陸自オスプレイ 住民の理解欠く配備だ
2020年7月14日 07時04分
防衛省が導入した垂直離着陸輸送機オスプレイの陸上自衛隊木更津駐屯地への配備が始まった。五年以内の暫定措置とされるが、周辺住民や地元自治体の理解を十分に得られているとは言い難い。
オスプレイは開発段階から墜落事故を繰り返し、実戦配備後も安全性への懸念が指摘されてきた軍用機だ。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に二十四機配備された米海兵隊MV22オスプレイも、空中給油訓練中にプロペラが破損して海岸に不時着、大破したり、海外への遠征訓練中に海上に着水する事故を起こしている。
陸自が二〇二一年度までに十七機を導入するオスプレイのうち一機が十日、陸自木更津駐屯地(千葉県木更津市)に飛来した。
最終的には離島防衛の専門部隊「水陸機動団」がある長崎県に近い佐賀空港(佐賀市)に正式配備する計画だが、地権者との交渉が難航したため、米軍オスプレイの整備拠点がある同駐屯地に五年未満の期限付きで暫定配備された。
とはいえ、周辺住民の理解が十分に得られているわけではない。
木更津市の住民団体は、配備撤回を求める安倍晋三首相と河野太郎防衛相宛ての要請書を約二十四万人分の署名とともに防衛省に提出した。十日には住民団体の関係者らが抗議活動を行った。
機体そのものの安全性に加え、整備のために飛来する米軍機に陸自機が加わり、騒音問題や安全性への懸念が高まるのは避けられまい。五年の暫定期間が守られるかどうかも不透明である。
陸自機は、早ければ八月から東京湾上空などで飛行する予定で、駐屯地に十七機がそろった場合、離着陸回数は一日十五回、年四千五百回となる見通しだという。
すでに海兵隊MV22の整備が始まり、米海軍用のCMV22の整備受け入れも検討されている。米空軍横田基地(東京都福生市など)に五機配備されているCV22も十機まで増強される計画だ。
首都圏にオスプレイが集中し、飛行が恒常化する可能性は高い。首都圏周辺は住宅が密集し、事故が起きれば大惨事になりかねない。空軍オスプレイでは部品紛失も起きている。空域が入り組み、民航機への影響も心配だ。
安全性に疑問がある軍用機が、人口が密集する首都圏を飛び交うのはとても尋常とは言えない。
そもそも陸自に必要不可欠な装備なのか。米軍機の整備拠点を設置することの是非と合わせて、この際、検討し直すべきである。
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