3番目は脱北者に対する韓国社会の差別や偏見(15.4%)だ。
韓国は外国人がみたら驚くほど「民族」という言葉を強調する国だ。だがそれは、同じ民族の人を無条件に歓迎するということを意味するわけではない。同じ民族だとしても外国から来た人に対しては他民族の外国人に対するよりも冷たいのだ。その代表例が中国出身の朝鮮族や脱北者たちに対する態度だ。
彼らは韓国では外国人、あるいはそれ以下の扱いを受けるのだが、中でも最も底辺の扱いを受けているのが脱北者たちだ。脱北者たちが就職するときに「脱北者よりは就職しやすい」という理由で朝鮮族だと身分を偽るというケースもあるほどだ。
このように、韓国社会に適応できない脱北者たちの中には、再び新しい生活の場を求めて『脱南』を試みる人たちもいる。脱北者たちが脱南する際の目的地はイギリス、カナダといった欧米諸国だ。難民に対する待遇がいいというのが大きな理由だという。
欧米諸国に渡ったからといってアジアからきた難民に対する偏見や差別が無いというわけではないだろうが、脱北した人たちは韓国で同じ民族から受ける差別よりは、欧米諸国で2等国民として生きる方がまだ諦めがつくという。受けるストレスの量が違うというのだ。
一方、多くの韓国人は彼らが「脱南」することを快く思わない。脱南者たちのうちの大部分は難民として認めてもらうため、脱北し一度は韓国に渡ったという事実を隠すか、あるいは、韓国内で差別をうけたということを大げさに強調するためだ。
韓国へ来た脱北者たちは一定期間、社会適応の為に教育と経済的支援を受ける。そして韓国社会に出て、血のにじむような努力と競争の末に経済的に自立し、成功を収めた人も少なくない。そういった人たちがいることを知っている韓国人の立場から見れば身分を偽ったり、韓国内での差別を強調して亡命しようとする脱北者たちは単なる「不適応者」にしか見えないのだ。