在沖米軍基地で新型コロナウイルスの感染が止まらない。どこから発生し、どう拡大しているのか-。クラスター(感染者集団)の流れは追えないままだ。専門家は「感染源が米軍かどうかもまだ断定できない」と強調する。ウイルスは一体、どこから来たのか。(社会部・篠原知恵、下地由実子)
■対策確認できず
米軍は、国外移動を伴う人に、日本への出発前と到着後で14日ずつ計28日間、行動を制限して隔離する対策を取っていると説明する。きっちり守られているならば、ウイルスの潜伏期間は自由に行動できないため、米本国からウイルスを持ち込むとは考えづらい。
だが、どれほど徹底されているか沖縄側が確かめるすべはない。日本国内の民間空港の検疫で行われるPCR検査もなく、米国発の可能性は捨てきれない。
一方、県内は68日連続で感染ゼロが続いたものの、6~7月のPCR検査件数は1日当たりゼロの日もあるなど低調で、感染の端緒を見逃す恐れがあった。
1日に200人規模の感染発生が続く東京都など、県外との人の往来が活発になる中で、米軍関係者が基地外(沖縄の市中)で感染したのをきっかけに、軍隊内で広がったとの見方も専門家の間で出ている。
■観光客らと接触
基地内クラスターの始まりは7日の普天間飛行場、9日のキャンプ・ハンセンから。新型コロナの潜伏期間は2週間以内とされ、感染から発症までの平均は5日程度とされる。米軍関係者の確定日から逆算すると、4日の米国独立記念日前後に感染した可能性が高いとの見方が強い。当時、観光客や地元客も含めて基地内外で大規模なパーティーや集まりがあった。
県は、さらに軍の中の団体行動で感染が拡大したとみている。だが依然、米軍の衛生当局からの公式情報は届いていないという。
県立中部病院の高山義浩医師は「米本土からの移入よりは、沖縄県内での感染と考えて警戒を高めた方がよい。基地内でのPCR検査態勢が強化されたことが、多数の診断につながっている可能性がある。県内での検査態勢を強化し、同様に感染の実態を明らかにする必要がある」と指摘する。


