【先行公開】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とサイトカインストーム-炎症病態からみた治療法の選択

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とサイトカインストーム-炎症病態からみた治療法の選択

【執筆者】
横田俊平(フジ虎ノ門こどもセンターこども診療部)
名古希実(フジ虎ノ門こどもセンターこども診療部)
金田宜子(フジ虎ノ門こどもセンターこども診療部)
土田博和(フジ虎ノ門整形外科病院整形外科)
中村郁朗(難病治療開発機構)
黒岩義之(財務省診療所、帝京大学医学部附属溝口病院脳神経内科)
西岡久寿樹(難病治療開発機構、政策研究大学院大学)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、週刊『医学のあゆみ』273巻8号(5月23日発行)に掲載予定の論文を先行公開します。引用等に際しては「医学のあゆみ273巻8号」とされるようお願いします。
 公開予定期間:2020年4月27日~2020年7月31日

目次

  • 要旨
  • はじめに
  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
  • 病理学的変化
  • COVID-19の病態
  • 自然免疫の仕組みと炎症性サイトカイン
  • サイトカインストームと身体反応からみた病態生理
  • COVID-19におけるサイトカインストームの治療法
  • おわりに

要旨

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は世界を席巻しパンデミックに至った。SARS-CoV-2はコウモリを宿主としていたが、遺伝子変異を繰り返すうちにSARS-CoVと同様にヒトのアンジオテンシン変換酵素(ACE)2に結合するものが生じ、細胞内に感染を起こしヒト感染症(COVID-19)として成立するようになった。これに対して生体は自然免疫系の反応を起動させ、IL-6、IL-1β、IL-8、TNF-αなどの炎症性サイトカインやG-CSF、IP10、MCP1などのケモカインを産生・放出し、炎症状態を形成する。しかし、COVID-19では過剰炎症によりサイトカイン放出症候群(CRS)を生じ、過度の炎症病態、過大な酸化の進展、免疫系の破綻などにより多臓器不全に至ることが明らかになった。過剰な炎症状態は持続的ストレスによるミトコンドリア機能不全を招来し、ミトコンドリアDNAを含むミトコンドリア破砕産物や損傷した細胞はDAMPs(damage-associated molecular pattern)として過剰炎症の慢性化に関わり、呼吸器感染はARDS、血管内皮細胞障害と凝固線溶系の破綻からDICに至り、中枢神経障害、腎不全、肝不全と多臓器不全に至ることになる。
 治療にはSARS-CoV-2の抑制にファビピラビル、ACE2の機能阻害にナファモスタットなどが考えられているが、CRSという病態認識の下に、抗IL-6受容体拮抗薬(トシリズマブ)などの抗リウマチ薬やミトコンドリア機能改善のためにメラトニンが奏功する可能性がある。本稿ではこれらについて、中国からの報告などを交えて検討する。

はじめに

 2019年12月中華人民共和国湖北省武漢市においてはじまった新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)は短期間のうちに世界中に拡散し、2020年3月11日にはWorld Health Organization(WHO)がパンデミック状態にあることを宣言した[1]。2002年11月に中国広東省ではじまり、インド以東のアジアとカナダを中心に32の地域や国々に拡大したSARS[2]、2012年9月にサウジアラビアではじまり、現在でも収束の見通しの立たないMERS[3]とともに、COVID-19はβ-コロナウイルス(CoV)に属するウイルスによって引き起こされる人畜共通感染症であるだけでなく、いずれも臨床症状とその経過、疫学的な広がりが極めて類似している特徴がある[4]。重篤例にみられる急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)などの呼吸器感染症状[5]のみならず、さまざまな中枢神経症状を呈する[6]ことも同様である。
 感染症の病態は、同時に炎症病態でもある。COVID-19患者の罹患肺の病理組織は、両側とも細胞性の線維粘液分泌物がびまん性に肺胞障害を生じている像、炎症性単核球の浸潤、Ⅱ型肺胞上皮の剥離とヒアリン膜が認められ[7]、これはARDS病理像に一致し、SARSとMERSの肺病理像とも酷似していた。ICU入室患者の血漿中のサイトカイン、ケモカインの検索でIL-6、IL-1β、IL-8、TNF-αなどの炎症性サイトカインやG-CSF、IP10、MCP1などのケモカインが著増していたことなどから、COVID-19にみられる肺病変はサイトカインストームによるものと推察されている[4,8,9]。
 サイトカイン放出症候群(cytokine releasing syndrome:CRS)にみられるサイトカインストーム状態は、小児リウマチ性疾患ではしばしばみられる病態で、典型的には全身型若年性特発性関節炎(systemic juvenile idiopathic arthritis:SJIA)や全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)において生じるが、この病態をマクロファージ活性化症候群(macrophage activation syndrome:MAS)とよぶ[10]。感染症においてもグラム陰性菌による敗血症では膜構成成分であるリポポリサッカライド(LPS)がサイトカインストームを誘導する[11]。原発性免疫不全症やEpstein-Barr(EB)ウイルスなどの感染症に伴う血球貪食性リンパ組織症. (hemophagocytic lymphohistiocytosis:HLH)[12]もCRSの一病態である。
 関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)疾患概念・病態など慢性炎症性疾患において炎症の慢性化はなぜ起こるのか、炎症病態が進行するなかでマクロファージ活性化症候群(MAS)や血球貪食性リンパ組織球症(HLH)など病態の急性転換はなぜ起こるのか、いずれも未解決の問題であり、また、SARS-CoV感染、MERS-CoV感染とともにSARS-CoV-2感染においてCRSに至る原因も不明である。しかし、生じていることは自然免疫系(innate immunity)の調節機能障害を背景とした多彩な炎症性サイトカインやケモカインの産生・分泌の調節破綻であり、治療戦略は分泌された炎症性サイトカインやケモカインを緊急に排除することと、過剰な産生を抑制することに尽きる[13]。他方、ベッドサイドにおいてはいくつかの一般検査項目をモニターすることでサイトカインストームの状態を的確に判断することは可能であり、この判断に従って早期に適切な治療を導入すればCRS状態の改善を期待できる。

 ところで、ごく最近、自然免疫系の活性化・調節と炎症の増幅・慢性化にミトコンドリアが関与しているとの報告が蓄積してきた[14]。ミトコンドリアは、ヒトにエネルギー(ATP)の90%以上を供給する細胞内小器官であるが、感染症および非感染性の臓器・細胞傷害や損傷に対して積極的に自然免疫系を調節していることが明らかになり、ミトコンドリアに由来するタンパク(n-FP、Cardiolipinなど)やミトコンドリア自体の持つミトコンドリアDNA(mtDNA)が自然免疫系に直接働きかけてTLR(Toll-like receptor)、NLRP(NOD-like receptor PYD)、cGAS-STING経路を活性化していることが判明した[15]。感染症を含むさまざまなストレス要因がミトコンドリアの傷害・損傷に関わり、ミトコンドリアタンパクやmtDNAが放出されて炎症の慢性化が生じ、さらに慢性炎症の急性転換に関わっており、COVID-19においてみられるCRSにおいても同様に病態の誘導に関わっている可能性がある。

 この稿では、COVID-19感染に関連して生じるサイトカインストームの病態を考察し、時々刻々と変化する病態をベッドサイドでどのように評価するのかを明らかにして、COVID-19重篤例のCRS/多臓器不全からの救命をめざした治療法について検討を加えたい。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

 2019年12月に中国武漢市ではじまった新型コロナウイルスSARS-CoV-2の流行は、中国のみならず全世界に拡大している。この新型コロナウイルス感染症はCOVID-19と命名され、感染者数は4月21日現在全世界で200万人を越え、死亡者数も16万人を越えたと報道されている。
 ヒトに関わるコロナウイルスにはこれまで7種類が知られており、うち4種類は上気道に感染を起こすごく普通の“風邪ウイルス”で、風邪の流行時には原因ウイルスの20~35%を占める。他方、3種類のウイルス、SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2は下気道感染を起こし、極めて重篤なARDSや多臓器不全を呈することが知られている[5,6]。

 SARS-CoV-2は、ウイルス学的にはSARS-CoVやMERS-CoVとともにβ-コロナウイルスに属するpositive-stranded RNAウイルスである。ヒトのSARS-CoV-2受容体は心機能や血圧調整に大きく関与しているアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)[16,17]で、ウイルスのエンベロープの王冠(コロナ)様突起(spike)のSタンパクが受容体に結合して、ウイルスのRNAゲノムが細胞内に侵入する。ACE2受容体のSタンパクに対する親和性はSARS-CoV-2では極めて高いことが報告されている[18]。このACE2受容体は、肺胞上皮細胞の83%に発現しているため気道・肺胞上皮細胞がCOVID-19の第1の感染標的となっているが、同時に心臓、腎臓、血管内皮細胞、消化管の細胞にも発現していることに注意を要する。

 すべてのコロナウイルスは人畜共通感染ウイルスであり起源はコウモリといわれているが、感染には厳密な種特異性がある。遺伝子変異を起こして、ある動物から他の種の動物へ感染を起こした場合には、当初は激しい病原性を発揮することがあるが、やがてその種に徐々に馴染んでくる傾向があるとされる。しかし、COVID-19は現在世界中でいまだ激しい病原性を発揮している時期にあり、その病態をいかに理解し、どのように対応すべきかを医学・医療界の周知を結集して議論すべきときである[19]。

病理学的変化

 わが国のCOVID-19感染症例の病理学的報告はなく、中国からいくつかの報告がある[20,21]。Xuらによると、病理組織学的には両肺ともびまん性に肺胞の障害を認め、細胞浸潤と線維粘液様滲出物で満たされていた。右肺は肺胞細胞の剥離を認め硝子膜形成があり、ARDSの所見を呈していた。左肺は肺水腫像を呈し硝子膜形成がはじまっており、ARDS初期像と考えられた。間質には炎症性単核球とリンパ球の浸潤を認め、肺胞内気道空間部位には多核合胞体細胞を認め、異常に巨大化し核が肥大化した肺胞細胞が混入していた。この巨細胞にはウイルス感染の痕跡が認められた。このような組織所見は、SARS-CoVやMERS-CoVでみられたものと同じものであった。肝組織では中等度の微小胞脂肪症を認め、小葉および門脈の変化は少なかった。この所見からSARS-CoV-2の感染か薬剤による肝障害が疑われた。心臓組織は間質に炎症性の単核球の浸潤は認めたが、心筋そのものに障害はなかった。

 中国の「新型コロナウイルス肺炎診療ガイドライン」[22]によると、肺ではⅡ型肺胞上皮細胞の著しい増殖を認めることも多く、このⅡ型肺胞上皮細胞やマクロファージ内には封入体がしばしば認められ、電子顕微鏡で細胞質内にSARS-CoV-2粒子を認めることもある。肺組織には出血や壊死が起こり、出血性梗塞がみられる。脾臓・肺門リンパ節・骨髄では、脾臓の萎縮が明確に認められリンパ球数が著しく減少している。脾臓内ではマクロファージの増殖と貪食像がみられる。脾臓においても末梢リンパ節においてもCD4+T細胞もCD8+T細胞もともに減少している。骨髄では汎血球減少が認められる。心臓では心筋細胞の変性・壊死がみられることがあり間質に少数の単球、リンパ球、好中球の浸潤がみられる。腎ではボーマン嚢腔内にタンパク質性滲出物を認め、尿細管上皮は変性・脱落がみられ、硝子様円柱もみられる。脳組織では充血と浮腫がみられ、一部ニューロンの変性がみられる。

COVID-19の病態

 SARS-CoV-2はSARS-CoVと相同性が最も高く、2002年のSARS-CoV流行時の社会的・ウイルス学的経験と、COVID-19を先行して経験した中国の報告等を勘案する必要がある[1,2,9,13]。これらコロナウイルス感染症重篤化に関する病態生理は、生体内でのウイルスの急速な増殖と感染に起因する激しい炎症病態であり、その反応が過剰で制御不全となった場合にはCRSに引き続いて起こる多臓器障害のはじまりとしてARDSが生じ、やがて多臓器機能障害症候群(multiple organ dysfunction syndrome:MODS)・多臓器不全(multiple organ failure: MOF)に至り死の転帰をとる過程である。

 Yangの報告[23]によると、早期の急速なウイルス増殖によりSARS-CoV-2は気道・肺胞上皮細胞、血管内皮細胞に感染を起こし激しいアポトーシス(プログラム細胞死)と血管漏出を誘導している。また、マクロファージへの感染はNLRP3-inflammasomeの活性化を促し、IL-1βの産生・分泌とともにパイロトーシス(プログラム細胞死)の原因となっている。パイロトーシスは、マクロファージがIL-1β/IL-18分泌により炎症を誘導しつつ細胞内でのウイルスの増殖を抑制するためのプログラム細胞死である[24]。

 また、Huangら[8]によると、臨床症状は高熱にはじまり、咳嗽、激しい筋痛、だるさ・倦怠感、そして呼吸障害が出現し、胸部CTにて肺炎像が認められる。この間に著しい白血球数・リンパ球数の減少がすすみ、PPT延長とD-dimer上昇、血小板数の低下、ALT上昇、徐々にAST/LDHの上昇、そしてアルブミンの低下などが明らかになってくる。また、血漿中IL-1β、IL-1Ra、IFN-γ、IP10、MCP1、IL-8、IL-10、TNF-αなどが上昇し、ICU入室患者(全例がARDS)と非ICU患者と比較すると、前者の多くの患者でこれら炎症性サイトカインとケモカインの著しい上昇を認めた。血中のRNA増加の観察から著しいウイルス血症が生じており、その後、急性心筋障害、二次感染症を併発した。以上より、病態的には、SARS-CoV-2感染により自然免疫の過剰活性化により著しいサイトカインストームが生じたこと、一方、リンパ球数の著しい減少から獲得免疫系の機能障害が推定された。

 Zhangら[25]は重篤なCOVID-19例にみられるサイトカインストームのなかで、IL-6が過剰な炎症病態の中心的なサイトカインと考え、「新型コロナウイルス肺炎診療ガイドライン」[22]に基づいて最重症と診断された21例に対してIL-6受容体拮抗薬であるトシリズマブを用いたところ、19例が危機を脱したことから、IL-6が重篤化のleading cytokineであると主張している。

自然免疫の仕組みと炎症性サイトカイン

図1 自然免疫系と獲得免疫系

図1 自然免疫系と獲得免疫系

 自然免疫系は、外的ストレス因子(ウイルスや細菌などの感染因子)をPAMPsとして、内的ストレス因子(傷害された細胞や死細胞の破砕物、ミトコンドリア破砕物など)をDAMPsとして、TLRs、NLRP3インフラマソームなどを介して認識する。一方、ウイルスや細菌のDNAはcGAS-STING系を、ウイルスRNAはRLR系を介して認識する。その結果、細胞内伝達機構によりNFκB、AP1、IRF3/7などの転写因子を活性化して炎症性サイトカインやインターフェロンの産生を行っている。

 細菌やウイルスの感染という外環境(外因性)のストレス、および、体内環境(内因性)のストレスに対して、生体は恒常性を維持するために免疫系を活性化してストレス応答を行う。この免疫系を大きく2つの段階に分けて考える。自然免疫(innate immunity)と適応免疫(adaptive immunity)である[26]。自然免疫は“炎症”を惹起して生体防御を行うが、抗原を処理して抗原特異的な免疫応答を行うのが“適応免疫”である。自然免疫においてストレス分子を感知するのがパターン認識受容体(pattern recognition receptors :PRRs)[27]で、病原微生物の保存された分子(グラム陰性菌のLPS、グラム陽性菌のペプチドグリカンなど)を結合して“異物”と認識する(pathogen-associated molecular patterns:PAMPs)。内因性ストレス分子に対しては機能・構造の変化、あるいは組織・細胞の傷害に伴う変化を認識する(damage-associated molecular patterns: DAMPs)。

 通常、自然免疫の反応は、その認識も炎症反応に関わる細胞の局所への呼び寄せも極めて迅速に行われ、炎症を惹起する炎症性サイトカインやケモカインの産生・放出、傷害組織の再生へと進み、同時に抗原情報は抗原特異的な適応免疫へとインターフェロン(IFN)-αの機能を活用しながら引き継がれていく。他方、近年、内因性ストレスに対して、いわばストレス・センサーとしてのミトコンドリアの新規機能が発見された[28]。第1に、ミトコンドリアの傷害・機能不全の反映として直接に自然免疫系を刺激する機能、第2に、通常のミトコンドリア機能やその過程で付随的に起こる自然免疫反応の調節機能があげられる。

1.パターン認識受容体と自然免疫

① Toll-like receptor(TLR)

 炎症の過程は、DAMPsやPAMPsがPRRsに結合するところからはじまる。TLR(Toll-like receptor)はPRRsのひとつで10種存在し、細胞表面にはTLR1,2,4,5,6、エンドソームにはTLR3,7,8,9がある。TLRsは活性化するとシグナル伝達系を介してNFκBを核へ誘導し、サイトカイン遺伝子の転写を促す。TLR3はdsRNAを、TLR4はLPSをリガンドとしている。また、TLR9、TLR4活性化はミトコンドリアも関わっている[28]。TLR7はウイルスの核酸により活性化するが、ここにもミトコンドリア膜の関与が報告されている。また、DAMPsやPAMPsは、マクロファージなど食細胞に貪食された場合にもエンドソームと同様に転写因子NFκBの活性化によりサイトカインの産生に関わるが、同時に貪食した抗原の処理により生じたペプチドを特異抗原として獲得免疫系の活性化につなげる。

② NLRP3インフラマソーム

 NLRP3はインフラマソームのひとつで、当初はその遺伝子変異が原因である自己炎症性疾患(cryopyrin-associated periodic syndrome:CAPS)に関わる分子複合体とされたが、近年、感染症だけでなく炎症が関わるさまざまな慢性病態、代謝性疾患、虚血-再還流傷害、動脈硬化症、アルツハイマー病などの病態に関わる分子複合体と考えられるようになった[30]。NLRP3の活性化は2段階を経て生じ、まず前段階の感作(priming)、続いて活性化(activation)が起こる。Priming段階では、TLR活性化やサイトカインの膜受容体への結合、細胞内に注入されたウイルスRNAや細菌由来のDNAによりNLRP3の活性化が起こり、次いで、機能性インフラマソームとしての〔(NLRP3)-(cardiolipin)-(pro-caspase-1)-(ASC)〕複合体を形成してpro-caspase-1の活性化が起こり、この活性型caspase-1がIL-1β、IL-18の前駆体であるpro-IL-1βとpro-IL-18を酵素的に切断、活性型のIL-1β、IL-18となり細胞外へ分泌される。なお、NLRP3はミトコンドリアに存在しIL-1β、IL-18分泌とともに、その細胞は一種のプログラム細胞死(パイロトーシス)に至り、ウイルスなどの細胞内増殖を阻止し、ミトコンドリア破砕物やミトコンドリアDNAはさらなる自然免疫の活性化に資することになる[24]。

③ Retinoic acid-Inducible Gene like Receptor(RIR)

 ウイルスのゲノムは細胞内で増殖を繰り返すので、細胞表面にあるTLRsによるサイトカイン誘導は不可能である。細胞内に侵入したウイルス・ゲノムを認識し、Ⅰ型IFNを産生・分泌するシステムがTLRsやインフラマゾームとは別に存在する[31]。RNAウイルスのゲノムに関してはretinoic acid inducible gene like receptor(RIG-I、MDA5、LPG2)などが、ウイルスRNAのセンサーとして機能する。シグナル伝達系を介して転写因子IRF3、IRF7、NFκBを活性化し、Ⅰ型IFNと炎症性サイトカインの転写を行う。

④ cGAS-STING経路

 細胞内のウイルスDNAを認識し、Ⅰ型IFNの産生・放出に関わるシステムである[32]。また、障害を受け機能不全に陥り細胞内に放出されたmtDNAは、この系も活性化する。細胞内のウイルスDNAやmtDNAは、cGMP synthase(cGAS)に結合して活性化し、GTP、ATPをcGAMP(cGMP-AMP)にしてSTINGを活性化する。この経路ではIRF3とNFκBなど転写因子を活性化することで、Ⅰ型IFNと炎症性サイトカインを産生・分泌する。

2.ミトコンドリアと自然免疫

図2 ミトコンドリアによる自然免疫系の活性化と調節システム

図2 ミトコンドリアによる自然免疫系の活性化と調節システム

 ミトコンドリアの破砕物(DAMPs)は自然免疫系の活性化に関わっている。ミトコンドリアDNA(mtDNA)は、ミトコンドリアの機能不全・破壊により細胞質内に遊出する。その結果、cGAS、CGAMP、STINGを介する細胞内伝達システムが活性化して転写因子の活性化に至る。また、細胞外にでたmtDNAは、貪食された後、endosomeTLR9を介してサイトカインの産生に至り、NLRP3インフラマソームの活性化を介してIL1-β、IL-18の産生に至る。

 ミトコンドリアは生体の個々の細胞が必要とするエネルギー(ATP)を供給する細胞内小器官である。ATP産生にはマトリックスが陰性荷電状態であることが必須で、これにより電子が電子伝達鎖を介してATP合成に至る。この陰性荷電状態はさまざまなストレス因子、たとえば抗酸化剤、酸化的リン酸化基質、膜非結合物質などにより破綻する。陰性荷電状態が破綻すればATP産生障害が生じ、活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)を産生・分泌して生体内に広範な損傷をもたらすことが知られている[33]。さらに障害されたミトコンドリアは膜機能を失い、その構成成分であるカルジオリピン、活性酸素種、mtDNAなどは細胞質内、次いで血中に放出されるが、これらの物質がDAMPsとして自然免疫系を活性化することになる[28]。
 カルジオリピンは動物の心筋組織に検出されるが、ミトコンドリアの内膜にも存在する。ミトコンドリアは、その機能を発揮するため劇的に構造的な変換(fission-and-fusion)を遂げるが、これはカルジオリピンの特殊な機能による。また、カルジオリピンがミトコンドリア外に放出されると、NLRP3インフラマソームを活性化して炎症性サイトカインの産生を促す。

 ミトコンドリアは20億年前に真核細胞と細胞内共生に入ったプロテオバクテリアに由来する。独自のDNA(mtDNA)を持ち分裂・増殖するが、細菌由来のDNAであるためにヒトのヌクレアーゼでは劈開できない。細胞死やミトコンドリアが傷害を受けると、mtDNAは細胞質へ放出され、そして体循環に乗るとNLRP 3インフラマソーム、TLR9/TLR4、RIRなどを介して自然免疫系を強力に活性化し、炎症反応を誘導する。臨床場面で、外傷、RA、大腿骨骨折、ショックなどの病態で血中mtDNAが上昇しているとの報告がある。
 ミトコンドリアは全身の個々の細胞に存在する細胞内小器官であり、生体がサイトカインストーム状態に陥った状況でさまざまな細胞の障害、細胞死が生じることになれば、ミトコンドリア由来のカルモジュリンやmtDNAなどが病態形成に果たす役割には、極めて重要かつ深刻なものが多いものと推察される。

サイトカインストームと身体反応からみた病態生理

 炎症性サイトカインおよびケモカインの産生・分泌がCRSに至り制御不全に陥ると、体内の臓器や組織では、①障害を受けた細胞・組織からDAMPsが放出される、②感染組織や体内の微生物叢から多くのPAMPsが生じる、③過剰なサイトカイン・ケモカインによる上皮細胞傷害、内皮細胞傷害、ミトコンドリア傷害、そして免疫機能の破綻に至る。そもそもCRPは疾患名ではなく、時々刻々と変化する(悪化していく)病態名であり、その結果、①組織・細胞障害はアポトーシス/ネクローシス/パイロトーシスなどにより広範な細胞障害産物(AST/LDH)の上昇や肝特異酵素(ALT)、筋特異酵素(CK/aldolase)の上昇をみる、②広範な内皮細胞障害は、凝固線溶系の破綻と血漿の血管外への漏出を起こしDICに至り、③ミトコンドリアの機能障害により自然免疫系はさらに活性化される。ミトコンドリア・ストレス、細胞傷害・細胞死により細胞内、流血中に放出されたカルジオリピンやmtDNAは、炎症病態をさらに進展させることになる。

 発熱、だるさ・倦怠感、食思不振などの臨床症状、炎症マーカーCRP上昇などはIL-6とIL-1βに誘導されることは周知のことであるが、それぞれのサイトカインには特有の機能が存在し、血液検査値の変化を総合的に勘案することでCRSの進行の度合いをベッドサイドにおいて把握することが可能になる。IFN-γの上昇は、血管内皮細胞の活性化を促し、HLA class I分子と接着分子の発現を誘導する。IFN-γ過剰状態になると活性化した内皮細胞は崩壊に至り、内皮下層のコラーゲンが露出し、そこにフォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand facter:VWF)が結合して多くの血小板が付着する。同時に、露出したコラーゲンは凝固内因系を活性化させ、内皮細胞崩壊により放出された組織因子により凝固外因系も活性化することにより、破綻した血管内皮細胞領域を血小板とフィブリンが覆うことになる。フィブリンの形成はプラスミンを活性化させ、その結果、血中にFDPやD-dimerが増加することになる。血管内で、この凝固線溶系システムに破綻が生じた状態が微小血管凝固障害であり播種性血管内凝固症候群(DIC)である。

 さらに、過剰なIFN-γは骨髄でマクロファージを活性化して貪食を促し、その結果末梢血の白血球数・血小板の減少、貧血が生じる。TNF-αは受容体に結合すると細胞内伝達システムによりミトコンドリアに透過性転換を誘導してcytochrome Cを放出させ、細胞内でcaspase-3を活性化してDNAを破壊することによりアポトーシスを誘導する。この結果、AST/LDHは急峻に増加し、諸臓器の細胞破壊が進むと筋細胞であればCK/aldolase、肝細胞であればALTも上昇してくる。TNF-αには網内系よりフェリチンを誘導する機能があり、ベッドサイドではフェリチン値がTNF-α過剰状態のよい指標になる。TNF-αのもうひとつの機能として、脂肪組織におけるリポタンパク質リパーゼ活性を抑制することによりトリグリセリドの上昇、コレステロールの低下を促すので、これもベッドサイドでサイトカインストーム病態のよい指標になる。さらに、COVID-19においてはリンパ球の減少が著しく、免疫機能の不全に伴う二次感染には十分な配慮が必要である。

 SARS-CoV-2感染により自然免疫系に大量のPAMPsが曝露され、また、組織・細胞障害がすすみ多くのDAMPsが加わり、炎症性サイトカイン・ケモカインの過剰状態が生じる。このためアポトーシスが進行し、マクロファージのパイロトーシスが進展してIL-1β/IL-18によりさらに過剰な炎症状態となり、このサイトカインストーム状態の結果、気道・肺胞上皮細胞傷害からARDS、内皮細胞傷害から微小血管凝固障害が進行し、ミトコンドリアのマイトファジー、異化、機能不全が進展してMODSへと移行する。さらに、免疫系細胞の機能不全から容易に二次感染症に至る。すなわち、SARS-CoV-2感染に引き続いて生じる自然免疫の活性化がCRS病態を形成し、やがてMODSからMOFに至る流れが理解できることになる。

COVID-19におけるサイトカインストームの治療法

 COVID-19に対する治療は、①抗ウイルス薬による病原体の処理、②サイトカインストーム状態に対する治療、③機能障害に至った呼吸器系や中枢神経系の傷害に対する治療に分けられる。①は、現在、さまざまな抗ウイルス薬が候補にのぼり、ファビピラビル(アビガン®)[34]の臨床試験がはじまる。また、COVID-19のACE2受容体への結合を阻止することも戦略のひとつであろう(ナファモスタット;フサン®)[35]。③はICU管理の問題であり体外式膜型人工肺装置(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)が実際に供されている。本稿の目的は、②の検討にある。

1.抗IL-6療法:トシリズマブ(アクテムラ®)

 トシリズマブは、わが国で開発されたヒト化抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体で、わが国では関節リウマチ(RA)、若年性特発性関節炎(JIA)、高安動脈炎など8疾患に承認を得た抗リウマチ薬である[36]。このなかにCRSであるマクロファージ活性化症候群への急性転換を起こしうる全身型JIA(SJIA)、成人スチル病が含まれる。SARS-CoVおよびMERS-CoVなどのコロナウイルスは、自然免疫の過剰活性化に伴い調整不能な過剰サイトカイン・ケモカイン血症を誘導し、CRSからARDS、そしてMODS/MOFへ、最終的に死へ向かう一連の病態を誘導するが、この病態は、引き続いてエフェクターT細胞の過剰活性化と炎症性サイトカインのさらなる過剰分泌を促し、その結果、血管内皮細胞の機能破綻・破壊、血管外への血漿の漏出、臓器組織の細胞破壊、凝固線溶系の機能破綻、DICなど生体の崩壊へ向かった一連の機能的・器質的障害を引き起こすことはすでにみてきたとおりである。この病態の中心的なサイトカインの一つがIL-6であり、過剰なIL-6機能を抑制することが治療戦略のひとつとして浮上する。
 中国からの報告[37]によると、COVID-19において重篤な呼吸器症状・呼吸障害を呈した21例(ロピナビル、メチルプレドニゾロンが無効)に対してトシリズマブを投与したところ、翌日より臨床症状、酸素飽和度、検査所見、胸部CT所見のいずれもが改善し、重篤例2例を含む19例(90.5%)は13.5日以内に退院に至り、残り2例も院内で良好な経過をとった。また、全例でトシリズマブの副作用とみなせる所見は得られなかった。現在、トシリズマブは中国およびイタリアにおいてCOVID-19の治療薬として推奨されている[38-40]。

2.抗IL-1療法:アナキンラ(キネレット®)

 サイトカインストームを構成する中心的なもうひとつのサイトカインがIL-1βである。SARS-CoVやMERS-CoVでは、IL-1βとIL-18の放出とともに生じるパイロトーシス(プログラム細胞死)を誘導することが知られており、これにより生体防御的にはIL-1βを発しつつウイルスの細胞内増殖を抑制することになる。
 アナキンラは、IL-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)のリコンビナントタンパクである。IL-1αやIL-1βと同程度の親和性でIL-1受容体と結合する。わが国では承認された適応疾患はないが、アメリカのFDAではRA、自己炎症性疾患(MWS、FCAS、NOMID)などが承認されている。サイトカインストームを伴う重篤な敗血症の第Ⅲ相試験において、アナキンラは救命率の著しい改善を示した[41]。CoV感染に対してのアナキンラ使用例の報告はない。

3.抗TNF療法:アダリムマブ(ヒューミラ®)

 TNF-αは、急性および慢性の全身性炎症の中核的な、他の炎症性サイトカインを網羅的に誘導しえるサイトカインとみなされている。動物実験では、LPS誘導敗血症モデルで臓器細胞のアポトーシスを誘導し、RAなど自己免疫疾患でも主要な役割と演じている。TNF阻害薬は多種開発されているが、アダリムマブはヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体製剤で、適応疾患はRA、関節型JIA、ベーチェット病、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患である。SARSではTNF-αは中等度に上昇しているが、COVID-19では極めて高値であることが観察され、また、疾患活動性ともよく相関していた。中国では、アダリムマブ(抗TNF-αモノクローナル抗体)の重篤な肺炎を呈するCOVID-19に対する臨床試験がはじまっている[42]。

4.JAK阻害薬:バリシチニブ(オルミエント®)

 炎症性サイトカインであるIL-6やTNF-αが炎症を引き起こす際には、細胞の受容体に結合して細胞内シグナルの活性化が生じる。この受容体の細胞内部位には細胞内チロシンキナーゼ(Janus kinase:JAK)が結合している。サイトカインがこの受容体に結合すると、JAKのリン酸化とともに、転写因子STAT(signal transducers and activator of transcription)のリン酸化が誘導され、リン酸化されたSTATは二量体を形成して核内へ移行し転写を制御している。JAK阻害薬は、細胞内でサイトカイン刺激により誘導されるJAKの活性を競合的に、かつ特異的に阻害するので、理論上は複数のサイトカインを同時に阻害する。わが国では、現在3種類のJAK阻害薬、トファシチニブ、バリシチニブ、ベフィシチニブが上市されているが、バリシチニブは肺細胞へのウイルスの侵入を阻止する機能をもち、サイトカイン刺激で誘導されるJAKの活性を即時的に阻害する。したがって、COVID-19に伴う肺細胞内へのウイルスの侵入とサイトカインストームによる病態形成を阻止できる可能性がある。他のJAK阻害薬であるトファシチニブにはウイルスの侵入を阻止する機能はない。なお、現在、JAK阻害新薬の開発が進んでおり、中国ではこれら新薬のCOVID-19を対象にした臨床試験が進められている[43,44]。

5.メラトニン

 メラトニンは松果体から分泌され、受容体を介して概日リズムの同調を行い、睡眠ホルモンとして知られている。他にも広範囲にわたる強力な抗酸化物質としての役割、抗炎症作用も知られている。メラトニンはSARS-CoV、SARS-CoV-2などの受容体であるACE2の発現を間接的に調節することにより、これらCoVの細胞内侵入を阻止する可能性がある。すなわち、カルモジュリンのACE2受容体への結合を阻害して、CoV感染の重要な過程である外部ドメインの排出を抑制している[45]。
 また、メラトニンはミトコンドリアを標的とした抗酸化作用を介してDNAの保護を行っており[46,47]、COVID-19においてもCRSストレスに対して機能不全に陥ったミトコンドリアの回復に有用である可能性がある。しかし、現在、薬剤としてのメラトニンはわが国にはなく、今後の検討が待たれる。

6.メチルプレドニゾロン・パルス療法

 ステロイド薬の全身的投与は、過度な炎症状態を終息に向かわせるために用いられる。SARS-CoVでは免疫調節薬として治療の中心的位置を占めていた。適切な時期に開始されれば消炎効果を認め、画像的改善が得られ、酸素化の改善も認められた。一方、早すぎる投与は、逆にウイルスの増殖を促し病状の悪化を促進した。したがって、ステロイド治療は、投与の時期、種類、量、投与期間などを勘案して開始することが重要である。
 COVID-19においてもARDSに至った例やベッドサイドでサイトカインストーム状態と判断された場合には、メチルプレドニゾロン・パルス療法は選択枝のひとつであろう。本法は全身性エリテマトーデス、血管炎症候群、全身性皮膚硬化症などのリウマチ性疾患では、急性増悪期・サイトカインストーム病態(マクロファージ活性化症候群)やプレドニン経口量の減量を目的として用いられ、そのほかにも急性循環不全(ショック状態)や、悪性リンパ腫の急速に進行する中枢神経障害や間質性肺炎の例などに用いられている。COVID-19では、中国ですでに重篤なARDSに至った症例に対する臨床試験がはじまっている[48]。ただしわが国では、パルス療法はメチルプレドニゾロン500~1,000mg/day、3日間が標準的であるが、中国での臨床試験では投与量が1~2mg/kg/day、3日間と、極めて少ない特徴がある。

7.体外的治療法(血漿交換療法と持続的血液濾過透析)

 体外的治療法のひとつとして、血漿交換療法がある。敗血症から多臓器不全に至った例やマクロファージ活性化症候群で臓器細胞障害の進展・DICのみられる例に対して、その基盤となる過剰な炎症性サイトカインを除去して過度の炎症病態と凝固線溶系障害の進展を阻止するうえで極めて有効な治療方法である。COVID-19のサイトカインストーム状態にも血漿交換療法は有用と思われる[49,50]。
 もうひとつの体外的治療法である持続的血液濾過透析によりCOVID-19の起こした重篤な腎疾患患者を救命した報告はある[51]。この方法は、いわば一過性腎置換療法とよべるもので、敗血症患者にみられる急性腎不全状態における尿毒症、電解質均衡異常に対応でき、持続的輸液による体液バランスの管理を行うのに有用である[52]。輸液管理が困難で輸液量が過剰になることは、このような患者では死に直結することになる。

おわりに

 感染症に対する生体防御機構として自然免疫系(炎症システム)と獲得免疫系が存在するが、このシステムも、COVID-19の感染を契機に明らかになってきたことは、免疫系のみならず生体の全細胞の細胞小器官であるミトコンドリアが関わっており、さらには自律神経系、内分泌系の関与もあると思われ、生体は全身で対応を行っていることがわかる。炎症システムの制御破綻がCRSであり、サイトカインストーム状態がこれらの生体防御システム機能を乗り越えて生じているとすれば、このような病態への対応にはさらに柔軟な戦略を構築しなければならないと思われる。病態の科学的考察がいまこそ求められている。

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