「数兆ウォンが支援金なのか。数百社、数千社に支援が分散すると考えてみれば分かる。無意味に消えてしまうカネにすぎない」
韓国有数の半導体素材メーカーA社の役員は「推すべき企業に集中的に資金を投じるべきだと言いたいところだが、『えこひいき』するのかという見方があるので慎重になる」と話した。
韓国政府が昨年7月に日本による輸出規制が本格化して以降、国内の素材・部品・設備産業の育成に向けた予算をつぎ込んでいるが、業界にはこの資金が効率的には使われるのは困難だという見方が早くから存在する。
韓国政府は今年1月、「2020年素材・部品・設備対策施行計画」を発表し、今年は素材・部品・設備分野に全官庁合計で総額2兆1000億ウォン(約1890億円)を支援すると表明した。輸出規制が始まった昨年の予算が8100億ウォン規模だったのと比べると、2倍以上に増えた計算だ
韓国政府は約半分の1兆2000億ウォンを外国への依存度の高い半導体、ディスプレー、自動車、電機電子、機械金属、基礎化学の6分野、100品目に集中投資すると説明した。一見多額に見えるが、1品目当たりの投資額は120億ウォンにすぎない。対象品目に該当する企業に分配する場合、その額はさらに小さくなる。
ある部品業界関係者は「企業当たり1億ウォンの支援を受けたとしても、その資金がどれだけ国産化に役立つかは疑問だ」とした上で、「企業にとっては、ただでもらえるカネだし、総額も多いため『受け取れなければ馬鹿だ』とも言われている」と話した。