マスクに関しては、「うつらないためか」、それとも「うつさないためか」というところで混乱が見られます。
この混乱のもとは、「マスクの役割は、もともと医療従事者と一般の方々とで異なる」という点が見過ごされていることでしょう。
医療従事者の場合、マスクは「うつらないため」に必須です。現に、患者さんと接する際にマスクを着用することで、患者さんからの感染を防げるというエビデンス(科学的根拠)はたくさんあります。
それが一般の方となると、どうでしょうか。まず、症状が出ているのなら、もちろん、「うつさない」ためにマスクをするのは正解です。しかし、市中において元気な人がマスクをすることで、人から自分への感染を防げるというエビデンスは、今のところないのです。
以上を踏まえ、次のように考えてください。
「医療従事者が患者さんと接するのに類似する状況」では、一般の方にとっても「マスク=うつらないため」といえます。さらに、自分が「無自覚な感染者」である可能性を念頭に置けば、「うつさないため」でもあります。
したがって、いつでもどこでもマスクが必須ということではありません。