アメリカのトランプ大統領は11日、ついに、初めてマスクを着用して、公の場に姿を見せた。

着けているのは、大統領の紋章のついたマスク。

アメリカの1日の新規感染者が7万人に迫る中、これまでかたくなにマスク姿を見せることを拒んできたトランプ大統領だが、どんな心境の変化があったのか、ワシントン・藤田水美支局長が解説する。

秋の大統領選に向け、マスクを「する」のか「しない」のか、トランプ大統領も無視できない大きな争点となっている。

初めてマスクをして、公の場に出たトランプ大統領。

その表情は険しく、マスクをしていたのはこの場面だけで、建物の外では、これまで通りマスクはしていなかった。

トランプ大統領「推奨されているだけで義務ではないから、マスクは着けない。わたしは元気だし、マスクは着けたくない」

トランプ大統領がマスク着用を拒んできたのには、弱いリーダー像を避けたい思惑や、「個人の自由」を理由にマスク着用に反対する保守層が自身の支持層と重なったことなどが理由とされている。

一方、大統領選の対抗馬となることが確実な民主党のバイデン前副大統領は、マスクにサングラスの「完全防備」でイベントに出席するなど、トランプ大統領とは正反対の対応で批判を続け、マスクを着ければ「反トランプ」、着けなければ「親トランプ」と、マスク着用が政治問題になる不毛な対立も生んでいる。

こうした中で、トランプ大統領が態度を一変させた理由は、新型コロナウイルスの感染リスクを減らすにはマスクの着用が不可欠だとの認識が、アメリカに浸透してきたことが挙げられる。

経済再開を推し進めてきたテキサス州やネバダ州は感染者が急増し、マスク着用が義務化された。

また6月末には、金融大手が全米でマスク着用を義務付けた場合、GDP(国内総生産)の落ち込みを5%軽減できるとの試算を示すなど、マスク着用による経済効果が注目されている。

マスク嫌いのトランプ大統領にとっても、低迷する支持率と経済を回復するために、マスクは軽視できない問題となっている。