防衛大臣記者会見
- 日時
- 平成31年3月19日(09:39~10:05)
- 場所
- 防衛記者会会見室
- 備考
- 岩屋防衛大臣閣議後会見
1 発表事項
私から2件、御報告がございます。1つは将官人事でございます。1件目は本日の閣議におきまして、平成31年4月1日付の将官人事8件について内閣の承認がなされました。このほか、同日付で、将につきましては12件、将補につきましては46件の異動等を行います。2件目ですけれども、「瀬取り」についてでございます。国連安保理決議により禁止された、北朝鮮籍船舶の「瀬取り」を含む違法な海上活動に対する英国による警戒監視活動についてお知らせをいたします。英国は、昨年来実施されてきた、海軍フリゲート「サザーランド」、揚陸艦「アルビオン」及びフリゲート「アーガイル」による警戒監視活動に引き続き、本年2月下旬から3月上旬まで、海軍フリゲート「モントローズ」によりまして、東シナ海を含むわが国周辺海域において警戒監視活動を行いました。わが国としてはこうした取組を歓迎し、高く評価したいと思います。防衛省・自衛隊としては今後とも、「瀬取り」防止のために、国連安保理決議違反が疑われる船舶の監視を引き続き、関係国と緊密に協力をしながら行ってまいりたいと思います。私からの冒頭の報告は、以上2件です。
2 質疑応答
Q:1件目の将官人事についてですが、統幕長の人事についてお聞かせいただきたいのですが、その理由をお聞かせください。
A:統幕長については、すでに御案内のことと思いますが、山崎陸幕長が統幕長に昇格されることとなりました。総合的に検討した結果でございまして、特段、これが理由ということもないわけですけれども、河野統幕長のこれまでの御貢献に敬意を表し、また、山﨑新統幕長の今後の活躍に期待したいと思っております。
Q:シナイ半島のMFO派遣についてですが、先日、鈴木政務官の視察が終わりました。今後の実施計画の策定や要員派遣の時期など、見込まれるスケジュールについてお聞かせください。
A:鈴木政務官のエジプト訪問は、3月15日から18日でありまして、昨晩帰ってきてすぐに、私に電話で簡単な報告がありましたが、今日中にでも詳しい報告を受けたいと思っております。御案内のとおり、我々としては、現在、シナイ半島におけるエジプト・イスラエル間の停戦監視活動等を行う多国籍部隊・監視団、MFOに自衛官2名を司令部要員として派遣する方向で所要の準備を進めているところでございます。我々としては、必要な準備を整えた上で、4月中旬以降に、要員派遣を開始することを目指しておりますが、具体的な日程については、引き続き、検討を重ねてまいりたいと思います。鈴木政務官の報告もしっかり聞いて、また、防衛省がその前に行った調査の報告も兼ね合わせて、しっかり検討をして、要員候補者の選定、情報収集、要員候補者に対する教育訓練、予防接種等の準備を着実に進めていきたいと考えております。
Q:北朝鮮情勢に関してですが、北朝鮮の外務次官が核実験と大陸間弾道ミサイル発射実験の中止を継続するかどうか、近く表明する見通しだと表明しました。米朝首脳会談の決裂を受けた実験の再開を示唆したものと見られますが、防衛省として把握しているそのような兆候だとか、あるいは、こうした表明の意図をどう分析されていますでしょうか。
A:北朝鮮の外務次官が15日、「ミサイル発射や核実験の中止を続けるかは、全て金正恩委員長の決定にかかっている」、「今後の方針について金委員長が近く声明を発表する」という発言をした、という報道については承知しております。また、こうした発言の背景につきましては、米国をけん制する狙いがあるのではないかという指摘や、北朝鮮が非核化に逆行する行動をとる可能性があるのではないかという指摘があることも承知をいたしておりますが、こういった報道や指摘の一つ一つについて、この段階で我々からコメントをすることは差し控えたいと思っております。その上であえて申し上げれば、「人工衛星」と称する弾道ミサイル発射も国連安保理決議違反でございまして、断じて容認できるものではないと考えております。いずれにしても、防衛省としては、北朝鮮の軍事動向については、今後も引き続き、米国等としっかりと連携をしながら注視してまいりたい、情報の収集・分析及び警戒監視に全力をあげてまいりたい、と思っておりますが、願わくば、北朝鮮が一回目の米朝首脳会談で明らかにされたように、完全な非核化に向けて着実に歩を進めてくれることを願いたいと思います。
Q:将官人事についてお伺いします。統幕長の人事ですが、これまで4年5ヶ月と過去最長の統幕長となります。このタイミングで替えた理由、これまで替えなかった、ずっと延長してきているわけですが、今回あえて替えたというのはどういうことなのか、説明してほしいのですが。
A:今、お話があったように、河野統合幕僚長は、最近では例になく長くお勤めをいただきました。特に統合態勢を強化していくという過程の中にあって、お力を発揮していただいた、と思っております。また、日米同盟の強化ということについても非常に貢献をしていただいたと、大臣に対する助言者としてもしっかりと補佐をしてくれた、ということに対して、感謝の意を表したいと思います。そういうことで、そろそろ河野統幕長の職責を受けて、さらに多次元統合防衛力の構築に向けて、これから山崎新統幕長に力を発揮してもらいたいというのが、今回の人事の理由でございます。
Q:秋まで延長するということは制度上は可能だったと思うのですが、そうしなかった理由というのはあるのでしょうか。
A:総合的に勘案して判断したということです。
Q:その総合的な中に国際情勢、例えば北朝鮮の弾道ミサイルの動きが沈静化していること等はありましたでしょうか。
A:そういう外的な要因というよりも、新年度を機に新体制を作ってスタートするのが良いのではないかという考え方です。
Q:日本では、最近の報道では防衛省で巡航ミサイル開発を進めてブラッシュアップすると報道されましたが、まず事実関係の確認と、巡航ミサイルに関しての考え方をお聞かせください。
A:「巡航ミサイル」ということについては、確立した定義が必ずしも存在していないと思いますので、いわゆる「巡航ミサイル」の保有について、一概にお答えすることはなかなか難しいと思いますが、一般的に「巡航ミサイル」と呼ばれているものの一般的な特徴は、弾道ミサイルと比べますと、小型ジェット・エンジンによる推進、飛行機のような翼を持っている、水平に飛行していく、長距離の目標に向かって正確に飛行する、といった特徴があるものと整理できると思っております。私どもは近年、諸外国の艦艇に射程が長い対空火器の導入がどんどん進んでいることから、これに対応するためには、平成29年度に開発完了した空対艦誘導弾、ASM-3の更なる射程延伸を図るべく早期に研究開発に着手し、順次航空自衛隊に導入していくこととしております。これは、昨年末に作った中期防の中にも「海上優勢の獲得・維持」という項目がございまして、そこに更なる射程延伸を図った新たな地対艦誘導弾及び空対艦誘導弾を導入する、という記述がございますが、そういうものに沿って、自衛隊員の安全確保のために、こういった装備の射程延伸を、これから図っていきたいと思っております。そういうものを称して、さっき申し上げた「巡航ミサイル」というのであれば、そういうものの保有について、今、研究開発を行っていると申し上げていいのかなと思います。
Q:この長距離巡航ミサイルの開発というのは、南西諸島、つまり日本で言われる尖閣、中国に対応するものという考えでしょうか。
A:どこかの国に対応するというよりも、今おっしゃったように、日本の南西諸島は約1,200kmありますので、島しょ防衛のために必要だということと、先ほど申し上げたように相手の装備の射程がどんどん長くなってきておりますので、自衛隊員の安全を確保しつつ、事態に対応するためには、やはり長射程のそういう装備が必要ではないかと考えているからでございます。
Q:辺野古の件でお伺いしますが、先週金曜日に文書を出されて、地盤改良工事に3年8ヶ月ということですが、大臣、従前から早ければ2022年の普天間返還については中々厳しいとの見方を示されていますけれども、今回、その3年8ヶ月を受けて、2013年にだされた日米合意の見直しの必要性は出てくるとお考えでしょうか。
A:すぐさま日米合意を見直すかどうかということは、まだ考えておりませんが、この間委員会に提出した我々の報告書には、海上工事に地盤改良で3年8ヶ月位、陸上工事に1年位かかるのではないかということが記載されていたのですけれども、国会でも答弁いたしましたように、同時にそういった事業を行うことも可能ではないかと考えておりまして、できる限り工期を短縮する努力を、これから詳細設計をしていくに当たって、していきたいと考えておりまして、22年というのは確かに非常に困難になっておりますけれども、一日も早い最終的な目標である普天間基地の全面返還というところにたどり着くために、工期についても一日でも短縮できるように努力をしていきたいと思っています。
Q:そうすると2022年度という数値目標に関しては、引き続き、維持するということでよろしいですか。
A:正直、維持することは困難だと思いますが、新たな詳細な設計の検討を行った上で、そうすると概ね工期の目途がたってくると思いますので、それを前提に様々、米側にも説明をし、また沖縄県側にも説明をし、何より設計変更についての承認をお願いしなければいけないと思っています。
Q:今日この後、玉城知事と安倍総理が対談して、来週25日に予定している新たな区域での土砂投入の中止を要請する見通しです。先週土曜日には県民大会もありましたが、こういった動きがある中で25日は予定通り土砂を投入されるお考えでしょうか。
A:総理と玉城知事はこれからお会いになるということなので、中身については私も分かりませんので、コメントはできませんけれども、是非、しっかりと意見を交換されて、意思疎通を図っていただきたいと願っております。県民大会でも辺野古移設について、厳しい声があったということは、我々も承知をしておりますけれども、しかし、辺野古への移設無かりせば、これは普天間基地は間違いなく固定化するわけですから、それはいったい誰が望んでいるのだろうかと。沖縄の皆様も望んでいないと思います。各党・各会派も普天間基地の固定化を願っている、望んでいるところはないと私は承知しております。これは共通認識であると思いますので、是非、御理解をいただいて、一日も早い辺野古への移設、普天間基地の全面返還ということを実現するために、お力を貸していただきたいと、私どもとしては、そのことをこれからも丁寧に説明し、お願いしてまいりたいと思っております。
Q:地盤改良の件で、パイルに使う650万立方メートルの砂に関してですが、これは沖縄県外からの調達を検討されているかと思いますが、埋立事業での外来種の混入を懸念する県の土砂条例の適用の対象になるのかどうかということについて教えて下さい。
A:沖縄紙も私は毎日拝見しておりますが、あたかも県外から持ってくると私が申し上げたかのように報道されておりますが、そういうことを申し上げたのではなく、変わらず必要な砂については調達をしてまいりますと申し上げたわけでありまして、実際の砂の採取、使用については、今おっしゃった環境上の配慮をすることは当然のことだと思っておりますので、それが両立できるような方途をこれからしっかり探っていきたい、検討していきたいと思っております。
Q:県外から搬入する場合は適用の対象になるかということについては、如何でしょうか。
A:それは、やはりなるのでしょう。外来種についての心配があるということは理解をしておりますので。まだ、方途については検討をしてまいります。決まっているわけではありませんが、環境上の御懸念がないような方向で検討してまいりたいと思っております。
Q:空対艦ミサイルの長射程化の件で、どの程度の射程にするかという現況での想定等があれば教えて下さい。
A:これは、なかなか私どもの能力を明らかにするということですので、大変申し訳ありませんが、詳細は控えさせていただきたいと思います。
Q:統幕長に関してですが、今の統幕長の役割自体の負担が重いのではないかと、総理への説明だったり、運用も増えているということで、昨年の防衛大綱の策定の段階でも議論になりましたが、大臣として現状、統幕長の在り方についてどのよう懸念されているのか、教えて下さい。
A:例えば様々な事態が生起をすると、もちろん総理も補佐しなければいけない、大臣も補佐してもらわなければいけない、統合部隊の指揮も執ってもらわなければいけない、ということになると、非常に負担が重たいということになるのではないかという御指摘が以前からあります。従って、今度大綱・中期防では、いわゆる「常設統合司令部」のようなものについて、果たしてそれが必要かどうか、どういうやり方が適切なのかということについて検討する、ということになっておりますが、ただ、屋上屋を重ねるようなことになってもいけないと思っておりまして、統幕長の負担軽減というか、役割分担というか、副長にはどれ位の権能を持っていただくべきか、しかしそうは言っても副長だということもありますし、そういったことも含めて、これからよく勉強・検討したいと思っています。
Q:エジプトのシナイ半島の停戦監視活動への派遣の関係ですが、シナイ半島では、ISによるテロ活動も伝えられておりますけれども、治安情勢について大臣はどのように評価をしていますでしょうか。
A:一番最初に現地に行ってくれたのは、国家安全保障担当内閣総理大臣補佐官の薗浦健太郎さんですが、その報告を聞いた限りでは、北部においては、そういう事案が散発しているけれども、我々が自衛官を派遣する予定の司令部のある南部については、非常に安定をしているという報告を受けておりますし、防衛省が派遣した調査団もほぼ同様の中身でした。今日、鈴木政務官からの報告も聞いた上で、総合的に判断をしたいと思っております。
Q:ミサイルの件に戻るのですけれども、先日策定した中期防で、アメリカ等から長距離巡航ミサイルの整備が決定されているかと思うのですけれども、今回、国産でミサイルの射程を伸ばしていく、国産ミサイルを改造していくというところの意義や必要性については、どのようにお考えでしょうか。
A:我々が保有するミサイルといいますか、誘導弾については、基本的にはすべからく長射程化を考えていかざるを得ない安全保障環境にあると思います。そういう意味で、外から調達するもの、あるいは国内で生産するものについても、基本的に長射程化を図っていく方向の中での取組でございます。
Q:関連ですが、今でき上がっているASM-3は、もう調達はしないのでしょうか。
A:ASM-3というのは、F-2のみが搭載可能なのですが、この能力を最大限発揮するには、新たなミッションコンピューター、AMC(アドバンスド・ミッション・コンピューター)の搭載が不可欠だと承知をしております。そして、このAMCというのは、まだ開発中でございまして、従って、でき上がったASM-3については、直ちに導入ということではなくて、長射程化を図り、また、AMCをしっかり開発した上で、導入を図っていきたいと、これもできるだけ早く導入ができるように、努力をしていきたいと思っております。
Q:今のASM-3の関係ですが、研究開発にまだこれから時間がかかると思うのですが、しばらくしたらまた、F-2は退役時期が始まるわけで、そうすると開発というのは、F-2の後継機を視野に入れて開発されるのでしょうか。
A:当然、そうでなければいけないのだろうと思います。
以上