離婚の噂を直撃のはずが…吉田拓郎の自宅で見た巨人広島戦
フォーク歌手の神様と呼ばれた吉田拓郎が最初の妻との結婚生活(1972~75年)を送っていたころだった。音楽業界の人から「確かな情報」として別居説がもたらされた。それも「拓郎が自宅を出ていった」という話。別の女性の影がちらついていたわけではないが、別居の延長線上にあるのが離婚。別居だけでも記事の価値があると判断した。
近所の聞き込みから取材を開始するが、「あまり見かけない」という話しかない。閑静な住宅街を人気歌手がそうそう出歩くこともあるまい。家に残る妻の直撃に踏み切った。目黒にあった豪邸。一軒家は夜のほうが部屋の明かりで在宅か否かわかりやすい。夜の取材は暗黙のうちに9時ごろまでを常識な時間にしていたこともあり、8時すぎに訪ねた。インターホンなどない時代。玄関の呼び鈴を押した。
「だれだ!」と野太い男の声だった。奥さんがいるはずなのに――。「奥さんに別な男?」、そんなことが頭をよぎった。ドア越しに奥さんの在宅を尋ねると、出てきたのは吉田拓郎本人だった。言葉を失った。