、約1411万円の営業収入があったが(乙29)、平成29年10月、反訴被告(原告)が司法記者クラブで行った前記記者会見以後、テレビ局等からの出演依頼等が途絶えたため、平成29年度の営業収入は、約977万円に減り(乙30)、平成30年度は、無収入であった。

 

また、確定申告書で計上している給与には、TBSからの給与の他に、顧問料を含み、平成29年10月当時は、訴外株式会社■■B■■■との間で顧問料月額42円、年額にして504万円(乙31)、及び訴外■■■■ロ■■■メ■■■株式会社との間で顧問料月額20万円(乙32)、年額にして240万円の各顧問料収入があった。しかるに、反訴被告(原告)による上記名誉毀損の結果、これら顧問契約が即時解除された。

 

以上要するに、反訴原告(被告)は、平成29年10月当時の営業収入は、合計2155万円(=1411+504+240)が見込まれていたところ、反訴被告(原告)による本件名誉毀損の結果、全くの無収入となった。この名誉を回復して、従前の営業収益を得るに足る事業をなすための基盤を得るためには、仮に本件反訴請求の趣旨第2項及び第3項に係る謝罪広告が認められたとしても、5年は優にかかるものと思料される。よって、平成29年10月以後、5年間分の営業収入相当額である1億円を営業損害として計上する。2155万×5=1億0775万 ≒ 1億

 

(3)弁護士費用 1000万円

 

前記⑴⑵の損害合計1億3000万円の約1割に相当する弁護士費用1000万円を被告に負担させるべきである。

 

5.謝罪広告の必要性

 

反訴被告(原告)による前記名誉毀損行為は、性暴力被害という犯罪事実を一方的に捏造した上で、反訴原告(被告)のジャーナリストとしての社会的信用・社会生命に致命的な打撃を与え、それを「踏み台」とするとともに、自らは、あたかも正義のジャーナリストとして「顔」を売り込むというもので、その悪質性・犯罪的違法性は、前代未聞のものである。

 

            <COURRiER 表紙 「性暴力はなぜ起こる」>

 

現在も、反訴原告(被告)は、「女性の性暴力被害を訴える象徴的存在」として各種マスコミ・報道番組等に出演し、その出演記録が、前記のとおり日々、日常的にネット上の動画サイトで、誰しもが平易に閲覧・鑑賞できる状況にあり、反訴原告(被告)を「踏み台」とした社会活動・言論活動が国内・国外を問わず、際限もなく継続・繰り返されているのであって、反訴被告(原告)本人が「反訴原告(被告)を加害者とするレイプ被害」にあった「悲劇のヒロイン」としての虚構・虚偽報道は広範囲に伝播・流布し、社会的に名誉毀損状態が定着してしまっている。

 

このことは、例えば、「伊藤詩織」をキーワードとして Google 検索をかけると、「動画」だけでも約1万6000件もの動画サイトがヒットし、反訴被告(原告)による名誉毀損行為が日々、反訴被告(原告)の顔写真、両当事者の実名入り、ビジュアルに再現・再生され(乙32)、同様に「山口敬之」をキーワードとして Google 検索をかけても、約1万9800件もの動画サイトがヒットし、その殆どが本件に関する反訴被告(原告)への中傷記事であること(乙33)、「伊藤詩織責任編集」「『性暴力被害』はなぜ起こる」と表紙に表記された特集記事を集めた雑誌が販売され、反訴被告(原告)が、堂々と性暴力被害者の代表格として取り扱われるなどと、前提において根本的に誤った情報がまかり通るに至っていること(乙38)からも、客観的に明らかである。

 

したがって、単なる金銭賠償によったのでは、反訴原告(被告)に生じた、客観的・致命的な名誉毀損状態が解消されることはなく、反訴原告(被告)の名誉の回復のためには、反訴被告(原告)に対し、請求の趣旨第2項及び第3項に記載のとおり各謝罪広告の掲載を命じ又はそれを受忍させることが必要不可欠である。

 

なお、反訴原告(被告)が別紙謝罪目録2記載の謝罪広告について、松尾千代田法律事務所(送達場所)のホームページ内の反訴被告代理人西廣陽子のプロフィールページでの掲載を求める趣旨は、①松尾千代田法律事務所が反訴被告(原告)の送達先に指定され、かつ、②反訴被告(原告)代理人の西廣陽子は、反訴被告(原告)とともに前掲・司法記者クラブでの記者会見に立ち会っていることから、反訴原告(被告)の意思・責任にもとづいて謝罪広告が実行されたことを公証する上で、適当だからである。

 

6.結論

 

よって、反訴原告(被告)は反訴被告(原告)に対し、不法行為に基づく損害金1億3000万円、及びこれに対する不法行為日である平成29年10月20日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、反訴原告(被告)の名誉回復のための措置として、反訴請求の趣旨第2項及び第3項のとおり謝罪広告の掲載(ないしその受忍)を求める。

 

附 属 書 類

 

1 反訴状副本 1通

以 上

 

【判決文】


【もくじ(判決文の構成)】

主文

自由及び理由

第1 請求 
1本訴
2反訴(1)~(3)
   
第2 事案の概要
1  (文章にて説明あり)
2 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲証拠等により容易に認められる。)
   (1)当事者 ア~イ
   (2)会食に至る経緯 ア~イ
   (3)本件行為及び本件行為に至る経緯 ア~イ
   (4)本件行為後の経過 ア~イ
   (5)本件公表行為 ア~エ
3争点及び争点に関する当事者の主張
   (1)本件行為につき原告の同意があったか(本訴請求)
     (原告)ア~エ (被告)ア~オ
   (2)原告の損害額(本訴請求)
     (原告)ア~イ (被告) 争う。
   (3)本件公表行為が被告に対する不法行為を構成するか(反訴請求)
     (原告)(被告)否認し、争う。
   (4)被告の損害額(反訴請求)
     (被告)ア~エ (原告)争う。
   (5)謝罪広告掲載等の要否(反訴請求)
      (被告) (原告) 否認し、争う。

第3当裁判所の判断
1 認定事実(前提事実、後掲証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)

   (1)会食までの経緯等 ア~カ
   (2)待ち合わせから本件居室に入るまでの経緯等 ア~カ
   (3)本件居室の状況等 ア~カ
   (4)本件行為後における原告の言動等 ア~ト 

2  争点(1)(本件行為につき原告の同意があったか)について
   (1)本件行為に至る経緯及び本件抗議の状況に関する両当事者の供述 ア~イ
   (2)原告の供述について
   (3)被告の供述について
   (4)原告の供述の信用性に関する被告の主張について ア~ク
   (5)本件行為についての合意の有無 ア~イ   

3  争点(2)(原告の損害額)について   

4  争点(3)(本件公表行為が被告に対する不法行為を構成するか)について
   (1)別紙記述目録1ないし3について ア~エ
   (2)別紙記述目録4について 

5 小括    

6 結論

【判決文】主文 ~ 第1 請求 


判決文

 主  文

 1 被告は、原告に対し、330万円及びこれに対する平成27年4月4日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 原告のその余の本訴請求を棄却する。

3 被告の反訴請求をいずれも棄却する。

4 訴訟費用は、本訴反訴ともに、これを19分し、その1を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。

  

事  実  及  び  理  由

第 1 請求

1.本訴

被告は 、原告に対し 、1100万円及びこれに対する 平成 2 7 年 4 月4 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 。

2.反訴

(1) 原告は、被告に対し、1億3000万円及びこれに対する平成29年10月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え 。

(2) 原告は 、別紙新聞目録記載 1ないし5 の各新聞に、別紙謝罪広告目録記載1(1)の内容の謝罪広告を、同(2)の掲載条件により、各1回掲載せよ。

(3) 原告は 、被告が、本判決の確定後1年間に限り、別紙ウェブサイト目録記載 1のウェブサイトに、別紙謝罪広告目録記載2の内容の謝罪広告を掲載することを受忍するとともに、本判決の確定後2か月以内に、1か月間、別紙ウェブサイト目録記載2 のウェブサイトに、別紙謝罪広告目録記載 2 の内容の謝罪広告を掲載せよ。


【判決文】第2 事案の概要


 第 2 事案の概要

1 本訴は、原告が、被告に対し、被告は、原告が意識を失っているのに乗じて、避妊具を付けずに性行為を行い、原告が意識を取り戻し、性行為を拒絶した後も、原告の体を押さえ付けるなどして性行為を続けようとし、これにより、肉体的及び精神的苦痛を被ったとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき 、慰謝料1000万円及び弁護士費用100万円の合計1100万円並びにこれに対する平成27年4月4日(不法行為の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合に よる遅延損害金の支払を求める事案である 。

反訴は、被告が、原告に対し、原告が主張する性行為は、原告との合意の下で行われたものであったのに、原告は被告を加害者とする性暴力被害を訴えて、週刊誌の取材、記者会見、著書の公表などを通じて、不特定多数人に向けて発信又は流布し、これにより、被告の名誉及び信用を毀損し 、プライバシーを侵害したとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき 、慰謝料2000万円、営業損害1億円及び弁護士費用1000万円の合計1億3000万円並びにこれに対する平成29年10月20日(不法行為の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、民法723 条に基づき、名誉回復処分としての謝罪広告の掲載又はその受忍を求める事案である。

2 前提事実  (当事者間に争いがないか 、後掲証拠等により容易に認められる。)

(1) 当事者

ア  原告は、平成元年生まれの女性であり、ニューヨークの大学に在籍後、平成 27年初めに日本に帰国し、後記(3)の性行為のあった同年4月当時、トムソン・ロイターにおいてインターンとして働いていた。

イ  被告は、昭和 41年生まれの男性であり、上記性行為のあ った当時、株式会社TBSテレビ(以下「 T B S」という。)のワシントン支局長の地位にあった者である。

(2)  会食に至る経緯

ア 原告は、平成25年12月11日、ニューヨークの大学でジャーナリズムと写真を専攻していた際、アルバイト先のピアノバーにおいて、被告と知り合った(甲9、37)。

イ 原告は、平成27年3月25日(以下、平成27年中の出来事については、元号の記載を省略する。)、被告に対し、正社員としての就職先の紹介を求めるメールを送信し、これを契機として、原告と被告は、被告が一時帰国中の4月3日に、恵比寿において会う約束をした(甲1の1~9)

(3) 本件行為及び本件行為に至る経緯

ア  原告と被告は、4月3日、恵比寿駅で待ち合わせ、「とよかつ」という名称の串焼き屋(以下「本件串焼き店」という。)において飲食をした後、恵比寿駅から約 5 分程度離れた「鮪の喜一」という名称の寿司屋(以下「本件寿司店」という。)において飲食をした。原告と被告は、その後タクシーに乗車して、被告が宿泊する東京都港区白金台所在のシェラトン都ホテル東京(以下 「本件ホテル」という。)に向かった(甲2、37、乙39、原告4・6頁、被告45頁)。

イ 原告と被告を乗せたタクシーは、同日午後11時19分、本件ホテルに到着し、その後、原告と被告は、本件ホテルの被告が宿泊する233号室(以下「本件居室」という。)に入った。原告は、翌4日午前5時50分頃、単独で本件ホテルを出た。(甲15、16の1・2)

本件ホテルに滞在中、被告が避妊具を着けずに原告の陰部に陰茎を挿入する等の性行為(以下「本件行為」という。)をした事実については、当事者間に争いがない 。

(4) 本件行為後の経過

ア 原告は、4月30日、高輪警察署に告訴状を提出し、同署はこれを受理したが、東京地方検察庁は、平成2年7月22日、被告に対する準強姦被疑事件について、不起訴処分をした。

イ 原告は、平成29年5月29日、上記処分を不服として、検察審査会に対し審査を申し立てたが、検察審査会は、同年9月21日、上記処分が相当であるとの議決を行 った (甲7、10) 。

(5) 本件公表行為

原告は、本件行為やその後の経過等につき、以下のとおり公表した(以下「本件公表行為」という。)。

ア 週刊新潮は、原告に対する取材に基づき、平成29年5月18日号において、別紙記述目録1記載1ないし4の内容を含む記事を掲載した。

イ 原告は、平成29年5月29日、司法記者クラブでの記者会見において、別紙記述目録2記載 1ないし6の内容を述べた(乙18、22の1・2)。

ウ   原告は、平成29年10月、別紙記述目録3記載1ないし26並びに別 紙記述目録4記載1ないし6の内容を含む著書「ブラックボックス」(以下「本件著書」という。)を発表した。本件著書の累計発行部数は 、令和元年5月時点で、約5万部である。(甲19、乙42)

エ  原告は、平成29年10月24日には外国人特派員協会での記者会見において、同年12月6日には国会議員との意見交換会において、平成30年3月16日には国連本部での記者会見において 、同年6月28日には英国放送協会 (BBC)のテレビ番組において 、それぞれ本件行為について言及したほか 、ノルウェー及びスウ ェーデンのテレビ番組においても本件 行為について言及した(乙23ないし27、35、37)、枝番含む。) 。

3 争点及び争点に関する当事者の主張

(1)本件行為につき原告の同意があ ったか (本訴誇求)

(原告)
以下のとおり、本件行為につき 、原告の同意はなか った。

ア 本件行為に至る経緯
(ア) 原告は、4月3日午後8時過ぎに、恵比寿駅において被告と待ち合わせ、本件串焼き店に向かった。原告は、本件串焼き店において、ビールをグラス2杯、ワインをグラス1、2杯飲んだ。
(イ) 原告と被告は、本件串焼き店を出た後、5分ほど歩いて、同日午後9時40分頃、本件寿司店に到着した 。原告と被告は、本件寿司店において、二人で少なくとも2合の日本酒を飲んだ。原告は、本件寿司店において、2回目にトイレに行った際、めまいが強く立っているこ とができず、便器の蓋に腰かけ 、そのまま後方に頭を傾ける状態となった。原告の記憶は、この時点以降、後記のとおり、本件居室におい て下腹部の痛みで目が覚めるまでの間喪失している。
(ウ) 被告は、本件寿司店を出た後、原告と共にタクシーに乗車したが、運転手によれば、原告は、乗車時に「近くの駅に行ってください。」などと述べていた。被告の指示によりタクシーが本件ホテルに到着すると、被告は、原告をタクシーから引きずり出すように降車させ、足元がふらついた状態の原告に体重を預けられるようにして、本件居室に向かった。

イ  本件行為について
(ア) 原告は、4月4日午前5時頃、本件居室において目を覚ました時、ベッドの上で全裸で仰向けになってり、被告が原告の下腹部に避妊具を装着していない陰茎を挿入した状態であった。原告が「痛い。」、「やめて。」と述べても被告は行為を止めず、原告が「トイレに行きたい。」と述べると被告は原告から体を離した。
(イ) 原告は、バスルームに駆け込み、鏡を見て、体の複数の部分が赤くなっていることを認識じた。原告がバスルームから出ると、被告は入口側のベッドに原告を押し倒し、原告の顔に被告の顔を近付けたため、原告は顔を背け、ベ ッドに顔面が押し付けられる形となって呼吸が困難になった。
(ウ) 原告がなぜこのようなことをするのかと英語で問いただしたのに対し、被告は、「ごめんね。」、「君のことが木当に好きになっちゃった。」、「早くワシントンに連れて行きたい。君は合格だよ。」、「あと1、2時間で空港に行かなくてはいけないので、その途中に大きなドラッグストアがあるので、ピルをそこで買いましょう、その間に一緒にシャワーを浴びよう。」などと述べた。
(エ) 原告は、身支度をしようとしたが、原告の着衣は室内に散乱した状態であった。被告は、原告に対し、原告の下着を差し出しながら、「パンツくらいお土産にさせてよ。」、「いつもはできる女みたいなのに、今日はまた子どもみたいでかわいいね。」などと述べた。
(オ) 原告のブラウスは濡れており着用できない状態であった。被告が原告に対し被告のTシャツを差し出したため、原告は、一刻も早くその場から逃れるために、Tシャツを受け取って著用し、本件居室を出た 。

ウ  本件行為後の事情
(ア) 原告は、帰宅した後、Tシャツを捨て、その他の衣類の洗濯をした。原告がシャワーを浴びて体の傷を確認、すると、腕にあざのようなものがあり、乳首には出血があったほか、右腰にもひりひりするような痛みがあった。

(イ)  原告は、同日中に産婦人科であるイーク表参道に行き、アフターピルの処方を受け、服用した。その後、原告は、被告に対し、被告を気遣うような内容等を記載したメールを送信しているが、それは、混乱状態にある原告が、何事もなかったことにしたいという願望の下に、苦痛を避けるためにとった行動である。(👉何もなかったことにしたいのであればそもそもメールを送る必要がない。原告被告はまだ職務上の上司部下の関係ではなく、無理をして関係を続ける必要がない。混乱して苦痛を遠ざけたいのであればなおさら自分を襲った相手から遠ざかろうとする。性被害者であるがゆえに襲った相手を拒否する。)

エ  被告は、原告が意識を失っているのに乗じて、避妊具を付けずに原告の下腹部に陰茎を挿入させ、また、原告が意識を回復し、性交渉をやめるよう求めた後も、原告の体を押さえ付けて性交渉を継続しようとしたのであり、これらの行為は原告に対する不法行為を構成する。

(被告)
否認し争う
以下のとおり、本件行為は原告の同意に基づくものである。

ア  本件行為に至る経緯
(ア) 被告は、4月3日午後7時頃、恵比寿駅に原告を迎えに行き 、本件串 焼き店に向か った。原告と被告は、本件串焼き店において 、ビー ルの大瓶を2本、サワーの大ジ ョッキを各1杯、ワインの一升瓶を1本注文 した。
(イ)  被告と原告は、同日午後8時頃、本件串焼き店を出て本件寿司店に向かったが、その際の原告の足取りは正常であった。本件寿司店に到着後、原告は、手酌で日本酒を飲み始め、途中、トイレに入ってそのまま寝込んだが、その後、席に戻り、「少し飲みすぎてしまいましたが、もう大太夫です。」と述べて、再び日本酒を飲み始めた。原告は、本件寿司店において、少なくとも6、7 合の日本酒を飲み、他の客の椅子に座って話したり、裸足で店内を歩いたりするなどの行動をとった。
(ウ) 原告は、本件寿司店を出た際、足元がふらついていたため、被告は、原告が駅まで歩いていく ことは不可能であると判断し、原告と共にタクシーに乗車した。原告が車内で嘔吐をしたため、被告は、原告を駅で降ろしても帰ることはできず、タクシーに一人で乗せておくのも不安であったことや、被告は午前0時までに米国の政治の動向を確認する必要があったことに鑑みて、原告を本件ホテルに連れて行くことにした。
(エ)被告は 、タクシーが本件ホテルの車寄せに到着した後、原告に手を貸して降車させた。被告は、本件居室に向かう間、原告の歩調に合わせて、原告の横に並んでゆっくりと歩いた。原告は、その際、「少し休めば大丈夫です」、「迷惑をかけてすいません。」などと述べた。

イ 本件行為について
(ア) 原告は、本件ホテルの部屋に到着してから嘔吐をして寝込み、午前2時頃に起きて冷蔵庫のミネラルウォーターを飲むと、窓側のベッドで寝ている被告に自分の状況を尋ねた 。原告は、被告が不機嫌な様子 であることを見て取ると、就職活動に関し自分が不合格であるかを何度も尋ねた。
(イ) 被告が入口側のベッドに戻るよう指示すると、原告は戻ったものの、被告に対し、就職活動についてまだチャンスがあるのであればこちらに来てほしいなどと述べたため、被告は根負けして、原告の気持ちをなだめるために原告の寝ていた入口側のベッドに移動し、腰かけた。
(ウ) 原告は、就職活動について自分が不合格であるかを尋ねながら、左手で被告の右手を握り、引き込むように引っ張ったため、被告は原告と添い寝をする状態になった。
(エ) 原告は、再び就職活動に関し自分が不合格であるかを尋ねつつ、寝返りを打ちながら右足を被告の体の上に乗せた。そのため、被告は、悪印象を挽回しようとする原告に安心感を与えようとして、性交渉を始めた 。
(オ) 原告が痛みを訴えたため、被告は、性交渉を中止した。原告と被告は 、短時間の会話をした後 、就寝した。
(カ) 被告は、午前5時に携帯電話のアラーム音で目が覚 めた。その後、原告は、シャワーを浴びてバスルームから出て、被告に対し、何か着 るものを貸してもらえませんか。」と述べた。被告がパッキング中の荷物の中から好きなものを選んで着てよ いと伝える と、原告は、T シャツを選んで着た。原告は、午前6時頃、被告に見送られて本件居室を出た 。

ウ  本件行為後の事情 
(ア) 被告は、原告が本件居室に鞄を置き忘れたと考え、原告に電話をかけて確認したが、その際、原告は、被告を非難する 言動をと らなかった。
(イ) 原告は、4月6日、被告に対し、無事にワシントンに戻ったか気遣うとともに、ビザの対応についで尋ねるメールを送信した。

エ  以上のとおり、原告は、本件行為の当時 、明確な意識があ ったこと、本件行為後に初めて被告に送 ったメールにおいて被告を非難する言葉がなかったこと、被告には性交渉 を行う動機がなか ったのに対し原告にはその動機があったことなどからすると、本件行為につき原告の同意があったことは明らかである。

オ   これに対し、原告の供述は、イーク表参道のカルテにおいて、原告は4月4日の午前2時ないし3 時に意識があ ったことを認めている点、まつしま病院等のカルテにおいて本件行為自体の記憶がないとしている点、本件居室に到着したのが午後11時頃であるのに本件行為が翌日午前5時頃としている点、本件居室のバスルームに設置された電話機を使用していない点、被告から渡されたTシャツを着用している点、原告から本件行為を打ち明けられた知人らの陳述書の内容と矛盾がみられる点などにおいて信用性がない。

(2) 原告の損害額 (本訴請求)

(原告)
ア   原告は、突然、本件行為を思い出したり、街中で被告に似た人物を見かけたりすることで、吐き気を催し、パニック状態に陥るなどの症状が生じ、それが現在に至るまで継続している。このように、原告は、被告の不法行為によって重大な肉体的及び精神的苦痛を被ったのであり、その慰謝料は1000万円を下らない。

イ  原告が自ら被告に対して損害賠償請求をすることは困難である。被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は100万円が相当である。

(被告)
争う。

(3) 本件公表行為が被告に対する不法行為を構成するか(反訴請求)
(被告)
本件公表行為は、被告が原告に対し準強姦又は強姦を行ったという真実に反する内容を含み、被告の名誉を殿損するとともに、被告が原告に送ったメールを暴露する内容を含んでいる点で、被告のプライバシーを侵害するものであるから、被告に対する不法行為を構成する。

(原告)
否認し、争う。

(4) 被告の損害額 (反訴請求)

(被告)
ア 被告は、原告の本件公表行為により、社会的非難を受けるとともに、ジャーナリストとしての社会的信用が著しく低下した。これにより被告が被った精神的損害に係る慰謝料は、2000万円を下らない。

イ 被告は、原告が記者会見を行った後の平成 29年 10 月以降、テレビ局からの出演依頼等がなくなり、顧問会社との間の顧問契約が解除されたことなどにより、営業収入が著しく減少した。被告が名誉を回復し、従前の 営業収益を得られる基盤を再構築するためには少なくとも5年が必要であるから、被告が被った営業損害は、平成29年10月時点の営業収入見込額の5年分に相当する1億円である 。

ウ  被告の慰謝料と営業損害の合計1億2000万円の約1割に相当する弁護士費用1000万円を、被告に負担させべきである。

エ 以上から、被告の損害額は1億3000万円である。

(原告)
争う。 

(5) 謝罪広告掲載等の要否(反訴請求)
(被告)
原告の本件公表行為により 被告の社会的評価を低下 させる情報がインターネット上に広く拡散されたことなどに鑑みると、被告の名誉の回復のためには、金銭賠償のみでは足りず、、謝罪広告の掲載又はその受忍が不可欠である。

(原告)
否認し、争う。


【判決文】第3 当裁判所の判断


第3 当裁判所の判断

1 認定事実(前掲事実、後掲証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)

(1) 会食までの経緯等
ア 原告は、平成25年12月11日、ニューヨークの大学でジャーナリズムと写真を専攻していた際、アルバイト先のピアノバーにおいて、被告と知り合った。原告が被告に対し報道機関での仕事に興味があると伝えたところ、被告は、同月12日TBSのニューヨーク支局長を交えた昼食会に原告を招き、TBSのニューヨーク支局へと同行させた。その後、原告はニューヨーク滞在中に被告と再び会うことはなかった。(甲9、37)

イ 原告は、平成26年8月27日、被告に対し、TBSのニューヨーク支局においてインターンとして採用されるための協力を求めるメールを送信した。TBSのニューヨーク支局では、当時、インターンを募集していなかったため、被告は、知人である日本テレビのニューヨーク支局長に原告を紹介し、原告は、日本テレビのニューヨーク支局においてインターンとして採用された。(甲37、乙1の2~5)

ウ 原告は、平成27年初めに日本に帰国し、トムソン・ロイターのインターンとして働き始めた(争いがない)。

エ 原告は、3月25日、被告に対し、就職先の紹介を求めるメールを送信した。被告は、同日、原告に対し、上記メールへの返信として、検討のため履歴書を送ってほしいと述べるとともに、プロデューサーの新規採用の場合には被告が勤務するテレビ局本社の決済が必要であるが、米国においてフリーランスとして契約し、仕事を続けながら正式な採用を目指す場合には被告において決済可能であると述べるメールを送信した。これを受けて、原告は、同月27日、被告に対し、履歴書を添付したメールを送信した。(甲1の1)

オ 一方、被告は、被告が以前週刊文春に寄稿した記事をめぐるTBSの賞罰委員会の開催に関する聞き取りのため、3月30日から4月4日までの間、一時帰国を命じられていた。(甲20、被告27頁)

カ 被告は、3月28日、原告に対し、最大の難関はビザであるが、被告が勤務するテレビ局による支援も検討できるとして、被告が翌週に帰国した際に会うことができるかを尋ねるメールを送信した。その後、原告と被告は、4月3日に会食をする約束をした。(甲1の2ないし9)

(3) 待ち合わせから本件居室に入るまでの経緯等
ア 原告は、4月3日、被告に対し、同日午後8時に恵比寿に到着できるとのメールを送信した。原告は、九段下での奉納相撲の取材を終え、同日午後6時41分、被告に対し、仕事が予想よりも早く終わったため、恵比寿での集合時間について連絡が欲しいとのメールを送信した。その後、原告は、タクシーで赤坂にあるロイター本社に立ち寄って機材を置き、原宿にある自宅に戻って着替え、午後8時頃、恵比寿駅に到着し、迎えにきた被告と共に本件串焼き店に向かった。(甲1の11・12、甲37) 

イ 原告と被告は、本件串焼き店に到着した後、カウンター席で飲食をした。原告は、本件串焼き店において、小グラスのビール2杯、グラスワインを1杯ないし2杯飲んだ。(乙39、原告4・6頁)

ウ 原告と被告は、本件串焼き店を出て、本件寿司店に歩いて向かった。原告は、本件串焼き店を出た際、コートを置き忘れたことに気付き、取りに戻った。原告は、本件寿司店に向かっている間、足取りは正常であった。(原告5頁、被告11・12頁)

エ 原告と被告は、本件寿司店に到着した後、カウンター席で飲食をした。原告は、本件司店において、日本酒を少なくとも2合飲んだ。原告は、本件寿司店において、二度、トイレに行ったが、二度目にトイレに行った際、蓋をした 便器に腰かけ、給水タンクに頭をもたせかけた状態で発見され、原告は、この時以降の記憶がないと供述している。他方、被告の供述によると、原告は、二度目のトイレから戻った後、同じ内容を繰り返し話す状態であった。(甲37、原告7・8頁、被告43・44・79・81頁)

オ 原告は、本件寿司店を出た際、千鳥足であり、時折、並木に手をついて休む様子であった。原告と被告は、午後11時過ぎ頃、タクシーを拾い、原告が奥側、被告が手前側に座った。原告は、恵比寿南1丁目付近において、運転手に対し、「近くの駅まで行ってください。」と述べた。運転手は、最寄りの駅は恵比寿駅であったが、進行方向とは逆であったため、「目黒駅が一番近いです。」と答えた。これに対し原告は、「それでは、目黒駅に行ってください。」と述べたが、被告は何も言わなかった。被告は、タクシーが目黒駅に到着する寸前、運転手に対し、「都ホテルに行ってくれ。」と指示した。原告は、「その前に駅で降ろしてください。」と述べたが、被告は、「まだ仕事の話があるから、何もしないから。」などと言い、原告はその後静かになった。原告は、タクシーの車内において、嘔吐をした。(甲2、被告16・81頁)

カ 午後11時19分09秒に、タクシーが本件ホテルの車止めに到着したものの、原告は自力で降車することができなかった。被告は、原告の体をドア側に引き寄せようとしたものの、上手くいかず、一旦先に降りて鞄を車外に置いてから、原告の左側に自分の肩を入れて引きずるようにしてドア側に移動させ、原告は、停車から2分以上が経過した午後11時21分44秒に降車した。降車後、原告は、足元がふらついていて単独で歩行するのは困難な状況であり、被告は、原告の荷物を左手で持ち、右手で原告を支えるようにして、本件居室に向かった。(甲2、3、15、乙40、被告79・80頁)

(3)本件居室の状況等
ア 本件居室は、東側に入口があり、入口を入ったすぐ左側(南側)にはバスルーム(浴槽、トイレ、洗面所)が、右側(北側)にはクローゼットが設置されていた。入口から中に入ると、奥側(西側)には窓とベランダがあり、窓の手前にはソファとテーブルが置かれ、左側(南側)には、ベッド(幅130センチメートル、長さ200センチメートル)が2台、それぞれ南側を頭にして、窓側(西側)と入口側にそれぞれ設置されていた。(甲29、乙3、原告14頁、被告50~53・82・83頁)

イ 本件居室のバスルームにはシャワーと電話機が設置されていたが、原告は本件居室に居室中、いずれも使用していない。(甲29、原告73・75頁)

ウ 本件行為後において、原告が前日着ていた私服を探したところ、ブラウスは入口のドアノブに濡れた状態でハンガーに架けられており、ブラジャーは窓側のテーブル付近に開いた状態で置かれていた被告のスーツケースの上にあり、パンツは被告から手渡された。(甲37、原告13・14頁)

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エ 原告は、4月4日午前5時50分本件ホテルを出た。原告は、その際、被告が所有するTシャツを着用していた。(甲3、原告14・15頁)

オ 被告は、同日午前7時40分、本件ホテルを出た。被告は、午前7時ないし8時頃、原告に電話をかけて、ポーチを忘れていないか尋ねた。原告は、荷物は全て持っていると回答したが、本件行為については言及しなかった。(甲3、37)

カ 被告の本件ホテルの滞在に係る冷蔵庫の利用履歴として、ミネラルウォーター1本が計上されている。(甲35の2、乙17)。

(4) 本件行為後における原告の言動等
ア 原告は、4月4日、産婦人科であるイーク表参道を受診し、アフターピルの処方を受けた。イーク表参道のカルテには、同日午前2時ないし3時頃の性交渉の際に避妊具が破れた旨の記載がある。原告は、同日昼には妹とカフェに行き、同日夜には妹及び友人と会食をした。(甲4、37、乙7)


イ 原告は、4月5日、友人の○○(以下Fという。)と会食をした。(甲11)

ウ 原告は、4月6日、被告に対し、無事にワシントンに戻ったかを確認するとともに、原告のビザに係る対応の検討結果を尋ねるメールを送った。原告は、同日、元谷整形外科を受診し、右膝内障及び右膝挫傷と診断された。元谷整形外科のカルテには、変な姿勢で座っていたために膝の痛みが生じた旨の記載がある。(甲1の15、甲13、乙
6)


エ 原告は、4月7日、〇〇(以下Kという。)と家具店に行った際、本件行為について初めて打ち明けた。(甲12、14、37、原告18・19頁)

オ 原告は、4月8日、友人宅において、Fらに対し、本件行為について打ち明けた。(甲11、37、原告20頁)。

カ 原告は、4月9日、原宿警察署に行き、本件行為に係る事実を申告した(甲37、原告20・21頁)。

キ 原告は、4月14日、被告に対し、「この前はどうしたらいいのかわからなくて、普通にメールしたりしていましたがやっぱり頭から離れなくて。」、「この前気づいたらホテルにいたし、気づいたらあんなことになっていてショック過ぎて山口さんに罵声を浴びせてしまいましたが、あの時言ってた君は合格だよって、いうのはどういう意味なんでしょうか?」、「山口さんのこととても信頼していたので・・・」と記載したメールを送信した。これに対し、被告は、「罵声浴びた記憶はないけどな。」とした上で、原告の雇用についての進捗状況を報告する旨のメールを返信した。(甲1の16・17)


ク 原告は、4月17日、まつしま病院を受診し、外陰部から膣内には外傷がなく、性感染症に関する異常はないと診断された。また、原告は、同院において、睡眠薬を処方された。まつしま病院のカルテには、同月3日から同月4日にかけて強姦被害に遭ったが、その間の記憶がない旨の記載がある。(甲5、乙8)(👉この病院で4/9月経があったことを自主申告しているにも関わらず、以後の日付のメールにも妊娠の恐怖を訴えている。会見では4/9の出血を不正出血としている。しかしながら5/7の検査でも結果的には妊娠はしておらず、4/9の出血は不正出血ではなかったことになる。)

ケ 原告は、4月18日、被告に対し、「意識の無い私をホテルに連れ込み、避妊もせず行為に及んだあげく、その後なにもなかったかのように電話でビザの手続きをするので連絡するといってきたり、この度に及んでそのようなあやふやなご返答をされるのは何故ですか?」、「この状況を考えると、まるで山口さんが仕事の話を持ち出してこのような機会を伺っていたように思えてしまいます。」として、誠意ある対応を求める旨記載したメールを送信した。これに対し、被告は、同日、「あなたは私が強制したわけでもないのに自ら進んで飲んで泥酔し、タクシー内や私のスーツや荷物に嘔吐して正体不明となりました。路上に放置するわけにもいかないから、やむなく逗留先に連れて行ったんだよ。」、「あなたが普通に食事して普通に帰ってくれたら何も起きなかった。私だってこれから一緒に働こうという人に、最初からそういう意図で接するはずがありません。」と反論する旨のメールを送信した。(甲1の22・23)

コ 被告は、4月18日、本件行為による妊娠を心配する旨のメールを送信してきた原告に対し、本件行為時の状況に関し、本件居室で嘔吐後に眠ってしまった原告が、「唐突にトイレに立って、戻ってきて私の寝ていたベッドに入ってきました。その時はあなたは「飲み過ぎちゃった」などと普通に話をしていました。だから、意識不明のあなたに私が勝手に行為に及んだというのは全く事実と違います。私もそこそこ酔っていたところへ、あなたのような素敵な女性が半裸でベッドに入ってきて、そういうことになってしまった。」と記載した上で、「あなたが妊娠するという事はあり得ないと考えています。」と記載したメールを返信した。(甲1の24・25)。

サ 前記1(1)オの記事(転記者注:文春寄稿記事のこと)をめぐり、被告は、一時帰国した3月30日からワシントンに戻る4月4日までの間、TBSから、出社に及ばずとの通知を受けており、その後、15日間の出勤停止処分を受け、さらに、同月23日、TBSのワシントン支局長を解任され、営業局への異動を命じられた。同月26日、被告がTBSのワシントン支局長から解任されたとの報道がされた。(乙4、被告63~67頁)

シ 原告は、4月30日、高輪警察署に告訴状を提出し、同署はこれを受理した。(前提事実(4)ア)。

ス 原告は、5月7日、新百合ヶ丘総合病院を受診し、医師から、妊娠の可能性はほぼないとの説明を受けた。新百合ヶ丘総合病院のカルテには、4月3日に被害を受けた旨の記載がある。(乙9、原告22頁)

セ 原告が、5月8日、被告に対し、被告が以前妊娠の可能性がないと断言していたことについて理由を尋ねるメールを送信したのに対し、被告は、「精子の活動が著しく低調だという病気です。」と回答した。これに対し原告は、「精子が弱い=避妊なし性行為という正当化をされているように聞こえます。」と返信した。(甲1の43~47)

ソ 原告は、5月20日、まちどりクリニックを受診し、外傷後ストレス障害と診断された。まちどりクリニックのカルテには、ビザについての話合いをした際に性的暴力を受けた、(👉 ビザについて話し合いをしたとカルテにある。BBではしていないと。)5時頃に性交渉に及んだがその記憶がない旨の記載がある。(甲6、25の1、原告81頁)

タ 被告は、警察官を通じて、原告に対し示談を申し入れたが、原告はこれを拒絶した(争いがない)。

チ 東京地方検察庁は、平成28年7月22日、被告に対する準強姦被疑事件について、不起訴処分をした。原告は、平成29年5月29日、上記処件を不服として、検察審査会に対し審査を申し立てたが、検察審査会は、同年9月21日、上記処分が相当であるとの議決を行った。(甲7、10、前提事実(4)イ)

ツ 原告は、前提事実(5)のとおり、平成29年5月以降、本件公表行為を行い、同年10月には、本件著書を発表した。原告は本件著書の「はじめに」において、本件著書を刊行した理由につき、「あの日起きたこと――私自身の経験、相手方の山口敬之氏の言葉、捜査、取材で明らかになった事実については、これから本書を読んで頂きたい。みなさんがどう考えるかはわからない。」、「それでも、今の司法システムがこの事件を裁くことができないならば、ここに事件の経緯を明らかにし、広く社会で議論することこそが、世の中のためになると信じる。それが、私がこの本をいま刊行する、もっとも大きな理由だ。」と記述したほか、別紙記述目録3記載1から26までのとおり、本件行為の状況や本件行為後の経過に関する具体的な記述や、別紙記述目録4記載1から6までのとおり、本件行為後における被告との間のメールのやり取りに関する詳細な記述をした。(甲19、23~27、35、37)

テ 原告は、平成29年9月28日、被告に対し、本件行為につき、不法行為による損害賠償を求める本件本訴請求に係る訴えを提起した。

ト 被告は、平成29年12月、「Hanada-2017年12月号」に、「私を訴えた伊藤詩織さんへ」と題する手記を寄稿した。この中で、被告は、原告が本件行為当時いわゆるブラックアウト(アルコール性健忘)の状態にあり、被告が同意なく本件行為に及んだとする原告の主張は真実ではないと供述した。(甲10) 

2 争点(1) (本件行為につき原告の同意があ ったか) について
(1) 本件行為に至る経緯及び本件行為の状況に関する両当事者の供述

ア 原告は 、本件行為に至る経緯に関し 、①本件串焼き店においては、ビールをコップ2杯、ワインをコップl、2杯飲んだ 、②本件寿司店において は、原告と被告の二人で少なくとも2 合の日本酒を飲み、原告は、2回目のトイレの際に、強いめまいにより立っていることができず、便器の蓋に腰かけ、そのまま後方に頭を傾ける状態となり、その時点以降、本件居室内において下腹部の痛みで目が覚めるまでの記憶がない、③被告は 、本件寿司店を出た後 、原告と共にタクシーに乗車したが、運転手によれば 、原告は、乗車時に「近くの駅に行 ってください。」 などと述べていた、④被告の指示によりタクシーが本件ホテルに到着すると、被告は、原告をタクシーから引きず り出すように降車させた、⑤被告は 、足元がふらついた状態の原告に体重を預けられるようにして、本件居室に向かったと主張し、記憶がないとする③から⑤を除き 、これに沿う供述をしている。 また、本件行為の状況に関し 、⑥原告は本件居室において目を覚ました時 、ベッドの上で全裸で仰向けになっており、被告が原告の下腹部に避妊具を装着していない陰茎を挿入した状態であ った、⑦原告が 「痛い。」、「やめて。」と述べても被告は行為を止めず、原告が「 トイレに行きたい。」と述べると被告は原告から体を離した 、⑧原告は、バスルームに駆け込み、その後、バスルームから出ると、被告は入口側のベ ッドに原告を押し倒し 、原告の顔 に被告の顔を近付けたため、原告は顔を背け、ベッドに顔面が押し付けられる形となって呼吸が困難になった、⑨原告がなぜこのようなことをするのかと英語で問いただしたの対し、被告は、「ごめんね。」、「君のことが 本当に好きにな っちゃった。」  、「早く ワシントンに連れて行きたい 。君は合格だよ。」、「あと1、2時間で空港に行かなくてはいけないので 、その途中に大きなドラッグストアがあるので、ピルをそこで買いましょう、その問に一緒にシャワーを浴びよう。」 などと述べた、⑩被告は、身支度をしようとした原告に対し、原告の下着を差し出しながら、「パンツくらいお土産にさせてよ。」、「いつもはできる女みたいなのに 、今日はまた子どもみたいでかわいいね。」と述べた 、⑪原告のスラックスは濡れていなかったが、原告のブラウスは濡れていて着用できない状態であり、被告が原告に対し被告のT シャツを差し出したことから、原告は、一刻も早くその場から 逃れるために、T シャツを受け取って着用し、本件居室を出たと主張し、

 

(👉 ①早く出たいのならTシャツは着ないほうが早い。BBには他に着るものがなかったと言っているが、口頭弁論で指摘されたようにコート、キャミソール、カーデガンがあった。

②暴力を受けた性被害者は服も相手と同じく汚らわしいと感じ、相手の衣類を着ない。実際気持ち悪いとして捨てている。混乱していても衣類を着ない。キャサリンジェーンフィッシャーなど実際に性暴力を受けた人々の行動をみてもわかる。

③入口のドアノブにかけられたハンガーを確認できるのであれば、そこからすぐに出られたのに出なかった。これに沿う供述をしている。

イ これに対し、被告は、本件行為に至る経緯に関しては、①原告と被告は 、本件串焼き店において、ビールの大瓶を2本、サワーの大ジ ョッキを各1杯、ワインの一升瓶を 1本注文した 、②原告は 、本件寿司店において 、少なくとも6、7合の日本酒を飲み 、トイレに入ってそのまま寝込んだほか、他の客の椅子に座つて話したり、裸足で店内を歩いたりするなどの行動をとった、③本件寿司店を出た後、被告は、原告の様子から原告は一人で帰宅することが困難であると考え、原告をタクシーに乗車させたが、原告が車内で嘔吐をしたことに加え、被告は午前0時までに米国の政治の動向を確認する必要があったため、原告を本件ホテルに連れて行くことにした、④被告は、タクシーが本件ホテルの車寄せに到着した後、原告に手を貸して降車させ、本件居室に向かう間、原告の歩調に合わせて 、横に並んでゆっくりと歩いたと主張し、これに沿う供述をしている。また、本件行為の状況に関しては、⑤原告は、本件ホテルの部屋に到着してからも幅吐をし、吐潟物の付着したブラウスとスラックスを被告の手助けを得て脱いだ後、入口側のベ ッドで寝込み、午前2時頃に起きて冷蔵庫のミネラ ルウォーターを飲むと、窓側のベッドで寝ている被告に対し状況を尋ね、被告が不機嫌な様子であることを見て取り、就職活動に関し自分が不合格であるかを何度も尋ねた、⑥被告が入口側のベッドに戻るよう指示すると、原告は戻ったものの、被告に対し、就職活動に関しまだチャンスがあるのであれば、こちらに来てほしいなどと述べたため、被告は根負けして、原告の気持ちをなだめるために原告の寝ていた入口側のベッドに移動し腰かけた、⑦原告は、就職活動に関し自分が不合格であるかを尋ねながら、左手で被告の右手を握り、引き込むように引っ張ったため、被告は原告と添い寝をする状態になった、⑧原告は、再び就職活動に 関し自分が不合格であるかを尋ねつつ、寝返りを打ちながら右足を被告の体の上に乗せたため、被告は、悪印象を挽回しようとする原告に安心感を与えようとして、性交渉を始めた、⑨原告が痛みを訴えたため、被告は、性交渉を中止し、原告と被告は、短時間の会話をした後、就寝した、⑩被告が午前5時に目を覚ました後、バスルームから出てきた原告が被告に対し、「何か着るものを貸してもらえませんか。」と述べたため、被告がパ ッキング中の荷物の中から好きなものを選んで着てよいと伝えると、原告は、Tシャツを選んで着た、⑪原告は、午前 6 時頃、被告に見送られて本件居室を出たと主張し、それに沿う供述をする。

(2) 原告の供述について
前記1(2)イ、エ、ないしカ、(3)アのとおり、原告は、本件串焼き店では小グラスのビールを2杯、グラスワインを1杯ないし2杯の飲み、本件寿司屋では日本酒を少なくとも2合飲んだこと、本件寿司屋においてトイレに行った際、蓋をした便器に腰かけ、給水タンクに頭をもたせかけた状態で意識を失ったこと、トイレから戻った後は同じ内容を繰り返し話す状態であったこと、本件寿司屋を出た際に千鳥足であり、時折、並木に手をついて休む様子であったこと、タクシーの車内において嘔吐したこと、タクシーが本件ホテルの車止めに到着し、停車してから2分以上経過した後、被告に引きずられるようにしてドア側に移動して降車したこと、ホテルの部屋に向かう間、足元がふらついており、隣を歩く被告に体を預け、被告に支えられる状態にあったことが認められる。これらの事実からすると、原告は本件寿司店を出た時点で相当量のアルコールを摂取し、強度の酩酊状態にあったものと認められ、このことは、本件寿司店においてトイレに入った後、本件居室で目を覚ますまでの記憶がないという原告の供述内容と整合的である。

また、前記1(3)イないしエ、(4)アのとおり、原告は居室においてシャワーを浴びることなく、4月4日午前5時50分に本件ホテルを出てタクシーで帰宅したことが認められるところ、これらの原告の行動は、原告が被告との間で合意の下に本件行為に及んだ後の行動としては、不自然に性急であり、本件ホテルから一刻も早く立ち去ろうとするための行動であったとみるのが自然である(👉 5時に強姦があった前提で不自然としているが、2時から3時の時間であればなんら不自然ではない。)。また、原告は、同日にイーク表参道を受診してアフターピルの処方を受けているが、このことは、避妊することなく行われた本件行為が、原告の予期しないものであったことを裏付ける事情といえる。加えて、前記1(4)エないしカのとおり、原告は、同月7日及び8日に友人2名に本件行為に係る事実を告げて相談したほか、同月9日には原宿警察署において本件行為に係る事実を申告して相談したことが認められる。原告が、本件行為に近接した時期に、本件行為につき合意に基づかずに行われた性交渉であると周囲に訴え、捜査機関に申告していた点は、本件行為が原告の意思に反して行われたものであることを裏付けるものといえる。この捜査機関への申告については、被告がTBSワシントン支局長を解任されたのは同月23日であり、原告が本件行為に係る事実を警察に申告した同月9日の時点では、被告は同支局長として原告の就職のあっせんを期待し得る立場にあったものであるから、原告があえて虚偽の申告をする動機は見当たらない。(👉期待しうる立場にあったとしても、伊藤氏は4/6の時点でメールが来なくて期待できないと思いこんだ。そもそも内定などという話ではないにもかかわらず、伊藤氏は内定と思いこんだ上に、メールの返信が遅れただけで、もともと仕事仲間になることなどないと思いこんだ。このことはBlackBoxP70にはっきりと書かれている。)

以上の点からすると、本件寿司店において二度目にトイレに入った後、本件居室で意識が戻るまでの記憶がなく、意識が戻った際、被告による本件行為が行われていたとする原告の供述は、本件行為前の原告の酩酊状態や本件行為後の原告の行動等と整合するものである。

(3) 被告の供述について
前記1(1)イ、エ、(3)カのとおり、原告は被告との会食の前に被告に対し複数回にわたり就職先の紹介を求めるメールを送ったこと、被告の本件ホテルの滞在に係る冷蔵庫の利用履歴としてミネラルウォーター1本が計上されていることが認められ、これらの事実は被告の供述内容と整合する。

しかし、被告は、原告とともに本件ホテルに向かった経緯につき、原告を本件ホテルに連れていくことを決めたのはタクシー車内において原告が嘔吐した時点であり、タクシーに乗るまでは原告の酩酊の程度は分からなかったと供述する(被告15頁)(👉わからなかったというのは自分で帰れるかどうかはっきりとわからなかったという意味。言葉尻をとらえて曲解している。)が、前提事実(3)アのとおり、本件寿司店と恵比寿駅は徒歩わずか5分程度の距離であることを踏まえると、本件寿司店を出た時点で、被告が自らとともに原告をタクシーに乗車させた点について合理的な理由は認めがたい。(👉5分以内だからと言って強度の酩酊状態にある女性をタクシーに乗せるのが合理的でないなどとは一般的に考えられない。)また、前記1(2)に認定したとおり、原告は、タクシーの運転手に対し、「近くの駅まで行ってください」と指示し、近隣の原宿にある自宅に電車を使って帰る意思を示していたのに、被告は、タクシーが目黒駅に到着する直前に、運転手に対し本件ホテルに向かうよう指示し、「その前に駅で降ろしてください。」と述べた原告に対し、「まだ仕事の話があるから、何もしないから。」などと述べて、原告をホテルに同行させた事実が認められる。上記につき、被告は原告が当時、神奈川に居住していたと思っていた旨供述するが(被告16頁)、原告はあらかじめ被告に対し原宿に居住している事実を告げていたと供述していること(甲37、原告85頁)(👉この供述は変遷しており、証拠がない。原宿駅とだけ言ったと7/8口頭弁論ではいいきったが、陳述書には住まいの外観まで話したとかかれていた。伊藤氏の供述のみを信用することはできない。 )に照らし、信用することができず、この点を措いても、本件寿司店での飲食を終え、帰宅のため原告をタクシーに同乗させた被告が、原告の帰宅先を尋ねていないこと自体不自然というほかない(👉帰宅先を神奈川方面と考えておればあらためて尋ねないのは不自然ではない。)。さらに、被告は、午前0時までに米国の政治の動向を確認する必要があったため、やむを得ず原告をホテルに連れて行くこととしたなどと供述するが、前記1(4)サのとおり、当時、被告はTBSから出社に及ばずとの通知を受けていたのであるから、米国の政治の動向を確認することが職務上必須であったとも認め難く、この点においても、被告の供述はにわかに信用することができない。(👉ジャーナリストであれば職務上情報としては知っておきたい内容である。)

被告は、原告が午前2時頃に起きた際、原告は「私は、何でここにいるんでしょうか」と述べ、就職活動について自分が不合格であるかを何度も尋ねており、酔っている様子は見られなかったと供述する(乙3、被告83・84頁)。しかし、原告のこの発言自体、原告が本件居室に入室することにつき同意をしていないことの証左というべきであるし(👉これを証左というなら裁判所は2時台に意識があったことみとめることになる。判決の筋が通らない)、前記判示のとおり、本件寿司店において強度の酩酊状態になり、本件居室に到着した後も嘔吐をし、被告の供述によれば一人では脱衣もままならない状態であったという原告が、約2時間という短時間で、酔った様子が見られないまでに回復したとする点についても疑念を抱かざるを得ない(👉嘔吐したからこそ回復する。嘔吐はアルコールを取り込まない身体の防衛反応である。)。そして、被告の供述する事実経過は、本件行為後、原告が本件居室でシャワーを浴びることもなく、早朝に、被告を残して一人で本件ホテルを出たこととも整合しない。(👉想定外の相手、上司、妻帯者との宿泊。ホテル従業員にみられて邪推されるのは恥ずかしく、こっそり足早に帰るのは不自然ではない。

さらに、本件行為に至る経緯についても、前記1(4)コに認定したとおり、被告は4月18日、原告に対して送信したメールにおいて、「あなたは唐突にトイレに立って、戻ってきて私の寝ていたベッドに入ってきました。」、「あなたのような素敵な女性が半裸でベッドに入ってきて、そういうことになってしまった。」などと記載して、原告の方から被告の寝ていたベッド、すなわち窓側のベッド(👉 昨日まで寝ていたベッドは入り口側のベッド。裁判官の誤読誤解。)に入ってきたと説明していたことが認められるが、同メールの内容は、原告に呼ばれたために被告が窓側のベッドから原告の寝ている入り口側のベッドに移動したとする被告の供述内容と矛盾するものであり、このような供述の変遷について合理的理由は認め難い。この点につき、被告は、上記メールにおける「私の寝ていたベッド」とは、前日まで被告が寝ていたベッド、すなわち入り口側のベッドのことを指すなどと供述する(被告73~75頁)。しかし、被告の供述を前提にすると、原告は、それまで寝ていた入り口側のベッドから唐突に立ってトイレへ行き、戻ってきた後、もともと寝ていた入り口側のベッドに戻ったに過ぎないことになり、本件行為のきっかけについて説明するという上記メールの趣旨(👉メールの趣旨はきっかけの説明ではなく原告からの積極的なアプローチがあったことを説明すること)からして明らかに不自然というべきであるし、「私の寝ていたベッドに入ってきた」とする上記メールの文理とも整合せず(👉裁判官がメール文「寝ていた」の過去完了の意味合いをと過去と誤読した。日本語では区別がないため文理上も問題ない。)、被告の供述は不合理というほかない。

以上のとおり、被告の供述は、本件行為の直接の原因となった直近の原告の言動という核心部分について不合理に変遷しており(👉変遷ではなく、裁判官の曲解、誤読、思い込みによる「核心」の認識のずれ、これは核心ではない。)、その信用性は重大な疑念があるといわざるを得ない。


(4) 原告の供述の信用性に関する被告の主張について
ア  被告は、イーク表参道のカルテには性交渉が4月4日午前2時ないし3時に行われた旨の記載があることから、原告自身、同時刻において意識があったことを認めていると主張する。

しかし、本件行為時に避妊具が使用されていない点は当事者間に争いがないところ、イーク表参道のカルテには、避妊具が破れたなどと客観的事実に反する記載がある点で、記載内容の正確性に疑義がある。もとより、アフターピルの処方のみを目的とする診療で、患者から詳細な聴取がされていないとしても不自然とはいえないこと、原告がイーク表参道を受診したのは本件行為から間もない時点であり、アフターピルの処方の対象となる性交渉の詳細を述べることに抵抗を感じていたと考えられることからすると、原告の曖昧な申告に基づき、カルテに不正確な記載がなされたとの疑念も払拭することができない。そうすると、イーク表参道のカルテの記載内容に依拠して、原告が4月4日午前2時ないし3時頃に意識があったと認めているということはできない。(👉明け方という説明で、2時ないし3時と記載する医師はいない。2時3時は草木も眠る丑三つ時で、日本では夏でも冬でも明け方とはおわない。まして薬効を考える医師が、わざわざ時間をずらして記載することは考えられない。このことはモーニングアフターピルのことを知っていた伊藤氏とてわかっていたはずであり、失敗の事由を詳細に話さなかったとしても時間を正確に言った可能性は高い。)


イ  被告は、まつしま病院のカルテには4月3日から同月4日にかけて強姦被害に遭ったがその間の記憶がない旨の記載、まちどりクリニックのカルテには同日午前5時頃に性交渉に及んだがその記憶がない旨の記載、新百合ヶ丘総合病院のカルテには同月3日に被害を受けた旨の記載があることからすると、原告にはそもそも本件行為に係る記憶がなかったのであり、同意なく本件行為がなされたとする原告の供述は信用できない旨主張する。
しかし、原告は4月3日に本件寿司店において意識を失った後の記憶がなく、翌4日早朝に目を覚ました際には既に被告が性交渉を行っていたと供述しており、まつしま病院とまちどりクリニックの各カルテにおいて記憶がないと記載されているのは、同月3日に意識を失ってから翌4日早朝に目を覚ますまでの間の記憶がないとの趣旨であると理解することができる。また、新百合が丘総合病院のカルテにおいて同月3日に被害を受けたと記載されているのは、原告自身は同日に意識を失った後、翌4日早朝に目覚めるまでの記憶がなく、同月3日から4日未明にかけて本件行為が行われていた可能性があるとの認識を踏まえたものであるとみるのが自然である。したがって、上記各カルテの記載内容を根拠に、原告が自己の認識し記憶する部分として供述する本件行為の状況につき、原告の記憶がなかったということはできない。

ウ  被告は、原告と被告が本件ホテルの部屋に到着したのは午後11時頃であるにもかかわらず、本件行為があったのは翌日午前5時頃であることになる点で、原告の供述は不合理であると主張する。
しかし、原告は、被告が宿泊する部屋に入った時点で、嘔吐して吐瀉物が髪や衣服に付着した状態となっていたと推測されることからすると、被告が直ちに原告との性交渉に及ぶ状況にはなかったとしても不自然であるとまではいえない。また、原告の供述によれば遅くとも午前5時には性交渉が行われていたとのことであり、それ以前については記憶がなく、それ以前に性交渉がいつ行われていたのかについては不明であることを前提とするものと解されることからすると、原告の供述が不合理であるということはできない。

エ  被告は、被告が宿泊する部屋のバスルームには電話機が設置されており、原告が電話機を使用して外部への連絡をしなかったことは、原告が供述する当時の状況と矛盾すると主張する。
しかし、原告の供述によれば、原告がバスルームに入ったのは、目が覚めて被告から性交渉をされていることに気づいた直後であり、動揺して自らが置かれている状況が把握できず、冷静な判断ができない状態であったことは容易に推察される(👉テレビの近くにあるコンソールライトがついていることを記憶し、バスルームに閉じこもってアメニティに気づくなどはるかに細かい状況を記憶している。)から、電話機を使用して、外部への連絡をしなかったことが不自然であるとはいえない。(👉このホテルに来たのは2度目であり、電話機がわからなかったというのは極めて不自然である)

オ  被告は、原告が被告から渡されたTシャツを着用したことは、被告が原告に対し、同意なく性交渉を行ったという原告の供述内容と整合しないと主張する。

しかし、原告の供述によれば、原告の衣服を探したのは、本件行為の直後であり、原告が動揺し、一刻も早くその場を離れたいとの心理状態であったことが合理的に推察されるところ、同時点において、原告の着用していたブラウスが濡れたままであり、着用できない状態であった(👉ぬれたままだったという証拠はない。2時に洗ったナイロンのブラウスは乾きやすい。しかも、ブラウスは入り口のドアノブにかかっていたというのは不自然でわざわざバスルームを出てそんなところにかける必要がない、またさらに原告はブラウスを確認するときにそのまま外にでることもできた。 ことからすると、原告が被告から差し出されたTシャツをとっさに受け取り、着用したことが不自然であるということはできない。(👉ほかにコートキャミソール、カーディガンなどがあり、着る必要はない。暴力行為を受けた性被害者は加害者に向けると同様な怒りや憎悪を着衣にも向け、特に肌着などを着ることはできない。)


カ 被告は、原告が4月6日に被告が無事にワシントンに戻ったかを確認するとともに、ビザに係る対応の検討結果を尋ねるメールを送ったことは、本件行為があったことを受け入れたうえで就職活動に係る協力を求める行為であり、本件行為が原告の同意に基づくものであったことを裏付けるから、原告の供述には信用性がないと主張する。

しかし、同意のない性交渉をされた者が、その事実をにわかに受け入れられず、それ以前の日常生活と変わらない振る舞いをすることは十分にあり得るところであり、原告の上記メールも、被告と性交渉を行ったという事実を受け入れられず、従前の就職活動に係るやり取りの延長として送られたものとみて不自然ではない。(👉ただの性被害者ではない。暴力を受け、殺されそうになった性被害者である。「お疲れ様、無事ワシントンに戻られましたでしょうか?」はきわめて不自然である。そのような目にあって、あえて相手に就職を依頼しつづけることはあり得ない。彼女は職場の上司ではなく、彼女の日常生活に山口氏は組み込まれているわけではなうから、このメールは不自然である。)そうすると、原告が上記メールを送ったことにより、本件行為が原告の同意に基づくものであったことが確認されるということはできず、原告の供述の信用性に影響を及ぼすものとは認められない。(👉著者自身もこの文言を不自然と考えられるから削ったと考えられる。)


キ 被告は、Fが陳述書において原告が準強姦の被害を受けたとの話をした旨記載していること、Kが陳述書において原告が被告に馬乗りで押さえつけられたとの話をした旨記載していることが矛盾し、またKの陳述書の上記記載に関し、被告が原告に馬乗りになったとすると被告は原告の下腹部に陰茎を挿入することができないから、原告の供述には信用性がないと主張する。

しかし、そもそも原告は法律の専門家ではなく、準強姦と強姦との区別が曖昧であった可能性が十分に考えられる上(👉彼女は警察へ行く前に自分で調べ準強姦事件なのかもと友人と話している。その時、強姦の話はしていない。強姦を知っていて準強姦をしらないことはあるが、その逆はありえない。双方が混じりあっていれば素人であればなおさら印象、記憶に鮮烈な強姦をいう。また初期のカルテに強姦の記憶がないと言っていることにあわせ、傷を精査し、見せた記録がまったくないことなどに照らすと強姦、ないし準強姦するあったとは認められない。)、原告が意識を失った状態で被告から性交渉をされた点をとらえて、「準強姦」、原告が意識を取り戻した状態で被告から体を押さえつけられた点を捉えて「強姦」とそれぞれ表現したこととしても何ら不自然ではない。また、被告が原告をベッドに押し倒して、上から覆いかぶさる状態にあった点を「馬乗り」と表現することも不合理ではなく(👉覆いかぶさるのと馬のりとは異なる。姿勢や状態がまったく異なることは言葉を逆にしてみればわかる。馬に乗った人を馬に覆いかぶさるとは言わない。)、これらの点を根拠に、原告の供述や変遷があるということはできない。


ク 以上によれば、原告の供述の信用性に関する被告の主張はいずれも採用することができない。そのほか、被告は、原告には性交渉の動機がある一方で被告にはその動機がないなどといった事情を主張するが、いずれも原告の供述の信用性に影響を及ぼすものではなく、採用することができない。


(5) 本件行為についての合意の有無
ア 前記1(2)オ、カに認定したタクシー内における原告と被告のやり取り、タクシー降車時及びタクシーを降車してから本件居室に入室するまでの原告の状況からすれば、原告は、当時の記憶は喪失しているものの、原告が本件居室に被告と共に入室したことが、原告の意思に基づくものであったとは認められない。

次に、両当事者の供述についてみると、前記のとおり、本件居室内における本件行為に関する被告の供述には、重要な部分において不合理な変遷が見られ、客観的な事情と整合しない点も複数存するなど、その信用性に疑念が残るものであるのに対し、本件行為時に意識を回復した後の事実に関する原告の供述は、客観的な事情や本件行為後の行動と整合する👉 整合しない。①いったんバスルームに入りながら再びドアをあける、②目の前の電話に気づかない、③暴行強姦犯のTシャツを受け取り着る、④会釈して出る不整合)ものであり、供述の重要部分に変遷が認められないことからすると、被告の供述と比較しても相対的に信用性が高いものと認められる。

 

以上のとおり、本件行為に至る原因となった本件居室への入室が原告の意思に基づくものではなかったと認められることに加え、信用性が相対的に高いと認められる原告の供述によれば、被告が、酩酊状態にあって意識のない原告に対し、原告の合意のないまま本件行為に及んだ事実、及び原告が意識を回復して性行為を拒絶した後も原告の体を押さえ付けて性行為を継続しようとした事実を認めることができる。


イ そうすると、被告による上記行為は、原告に対する不法行為を構成するものと認められる。

3 争点(2)(原告の損害額)について

 

前記認定のとおり、原告は、それまでに二回しか会ったことがなく、就職活動に係る連絡のみを行い、将来は職務上の上司となる可能性のあった被告から、強度の酩酊状態にあり意識を失った状態で、避妊具を着けることなく性交渉をされたこと、意識を回復し拒絶した後も、被告に体を押さえ付けられて強引に性交渉を継続されそうになり、その際、ベッドに顔面が押し付けられる形となって呼吸が困難になるなどして恐怖を感じたこと、これにより、原告が、現在まで、時折、フラッシュバックやパニックが生じる状態が継続していることが認められる(原告27頁)。なお、前記1(4)ウに認定したとおり、原告は、本件行為後の4月6日、元谷整形外科において右膝内障及び右膝挫傷と診断された事実が認められるところ、同障害が原告が記憶を喪失した期間中に生じたものであることは窺われるものの、本件行為により生じたものか、それ以前の経過の中で生じたものであるかは証拠上明らかではなく、本件行為により生じたものと断ずるには至らない。上記事実のほか、本件に顕れた一切の事情を総合考慮すると、原告が被告の不法行為によって被った肉体的及び精神的苦痛に対する慰謝料は、300万円をもって相当と認める。

そして、被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用の額については30万円とみとめるのが相当である。

したがって、原告は被告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき330万円及び不法行為日である4月4日から支払い済みまで年5分の割合による遅延損害金を請求することができる。

4 争点(3)(本件公表行為が被告に対する不法行為を構成するか)について
(1) 別紙記述目録1ないし3について
被告は、原告の本件公表行為のうち、別紙記述目録1ないし3の記載に係るものが被告に対する名誉毀損の不法行為を構成すると主張するから、以下、検討する。

ア 別紙記述目録1記載1ないし4並びに別紙記述目録3記載1ないし26を一般の読者の普通の注意と読み方によって読めば、被告は、意識を失った状態の原告に対し避妊具を着けずに性交渉を行い、原告が意識を回復して逃げようとしたにもかかわらず、原告の体を押さえ付けて性交渉を継続しようとし、その後、原告が下着を返すよう求めると、下着だけでも土産として持ち帰りたい、いつもは強気なのに困った時は子供のようで可愛いなどと述べた事実、被告が性交渉を行った際に、原告の体にあざや出血が生じた事実をそれぞれ摘示するものと認めるのが相当である。これらの事実の摘示は、読者に、被告が原告の意識がないことに乗じて性交渉を行い、原告が意識を回復して拒絶したにもかかわらず強引に性交渉を継続しようとして、その過程で原告が負傷したとの印象を与えるとともに、被告は原告の女性としての尊厳を軽視する発言を行ったとの印象を与えるものであって、被告の社会的評価を低下させるものと認められる。

別紙記述目録2記載1ないし6を一般の読者の普通の注意と読み方によって読めば、被告は、意識を失った状態の原告に対し、原告の意思に反して性交渉を行った事実を摘示するものと認めるのが相当である。これらの事実の摘示は、読者に、被告が原告の意識がないことに乗じて性交渉を行ったとの印象を与えるものであって、被告の社会的評価を低下させるものと認められる。

なお、別紙記述目録3記載17について、同記述を一般の読者の普通の注意と読み方によって読めば、原告に生じた記憶障害や吐き気の症状がデートレイプドラッグを服用した際に生じる症状と一致していた事実を摘示するものと認めるのが相当であり、被告が原告に対しデートレイプドラッグを服用させた事実を摘示するものであるとは認められない。

イ 前記1(4)ツに認定したとおり、原告は、自らが体験した本件行為及びその後の経緯を明らかにし、広く社会で議論することが、性犯罪の被害者を取り巻く法的又は社会的状況の改善につながるとして、別紙記述目録1ないし3に係る公表をしたことが認められる。そうすると、別紙記述目録1ないし3は、公共の利害に係る事実につき、専ら公益を図る目的で表現されたものと認めるのが相当である。(👉専ら公益を図る目的で表現されたものであればわざわざ実名を記す必要がない。 )

ウ 前記判示のとおり、被告は、平成27年4月4日早朝、意識のない状態の原告の陰部に避妊具を着けていない陰茎を挿入させ、原告が意識を回復し拒絶した後も、体を押さえ付けて性交渉を継続しようとしたことが認められる。また、証拠(原告9・14・15頁)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、被告から本件行為をされた際に、乳首や腕、右腰を負傷したこと、被告は原告に下着を返す際に、下着だけでも土産として持ち帰りたい、いつもは強気なのに困った時は子供のようで可愛いなどと述べたことが認められる。これらによれば、別紙記述目録1ないし3が摘示する事実は真実であると認められる。👉 根拠なく認めてしまっている。そのなかには裁判所が、前に証拠不十分とした膝の受傷、認定されていないデートレイプドラッグの使用までがふくまれている。)


(2)  別紙記述目録4について
被告は、原告の本件公表行為のうち、別紙記述目録4の記載に係るものが被告に対するプライバシー侵害の不法行為を構成すると主要する。

別紙記述目録4の記載は、本件行為に係る事実経過や被告の認識等を摘示するものであり、その内容は、一般人の感受性を基準として被告の立場に立った場合に、通常公開を欲しない情報ではある。しかし、前記のとおり、原告が、性犯罪被害者を取り巻く法的又は社会的状況を改善すべく、自らが体験した性的被害として本件行為を公表する行為には、公共性及び公益目的があると認められるところ、同目録記載のメールのやり取りは、前記1(4)に認定したとおり、被告が原告の同意なく、避妊もせずに性行為をしたことから、妊娠を心配する被害者(👉4月9日に不正出血ではなく月経があったとすればそもそも妊娠の心配はこのときからなかった。) である原告と加害者である被告とのやり取りを公表するものであり、本件行為をめぐって原告と被告との間で主張が対立する中、本件行為が原告の合意の下に行われたとする被告の主張に反論すべく、被告との間の交渉経過や避妊をしなかったことについての被告の言い分を明らかにするためにされたものと認められ、その態様も、相当性を逸脱したものとはいえない。そうすると、原告の上記行為は、社会生活上受忍の限度を超えて被告のプライバシーを侵害するものであるとは認められない。(👉越えている。特に被告は精子の活動性が低いことを言わなければならなかったことは実名公表したことで社会生活上の受忍限度を超えたとみるべきである。)


したがって、原告の本件公表行為のうち、別紙記述目録4の記載に係るものが被告に対するプライバシーを侵害するものとして不法行為を構成するものとは認められない。

5 小括
したがって、争点(4)(被告の損害額)及び争点(5)(謝罪広告掲載等の要否)につき判断するまでもなく、被告の反訴請求はいずれも理由がない。

6 結論
以上よれば、原告の本訴請求は、被告に対し、330万円およびこれに対する平成27年4月4日(不法行為の日)から支払い済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却し、被告の反訴請求は理由がないからいずれもこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。

 

裁判長裁判官 鈴木昭洋

裁判官 石田佳世子

裁判官 窓岩亮佑

 

2020年1月10日 (金)

⑤BlackBoxとブラックアウト

 伊藤氏のBlackBoxを一気に読んだ。気になる個所に赤線をひき、付箋をつけ、何度も読み返した。それまでネットで拾い読みしていたのとは違う事実もずいぶんと読み取れた。

 山口氏からのメールが引用されているので、そのメールから逆に山口氏の人柄が伝わってきた。山口氏の話には一貫性があるし、相手を思いやる気持ちがみてとれた。

 伊藤氏のメールは感情的になっていて、支離滅裂、やつあたりぎみだが、山口氏は仕事やビザの件はきちんとすすめていた。

 本来なら山口氏は自分のことでそれどころではなかったはずである。私ならこのようなきちんとした対応はできないだろう。

 伊藤氏側のメールも同様に引用されてはいたが、最初のお疲れ様メール以外は友人が素案を作っていたことをここで知った。確かに内容だけでなく、メールの文章はひどい。しかも初回のメールの「お疲れさま」はレイプされた女性からのメールとしてはおかしいと思ったのか、BlackBox では抜けている。このことは、山口氏の独占手記で明らかになる。さすがにわざとらしい。都合の悪い部分は削除して編集したことが、わかってしまう。次のメールも、載せていない。

 メールの内容が突然変わったことに山口氏が驚いている様子が伝わってきた。読んでいる私もその文章の豹変ぶりに驚くとともに、入院しているなどと友人と嘘をつきながらメールを書き、医療費を要求するなど脅迫じみたことをしている。

 友人の素案などと言えば聞こえはいいが、結局はメールのどこまでが友人のものか、どこまでが本人のものなのかあいまいになる。共謀して嘘をついたことを白日のもとにさらしているのである。

 伊藤氏から聞いた話を前提にメールを書けば、どうしても友人の感情が入ってしまう。事件が嘘だったとしたら、伊藤氏本人が一番冷静にみているだろう。だから事件直後から怒りも憎しみもわいてきていないことが、周囲にわかってしまう。

 20代後半のいい大人が自分のことを「レイプされた上妊娠の可能性を持った女子」などと他人事のような表現で書いている。私はその文章を読んだ時に吹き出してしまった。本人が書いていないことがわかる。

 少なくともジャーナリストをめざす大人が、こんな稚拙な文章はかかないだろう。

 山口氏の主張については「私を訴えた伊藤詩織さんへ」という独占記事をネットで見ることができるので、双方の意見と行動が読み取れた。ただ、問題の核心部分が、オブラートに包まれたようによくわからない。

 それが検査審査会の陳述書のくだりで、山口氏がPTSDの影響で詳細を語れなくなっていたことを知り、事情を察することができた。

 行為の内容を公衆にさらすということは、女性だけでなく、男性にとっても想像以上にストレスとなる。

 もうひとつは、男性と女性の立場の違いである。伊藤氏は著書で「避妊具をつけていない陰茎」などと露骨に書いているが、合意を証明しようとする男性が相手の女性の性器についてなにかしら表現をすれば、たちまちセカンドレイプと大騒ぎになる。

 たとえば、行為そのものを描写し、挿入前に相手の陰部が濡れていたかどうか、挿入時に膝をわったか、射精したかなどは事実判断の重要な材料になる。

 ところが、そういう話を男性側がこまかく説明をすれば、セカンドレイプなどといわれて男性側にとっては不利になる。語らなければ、女性側の言い分だけが通るようになる。裁判記録を読んでくれという対応は、賢明だった。

 事件の記事を最初にみたとき、伊藤氏は大学を出てきちんと就活活動をしていたジャーナリストだと思っていた。

 ところが詳細をみると在学中、ピアノバーというキャバクラのようなところでアルバイトしていて山口氏と知り合っている。

 ひらたくいえば、客とキャバクラ嬢との関係を利用して就活をしはじめたということである。

 立場を利用し始めたのは伊藤氏のほうだったのである。気持ちがわからないことはないが、あまり自慢できる話ではない。

 私のような杓子定規な人間には、これがそもそもの発端で、反則技じゃないかと思う。真面目に就活しているものにとってはずるいやり方だなあという印象をうけた。男にはできない方法だ。その分何が起きても自己責任だと思ってしまう。

 だが、生き馬の目を抜くような業界ではそれくらいのことをできるスキルも必要なのかもしれない。

 そう思い直してはみるのだが、立場を利用されてホテルで性行為などという記事を読むと、いやいやキャバクラの客だろ、そんなきっかけを利用して就活する方が悪いんじゃないかと同情する気持ちになれなかった。それに酒を飲ませる側の仕事をしていた女が、その日に限って飲んだ量もあいまいになるほど飲んだことにも疑問をもった。

 伊藤氏はビザの話をするために店を訪れたとき、他にも関係者が誰かいると思ったという。あたかも下心があって二人であったといいたげである。

 しかし、はいった店は客がいっぱいいてまるっきり二人だったわけではない、なじみのおかみもおり、二件目も店主もおり客も大勢いた。しかも、全メールを読むと最初に会おうと誘ったのは伊藤氏である。

 山口氏はこれまで他の関係者がいないところでじっくり伊藤氏の人柄をみながら会ったことがなかった。相手を知るにはじっくり、話す方がいいと考えたのである。

 伊藤氏はビザの話はあまり出なかったなどというが、店主はしつこいくらいビザの話があったことを聞いていたという。山口氏もその時点で話せることは話していたが、結論がでていたわけではない。なぜか伊藤氏は自慢をするばかりで、内容のある話をしようとしなかった。山口氏としてもその場でそれ以上話すことがなかったので、他の客と話した。

 また、伊藤氏もビザの問題だけでなく、面接の意味合いがあると知っていたはず。ホテルで真夜中に「不合格ですか」となんども聞いてきたのはそれを裏付けている。ビザの話だけだとすると、この言葉は筋が通らない。

 店には知り合いのおかみさんもいるし、ほかの馴染み客もいる。怪しい店やカラオケボックスに連れて行ったわけじゃない。

 わざわざなじみで人目のある店に連れて行っているわけだから、下心どころか、胸襟をひらあてのおもてなしである。

 下心があったらわざわざ知っている人がいるところへ連れていって、これからこの女とやりますみたいなことはしない。そんなことをすれば山口氏が信用を失う。

 伊藤氏が飲んだ酒の量について考えてみる。

 まず一軒目に行った店で飲んだ酒量について

 伊藤氏はビール2杯、ワイン1~2杯と言っている。鮨屋では2合目を少し残して3合目を頼んだところまで覚えている。この記憶のあるとされる部分だけても伊藤氏はかなり少なく見積もっている。

 伊藤氏の酒量を知っていた幼馴染は「その程度」で伊藤氏が意識を失うことはあり得ないと強く言ったという。 

 時系列からみると、この時おさな馴染みはまだ、二人で日本酒を一升近く飲んだ話は知らない。

「その程度」とは「たった数杯と2-3合の酒」である。

 幼馴染は伊藤氏の「性格上目上の上司と仕事の話をする席でそこまで飲むとは思えない」と言ったという。そこまでとは、伊藤氏のいった数杯と2-3合なのか、あるいは意識を失うまでという意味なのか。

 いずれにしても、それどころではなかった。店の証言では、伊藤氏は最初の店でビール2杯、サワー1杯、ワインは数杯(5~6)杯飲んでいるという。

 日本酒の話に隠れて話題になっていないワインの5~6杯が大きい、山口氏の話によれば伊藤氏はワインなら多く飲めるという事でボトルを選択した。それで1杯~2杯しか飲まないというのはおかしい。しかもこの時点では酔っぱらっていないと伊藤氏はいっている。記憶もあるはずの時間である。おかみの証言が正しければ、このワインで血中アルコール濃度は一気にあがる。次の鮨屋で日本酒は2合ですでに泥酔レベル、ブラックアウトがおきてもおかしくない。

 それでもデートレイプドラッグを主張したい伊藤氏は少なく見積もり一升といっても、少しのこっていたとして、七合か八合その半分として、日本酒三合か四合と割り出し、さらに当時の伝票がないのはおかしいとまで書いている。

 店まで疑うつもりだろうか。

 残念ながら山口氏は酒量を考えて飲んでいて二合半と決めていた。だから二人で七合だとしても、伊藤氏は四合半は飲んでいる。二人で八合なら伊藤氏は5合は飲んでいる。

 著書に書かれた幼馴染みの証言から、すくなくともこの日伊藤氏は、普段飲まないような飲み方をしていたということはわかる。

 伊藤氏「自ら進んで飲んで泥酔した覚えはなかった」・・・その通り。そもそも途中記憶がないとくりかえし自分でいってるわけだから。進んで飲んだことも否定できないはずである。

 意識はあるが記憶がなくなるいわゆるブラックアウトは、アルコールの血中濃度の急速な上昇と関係している。例えば空腹時に酒を飲んだりアルコール度数の強い酒を一気に飲むとブラックアウトを起こしやすくなる。

 この時伊藤氏は奉納相撲の取材の後、急いで待ち合わせに向かい、のどが渇いていたせいか最初の店からあまり食べないでハイペースで飲んでいる。

 ブラックアウトは血中アルコール濃度が0.15%程度を超えると起こりやすくなる。

 血中アルコール濃度が0.15%を超えるというのは、ビールだと中瓶4本 日本酒なら4~6合程度飲んだ状態。

 血中アルコール濃度が0.31%を(日本酒だと7合以上)を超えると歩行困難、千鳥足、意識混濁が起きる可能性があるという。

 仮に体重50kg程度の人がビールを2杯、サワー1杯、ワイン4杯、日本酒2合としてもこの時点で、これを越えて泥酔になる可能性が高い。

 伊藤氏の見積もりではワインが少くカウントされている。ただ女将の証言が、正しいという裏付けもない。山口氏は伊藤氏が2杯ついだところしかみていない。

 おつまみ程度の食事にこれだけ勢いよく飲んでいるとブラックアウトが起きてもおかしくない。

 いままでそういうことがなかったと言っても20代も後半になると。体も変わってくる。しかも仕事のあと空きっ腹。条件はそろってる。のみなれていないであろう日本酒。

 ブラックアウトでは本人には記憶がないのに、海馬という記憶するところだけが麻痺する。周囲から見ると普通に行動しているようにみえる。

 何度も同じことをしゃべるという症状もある。

 鮨屋で同じことをくりかえしたり、ホテルにはいるときの綺麗にしなくちゃ綺麗にしなくちゃ、山口氏の部屋で夜中みたという念仏のように不合格ですかを繰り返す伊藤氏の行動と符合する。

「(ワシントン支局で働くことについて)私は不合格ですか」と繰り返し繰り返し言った。

この意識はあるが記憶ができない時間があった可能性はある。

だが、このとき直前、一度ここはどこかと確認して目覚めた様子がある。

 嘔吐したことを謝り、下着姿のまま不合格ですかと念仏のように同じ言葉を繰り返すというのはその兆候かもしれない。

 ただ伊藤氏が目を覚ましたあと、記憶かあるといわれている部分の話が山口氏とまったく食い違っている。

 この点はどちらかが嘘をついている。

 山口氏はすでにポリグラフを受けているから、伊藤氏も受けて、まずは同じ土俵に立ってもらいたいと思うが、伊藤氏がポリグラフを受けることはないだろう。

 

 伊藤さんはお酒を飲むのがとても早い印象を受けた。頼んでいた瓶ビールをついだら、早いスピードで飲んだので、すぐ次をついだ(普通の女性なら上司のような人に会うときお酒を控えめにして対応するのではと問われ)取材して帰ってきたら、ビールを飲みたい気持ちは分かるので違和感はないが、伊藤さんはお酒が強いと思った。ビール2杯の後、店名物のしそサワーをおすすめした。その後、串が残っていたので、「もう少し飲みますか」と聞いたら、「ワインならかなり飲めます」というのでワインを頼んだ。伊藤さんが一升瓶のワインを自分で持ち上げて注いでいるのを2回は見ているおかみさんは5〜6杯飲んでいたと証言していた。                     2019/7/8 口頭弁論

20200330151933

2020年1月15日 (水)

⑥歴史に残る迷判決

 信じがたい判決であった。

 証拠を積み重ねて真実を解き明かすという、基本的な裁判の考え方を無視し、結論ありきの心証から都合のいい証拠を選択、不自然、不合理などという言葉を利用して強引に結論を導いている。

「伊藤氏が合意に基づかずに行なわれた性交渉であると周囲に訴え、捜査機関に申告していた点」は、

「性行為が伊藤氏の意思に反して行なわれたものである」であることの

 裏付けになどなるわけがない。

 確かに女性が強姦を訴えにくい状況があることは事実である。

 しかし、強姦されたと嘘をつく女性が相当数いるのも事実である。これは、現場の捜査官に聞いてみるとよい。

 強姦を偽装された場合、男性もまた訴えにくい。男性側は社会的名誉を失うことをおそれて、示談で処理しようとする。そのため、統計にでてこない。

 いわゆる美人局では、女性が行為の後豹変し、金銭等を要求してくる。伊藤氏の場合も、入院したなどと嘘をついて山口氏に誠意をみせろと要求をつきつけた。仕事も何とかしてほしいと、メールで残している。

 若い女性が偽証することなどちまたであふれている。いなむしろ若いほど多い。被害は表面化していないだけで、かなりの数存在するといわれている。

 アメリカでのさまざまな調査で、訴えられた強姦主張の2~10%が嘘であったという報告もある。実際事件にならないものはもっとあるといわれている。海千山千のAVの村西監督でさえ、ひっかかっている。だが示談にするから、裁判にならない。

 今回のこのような判決では、強姦偽装や冤罪おきやすくなり、被害者がふえることになる。

 近年最大の強姦冤罪事件で、最高裁まで争われ、被害者と目されたのは14歳の女子である。

 裁判官は見抜けず、女検察官など最初から強姦を信じて義憤を感じて起訴した。検察側が、被告の証言を無視し、カルテを無視した。

 このケースでは何年もたって時効になってから、被害者の女性の自白により真実があきらかになった。

 今回の伊藤山口氏の事件判決では密室の出来事であるからといって、急いでシャワーを浴びずにホテルをでたのが不自然とか、駅まで5分なのにタクシーにのせたのが不合理だなどと、裁判官の主観に基づくあいまいな理由づで、結論を出している。

 結論を出す、論理的プロセスそのものに大きな問題が含まれているから控訴審できちんと精査すれば、ひっくりかえる可能性は高い。また、万が一最高裁までいったとしても、事件そのものよりも、裁判のやり方自体に問題があり人権侵害が濃厚であるため、棄却される可能性が大きい。

 また、デートレイプドラッグ、撮影、傷害などで証拠も裏付けもない不起訴となった内容をあたかも実際にあったかのように書かれた著作なとそれらを真実としてしまったことは、論理的に矛盾しており、裁判への信用を失墜させる。

 このような判決がよしとされるならば、民事裁判所が心証で人を追い詰め、社会的私刑を後押しすることになる。

 

こんな話を読んだ。今回の裁判を知らなければ信じられなかった。

  もう一人は、60歳まで裁判所づとめを終えた、もと書記官の話。

  「こうも見えればああもみえるというように、心証を揺らしてゆくということはないですか」 と手を波間にゆらすような動作で聞くと、 いやそんなことをやっていたら裁判官は死んでしまいますよ、というのである。

  なるほど、大体のところで筋をきめると、あとは、それに都合のよいように証拠を集めてゆくということらしい。
  そして、それに会わない証拠や主張はうるさがってみようとしないのである。

https://www.azusawa.jp/legalmind/r20040225.html

 


2020年1月24日 (金)

⑦ 👉関連サイト(事件を語るのは読んでからにしよう)

山口側資料

👉★山口敬之 独占手記 私を訴えた伊藤詩織さんへ(前編)

👉★山口敬之 独占手記 私を訴えた伊藤詩織さんへ(後編)

①小川榮太郎 ファクトチェック 伊藤詩織VS山口敬之

②小川榮太郎 ファクトチェック 伊藤詩織VS山口敬之

③小川榮太郎 ファクトチェック 伊藤詩織VS山口敬之

④小川榮太郎 ファクトチェック 伊藤詩織VS山口敬之

2019年7月8日 口頭弁論記事 (1)伊藤詩織さん裁判詳報 「自分を守ることに必死だった」あの日を振り返る

👉2019年7月8日 口頭弁論記事 (2)伊藤詩織さんに山口さん代理人「被害後に加害者を気遣う言葉、社会常識ではありえない」

2019年7月8日 口頭弁論記事 (3)「伊藤さんから積極的に誘ってきた」山口敬之さん、伊藤詩織さんの主張に反論

2019年7月8日 口頭弁論記事 (4)元TBS記者の山口さん「なだめるような気持ちで性行為に応じた」伊藤詩織さんの主張に反論

👉性被害者を侮辱した「伊藤詩織」の正体 【前編】|小川榮太郎

👉性被害者を侮辱した「伊藤詩織」の正体 【後編】|小川榮太郎

「伊藤詩織」は性被害者なのか【シリーズ第2弾】|小川榮太郎

👉酒量・月経の時期などに詳細に分析したブログ(裁判で争点となった酩酊、月経の時期)

lisanha 野生の思考  

👉★総集編のようなサイト Justice for NY・・女性グループによるシェラトン事件検証(詳細な裁判資料と分析)

  裁判資料

  メール全文 

👉伊藤詩織の経歴ブログ(謎とされていた経歴が明らかになる。)

【フル映像】 伊藤詩織さん ホテルの防犯カメラ映像 (ツイッター ito shiori、動画、ビデオ、記者会見、流出)

伊藤詩織氏の事件でドアマンの証言の無意味さ 週刊新潮の記事は雑すぎる

ドアマン証言のウソ(山口氏自身によるもの)

少し古い記事

 

虚偽申告関連

被害者の証言に頼り切った判決の危険

セクハラと虚偽申告

レイプ虚偽申告の動機(訳;モーリスさん)

 

その他資料

ポリアモリ(同意があれば、フリーセックスという思想)

スカンジナビアでのトークショー(うれしそうに強姦を語る)

日本外国特派員協会会見2019.12.19

日本外国特派員協会会見2017.10.24

12.19会見映像より別アングル(伊藤詩織表情分析参考資料)

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👉元六本木嬢のキャバ嬢まにゅある (嘘について取り扱い方が書いてある。)

2020年1月30日 (木)

⑧敗因分析

一、敗因と控訴

 民事裁判は心証裁判といわれるほど、裁判官の心証が左右する。

 山口氏側は、伊藤氏の多くの嘘を暴こうとして論点が散乱し、質問が事件の核心とは関係のない部分にまで及んでしまった。

 このことは伊藤氏側の作戦であったかもしれない。

 それに対して伊藤氏側は6人の弁護士が論点を絞り、法律上正否の曖昧な合意のあるなしを争い、そのための証言証拠を集め、質問を検討した。

 しかも結審前に山口氏側の弁護士はツイッターでの伊藤氏に対する非難で問題になってしまった。

 戦術の失敗であった。

 控訴審の審理は,既に第一審でされた審理及び判決を前提として新たな証拠があれば、付け加えて行われる。

 そのために原判決の要点と、反論をまとめて箇条書きにした。どれほど奇妙な判決であっても、裁判を通して戦う以上、法律的に有効な反論をしなければ、不利になる。

 裁判官は多くの案件を抱えている。わかりやすくターゲットを絞って説明するのが肝要といわれている。

 繰り返しになるが、

 判決の主要な論点は以下(青


1、駅から5分でタクシーに乗車させるのに合理的な理由を認めがたい。(判決)

➡①千鳥足なら5分で行けぬ。(原判決の誤り①)

➡②女性が酔っぱらっていれば5分でも乗せることはある。(原判決の誤り②)


 徒歩5分という一般論ではなく、強度の酩酊状態の女性が何分で歩けるかという話を根拠としなければ意味がない。

反論 鮨屋は恵比寿駅から徒歩5分というが、強度の酩酊状態」では休み休み歩くのでもっとかかる可能性がある。そうなるとタクシーは不合理でも何でもない。一度気を失っている人間が再度気を失わない保証はない。

反論 仮にそれが5分であったとしても酩酊状態にある女性を、近くであるからと言ってタクシーに載せようとする行為に不合理はない。これをもって怪しいとされたら、世の男性はたまったものではない。むしろ配慮のある紳士的行為である。自分がタクシーを使うなら、駅まで送っても不思議ではない。判決は人間の生活に欠くことのできない思いやりや配慮というものを無視している。

 

2、供述の変遷 どちらのベッドにいたか。

 ➡メールと供述の違い (原判決の誤り③)

 メールが送られた状況を前提として考えなくてはならない。メールは法廷で使われるために作成されたのではない。状況がわかっているはずの相手におくられたものである。

 山口氏は2時以降、伊藤氏の記憶がないとは考えていない。つまり、山口氏は、昨夜あったことはあなたも覚えているだろうという前提のメールである。

 まず山口氏の主張に沿って理解してみる。

(1)「私が寝ていたベッド」という表現について

「寝ていた」の部分は文理を分析すると、二つの意味で理解される可能性がある。

 (甲)、昨日まで山口氏が寝ていたベッドの意味なのか  (山口側主張)

 (乙) 伊藤氏がトイレから出てきた時、山口氏がまさにそこで寝ていたベッドとの意味なのか。(裁判官。原告弁護士側解釈)

 いずれも、「寝ていた」と表現できる。実は甲は伊藤氏が来る以前の過去完了を意味しているが、乙はトイレから伊藤氏が出てきた時と同じ過去の時点を意味している。

 現代の日本語では過去完了形と過去形の区別がない。そのために、山口氏は過去完了の意味で書いたつもりが、伊藤氏が入ってきたそのとき待ち構えていたように山口氏がAベッドで寝ていたと誤読されてしまった。

 ※過去形と過去完了形の区別は日本でも中古まであったが、今は過去形に統一されている。したがって概念の区別はあるが、形の区別がない。

⑵ 次に「入って来た」という表現について、昨夜の出来事全体を回想している山口氏の視点はAベッドにあることがわかる。つまり、視点が行為にあり、そこから伊藤氏の動きを説明している。

 伊藤氏がトイレから出てきたときには山口氏はBベッドにいた。トイレはAベッドのさらに向こう側(出入り口より)にある。山口氏からみると、伊藤氏はトイレから出て冷蔵庫で水を出し、ベッドの間に入って来て、ベッドのサイドテーブルにペットボトルを置き、Bベッドにむかい、跪いたり不合格ですかを連呼しながら、促されてAベッドに腰掛け、腰かけて位置を変えようとした山口と手が触れその手を引かれ、ベッドに入ったと考えられる。


 メールでは責任の話をしているのであるから、行為のAベッドの視点からふり返っている。そうするとベッドわきですったもんだがあったあとに、伊藤氏が結局Aベッドに入ってきたという説明は間違いではない。

 なぜ、山口氏はメールでは状況を詳細に書かなかったのか。第三者から見ると誤解されるような文章を書いたのか。

 実はこれが、文章がどういう目的で作成されたかということとも関係してくる。

 まず、状況がわかっているはずの相手に裁判供述のようなくどくどしい文章はおくらない。

 伊藤氏はメールで山口氏を一方的に責めるような言い方をし始めていた。山口氏はそのような言い方に苛立ち、責める気持ちもあって、伊藤氏からの積極的アプローチもあって性交渉に及んだことを伝えようとした。

 メールの目的は状況を第三者に詳細に説明することではなく、性交渉をもった責任が伊藤氏にもあるという事を再認識させることだった。

 しかも、同時に山口氏は早く事態を収拾し、問題を解決したいという気持ちもあり、露骨に伊藤氏を刺激して話がヒートアップするような言い方も避けたかった。

 そのため詳細具体的なやりとりは周知のものとしてメールで回りくどい説明をしていない。

 「不合格ですか、不合格ですか・・・・」と念仏のようにを繰り返すくだりをありのままに話し、性交渉と就職を結びつけることになり、伊藤氏のプライドを傷つけ、話をヒートアップさせる可能性もある。

 くりかえすが、このとき山口氏は当時伊藤氏が記憶を失っているとは考えていなかった。ブラックアウトの可能性を示唆されたのは、後に捜査員からである。

 私(山口氏)が使っていたベッドに、入ってきたのはあなたのほうではないか。

 そういうニュアンスをつたえた、裁判官はメールを作成者の意図から切り離して、文理のみから類推して変遷として扱ってしまった。

 メールは法律文ではない。われわれがどう読めるかではなく、書いた者がどういう意図で言ったかを採るべきである

3、シャワーも浴びずに5時50分に出てタクシーで帰宅したのは性急、不自然

➡こっそりお泊りの女性は急いで帰ってシャワーを浴びたかっただけ。(原判決の誤り④)

 山口氏が朝早くたつ予定になっていたので、その前にホテルを早々に一人で出たかった。ホテルに黙って泊っていることになっていた。起きた時にはシャワーを浴びる時間がなく、急いで出た可能性も考えられる。5:50分に帰ったからと言ってそれを5時台の暴行があった根拠にすることはできない。

 山口氏は早朝出発する予定。ホテルのフロントの人数が少ない時に出たかった事。「あ、泊ったなと思われるのが恥ずかしかったこと」などが考えられる。

  シャワーを浴びずに出た理由を問われた時に伊藤氏本人に語らせてしまったのは失敗。結果伊藤氏の話が選択された。

 以下は想像であるが、事実に反することがなければ、「当時はわからなかったが、ゲロを拭いて乾いたタオルがなかったからかもしれない」と答えてもよかった。

 裁判官は、事実を聞いているわけではなく、想像を聞いている。記憶してきる事実をもとに、揚げ足をとられないよう現在の想像を答えればいい。むろんわからなければ、わからないでもいい。しかし相手にふれば、相手は都合のよいように答えてしまう。

 フロントに頼めばもらえるじやないかと言われたら、その時はシャワーやタオルのことまで気がまわらなかったでいい。ここで山口氏が相手のシャワーのことまで気づく必然性はない。

 裁判官はなにか都合のいい根拠を探していたと思われる。山口氏が答えを伊藤氏側にふってしまったので、伊藤氏の嘘が事実として採用されてしまう口実ができてしまった。裁判官としてはあらかた判決をきめていて、都合のいい理由を探していたのかもしれない。

 また、シャワーの件は初期の陳述書では、山口氏が、シャワーを浴びたことを気づいたことになっている。これは山口氏自身によって後に否定されてはいるが、実は、初期の弁護士と山口氏とのコミュニケーションがうまくとれていなかったため、初期の弁護士が、創作したものらしい。だが、裁判官としては、こうした陳述の変遷を不審に思ったのであろう。

 このホテルではツインの部屋にシングルでとまってもホテル側はフェイスタオル、ハンドタオル、フェイスタオルの三つを2セット合計6枚を用意している。

 伊藤氏のいう事が正しければフェイスタオルと思われる一枚は男性もののアメニティの下に敷いてあった。 だとすれば、残り5枚。

 山口氏によると部屋の中で2か所嘔吐した後トイレで大量の嘔吐、トイレの床にも吐き散らかしその上で寝ていた、スーツケースやパソコンの上などに吐き散らかしたものを濡れタオルでふき取った記述がある。それらをすべて拭い去り、ゲロだらけの山口氏自身も臭いのでシャワーを浴びて、タオルを使っていれば、複数のタオルをほとんど使った可能性がある。洗ったとしても5時までに乾くのはむずかしいし、臭いも完全にとれないだろう。

 むろん山口氏は自分用をもってきていたかもしれないし、また、タオルはフロントに頼めば追加してくれたかもしれない。しかし伊藤氏もこれから仕事を頼もうとしている目上の相手にゲロを吐いたブラウスを洗ってもらい、宿泊先でシャワーを浴びさせてもらうためにタオルを要求しにくい。Tシャツを貸してもらうのが精一杯であったと思われる。

 Tシャツのように肌に触れるものを借りて身に着けるという行為は、心理的に抵抗感がなければ可能であるが、相手に敵意を持っている時には着ることはできない。Tシャツなど着なくても出られるのであれば、いくら差し出されたと言っても、強姦した相手のTシャツなど着ることはできない。

 そもそも触っていないブラウスが着られないほど濡れているとどうして見分けられるのか。戸口にあればそれをひっかけてすぐにでもでられよう。もたもたしてまたねと言われて会釈して出る暴力を受けた性被害者はいない。

4、伊藤氏があえて虚偽の申告する動機は見当たらない。

➡裁判官の見落とし!(原判決の誤り➄)

 虚偽の申告をする動機について、ワシントン支局長解任時期と結び付けられてしまった。

 これはそれ以前に動機が著書に書かれているので論点を解任ではなく、著書に書かれた以下の動機を挙げるべきだった。

 動機は伊藤氏が自分でBlack Boxで書いている。

 そもそもプロデューサー職に内定していた事実さえなかったのかもしれない、この時初めて気づいた。考えたくもなかった。最初から仕事仲間になるということではなく、どうでもできる「モノ」のように見られていたのではないか。悔しくて、悲しくてたまらなかった。』Black Box p70

  

  動機はメールが来なかったことによる猜疑心の発生と思いこみ、仕返しリベンジである。それは4月6日の最初のメール直後に発生している。解任の時期にはすでに友達にも警察にも話しており、引くに引けない状況であったと考えられる。これは一審の見落としである

 ちなみに虚偽申告の動機として仕返し(リベンジ)があげられている。

 

 5、2時間で泥酔状態から回復しない

➡嘔吐によるアルコール排出あり。回復しうる。(原判決の誤り⑥)

 本人はアルコールに強いと自負しているうえに、もともとそれだけの酒量を飲んでもタクシーで仕事の話ができ、タクシー内では目黒駅を認識し降りる指示まで出している、鮨屋を出るときにも自分で歩き、ホテルでも支えられれば歩ける状態であり、自分でバスルームに入って吐けた。

 2時ごろに実際には多少酔っていたとしても、その時の山口氏には普通にみえるほどの状態であったという。

 伊藤氏側は山口氏の言う酒量では2時に山口氏が言うように覚醒して普通にふるまうのは難しいと言う意見を専門家からとっているという。

 しかしながらその時の伊藤氏の血中アルコール濃度を正確に言える専門家はいない。

 まず酒量の供述が異なっており、原告自身も供述変遷がある。

 専門家に提出された酒量は、供述のいずれとも異なっている。伊藤氏の主張を水増ししている。

 アルコールでの泥酔でも、デートレイプドラッグでも起きる酒量に設定されている。

 頼んだビールをまるごと一本飲んだ計算にし、ビールの泡もサワーの氷を計算にいれていない。

 さらに嘔吐によるアルコールの排出量が考慮されていない。

 飲酒後1時間もたっていない間に数度吐けば、吸収される前に相当な量のアルコールが排出される。タクシードライバーの証言によれば、洋酒の匂いがまざつていたというから、串焼きにワインが、幾分吸収されたものと考えられる。

 飲んでも吸収されずに大量に排出され、2時間爆睡すれば、午前2時、酔いがさめても不思議ではない。嘔吐が固形物か液体か議論されるているが、器用に固形物だけ吐き出せるものではない。未消化物、アルコール等が混然一体となって排出されたと考えるのが自然である。

 

6、「なんでここにいるんでしょうか。」裁判官は入室の同意に疑義をはさんでいる

➡判決論理に矛盾あり(原判決の誤り⑦)

 👇 裁判官はこの言葉を言ったことを根拠に入室同意がなかったと言う。

 👇 だったら2時に覚醒してこの言葉を言ったことを認めることになる

 👇 そうすると5時まで覚醒しなかったとする伊藤氏側の主張は否定することになる。

 👇 さらに退室しようと思うならここでできた。

 👇 しなかったのは、同意があるからで、入室がらみの同意議論の意味がなくなる。

 

 

7、名誉毀損

 ➡裁判所は伊藤氏の主張が正しいと認めてしまったがゆえに、名誉毀損を認めることができなくなってしまった。故に山口氏の主張をスルーした。

 だが著作の大半は誰がみても山口氏本人の人権を著しく侵害するものである。

 また、根拠のない北村滋氏への疑い、逮捕の中止など、曖昧な事実を真実としていることに関しては公益を害するものである。

(原判決の誤り⑧)

 

8、ホテルのボーイの発言

➡きれいにしなくっちゃ、きれいにしなくっちゃという嘔吐物へのこだわりによりもたついていたこと、(原判決の誤りを訂正する証拠となる)

➡伊藤氏の意識がこのときあったこと(原判決の誤りを訂正する証拠となる)

 あとから出てきた証拠としておそらく追加されるが、裁判で映像をきちんと見せられるように手配して、それを説明できるようにしておけば問題はない。百聞は一見に如かずである。それ以上でもそれ以下でもない。

 むしろ伊藤氏がタクシーから出なかった理由が汚物をきれいにするためであったということがわかれば、意識があったということが、明らかになる。彼女は汚物をなんとかしようともたついていたと理解される。

 またタクシーから酔っぱらった人間を下ろすのに、どういう状態になるか、同じ身長の女性で検証して録画してみるのもいい。

 ポイントは泥酔してもたついているのと、タクシーから降りるのを拒んでいるのとの違いである。タクシーから降りるのを拒む場合、タクシー内から出るときに山口氏と格闘状態になる。タクシーの運転手が気づかぬはずはない。

 動画をみても、別の解釈が発生するなら、実はアニメ動画で説明するといい。だが、これには少しコストがかかる。難しければイラストにして説明するとわかりやすい。

 伊藤氏側は動画をみながら引きずりだされていると先入観を植え付ける方法をとっている。

反論 記憶に自信があるほうではないというホテルのボーイの証言は主観的な表現が多く、映像を見れば確認できる。それほど危機感をもった状態であるならなぜ声をかけなかったか?

 ただ、今回の裁判でなぜ画像だけしか見せられなかったかがわからない。動画を見せて質問ができないため、編集したという画像への反論で終わってしまった。

 動画を衆前で見せていれば、抱えられて足が地につかないで引きずられているなどという物理的にあり得ない主張との不整合性をいくらでも指摘できた。間違いなく誇張している。

 山口氏側としては、カルテと動画をなんとか裁判官だけではなく伊藤氏に見せたうえで、質問できるようセッティングできるとよい。

 二、山口氏に不利であったこと。

 資料を調べていくうえで、山口氏にとって不利であったことがいくつかある。

① 山口氏はベトナム慰安婦の件で神経をすり減らしており、結局退職せざるをえない状態に追い込まれた。これが伊藤氏の事件の時期と重なっていた。

山口氏自身がPTSDと上記事情のため、記憶もあいまいになっており、裁判に集中できず、弁護士まかせにして、やがて弁護士と意見があわくなった様子がある。

最初の弁護士がつくった初期の裁判資料を山口氏自ら否定しなければならない場面もあった。しかもそれが事件の核心に近い部分もふくまれていたため、後にその部分を指摘され、裁判に利用された。

シャワーをあびなかった件、ベッドに引き込まれた件など、証言を変えた部分が、つっこまれ、判決の根拠にされている。

② 事件から時間がたっており、事件直後から証拠集めをしていた伊藤氏の用意周到さにくらべると、不意を突かれてあわてて記憶を呼び覚まそうとした山口氏は圧倒的に不利であった。直後日本にいれば、逆にホテルの動画、嘔吐物の収集、当日の記憶の整理などが冷静なうちにできたであろう。

③ 不起訴になったために油断していた。鮨屋や串カツ屋で必要な裏付けとなる証言を裁判所に提出していない。

④ 北口弁護士は医療案件に詳しく、膝の件やデートレイプドラッグの件は見事な分析で反論して事なきをえたが、性被害や心理には詳しくなかったのではないかと思われる。そのために戦略をよみちがえたのだとおもわれる。しかしながら裁判資料を読むと想像以上に緻密な説明をしている。ただ、口頭弁論では女性の裁判官もいたので、紳士的にふるまったほうがよかった。



2020年3月10日 (火)

⑨伊藤詩織の矛盾

● 7/8口頭弁論では「自宅は原宿駅とだけ」といいつつ?陳述書では「家の外観まで話したのでこわくて友人の家に泊まった」と書いてある。

 山口氏は原宿に住んでることは聞いていない、履歴書から神奈川と考えていた。(7/8口頭弁論、BB、伊藤氏陳述、 )

● メールでは仕事が早く終わりと書いてあるが。Black Boxでは仕事が押してしまい1時間遅れて到着?8時にもつ焼き屋であったというが、山口氏は8時に鮨屋の予約を入れていた。(BB、山口氏陳述)

● もつ焼き屋ではお客は大勢いたのに、「二人きり」と印象操作。事前に会いたい、会いたいとメールと送ったのは伊藤氏が先で、山口氏がこれまで人を同席するときは相手のことを先に話している。(過去メール参照)

 関係者を連れてくるなどとは一言も言っていない。そもそも話はそこまでいっておらず、政治部で働くか社会部で働きたいか話を聞いてみるという段階であることは、伊藤氏の友人との相談したという陳述からわかる。(BB、裁判資料メール)

● もつ焼きやでは串焼き5本、もつ煮込み、叩きキュウリなどを食べ、ワインならのめると山口氏にボトルでいれさせておいて、ワインは1杯しか飲んでいないと主張。シソサワー省略。(BB)ワインは数杯のんでると女将はいう。

● もつ焼き屋ではビザの話は散々したが、伊藤はしていないと。していたと女将(BB、裁判資料、まつしま医院カルテ、女将)

● 鮨屋では二人で一升近く(7~8合?)飲んだと捜査員に聞かされたが、勝手に半分として3-4合と。7/8口頭弁論では二人で2合だから私が飲んだのは1合と?すでに話が変わっている。Black Boxでは2合飲み切る前に記憶喪失と。(7/8口頭弁論、BB)

● もつ焼き屋から寿司屋への移動時に歩いて5分だったのに、「山口氏がタクシーからみえる店について得々と話した」と。(H27 口頭陳述)

● タクシーで近い駅を聞き目黒駅を指示、意識、見当識、判断力があった。(BB)

● タクシーから自分の足で出てきたのに引きずり出されたと。(BB、裁判資料

● 足が地につかず、引きずられてと映像を誇張。形容したと伊藤氏弁護士側。支えられて歩いているのに話を誇張して事実をわい曲。(BB、裁判資料)

● ホテルで、バスルームに逃げ込んだのに、再び(裸で?)外に出ようとしてドアを開けてもまた襲われた。(BB、裁判資料)

● バスルームの目と鼻の先に電話があったのにおぼえていないと。 50センチ下の山口氏の小さなタオルの上のアメニティは覚えているのに。しかも以前泊まったといっているホテルなのに。(BB)

● 殺されそうになった相手のTシャツをだされたからと着て帰った ほかにキャミソール、カーデガン、コートとと着るものがあり、Tシャツ着る必要がなかった。(口頭弁論7/8、BB)

● 出掛けに「またね」といわれて、会釈してでていった。(裁判資料 伊藤氏陳述)

● 二日後4/6伊藤氏より「お疲れです。無事ワシントンに戻られましたでしょうか」メール。(裁判資料、山口氏手記)

● 証拠がまったくないのに、パソコンで盗撮されたと妄想。 カメラ付きのパソコンではないと聞くと、捜査を疑う。そのパソコンだったのかと。(BB)

● 全く証拠ないのに、勝手に泥酔しておいてデートレイプドラックを主張。あたかも山口氏が使ったように著作で印象操作。(BB)

●「むりやり膝をこじあけようとされ、ひざの関節がひどく痛んだ」とBlack Box に書きながら、

 7/8口頭弁論ではどの時点で痛めたかわからない、早朝は痛みがなかったと。(BB、7/8口頭弁論)

● 膝がずれたのにホテルから大股闊歩。動画流出。(動画)

● 整形外科カルテに書かれた受傷日は3/31、山口氏と会ったのは4/3。(裁判資料)

● 「強い衝撃を受けて膝がずれている。手術は大変なことだし、完治まで長い時間がかかるといわれた。」とBlackBox。しかし本当の診断名は右膝内障、右膝挫傷。そのような説明に当てはまらない。(裁判資料、BB、診断書)

● 整形外科医に膝がずれたと言われたというが、レントゲンもとっていない。電気治療一回。投薬(シップ?)。以後薬局で買ったサボーターのみ。その後治療いかず。(裁判資料)

● 膝が痛くて歩けないはずなのに、①夜桜見物  →②翌日レストラン(昇降時痛み) →③友人と家具を見に買い物。(BB、裁判資料)

● 体のところどころが赤くなり、血も滲んで傷ついてというが(BlackBox)、見たものは誰一人もいない。シャワーを当てると痛んだほどの胸のはずだが、ブラから血液反応がでたという話もない。友人に看護師がいるのにみせていない。どっちの乳房だったか忘れた。(BB,裁判資料)

● 伊藤氏側から罵倒を謝罪したメールあるが、山口氏覚えない。(BB)

● 妊娠の可能性がないとわかったあとでも入院した妊娠の不安があるという恐喝・詐欺メールを送り、医療費を要求4/18(BB、裁判資料)。

● 4/9に月経あったと4月17日には病院で自主申告しているのに、それ以後もだらだらと妊娠不安を訴えるメールを送る。

 判決後の会見のとき、4/9の出血をピルによる不正出血と言い、山口氏の居場所を知るため捜査員から依頼されたてメールを送り続けたという話にすり変えてまった。BBではメールを送る提案したのは伊藤氏でしぶしぶ捜査員は許可した。(裁判資料反訴状,BlackBox )

● 元検事も副検事も検察関係者は叔父にはいない。そもそも叔父がいない。のに叔父に相談したとBlackBox に書いている。(裁判資料)

● 就活なのに、山口氏が指示した雑誌をみてきていなかった。ジャーナリストでありながら難しいと話にものらない。事前に友達と政治部がいいか社会部がいいか話を聞くというていで会ったはずなのに、勝手に「内定」にしてしまっている。(伊藤陳述、BB)

● 裁判後の日本外国人特派員記者会見では山口氏の電話番号を聞き出すよう捜査員が伊藤氏に頼んだという。それで妊娠メールを送っていたと。BBでは逆に伊藤氏が電話番号を聞き出すことを提案。捜査員が被害者にやらせることを躊躇し、仕方なく許可したと内情を暴露。(BB、結審後外国人特派員協会会見)

● 北村氏を北村滋氏と政府関係者と妄想。著書にその疑いを記して世間を誤らせる。この事実は真実ではなく公益に反する。(BB)

● 逮捕状が執行されなかったことから、政治がらみの忖度を吹聴。(後に民間人が判断する検察審査会でも不起訴になったのだとすれば、捜査機関の判断は正しかったというべきである。)公益に反する。(BB)

伊藤氏はBlackBoxを以下のような文章でくくっているが、これも勘違いしている。

「 TBSワシントン支局長の山口氏とフリーランスのジャーナリストである私は、私がTBSワシントン支局で働くために必要なビザについて話すために会った。

 ⑴ そこに恋愛感情はなかった。

  ➡山口氏の方でもなかった。むしろ山口氏も伊藤氏に泥酔で嘔吐され、イライラしてゲロ臭で吐きそうになっていた。

 ⑵ 私が「泥酔した」状態だと、山口氏は認識していた。

➡実際には仕事を頼む相手の前で酔っぱらうほど自分で飲んでいた。勝手に飲んで支払いは全部山口氏。そもそも伊藤氏はDRD を疑っていた。

 ⑶ 山口氏は、自身の滞在しているホテルの部屋に私を連れて行った。

  ➡泥酔者を道端や駅に放置しなかった。

 ⑷ 性行為があった私の下着のDNA検査を行ったところ、そこについたY染色体が山口氏のものと過不足なく一致するという結果が出た  

➡下着を脱がして性行為をしたのであれば、山口氏のDNAがつくのは当たり前で、山口氏は男だからY染色体であるのはあたりまえ。何を証明したいのか全くわからない。

 ⑸ホテルの防犯カメラの映像、タクシー運転手の証言などの証拠を集め、警察は逮捕状を請求し、裁判所はその発行を認めた。逮捕の当日、捜査員が現場の空港で山口氏の到着を待ち受けるさなか、中村格警視庁刑事部長の判断によって、逮捕状の執行が突然止められた

➡「逮捕状が発せられた場合にも捜査機関は,これによる逮捕を義務づけられているものではなく、その逮捕を実施すると否とは勿論、これを実施する場合でもその時期いかんは逮捕状に記載された有効期間内であるかぎり,本来捜査機関の裁量に委ねられ,その専権に属するもの」。(京都地裁昭和45年3月3日)

 検察と検察審査会は、これらの事実を知った上でこの事件を「不起訴」と判断した。

 あなたはどう考えるか。」

  どうもこうもない。

 逮捕されなかった理由は伊藤氏が一番よくわかっているはずだ。

 山口氏は法に触れるようなことをやっていない。

●強姦されていないのに強姦されたと偽りの訴えを起こした。

虚偽告訴 名誉棄損で刑事告訴されている。

 

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2020年4月 4日 (土)

⑩酒量

 飲んだ酒量について、裁判資料でも、ばらつき、混乱がある。

 最終的にはビール2杯、ワイン1、2杯、日本酒2合くらいという伊藤氏の主張に沿って判決が出された。

 だったらそれで考えてみようじゃないか。

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 伊藤氏側は山口氏側が初期に出してきた酒量から、籠宮教授に聞いて血中アルコール濃度を計算してきたのは、ビール大瓶1本、紫蘇サワー1杯、ワイン3杯、日本酒3合だった。

 他にワインは数杯というもつ焼き屋の女将の話、

 日本酒は二人で一升近くまで飲んだという捜査員の鮨屋での聞き取り

 あらためてくわしく聞いたら日本酒7、8合とだいぶ誤差がある。

 ここはとりあえず、裁判で認定された酒量で、2時に起きて普通に話せないかということを考えてみる。

 裁判所は伊藤氏側が主張する酒量と、証言、映像などを参考にして、酩酊状態を判断し、2時に山口氏が言ったようにしらふに近い状態になるのは疑念があると判断した。

しかし、

この酒量でどのくらいになるのか計算してみよう。

 上記リンク先のサイトではビールは2杯で350ml1缶くらいで計算するとわかりやすい。泡の部分も差し引くと、ちいさなコップでは、その程度となる。なっとくできなければ、1.5缶で計算してもよい。

 この酒量を基本として判断するなら伊藤氏が鮨屋を出た時は、普通の酩酊状態である。

 もともと酒量と酩酊状態は、かなり個人差があるといわれている。

 これは別ブログで詳細な考察が、行われており、関連リンクを参照いただきたい。

 裁判所が認定した酒量なら日頃からワインボトル3本を2人であけられる伊藤氏が、12時にゲロを吐いて、便器よこにゲロまみれでたたずんだとしても、2時間で普通に会話できるほどに回復することはあり得る。

 嘔吐は身体が自分を守るためにアルコールを受け入れまいとする防御反応である。状態はみるも無惨だが、吐いたあとは楽になる。

 ここで2回、3回吐いていると日本酒をかなり飲んだとしても嘔吐で排出してしまっている。

 タクシー運転手の供述によると、タクシー内の嘔吐物は洋酒と酢の臭いがしたという。日本酒を飲む前のワインまで一部排出した可能性がある。

 通常のワインならアルコールは1、2時間で吸収されるが、串焼き5本、もつ煮等油っぽいものが混じるとアルコールの吸収は遅くなる。

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 タクシー以外でも山口氏の話によれば、ホテルでも数回嘔吐している。裁判所がみとめ、酒量で嘔吐による排出が多く、2時間いびきをして熟睡、20代で、酒に強いというのであれば、十分回復する。

 籠宮教授の意見書が役に立たない理由はビール大瓶という頼んだ量が、飲んだ量として計算されてしまっていること、シソサワーが600mlとなっているが、氷を入れると正味200ml以下になってしまうからだ。

 ワインも、山口氏が視認したのは2杯、伊藤氏の主張も1、2杯である。しかもワインカップはかなり小さい。

 ホテルの映像での判断だが、引きずられていないのに、引きずられる「よう」にと一審が微妙な印象操作をかましながら、酩酊レベル状態を判断した。しかし画像をみると、具合の悪い伊藤氏を気づかっているようにみえる。

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 裁判所お得意の文理解釈をするならば、引きずられる「ように」というのは、逆に実際は引きずられているのではないあるいはわからないということを意味している。

 実はこのことは伊藤氏の弁護士もわかっていて、支えられて歩く様子を、抱きかかえられて足が浮き引きずられると文字通りではなく、形容したと言っている。そのため裁判官はわかっていて映像を見ても沈黙したのである。

2020年4月21日 (火)

⑪嘘と本当

 伊藤氏の主張と山口氏の主張は細部に至るまで対立している部分が多い。

 仮に伊藤氏の主張が嘘であるとしたら、伊藤氏は暴行の内容についてきわめて醒めた目で見ているに違いない。

 メールの返事がなかなかこなかっただけで、騙されたと思いこみ、友人に打ち明け、警察に駆け込んでしまった。

 (特に計画性がないとすればだが)

 後で山口氏が誠実に対応しようとしていたことを知ったときに伊藤氏は何を思ったであろうか。燃え広がった周囲の怒りの炎は鎮火できないほどになっていた。

 どんなにまわりが騒ごうと、自分の嘘で、一人の男性を追い詰めていたとしたら、その相手に怒りや憎しみがおきるであろうか。

 おきるわけがない。

 伊藤氏は友人にも真実を語らなかった。

 そのために友人は伊藤氏から聞いた話から素案をつくり、ちぐはぐなメールのやり取りを始める。山口氏を罵倒した話から妊娠したらどうしてくれるんだとの恐喝のメールまで。 

 これらのメールの文体は非常に粗雑で、以前の伊藤氏の丁寧なメールとは趣を異にしている。

 裁判となるとレイプされたあとで文体がかわるのは当たり前だといわれそうだか、4/6お疲れ様メールの文体は、やはり伊藤氏のものであると思われる丁寧さがみられる。

 その後のメールには下品な、的外れの主張が、一方的に並べられており、セクハラ訴訟をやった友人Rが、伊藤氏の話を信じて、作成したものであろうと推測できる。

 謝罪を執拗に迫ってきたのは、裁判に有利な展開を想定したもので、友人Rの思い込みが見えかくれする。 

 メール内容の相談は、おそらくRの家で行われ、そのために1か月ほど伊藤氏は泊まりこんだのではないだろうか。ちょうどメールのやり取りが盛んにおこなわれた時期である。メール文の内容から見て友人は伊藤氏の話を信じていたものと思われる。

 素案は友人が作ったなどといっているが、伊藤氏が全文しっかりと目を通していたか怪しい。目を通していたとしても真実を隠していれば訂正のしようがない。

 メール作成が別人だとすると、一緒にいないときは、返事に手間取る。そのためやりとりのタイミングが、ずれ、山口氏がすばやく連絡や返事をおくったときにやり取りが混乱していることが分かる。

 メールの内容は、医療費や、仕事の要求もしており、恐喝未遂にあたる可能性がある。そうなればRら友人は共犯になる。捜査員は、最後の妊娠検査の日にようやくメールの提出を指示した。

 遅すぎる。

 山口氏の居場所を知るために伊藤氏がメールでやり取りすることを捜査員が許可したことになっている。そのメールの内容が恐喝まがいの内容であることを警察は後で知ることになる。

 しかもそれを著作でばらしているわけであるから、捜査そのものに問題があったとされる可能性がある。捜査員Aは自分にミスがなかったなどと、伊藤氏に言っているが、被害者に操作情報を漏らすなど大ミス、被害者に居場所を取らせるためにメールでのやり取りを許可したのはミスだ。伊藤氏は自ら提案したメールにより、恐喝メール自体を捜査員のせいにするということにしようとした。 このメールでの恐喝行為は、捜査員の許可のもとで行われたとしたら、メールの違法性を追及しにくい。

 計画的に行っていたとしたら、後ろに必ず法律か、捜査にかかわったことのある専門家がいる。元検事は叔父ではないだろうがが、どこかのおじさんではないだろうか。そうなると日本人でないおじさんということもありうる。

 警察での扱いは、これまでの、ちやほやされて肥大した人生のプライドを打ち砕くものだつた。ここで警察に対する怒りと不信感が増大する。対警察への説明を回避するためには、記憶にないという理由は有利だった。前後の内容は記憶している。だから前後は一致する。

 一番危ういのは、事件後の暴行である。嘘どあるなら創作だからだ。

①細かいことを描写しすぎている。小説家が書くようにホテル内を描写していく中でアメニティに気づいて電話に気づかないというおかしさ。

②膝を傷めたと言いながら大股で帰るおかしさ。

③無理やりベッドに引き倒しておいて、目的も達することなく止めてといわれて行為を止め、急におとなしくなるおかしさ。

④Tシャツを着て帰るおかしさ。着るものがないと言いつつ、着るものはほかのコートキャミソールなどあった。

➄強姦魔がブラウスをわざっわざドアノブに洗って干しておく不自然さ。ドアノブのブラウスを確認したのであればすぐ出られたのに出なかったおかしさ。

⑥出がけにまたねといわれて先ほど殺されそうになった相手に会釈して出るおかしさ。

これだけの不自然さがありながらこれが事実で真実であると認定される日本の裁判のおかしさ。

 もし嘘なら、数名の友人が伊藤氏の嘘に振り回されていることになるばかりか家族全員、警察、日本全国を振りまわし、政治を巻き込み、山口氏に対してとんでもない仕打ちをしたことになる。

 キャサリン▪ジェーン▪フィッシャーという人が書いた「涙のあとはかわく」というという本がある。

 実はこの本はBlackBoxのタネ本との噂がある。この本はちょうど2015年の5月くらい事件直後に日本で翻訳出版されているが、原書は2014年に出版されている。

 キャサリンの場合は本当にデートレイプドラッグが使用されたようで、意識がある間に強姦され、警察や医療機関でひどい目に会い、裁判になんども挑戦し、警察も相手にして訴え戦ってきた。そして現在は同じような被害にあった人の助けになろうと様々な活動を行っている。

 正直彼女の本は少し読みづらい。翻訳であるせいもあるが、暴行シーンがフラッシュバックのようにちりばめられているうえに、断片をつなぎ合わせたようなところがあり、論旨が追いにくい。最初はとまどう。

 だが、強姦のシーンはリアルで疑いの余地がない。あざのある内股近くの写真までが掲載されている。彼女の場合はデイトレイプドラッグで体が十分に動かなかったにもかかわらず、抵抗するだけして、傷だらけになっていた。彼女の本からは犯人への激しい憎しみが伝わってくる。すぐに警察に行き、証拠もたくさん残っている。

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 キャサリンは一時伊藤氏の会見の御膳立てまでアドバイスして支援した。しかし伊藤氏が選挙にあわせて3ヶ月でBlackBoxを書かなければならないという話をきき、それまでおかしいと思っていたことの合点がいったという。そのころから伊藤氏はキャサリンを遠ざけたという。

 BlackBoxはキャサリンのように無惨な事実と思いをぶつけて書かれているのではなく、妙に取り繕った書き方がされている。

 たとえば鮨屋のトイレで気を失うのであるが、便器の蓋をしめてそのうえでお上品に頭を給水器にもたれかけて気を失ったという。私もつい最近トイレで気を失ったが、気を失った瞬間というのは自分の姿勢の詳細など覚えていないものだ。私の場合は気がついたらトイレの床にひざをついてうずくまっていた。

 トイレの中など誰もみていないからなんとでもいえる。店員の証言では発見された時、便器から不自然な姿勢で崩れ落ちていたという。

 ホテルで目が覚めたときの情景描写は小説のように驚くほど詳細で、覚醒してすぐにテレビの近くにあるコンソールライトの明かりにまで気づいている。これは強姦にあっている人の記憶としてはありえない。

 また、目の前のバスルームの中に並べられたアメニティやその下のタオルまで観察しつつ、鏡に自分の体を映しつつ目の前の電話に気が付かなかったということもあり得ない。

 これに対してキャサリンの描写は生々しい。精液、傷だらけの身体、真っ赤になった性器。体中がずきずきして、性器は焼け付くように痛かったという。一か月たってようやくあざが薄くなる。その後電気料金が止められそうになるまでのボランティア活動をおこなった。

 伊藤氏はどうだろう。性器ではなく下腹部が痛いと。1ヶ月たっての内診でも異常なく。体の傷などは誰もみたことがない。膝の痛みもその時のものかどうかすらわからない。その後BBCに出演。ジャーナリストとして世界的に有名になり、著作はベストセラーとなり、多額の収入を得ている。

 また際立って異なるのが事件直後からの加害者への憎しみと怒りである。

 キャサリンは加害者への激しい怒りと憎悪が何年も続き、十年以上を経てそれがようやく相手への哀れみにかわる。

 伊藤氏の場合、悔しい悲しいなどの思いは最初のメールの返事がこなかった直後だけで、その後は相手に対する怒りや憎しみのなさを著書の中で何度も強調しており、両親や友人、捜査員から叱責されるほどである。ブラックボックスの編集者でさえも、指摘している。

 伊藤氏はこれを精神的な解離として説明しているが、たとえ性被害者に様々なパターンがあるいってもこれはあまりにも不自然である。

 公益性を強調するためであるかもしれないが、嘘をついているとしたら、怒りも憎しみもわいてこないのは当然である。

 類似するトピックを拾い上げてみた。

×=異なっている。

▼=エピソードは同じだが、異なった部分がある。

△=非常に似通ったエピソード

〇=ほぼ同じエピソード

  キャサリン(涙のあとは乾く) 伊藤詩織(BlackBox、その他)
× 相手は知らない人 相手は知人
すぐに警察に行った 5日たって警察に行った。
妊娠の恐怖を訴えるがモーニングアフターピルをすぐにもらえず。(p39) すぐにモーニングアフターピルをもらい、月経がきているのに妊娠の恐怖を訴える。
 △ 体に力が入らない、激しい痛みが走り、やめてと叫ぶ(P12)

激しい痛みを感じ、痛い痛い、止めてください(p49)

殺されるかもしれないと怖くなる(p31) この瞬間殺されるかと思った(p51)
男の服→「汚らわしい」→着衣しない(p20)

男のTシャツ→着衣する(p54)

光は窓の外からさしているのだろうか(p12) 部屋はぼうっと明るく照らされていた。
下着がみつからない(p21)→捜査中に見つかる   下着が見つからない(p53)→山口氏がもっている。   
自分の体が動かせない(p13) のしかかられた状態で見動きがとれなかった(p50)

①私はレイプ犯を憎む。死んでいればいいと思う。(p53)

 


①「なんでもっとお前は怒らないんだ、怒りをもて」(父)(p76)

②「もっと泣くか怒ってくれないと伝わってこない。被害者なら被害者らしくしてくれないとね。(警察官)」(p76)

③「私は山口氏に対して、怒りや憎悪の感情は全くありません。」(p244)

④編集者安藤泉;伊藤の原稿には「怒り」がなかったと安藤は言った。「もっと怒りがあるはずでは?」赤を入れる

レントゲンを撮った。 レントゲンを撮らなかった。
抗うつ剤と睡眠薬を処方された 後に睡眠薬を処方された。(4/17カルテ)
FBIに盗聴器?(P194) 公安の車と盗聴器?(BBC)
本名を公表 ※こちらが先 本名を公表
警官医師の無礼(セカンドレイプ)に怒り→神奈川県警を訴え、最高裁まで争い敗訴 「怒りと言えばその後の警察やホットライン、病院の対応に向けられた。」→逮捕状の件を追求。国会へ
東京地裁刑事で勝訴、高裁には持ち込んだが取り下げ。

・不起訴。東京地裁民事で勝訴。伊藤氏は控訴せず。

・相手が(山口氏)控訴


「体を洗うと痛みが走った。小さな手鏡を使って自分の体を調べると、ぞっとした。性器の周りが真っ赤になり、ぞっとした、信じられないほど大きな痣が浮かびはじめていたのだ。皮膚はすりむけ、なにかに噛まれでもしたかのようにみえた。」p49

→※写真もあり、医師も確認している


バスルームは清潔で大きな鏡があり、そこには何も身に着けていない、身体のところどころ赤くなり、血も滲んで傷ついた自分の姿が映っていた。

 

→※本人訴えのみ、誰も見ていない。



 計画的でなく、黒幕がいないとすれば彼女の嘘の動機は就職の斡旋、VISA獲得の可能性が高い。それを獲得するために山口氏に近づいた。直後のメールでも真っ先にVISAの確認をしている。

 VISAがなんとかなるようなら、このまま山口氏と仕事をする。

 だめなら訴える4/6がいずれにしても分岐点であった。

 この時山口氏がメールを返信していれば事態は好転していただろうか。

 この時点ではまだわからなかったが、おそらく山口氏は退職してしまうため、就職の件は他の人に引き継がれるだろう。だが引き継いだ人物は伊藤氏と関係がなければ、山口氏が考えたようにやってくれるかどうかはわからない。
 ちなみに後を継いだワシントン支局長は、そうした行為を全否定し、山口氏をこき下ろしている。
 うまくいかなければ伊藤氏は山口氏を逆恨みしていた可能性もある。

 すべてが嘘であるとすれば、友人と家族と司法組織、掲載、メディアその他の支援者のすべてを裏切っていることになる。それに気づいた家族、友人、メディアもすくなからずいるのではないだろうか。しかし、大手メディアの大半はこの事件を伊藤詩織が真実を述べているという視点から扱っている。担当者レベルで気づいていた人がいるかもしれない。しかし裁判が終わらない限りあえてリスクをおかすメディアはない。

 山口氏が伊藤氏とそうなったことを「後悔している」と記者会見で述べた時の伊藤氏の表情を忘れることができない。

 この説明は反論もあろうと思われるので、また後日にしたい。

 平成から令和をまたにかけたこの裁判はまだ解決してはいない。

 密室であるがゆえに本当のことは二人にしかわからないなどという陳腐なセリフはいわない

 どちらかが真実をいっているとすれば、真実はすでに開示されている。密室であるがゆえにわからないのではなく、事件を見抜く力がないからわからない。事件を語る勇気がないから言えないだけである。

  

2020年6月 9日 (火)

⑫🐵猿でも反論 山口敬之氏VS伊藤詩織の裁判

※赤字はあくまで筆者の意見。

 法律用語に埋め尽くされた裁判記録は素人にはとっても読みにくく、わかりにくいもので、そのために、この裁判のおかしさがわからない。伝わらない。

 職業法律家は、裁判への影響や、自分の立場があるから、はっきりとしたものいいをしない。

 深く調べたわけではありませんけど、とか、一般的には、とか。結果がでてみないと、とか。

 なにいっとんじゃ。

 このわかりにくいハードルをこえて、どんだけおかしな裁判かということを、理解してもらいたい。

 この裁判は真実を暴かないと山口氏にとってはむごすぎる。

 そもそもどっちが先に誘ったか知ってます?

 伊藤さんが先に誘ったんですよ。お願いモードで。

 伊藤詩織が、就職先紹介してほしいっていってメールを送り、会いたいと先に言い出したんですよ。内定とかいってますけどそんな裏話で内定もくそもあったもんじゃない。ビザが難しいのは自分でもメールでいってた。

 正規の面接じゃないんですよ。コネ、裏やりとり、

 それでも山口氏はインターンなら、可能だが、プロデューサーでも、伊藤氏が本気ならできるだけのサポートはするつもりでいた。履歴書をみてビザの件が大変であることは会う前に共通認識としてあった。

 そこで、山口氏はビザの話を店で散々した。ところが伊藤氏はしてないと言う。

 実はカルテの一つにもビザの話したと書いてある。店の店員ですらおぼえている。それなのに伊藤氏はしらをきった。裁判所もスルー。

 また、それ以前伊藤氏は山口氏とは二度しか会っていない。プロデューサーとして雇うなら、伊藤氏がどんな人かもっと知る必要があると思った。

 それで、たまたま帰国予定にあわせ、あちこち顔を出すなじみの店にいくついでに彼女を誘った。伊藤に会いに戻ってきたわけじゃない。

 これを怪しいとか、就職の面接で居酒屋はおかしいというんだったら、最初のキャバクラまがいのピアノバーから伊藤氏の猛烈な申し込みのほうが、おかしい。手土産なしの、完全な個人的な裏お願いでしょう。正々堂々と正面からお願いできないのはなぜ?本当に大学卒業したの?

 山口氏もインターンぐらいなら紹介できるが、プロデューサーとして推すならよく人物を知らないと推しようがない。政治部がいいか、社会部がいいかなども考えていた。つまり人柄や本人をみるために会った。そのためには打ち解けて、しかも怪しまれない場所として、行きつけの店を選んだ。

 これから、強姦しようとする相手をわざわざ馴染みの店に連れていく馬鹿はいない。

 ところがだ。伊藤詩織は、あとでデートレイプドラッグ💊を飲まされたと言い出す。

 山口氏はきょとんとした▪▪▪と思う。「なにそれ❓❕」とわたしなら声にだす。山口氏はそんなものの存在すら知らなかった。わたしもだ。

 証拠もなんにもない。ただ、伊藤氏いわくそういう事例があり、それをのまされたかのように記憶を失ったというのだ。それとそっくりだというのだ。

 2人は二件の店をはしごしていたわけだが、どちらの店も狭くて人は一杯。薬を入れるなんていう余裕はない。

 店がぐるだとも言わない限り、それは無理。さすがに伊藤氏もそんなこと証拠もなく言えるわけがない。

 係争中に亡くなった父親の代からの馴染みの店であり、そこに連れていったのは、家族ぐるみで付き合ってきた人達がみている前で会うためで、ドラッグを入れるためではない。

 店の人達は伊藤氏が手酌で何杯もワイン🍷や日本酒🍶を手酌で飲んだのを見ているが、ここでまた本人は自分からは飲んでないと否定している。自ら飲んだ覚えはないと。これがまずおかしい。サワーを飲んだことすらも言わない。記憶のある時間帯のことだし。覚えていてもおかしくない。目撃者がいる。

 鮨屋のトイレに行く前の2合を口頭弁論で1合としている。少なく少なく見積もりたいわけだ。串カツ屋ではワインなんか1杯🍷か2杯🍷🍷とかいっちゃってるわけだが、山口氏にボトルで入れさせておいてそれはないだろう。女将は見ていた。

 これを裁判所はまたスルー

 まあどれだけ飲んだなど、正確にいうのは難しいだろうが店側の話をまとめて総合すると、

 少なくともビール2杯🍺🍺、サワー1杯🥛、ワイン数杯🍷🍷🍷🍷±🍷。2件目の寿司屋では日本酒を2人で7、8合。2合🍶🍶くらいの時トイレで伊藤氏は寝込み、それから記憶がないという。最低でも🍶🍶🍶±🍶

 酒の量としてはかなりのもので、ブラックアウトという記憶障害がおきてもおかしくないレベルだが、裁判官は伊藤氏側の話を信じて他の話を無視。伊藤氏のいうがままの酒量で計算。

 伊藤氏側はこの酒類🍺🍷🍶の量をめぐって偉い教授の意見書添えて酩酊度を証明しょうとした。

 ところがそもそもの飲んだ量のデータが注文した量と混同していたり、あいまいな上、油ものたらふく食べて嘔吐していることもあり、正確なアルコール濃度なんて出せるわけがない。

 伊藤詩織はデイトレイプドラッグ💊を飲ませられたと主張しつづけるが、全く証拠がない。

 裁判所もたぶん伊藤氏側の弁護士も、さすがに証拠もないのにドラッグを飲まされたと断定することはできない。それでも否定できないなんていう意見書を偉い先生に書いてもらっている。

 そこで、裁判所はあえてデートレイプドラッグには触れず、鮨屋を出た時点の様子で強い酩酊状態だとして、ホテル🏨で目を覚ますまで記憶がないということと、整合性があるという言い方をした。なんだこの整合性って。つじつまがあうってことか?山口氏のゲロしていびきかいて寝た話も十分整合性はある。

 裁判所は伊藤氏の主張をとり、5時起床説をとった。

 ところがだ、山口氏が伊藤氏の弁護団の誘導尋問にひっかかって

 2時ごろ伊藤氏が『なんでここにいるんでしょうか』というようなこと聞いたかもというと

ほら入室の同意してないじゃないと思ったんだろ。鬼の首でもとったかのように判決にこのことを加えてしまった。

 🐵いやいや、じゃあ裁判官は2時に起きて、意識があったことを認めるんですかね、だったら5時まで意識がなかった話はどうするんですかね

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(沈黙の裁判官)

 おいおい。山口氏の揚げ足とりもたいがいにせい。

 裁判所は2時に起きてシラフのようにふるまったことをあり得ないとしているが、最初の店で串焼きを五本+もつ煮🍲も食べている。タクシーのゲロでは洋酒のにおいが混じっていたというから油物でアルコールの吸収が遅れていたことが推定される、更にアルコールはその後のホテルの部屋での大量のゲロでだいぶ抜けた可能性が高い。本人は酒に強いと友人が太鼓判おすくらい。

 しかし裁判所は山口氏のゲロ説もスルーしてるから2時にそんなにクリアーなわきゃないと。

 そして裁判官は結局以下の根拠でさばいた。

1、駅が近いのにタクシー🚕にのせた 

   🐵裁判官は酔った女性をついでにタクシーに載せる紳士的行為を不自然というんか?

2、伊藤氏はタクシー🚕を降りるといったのにおろさなかった。

   🐵裁判官はゲロりそうな女を駅に放置したほうがいいというんかい?

3、タクシーから引きずるようにおろされ、引きずられるように部屋に向かった。

   🐵引きずってないだろう裁判官は見てるくせに。スルー。

4、伊藤氏は「なんでここにいるんでしょうか」と言った。だから入室に同意していない。

   🐵じゃあ裁判所は2時におきてたってことみとめるんだな。5時起床説はどこ行ったんだ。

5、シャワー🚿を浴びずに早朝足早に帰った。

   🐵そりゃ恥ずかしいだろう。酔っぱらって年の離れた男と泊まったわけだ。しかも相手は早朝出立。時間もない。

6、その後のメールと裁判の説明でどちらのベッドに寝ていたという話に食い違いがあり、いってることが変わってるとして信用できないと。

   🐵その前に判決の文章

「被告の供述は,本件行為の直接の原因となった直近の原告の言動という核心部分について不合理に変遷しており,その信用性には重大な疑念がある」

 なんだよこのわけのわからない文章!!大丈夫かこの裁判官。

   🐵直近の原告の言動っていえば「チャンスがあったらこっちへ来て」か?

 別のベッドに寝ていたことは否定していない。そしてメールでの文言はお互いわかっているからと端折って(山口氏がホテルで数日来)寝ていたベッドに入ってきたと伊藤氏の移動を書いただけ。揚げ足取りだろ。

 酒とベッドとシャワーとタクシーで強姦のうらずけにしたわけだ。

7、反訴について伊藤氏が書いたことや講演で言ったことは全部ほんとのことだし、もっぱら公益のためなんだし、違法じゃないだって?  

   🐵裁判官は膝の件は証拠不十分といったよね、言ったにもかかわらず、それを真実とここで認めちゃうってどういう理屈なの?

 伊藤氏の話の判決と整合性を保たせるため、無理やり公式に当てはめたような判決。

 高裁がこれを指摘しないわけがありません。

 だから判決にまであちこち閲覧制限かけたのかな?と疑う。

 でもこれって裁判官にすれば何の意味もない。かえって不信感増しちゃったんじゃないかな。なんだよこれって。

 ゆえに私は高裁でよほど偏見のある裁判官でない限りこの戦いは勝つだろうと言い続けているのです。

 かなり自信持ってます。

 ちゃんとした一審であればわたしもすなおに参りましたと申し上げます。

 しかしこれはひどい。むごすぎる。この判決は日本の司法末代まで言い伝えられる恥です。山口氏への人権問題で最高裁にもっていって憲法に照しても勝てる内容です。

 これだけ社会的な話題になる大きな裁判でこんな結論の出し方はいけません。こんな出し方をしてしまうから次々と関連した訴訟が生まれてしまうのです。

 高裁で結論が出れば、他の訴訟が一気に片が付きます。

 それとともに一審の裁判官の評価も決まるわけです。

 

 まだまだ文章は難しいな。猿にはむりかもしれん。反省する🐵であった。すんません。