最近の文正仁(ムン・ジョンイン)大統領特別補佐官(外交・安全保障)の発言とレトリックは、その辺の評論家・論客レベルだ。文特補は7月2日、国会の討論会で「米国を信用できる国と言えるかという思いは強く抱いた」として「ホワイトハウスの決定プロセスを見ると、完全にお笑い番組の水準」と発言した。海外の指導者に対する評価も遠慮がない。トランプ大統領は「まあまあ問題ない人物」、安倍首相は「一段とアグリー(ugly)な、醜い人物」だ。昨年までホワイトハウスに務めていた国家安全保障担当の元大統領補佐官に向けては「最悪の人物」と言い放った。外交部(省に相当)が口を閉ざす米国大統領選挙を巡っては「バイデンが大統領になったら意思決定構造が複雑で、南北関係に悪影響」と損得勘定をする。この発言を巡り、元職のある幹部外交官は「文特補はますます外交ではなく政治をやろうとしている」として「大統領特補ともあろう方がこんな形で全部ぶちまけていたら、その言葉が正しかろうと間違っていようと、どういう風に外交をするつもりなのか情けなく思う」と語った。
文特補がソウルとワシントンを行き来しつつ「平地に波乱を起こす」のは、きのうきょうの出来事ではない。文特補は2018年5月、「アトランティック」誌のインタビューで「私にとって最善のことは、実際に同盟をなくすこと」だとして「韓米同盟解体論」をぶち上げた。昨年12月には「米軍撤収時には中国が核の傘を提供したらどうか」と発言し、米国の上院議員から「笑える(laughable)考え」ととがめられた。文特補の「お笑い番組水準」発言に対し、タフツ大学のイ・ソンユン教授は「あなたほどの道化師(clown)はほかにいない」とした。