ここでポイントになるのが、レジ袋有料化が法改正ではなく、関係省令改正で実施されていることだ。法改正であれば、国会で議論され、マスコミも報道するため、国民も注目する。
しかし、省令改正の作業は省内で行われる。場合によっては、各省の大臣もあずかりしれないところで、省令改正が行われることもある。
しかも、この省令によるレジ袋の有料化は、取り組みを国に定期報告させ、勧告や命令を出すことも可能だ。そして命令違反には罰則も適用される。税収にはならないものの、経産省などの関係官僚は国会のチェックなしで、独自の強い権限を手に入れることに成功したのだ。
たしかに、温室効果ガスの排出による地球温暖化は由々しき問題であり、その一方でプラスチックごみが地球にかける負担が深刻になっているのも事実だ。プラスチックを減らすような生活スタイルへの変化が求められる時代、レジ袋の消費を減らす取り組みを設けるのは自然の流れと言える。
だがそうであれば、官僚が裁量的に決められる省令ではなく、法律で決めたらいいではないか。特に、罰則が伴うものは、罪刑法定主義の観点からも、法律で決めるべきだ。
異例の有料化の背景には、「実質の増税」などとあらぬ方向で批判を浴びたくない官僚たちの姿勢が見て取れる。環境対策であれば、国民にとって透明性の高い法律できちんと対処したほうが、多くの納得を得られるのではないか。
『週刊現代』2020年7月4・11日号より