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俺だけレベルが上がる世界で悪徳領主になっていた 作者:わるいおとこ

第 2 章 俺だけが見分けられる人材。そんな宝石。

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 *


 フランは深淵を彷徨っているうちに目を覚ました。

 頭がずきずき痛む。


「くっっ……っ」


 彼を救った家臣が跪いた。


「殿下!」


「メルト……?」


 補佐で家臣のメルトを見た瞬間、自分がこの場所で目を覚ました理由がわかった気がした。


「フラン家の宝具を使ったのですか?」

「殿下を救うためには仕方ありませんでした。どんな罰でもお受けします!」


 古代の宝具。

 それはフラン家が1000年かけて生み出してきたマナの陣が宿るアイテムだった。

 強力なマナが宿っているもので、宝具によって違う特性を持っていた。


「では……。その宝具は破壊されてしまいましたね」

「はい……。申し訳ございません!」

「まあいいです。あなたに罪はありません。相手のことをきちんと把握できていなかった自分のせい……。それより、我が軍は!」

「申し訳ありません……。いつお目覚めになられるかわからなかったので、戦場にいるわけにはいきませんでした。今ここは、ナルヤの国境沿いにあるロエン領地です」


 ロエン。

 侵略のために今回初めて駐屯した領地。

 そこからルナン王国北部の領地を順番に占領していった。


「……」


 フランは歯を食いしばった。

 自分もやられた。

 そんな人物に総大将のいない兵力が持ちこたえるのは無理だ。


「全軍に退却を命じます! 一目散に退却すべきです。すぐにでも兵士を送ってください。 ひとりでも兵士を救わなければ……」

「かしこまりました、殿下!」


 完全なる敗北だった。

 すべてにおいて負けてしまった。

 フランはぶるぶる体を震わせた。


 エイントリアン・エルヒン。

 あんな存在がルナン王国にいたなんて。

 私の戦略だけでなく、マナの陣まで撃破する人物が!


「今度は……。次があるなら必ず……」


 ガンッ  !

 そのように言いながらフランは壁に頭を打ちつけた。



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